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平成26年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信、並びに、平成26年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
一昨年からの、政府の経済政策いわゆるアベノミクスの経済効果によって、各種の経済指標がいずれも改善を示す中、長く続いたデフレからの脱却が実現に向かいつつあります。
一方、総人口が減少し、少子化に歯止めがかからない中で、我が国が世界に誇る社会保障制度を持続可能なものとしていくため、この4月から消費税率の引上げが行われます。
これによる景気への下振れリスクが懸念されていますが、それに対して持続的な経済成長につなげるための経済対策や日本再興戦略に掲げる成長戦略による民間活力の活性化によって、経済の好循環を実現するとともに、財政健全化目標の実現を目指す政府の方針が示されています。
このような全体状況の下、私は、本県県勢を確実に発展させ、そして豊かな未来をもたらしていく上で「成長」がキーワードとなると考えます。成長によってもたらされる働く場の確保は安定した生活につながり、また、観光、ビジネスなどの成長は、交流人口の増加となって、新たな発展をもたらすという好循環を生み出す効果があります。そのような好循環が、「安全・安心」の確保にもつながります。
振り返ってみれば、我が国は、第二次大戦後の復興と繁栄、バブル崩壊と地域再生といった時代の節目、節目で、先人の多大な努力と英知に支えられ、国際化、少子高齢化、高度情報化という大きな潮流の中にあって、発展と再生を果たす力を発揮してまいりました。
今また、新しい成長に向け大きな前進が始まっているところです。
そうした中、本県では、これからの香川を支える産業を育成する上で、昨年7月に「香川県産業成長戦略」をいち早く策定し、それに基づく取組みをはじめております。希少糖、オリーブ、アートといった本県ならではの地域資源を活用したプロジェクトを着実に推進していくことが、国の方針にも呼応するものと考えています。また、成長だけでなく、東日本大震災を教訓に、南海トラフ巨大地震等への備えといった地震・津波対策などの防災・減災対策や悲惨な交通事故により尊い命が失われないよう、交通死亡事故抑止対策といった安全の確保も重要であります。
さらに、赤ちゃんからお年寄りまで、人が成長する過程で経験する結婚・出産、育児、医療・介護等といった面での安心感を持つことができる社会づくりが必要です。
こうした社会を支えるための人づくりも大切であり、家庭、学校、地域がそれぞれに子どもたちに愛情を注ぐ仕組みづくりや芸術・スポーツ、科学技術など、様々な分野で個性を発現できる環境づくりが求められています。
「地方の時代」と言われ始めてから30余年が経過しました。また、衆参両院で地方分権の決議がなされ、20年の歳月が過ぎました。今こそ自分たちの能力と責任で魅力的な地域づくりを進めていかなければなりません。このような中にあって、私は、昨年の11月県議会定例会で表明いたしましたが、真に豊かで笑顔あふれる地域社会の実現を目指す信念と覚悟、責任と使命感を改めて肝に銘じながら、県民の皆様の御支持を頂いて、引き続き県政を担当したいという決意を改めて強くしているところであります。
平成26年は、甲(きのえ)午(うま)の年であります。「甲(きのえ)」は、殻を破り芽を出す形を表し、「午」は、大地を突き上げて地表に出ようとするさまを表しているとされ、克服すべき課題はあるものの、新たなはじまりの気運が生じている中にあって、慎重さと果断さをもって対処すべき年とされております。
私は、駿馬のように、大地を蹴って疾走するスピード感と躍動感、そして力強さ、慎重な中にもしっかりとした決断力を発揮して、県民の皆様が、真に幸せを感じ、元気に、安心して暮らせる、そして夢と希望を抱ける郷土香川の実現に向け、今後とも県議会はもとより、県内の8市9町との、より緊密な連携のもと、誠心誠意、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げる次第であります。
平成26年度予算については、4月からの消費税率の引上げによる各種経済活動の反動減を緩和して景気の下振れリスクに対応するとともに、その後の経済の成長力の底上げ等を図る好循環実現のための国の経済対策を踏まえ、平成25年度補正予算のとりまとめをあわせて行いつつ、編成作業に取り組んだところであります。
この編成に当たっては、回復基調にある地域経済をより活性化し、その成長を確実なものとするとともに、県経済の活性化や雇用の創出、東日本大震災を踏まえた災害への備えなど、安全・安心を確保するための施策をはじめ、本県の直面する多くの課題に対し、無駄を省き、効率的な行政運営に努めながら、元気、安心、夢と希望あふれる香川づくりに取り組むこととし、その一方で、「財政運営計画」に即した財政規律の確保にも意を用いたところであります。その結果、平成26年度一般会計の当初予算としては、消費税率引上げによる影響分も含め、前年度を81億円余上回る規模となりました。
また、歳入面においては、全体的な景気が緩やかに回復しており、法人業績の改善により法人関係税の増収が見込まれることなどから、県税収入は増加するものと見込んでおり、また、地方交付税も、消費税率の引上げに伴う交付税原資の増額等に伴い増加する見込であります。これにより、地方交付税の振替え措置である臨時財政対策債は減少する中で、平成26年度の一般財源総額としては、前年度に比べ約100億円増加すると見込んでおります。
それでは、平成26年度の主要な施策について、御説明いたします。
第1は、「元気の出る香川づくり」についてであります。
「足腰が強く競争力の高いものづくり産業の育成」として、「香川県産業成長戦略」に沿い、5つの重点プロジェクトを推進することとしており、まず「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトでは、香川大学の希少糖研究への支援や民間研究所等の誘致、産学官による共同研究体制の推進による研究拠点機能の強化に取り組むとともに、県内外の企業による希少糖を使用した商品開発への助成や全国向けの情報発信を強化することにより、「希少糖といえば香川、香川といえば希少糖」の浸透に向けて強力に取組みを進めてまいります。
次に、オリーブ産業強化プロジェクトでは、新たに、「オリーブ産業強化プロジェクト推進戦略会議」を設置して、産学官の連携を強化し、プロジェクトの進行管理と関連施策の検討、情報交換等に努めるとともに、オリーブオイルの高品質化やオリーブ商品の開発支援及びオリーブの生産拡大支援のほか、「オリーブ牛」や「オリーブハマチ」の知名度向上と販路拡大に取り組んでまいります。
K-MIX関連産業育成プロジェクトでは、産学官の連携により、医療・福祉分野での付加価値の高い製品開発への支援や福祉・介護現場と県内企業とのマッチングなどにより健康関連産業の創出などに取り組んでまいります。
ものづくり「温故知新」プロジェクトでは、今後成長が期待される炭素繊維複合材料関連産業や知的ロボット関連産業の育成に取り組むとともに、企業の中核的な技術者の育成や大手企業との展示商談会などの充実により、県内企業の販路開拓や受注拡大に向けた支援に取り組みます。
世界に発信「アートの香川」プロジェクトでは、「アート県」としての地域イメージの定着化、ターゲットを絞った誘客活動を行い、交流人口の増大を図ってまいります。
こうした重点プロジェクトのほか、県内中小企業者等が行うエネルギー使用の合理化に向けた取組みを支援し、エネルギー・環境関連分野における県内企業の進出を促進するなど、本県経済の成長のエンジンとなる分野への支援に積極的に取り組みます。
また、県内企業の海外展開支援については、中国・上海地域に加え、今後成長が期待される東南アジアなども視野に入れて、海外展開に必要な現地情報の提供や国際見本市等への出展支援、海外展開を担う人材の育成などに取り組むとともに、ジェトロとの連携をこれまで以上に強化して、海外展開に関心のある県内企業に対するきめ細かな情報提供や相談支援が行える体制を整備します。
企業誘致については、本県の優れた立地環境やそれぞれの工場用地が有する特性を踏まえ、ターゲットを絞った効果的な情報発信や、トップセールス等による誘致活動の強化に努め、優良企業の立地促進を図ります。
金融対策としては、新規創業融資及びフロンティア融資の保証料負担を軽減するなどの県独自の対策を講じ、新規創業や新事業進出等の促進を図るとともに、新たに「商店街活性化融資」を創設するなど、活気ある商店街の再生に向けた持続可能な取組みを促進し、中心市街地や地域の商店街の活性化を図ってまいります。
さらに、中小企業が行う設備投資に対する助成制度を継続し、製造業に係る中小企業の経営基盤の強化や新分野進出などをより一層促進します。
次に、「働く意欲と地域産業をつなぐ雇用対策の推進」については、「香川県就職サポートセンター」において、人材採用コーディネーターによるマッチング支援を行うほか、新たに中堅・中小企業を対象に人材採用セミナーを開催するとともに、大阪での合同就職面接会や、県内外の大学等と県内企業との就職情報交換会等を開催することにより、県内企業の人材確保を支援してまいります。
また、就職活動サポートセミナーや企業見学会などを開催するほか、東京や大阪での転職相談会やUターンガイダンスの開催など、UJIターン就職を促進してまいります。あわせて、高校生の就職を一層支援するため、就職指導専門のジョブサポートティーチャー(高等学校就職支援教員)を配置するほか、就職面談会やインターンシップ、社会人を活用した授業を実施するなど、キャリア教育の推進に努めます。
さらに、県立高等技術学校の訓練内容の充実などにより、労働者の職業能力開発の推進に努めます。
次に、「世界に愛される香川印をめざすブランド化・販売促進」については、県産品の認知度向上を図るため、「さぬきうまいもんプロジェクト事業」を引き続き実施するとともに、さぬきうどんを牽引役に本県のイメージアップと県産品のブランド化を進めるため、新たに「全国年明けうどん大会(仮称)」を開催するほか、昨年オープンした「かがわ物産館・栗林庵」及び東京アンテナショップ「せとうち旬彩館」を活用しながら、県産品の販路拡大に努めてまいります。
また、「かがわ県産品振興機構」と連携して、首都圏におけるフェアの開催等により国内での販路拡大を図るほか、県と関係団体、有識者等で構成する「県産品輸出戦略協議会(仮称)」を設置し、東アジア市場をターゲットに海外への販路開拓の取組みを戦略的に展開してまいります。
これにあわせ、私自身もトップセールスを行い、県産品のブランド化と販路開拓を強力に推進してまいります。
次に、「香川の大地と瀬戸内の恵みを生かした攻める農林水産業への転換」についてであります。
農業の振興については、国の新たな農業・農村政策を踏まえた対応として、構造改革の加速化、生産振興の加速化、多面的機能の維持を基本として事業展開することとし、まず、意欲ある担い手を確保するため、就農前後の青年農業者に対する給付金制度の効果的な実施や、農業法人等が雇用して育成した後に独立させる「のれん分け就農」の一層の促進に取り組むとともに、認定農業者や農業法人に加え、新たに新規就農者の経営の多角化、ネットワーク化による経営発展や人材育成を支援します。
また、地域を支える集落営農組織の設立支援を充実させるとともに、規模拡大や法人化などの経営発展を支援します。
さらに、農地の集積を担う「農地中間管理機構」を新たに整備するとともに、農地集積専門員の配置や農地集積計画の策定に対する支援など、県独自の施策を含めた新たな対策により、担い手への農地集積の加速化、耕作放棄地の解消を推進します。
また、生産面では、県オリジナル水稲の「おいでまい」やさぬきうどん用小麦「さぬきの夢2009」の生産拡大を図るほか、新たな園芸作物や飼料用米などの導入を支援するなど、水田の有効活用への取組みを強化するとともに、県土保全や水源かん養など、農業・農村が有する多面的機能を維持するため、「多面的機能支払事業」を活用して、農業者や地域住民などが共同して行う活動を支援してまいります。
このほか、県オリジナルのキウイフルーツや小原紅早生などの「さぬき讃フルーツ」の生産拡大の加速化や県産農水産物のブランド力の向上に努めるとともに、農林漁業の6次産業化を促進してまいります。
林業の振興については、森林管理道などの路網整備や、森林施業の集約化、高性能林業機械の導入への支援などにより、搬出間伐を重点的に進めるとともに、公共建築物等での県産木材の利用や県産木材製品のPRに努め、その利用拡大を図ります。
元気な漁業の実現に向けては、ブランド化を推進しているハマチ・ノリ・イリコなどの県産水産物の販売促進・消費拡大に積極的に取り組むとともに、アワビなどの新たな地域特産物の開発を支援するほか、水産試験場において、タイラギなどの増養殖技術開発を進めてまいります。
次に、「未来と世界をつなぐ交通・情報ネットワークの整備」についてであります。
昨年3月に、木曜日、日曜日の週2往復で就航した高松・台北線については、本年3月末から火曜日、土曜日が加わり、週4往復に増便されることになっており、引き続き、運航支援や利用促進に努めるとともに、既存路線のダイヤ改善等による利便性の向上をはじめ、高松・上海線の増便や春秋航空日本による高松・成田線の開設、新たな路線の誘致などにより、航空ネットワークの充実強化を図ってまいります。
あわせて、空港利用者の利用環境の改善を図る上で、高松空港の北東隣接地に県営駐車場を整備してまいります。
また、高松空港までのアクセス性を向上させるため、高松西インターチェンジから高松空港に至る空港連絡道路について、ことでん琴平線や国道32号等との部分立体高架工事と平面部の4車線化工事を推進してまいります。このほか、県道高松長尾大内線、県道丸亀詫間豊浜線など本県の発展に必要な幹線道路の整備を引き続き進めるとともに、高松港朝日地区における国際物流ターミナルの整備を推進します。
情報通信基盤の整備については、引き続き、条件不利地域において、超高速ブロードバンド基盤の整備に取り組む市町に対し、県単独で整備費の一部を助成してまいります。
まず、「子育てをみんなで支える次世代育成環境の充実」については、地域のニーズに的確に対応した支援を総合的に推進するため、市町が、中長期的な視点で、計画的に地域ごとのニーズに応じて創意工夫をこらし、事業が行えるよう、県独自の支援制度を新たに創設します。
また、結婚のきっかけとなる出会いの場の創出・拡大に取り組むとともに、妊娠や出産、不妊に関する相談支援体制の充実強化を図るほか、特定不妊治療費助成について、国の新たな補助制度に対応しつつ、県単独の上乗せ補助も行ってまいります。
さらに、年間を通じた保育所入所待機児童の解消に向けた取組みを進めるとともに、新たに放課後児童クラブの指導員の対応能力向上のため、臨床心理士等による相談支援体制を整えるなど、放課後児童の健全育成にも努めます。
加えて、斯道学園の建替工事に着手するほか、児童養護施設の耐震化も進めてまいります。
次に、「元気で長生きをめざす誰もが安心して暮らせる地域の実現」については、がん検診の受診率向上に向けて、新たに10月のピンクリボン月間の乳がん検診の休日広域実施や医療機関と連携したがん検診の受診勧奨に取り組むとともに、糖尿病患者に対する管理栄養士による巡回相談をモデル的に実施し、重症化予防を図ってまいります。
また、健康寿命の延伸に向け、加齢による運動機能の低下を予防する方法の普及などに取り組みます。
高齢者施策については、国の介護保険制度改革の動向を踏まえつつ、引き続き、介護サービスの質の向上や給付の適正化、介護予防、高齢者の虐待防止などを推進するとともに、一人暮らし高齢者や認知症高齢者等への支援に取り組みます。また、老人クラブ活動の活性化に努めるとともに、新たにかがわ長寿大学を中西讃地域でも開校するほか、高齢者の活躍の場の拡充や人材の育成、それらの情報を提供する拠点の開設など、高齢者の生きがいづくりと社会参加を促進してまいります。
障害者の自立促進と地域生活の支援については、新たに障害者スポーツ協会を設立し、競技力の向上及び参加機会の確保に取り組むとともに、リハビリテーション体制の充実・強化のため、かがわ総合リハビリテーションセンターの回復期リハビリテーション病床等の増床に向けた基本設計に着手します。
また、これからの障害者施策の目標や推進方策等を明らかにするため、新たな「かがわ障害者プラン」の策定にも取り組みます。
さらに、人権が尊重される社会の実現を目指し、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や啓発活動の積極的な展開を図るとともに、人権に関する相談窓口を活用した人権擁護活動の推進に努めてまいります。
次に、「大切な命を守り輝かせる香川の医療の充実」については、地域医療支援センターにおいて、修学資金を貸与した医師の配置調整とキャリア形成支援、医師育成キャリア支援プログラムの実施などにより若手医師の県内定着を図るとともに、UJIターンをはじめとする県内外の医師の就業相談・あっせんにワンストップで対応するなど、きめ細かな医師確保策に取り組んでまいります。
また、専門医養成プログラムを策定する研修病院への支援や、香川大学における地域医療教育などの寄附講座等により、各専門分野の医師の確保に努めてまいります。
さらに、地域医療再生計画に基づき、小豆医療圏における統合新病院の整備に係る支援を行うとともに、地域の実情に応じた在宅医療を推進するため、在宅医療連携拠点づくりを支援するほか、かがわ医療福祉総合特区のもと、ドクターコムを活用した遠隔医療等を進めてまいります。
新中央病院については、心臓センターなどの専門医療センターの新設や最新の医療機器の導入、がん検診センターの統合等を行い、県の基幹病院として3月4日から開院いたします。
また、病院事業管理者のもと、経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
「未曾有の危機に備える地域基盤の整備・充実」については、本県独自の地震・津波被害想定等を踏まえ、引き続き、自主防災組織への積極的な支援、防災行政無線の再整備などを進めてまいります。
また、県立高校をはじめとする県有施設の耐震化を推進するとともに、防災拠点施設である県庁舎東館については、有識者による検討会議での文化的価値や保存・耐震化に係る基本的な考え方等に関する御意見等を踏まえ、耐震工法等の具体的な検討を進めてまいります。
さらに、法律に基づき、耐震診断が義務付けられる大規模建築物や県が指定する避難路の沿道建築物の耐震化への支援を新たに行うほか、引き続き、民間住宅の耐震化を進めてまいります。
また、ため池については、昨年6月に策定した「老朽ため池整備促進 第10次5か年計画」に基づき総合的な防災対策を推進することとしており、特に、大規模ため池については、補強が必要なため池の耐震化補強工事に着手することとしており、今後とも、関係市町等と緊密に連携を図り、積極的に取り組んでまいります。
さらに、「津波・高潮対策整備推進アクションプログラム」の1期計画の完了を目指して高潮対策に取り組むとともに、津波対策については、被害想定等を踏まえ、新たな実施方針や実施計画を定め、計画的な整備を進めてまいります。
これらに加え、市町における地域の防災力強化を図るための取組みに対して新たな助成制度を創設するなど、市町や防災関係機関と連携し、ハード、ソフト両面から防災・減災対策を着実に推進するとともに、県民の皆様が、地震・津波を「正しく知り」「正しく判断し」「正しく行動する」ことができるよう、取り組んでまいります。
次に、「香川の活力と県民生活を支える水資源の確保」については、椛川ダムの本体工事に着手することとし、引き続き、ダムやため池の整備を進めるとともに、地震などの災害に強い県営水道の構築に向けて、水道施設の更新・耐震化を推進いたします。また、県と市町が協力して水道の広域化の取組みを推進してまいります。
次に、「犯罪や交通事故から県民を守る安全対策の推進」についてであります。
全国ワースト1位から脱却したものの、いまだ上位にある交通死亡事故等を抑止するため、効果的な広報啓発や交通安全教育を推進するとともに、交通安全施設等の整備、交通指導取締りの強化などに引き続き取り組んでまいります。
具体的には、交通死亡事故死者数の約6割を占めている高齢者を中心に、交通安全教育車による出前型、参加・体験型の交通安全教室や高齢者世帯訪問のほか、運転免許証の自主返納を促す新たな取組みやシートベルト着用率ワースト返上に向けた取組み、高校生を対象に自転車の安全利用を促す取組みを、新たに実施するとともに、引き続き、交通安全マナーアップコンテストの開催をはじめとする広報啓発など、効果的な取組みを積極的に実施し、交通ルールの遵守と交通マナーの向上に努めてまいります。
また、自転車歩行者道や交差点改良、歩道のバリアフリー化、信号機のLED化の計画的な整備などに加え、交通事故多発交差点等において、路面のカラー化やわかりやすい路面標示を行うなど、安全で快適な交通環境の整備を推進します。
地域における犯罪抑止力の強化に向けては、新たに犯罪発生が多い地区に街頭防犯カメラを整備するとともに、引き続き、防犯カメラ付き緊急警報装置の設置拡充等による防犯環境の整備を進めるほか、青色回転灯を装備した車によるパトロールの一層の普及拡大や防犯ボランティア団体等の自主防犯活動への支援に取り組むなど、市町、住民の方々と連携して、犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。
「地球との共存を香川から進める低炭素・循環型社会の構築」については、再生可能エネルギーの導入を促進するため、住宅用太陽光発電の設置に対する補助を継続するとともに、メガソーラーについても、引き続き立地支援に努めます。
さらに、エネルギー需要が増加する夏季と冬季に重点をおいて、専用サイトを立ち上げ、省エネ・節電を呼びかけるとともに、学校等における環境教育・環境学習の充実を図るほか、事業者向けの省エネルギー講座などにより、省エネルギー行動を促進します。
また、瀬戸内海の里海づくりの推進体制の整備や基本モデルの構築などの基盤づくりを行うとともに、里山についても、整備・保全から竹林などの資源の利活用までの総合的な取組みを進めます。
森林の整備・保全については、森林の持つ公益的機能の維持・向上を図るため、間伐などの森林整備を進めるとともに、「かがわ 山の日」に合わせた記念行事などを通じて、森林ボランティアや企業等との協働のもと、県民参加の森づくりを進めるほか、全国育樹祭の本県での開催誘致を進めてまいります。
豊島廃棄物等処理事業については、より正確な進行管理と徹底した経費削減を図りながら、県民負担の軽減に努め、調停条項で定められた平成28年度末までの廃棄物等の全量処理に向けて、引き続き、直島町と豊島住民の方々、県議会をはじめ県民の皆様の格別の御理解と御協力を得て、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組んでまいります。
まず、「夢と希望に向かって羽ばたく人を育てる香川の教育力の向上」についてであります。
小中学校では、少人数指導、少人数学級、学力向上基盤形成の3つの柱から成る香川型指導体制を推進するため、引き続き、小学校1年生から4年生で35人学級を実施するとともに、小学校低学年での基本的な生活習慣などの指導や発達障害等に対応する教員を増員して配置します。また、県学習状況調査の実施や確かな学力向上に向けた授業改善や教員の指導力の向上に努めるほか、新たに補習のための指導員を派遣する市町に対し補助を行うなど、学校の教育力の向上に取り組んでまいります。
また、今後、教員の大量退職が見込まれることから、引き続き、小・中学校への指導教諭の配置や退職教員の派遣を行うほか、優秀な教員の確保に向け、教員を志望する県内外の学生等に対する広報活動等の充実に努めるとともに、道徳教育や特別支援教育の指導を充実する取組みも行います。
児童生徒の暴力行為等の問題行動に対しては、未然防止や早期解決を図るため、スクールサポートチームを学校に派遣するとともに、いじめ防止対策推進法の施行を受け、スクールカウンセラーの派遣の拡充を行うほか、スクールソーシャルワーカーの積極的な活用やいじめ24時間電話相談などを引き続き実施してまいります。
教員の業務負担の軽減等を図り教育活動に集中できるようにするため、小・中学校向けに開発したソフトウェアの普及を図るとともに、県立高校の成績処理などの校務を支援するシステムを順次導入するなど、子どもと向き合う環境づくりを進めてまいります。
家庭や地域との連携による教育力の向上については、就学前の子供を持つ保護者に対し、家庭教育の重要性などについて、広報啓発に努めるほか、放課後子ども教室や学校支援ボランティアの取組みなどを進めてまいります。また、新たに、地域の多様な人材等を活用して、土曜日の教育支援体制等の整備に努めてまいります。
県立高校については、魅力ある学校づくりを推進するため、各学校の創意工夫による特色ある教育活動を積極的に進めるとともに、老朽校舎等の改築や「県立高校の再編整備基本計画」に基づく施設整備などの着実な実施に努めてまいります。
また、公立高校に係る授業料の不徴収制度の廃止に伴い、新1年生から所得制限を導入した高等学校等就学支援金を支給する制度に見直すとともに、私立高校に在籍する生徒の保護者のうち、低所得者層の負担軽減を図るため、就学支援金を除いた授業料を減免する学校法人に対する支援制度を拡充します。あわせて、低所得世帯の高校生等に対して奨学のための給付金を支給し、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ります。
また、県立図書館の蔵書の充実を図るとともに、郷土資料のデジタル化を進めるなど、魅力ある図書館サービスの提供に努めてまいります。
このほか、教育センターの移転整備や五色台少年自然センターの本館と自然科学館本館を統合する新たな本館の建設、屋島少年自然の家の老朽化した研修棟の改築に係る実施設計、高松養護学校の全面改築に向けた校舎棟の改築工事等に取り組んでまいります。
次に、「感動と驚きを呼び起こす香川の文化芸術・スポーツの振興」については、将来性豊かな若手芸術家を表彰するとともに、青少年が優れた芸術家から指導を受ける機会を充実させるなど、文化芸術を担う人材育成に努めるほか、瀬戸フィルハーモニー交響楽団と岡山フィルハーモニック管弦楽団とのジョイントコンサートの開催など、文化芸術に親しむ機会の充実を図ってまいります。
また、「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録に向けた、札所寺院や遍路道の調査のほか、本県の特色ある文化芸術を生かした地域づくりを推進します。
<スポーツの振興については、新たに、トップアスリートを招いて本県ジュニア選手・指導者の育成を図る「かがわドリームスポーツ教室」を開催するとともに、将来性豊かな素質を持つ中学生・高校生を個別に強化するスーパーアスリート育成事業を行うなど、本県出身の選手が日本代表としてオリンピックや世界選手権などの国際舞台で活躍できるよう取り組むほか、本年8月に四国4県で開催される全国中学校体育大会への支援を行います。
また、中核的な機能を果たす県立体育館の将来的な整備も見据えた調査検討を引き続き行います。
スポーツ人口のすそ野の拡大、競技力の向上などスポーツの振興や地域のにぎわいづくりのため、昨年、悲願のJ2昇格を決め、夢の舞台へ参戦するカマタマーレ讃岐のほか、香川オリーブガイナーズや高松ファイブアローズ、香川アイスフェローズといった地域密着型スポーツチームへの活動支援等を通じて、県民全体でチームを応援する機運の醸成に努めてまいります。
次に、「世界を魅了する観光立県香川の実現」についてであります。
本年は、瀬戸内海が国立公園に指定されてから80年になります。我が国最初の国立公園であり、「世界の宝石」とも称される瀬戸内海の素晴らしさと大切さを、県内外の多くの方々に知っていただくため、80周年記念式典を開催し、瀬戸内海の環境保全意識の高揚や浸透を図るとともに、夏休み期間を中心に、海上に水のスクリーンを作ってオリジナルな映像を投影する香川ウォーターフロント・フェスティバル(仮称)や瀬戸内宝さがし大冒険(仮称)などの大規模な誘客イベントを実施し、瀬戸内海を活用したにぎわいづくりを図ってまいります。
また、四国八十八ヶ所霊場開創1200年にも当たりますことから、これを契機として、遍路やおもてなしの文化をPRするとともに、今年度に引き続き、「懐かしの修学旅行」をキーワードに、本県を代表する観光地である"こんぴら""栗林公園""屋島"への観光客の誘致を図ってまいります。あわせて、これら各種イベントや観光素材について、インパクトのある映像やポスター、公式観光サイト「うどん県旅ネット」をはじめ、交通広告や全国雑誌など多様な媒体を活用して情報発信し、それだけじゃない香川の様々な魅力を全国に伝えてまいります。
瀬戸内国際芸術祭については、昨年、107万人の入場者をお迎えしましたが、引き続き、アートせとうちの活動に取り組むとともに、県議会での御議論をはじめ、各界各層の御意見を踏まえた上で、次回芸術祭のための準備に取り組むこととしております。
海外からの誘客活動については、高松空港の定期路線就航先であるソウル、上海、台北に加え、高松・台北線の週4往復への増便に伴い、乗り継ぎによる誘客が期待できる香港やタイなどを対象市場に加え、各国旅行会社やマスコミ関係者の招聘、観光キャンペーンなどを実施するとともに、瀬戸内海やアート、食など香川の魅力を強力に発信します。
あわせて、外国人観光客の受入環境整備のため、多言語での情報発信やインターネット環境の充実などにも取り組みます。
このほか、人口増加と、地域を担う人材の確保を図るため、本県の魅力を積極的にPRするとともに、市町と連携した受入れ体制の整備を進めるなど、移住・交流施策をより一層推進します。
また、「動物愛護管理法」及び「香川県動物愛護管理推進計画」に基づき、広く動物を愛護する気運を高めるとともに、動物の飼い主にその責任の自覚を促すための普及啓発等を実施します。あわせて、殺処分数の減少を図るため、引き取られた犬、猫の返還・譲渡を推進する施策などについて、検討してまいります。
さらに、本年は、香川県と中国陝西省との友好県省提携20周年に当たりますことから、この機会に相互の友好関係を一層深めてまいりたいと考えています。
病院事業会計は、収益的支出が243億5,000万円余、資本的支出が14億7,400万円余、水道事業会計は、水道用水供給事業、工業用水道事業及び五色台水道事業の3会計を合わせ、収益的支出が54億100万円余、資本的支出が47億9,900万円余となっております。
次に、第7号議案の平成25年度一般会計補正予算議案及び第8号議案の特別会計補正予算議案についてであります。
昨年12月5日に閣議決定された「好循環実現のための経済対策」に沿った国の平成25年度補正予算が、今月6日に成立いたしました。
県としましては、昨年11月県議会定例会で御議決いただいた県独自の経済対策補正予算に加え、今回の国の補正予算に基づく事業を効果的に実施することで、4月1日からの消費税率の引上げによる各種経済活動の反動減を緩和し、景気の下振れリスクに対応できるよう、御提案したものであります。
具体的には、経済活動を支える道路・港湾・土地改良など生活基盤の整備充実、高潮対策やため池の整備、県営住宅の耐震化など命と暮らしを守る防災・減災対策の推進などのほか、国からの交付金を緊急雇用創出基金など7基金に積み増しを行うものであります。
あわせて、平成26年度当初予算に関連し、国の経済対策に伴い造成した基金を26年度予算で活用するため、子育て支援対策臨時特例基金など7基金について、今年度の執行見込みを踏まえた剰余額を減額するものであります。
これら補正予算の総額は、55億2,500万円余となっております。
以上、平成26年度当初予算関係議案等の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げる次第であります。
「絶景、険峰に在り」と云われます。私の最も尊敬する故大平正芳総理が好んで揮毫された言葉でありますが、我が国や本県を巡る様々な課題という険しい峰を着実に登っていけば、新しい成長の実現という、すばらしい景色が見えてくることを信じて、私の説明を終わります。御清聴、有難うございました。
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