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令和7年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び令和7年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
去る1月17日、阪神・淡路大震災から30年という節目を迎えました。改めて、犠牲となられた方々の御冥福をお祈り申し上げます。
この30年間を振り返ってみますと、平成23年の東日本大震災、平成28年の熊本地震、平成30年7月豪雨、そして昨年の能登半島地震と、多くの災害がこの日本に襲い掛かり、その度に多くの生命と財産が奪われてきました。
昨年発生した能登半島地震では、交通網の寸断、ライフラインの甚大な損傷、木造家屋の倒壊被害などが同時多発的に発生し、中でも、断水の長期化等に伴い、今なお多くの方が厳しい避難生活を余儀なくされております。
昨年8月に気象庁から南海トラフ地震臨時情報が初めて発表され、先月には2回目の発表がありました。時を同じくして、政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震の今後30年間の発生確率を、これまでの「70%~80%」から「80%程度」に引き上げたところであります。本県においても、大規模災害はいつ発生してもおかしくない状況にあります。
こうした中、切迫する大規模地震による災害などから県民の生命・財産・くらしを守り、社会の重要な機能を維持していくため、県として、能登半島地震における課題等を踏まえ、ハード・ソフト両面からの防災・減災対策、災害に強い県土づくりを、これまで以上に強力に進めてまいります。
さて、我が国は、この30年間余り、度重なる自然災害の他にも、バブル崩壊に伴う混乱やデフレ、世界的な金融危機、そしてコロナ禍といった幾多の難局に直面してきましたが、国民のたゆまぬ努力によってこれらを乗り越え、今まさに、従来のコストカット型経済から「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への第一歩を踏み出したところであります。昨年の賃上げ率は33年ぶりに5%を超える高水準となっております。
県内経済の状況に目を向けますと、人手不足や物価・エネルギー価格の高止まりなどの課題は残るものの、設備投資は高水準で推移していること及び観光客もコロナ禍前まで戻っていることは、新型コロナウイルス感染症で影響を受けた本県経済の回復がなされてきているものと感じております。
私は、2025年、令和7年は、本県にとって大きな節目の年となるものと考えております。
来週となりました、中四国最大規模の県立アリーナの開館に続き、4月からは6回目となる瀬戸内国際芸術祭、また時期を同じくして大阪・関西万博、7月には全国高等学校総合文化祭などの全国的なイベントが相次いで開催され、大勢の方にご来県いただけるものと思っております。本県の豊かな自然や、長い歴史の中で培われた文化、そして、発展する香川の姿を広く全国に紹介するまたとない機会であり、この好機を本県経済の起爆剤として、そして、その効果が一過性のものではなく、将来に亘って継続するよう取り組んでまいります。さらに、私自ら先頭に立ち、少子化対策等をはじめとする人口減少への対応、産業振興、にぎわいの創出、また、県民の皆様が健康でいきいきと暮らせる香川の実現に、県議会並びに県民の皆様方のなお一層の御支援と御協力をいただきながら、力を尽くしてまいりたいと考えております。
任期の後半を迎え、今一度、初心に立ち返り、県民の皆様と心を一つに未来を拓き、その拓かれた香川の未来を次の世代につなげていけるよう、県議会はもとより、県内の8市9町との緊密な連携のもと、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
それでは、上程されました当初予算案について御説明いたします。
令和7年度当初予算は、過去最大の県税収入を見込み、物価高騰等に昨年11月補正予算と合わせ、しっかりと対応するとともに、総合計画の基本目標に掲げる「人生100年時代のフロンティア県」の実現に向け、3つの基本方針の下、17の重点政策に沿って編成を行い、あらゆる政策を動員して推進してまいります。
特に、令和7年度は、これまでの税収の増加分や歳出削減などで生み出された財源を、新たに未来投資枠として設け、県政各分野における、早急に解決しなければならない社会課題への対応や、県勢発展の礎を築くための投資に重点配分することとしました。
具体的には、保育や教育現場でのきめ細やかな対応、各分野における人手不足の解消、頻発する自然災害への備え、市町等と連携した地域活力の向上、企業誘致やスタートアップ等による新たな産業の創生、県立アリーナを核としたにぎわい創出など、現状の局面を打開する11分野44事業に対して、一般財源10億円を含む総額19億円余を重点的に配分し、財政の持続可能性を確保しつつ、本県の発展を目指す新たな取組みにより、県内経済の着実な成長を図るとともに、税収増にもつなげ、「経済と財政の好循環」を生み出し、香川の未来を次の世代につなげていくための予算として編成を行ったところであります。
その結果、令和7年度一般会計の当初予算の規模は、歳入面では、法人業績の改善等による法人事業税などの増収が見込まれることから、県税収入は前年度に比べて約57億円増の1,337億円を見込み、歳出面では、未来への投資を積極的に行うことなどにより、総額4,967億円余、対前年度約101億円の増となります。
それでは、以下、令和7年度の主要な施策について、申し上げます。
第1は、「県民100万人計画」についてであります。
まず、「『子育て県かがわ』をつくる」については、若い世代が定住し、結婚の希望をかなえ、誰もが夢と仲間を持って、次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現に向けて、「経済的負担の軽減」、「子育て拠点の充実」、「みんなで子育て」を柱として、少子化局面の打開に取り組んでまいります。
まず、子育て家庭の「経済的負担の軽減」として、市町が行う子ども医療費支給事業に対する助成や、第3子以降の児童生徒の給食費の負担を軽減する取組みを、市町と協調し、引き続き実施してまいります。
また、令和7年度に県立高校及び県内の私立高校に入学する生徒が授業で使用するタブレット端末の購入費についての支援等をしてまいります。
「子育て拠点の充実」については、子育てに関する相談支援や情報の提供が受けられる「かがわ子育てステーション」の一層の利用促進が図れるよう、積極的な情報発信や子育て家庭を対象にしたイベント等を開催してまいります。
また、特別な配慮を要する子どもの保育環境の充実のために保育士等を配置する私立保育施設に、市町と連携して、本県独自の補助を行ってまいりたいと考えております。
「みんなで子育て」については、結婚を希望する方を応援するため、マッチングアプリや結婚相談所等の民間事業者と連携して取り組むほか、かがわ縁結び支援センターの利用登録のオンライン化を進めてまいります。
また、若い世代に対して、恋愛に繋がるような自然な出会いの機会や、仕事と子育ての両立を体験できる機会を提供し、若者が恋愛や結婚、子育てについて前向きにとらえられるよう、取組みを進めてまいります。
さらに、男性の育児休業取得に課題を抱えている企業に対して、専門家による個別支援を実施するほか、短時間正社員を正式雇用する企業に対する助成金を創設するなど、男性の育児休業取得や誰もが働きやすい職場環境づくりを促進してまいります。
次に、「教育の充実」については、教育委員会との緊密な連携のもとに各種の取組みを進めてまいります。
まず、小・中学校での35人学級の継続と小学校中学年への教科担任制の拡大により、香川型教育指導体制を着実に推進するとともに、教員業務支援員、部活動指導員を配置する市町への支援や、育児休業を取得しやすい職場環境の整備、初任者教員の指導の充実、副校長・教頭の負担軽減のほか、新たに、特別支援教育の指導体制の充実に向けた人員配置の拡充を行うなど、学校現場の教員を支える体制の充実・強化に取り組みます。
学力向上の取組みについては、民間事業者と連携し、学校のカリキュラム外の知的好奇心を刺激する講座を試行的に実施するとともに、オンラインによる国際交流を通じた生徒の英語力の向上にも取り組みます。
また、いじめ・不登校や高校中退などへの対応として、すべての学校へのスクールカウンセラーの派遣やスクールソーシャルワーカーの効果的な活用、モデル校での校内サポートルームの取組みなどを引き続き進めるとともに、外国人など日本語指導の必要な子どもへの支援など多様な課題に対応してまいります。
学校教育の情報化については、授業や校務等で使用する県内統一の教育クラウドサービスの導入など、教育DXを推進してまいります。
また、高校教育に対するニーズが多様化する中で、今後の県立高校のあり方について議論を進め、「魅力あふれる県立高校推進ビジョン」の後期計画の策定に向けた検討を行うとともに、全国からの生徒募集を行う「せとうち留学」の充実に向け、コーディネーターを中心として、受入態勢の整備や地域との効果的な連携に努めてまいります。
東讃地域に整備する統合高校については、令和12年4月開校に向け、造成工事や建築実施設計などを行うとともに、県立高校の老朽化や特別支援学校の教室不足への対応について計画的に進めるほか、新たに県立学校体育館の空調設備の整備に取り組んでまいります。
次に、「女性や高齢者、障害者が活躍する社会づくり」については、引き続き、女性リーダーの養成講座やデジタルスキルを活用した「新しい働き方」を支援するとともに、出産・子育て等でキャリアが中断した女性の再就労のための研修や女性向け人材採用コーディネーターを配置します。また、男女共同参画社会の実現の拠点となる男女共同参画センター(仮称)の整備を進めてまいります。
さらに、県内2か所に設置している「かがわ女性・高齢者等就職支援センター」において、就職相談などにより、女性や高齢者等の新規就業支援を県内全域できめ細かく行うほか、県内企業の障害者の雇用促進を図るため、新たに専門のアドバイザーによる企業への個別支援や、障害者の雇用・定着に向けた研修会の開催などに取り組んでまいります。
加えて、すべての県民が生涯において健康をより長く享受し、元気に活躍することのできる「人生100年時代のフロンティア県」の実現に向けては、健康寿命の延伸が不可欠です。このため、県民一人ひとりがライフステージに応じた健康づくりに取り組むよう、健康意識の醸成や主体的な健康行動の定着を図るとともに、要介護の原因となる認知症や骨折への対策強化に取り組んでまいります。
次に、「安心できる医療・介護体制を構築」については、医療ニーズが変化し、医療資源が限られる中で、県民の医療に対する安心、信頼の確保を目指して、「第八次香川県保健医療計画」に基づき、病床機能の分化・連携や在宅医療の推進などに積極的に取り組んでまいります。
また、救急医療につきましては、搬送件数全体の抑制に向けて、救急車を呼ぶ前の救急電話相談事業の拡充を図るとともに、救急医療機関に対し、救急搬送の受入れ体制の強化に向けた助成制度を創設するなど、救急医療体制の充実・強化に取り組んでまいります。
医療人材の確保につきましては、医学生を対象に県内医療機関に勤務した場合に返済が免除される修学資金の貸付けに加え、若手医師の県内での勤務・研修を促進するため、新たな研修奨励金を設けるなど、医師確保に取り組みます。また、引き続き、感染症専門医の養成を積極的に進めてまいります。あわせて、看護職を目指す学生の修学支援など、看護職員の育成・確保を図ってまいります。
また、介護人材を安定的に確保するための取組みとして、新たに、外国人介護人材の受入れ環境整備等に対する助成を行うとともに、介護施設等が海外で実施する外国人材確保の取組みに対し助成を行うなど、外国人介護人材の受入れを支援してまいります。
県立病院においては、引き続き、病院事業管理者のもと、「第4次県立病院中期経営目標」に基づき、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
次に、「災害や渇水に強い県土をつくる」についてであります。
冒頭申し上げましたとおり、能登半島地震における課題等を踏まえ、ハードとソフトの両面から一層の対策を推進し、災害に強い県土づくりに取り組んでまいります。
まず、発災時の救命活動や物資輸送のためには道路の確保が重要であることから、国道11号やさぬき浜街道の4車線化、緊急輸送道路の無電柱化などに取り組みます。
また、津波高潮対策として、海岸堤防や河川堤防について、地震・津波対策海岸堤防等整備計画に基づき、Ⅰ期計画に引き続き、切れ目なくⅡ期計画区間の整備を進めてまいります。
民間住宅の安全対策については、耐震改修等の補助限度額を引き上げることにより更なる耐震化を図っていくとともに、老朽化して危険な空き家の除却支援を引き続き実施します。また、新たに、空き家を公的住宅として利活用する市町を支援するなど、空き家の有効利用を図ります。
さらに、減災効果の高い家具類などの転倒防止対策については、一般家庭に加え、新たに幼稚園等の教育・保育施設も支援してまいります。
災害時における避難所の生活環境の維持・向上については、発災直後に携帯トイレの利用を進めるため、使用方法の周知・啓発に取り組むほか、断水時に飲料水を確保するための給水タンクの整備や、私有井戸を生活用水として利用する災害時等応急用井戸登録制度の全市町での導入に取り組んでまいります。また、新たに、県民一人ひとりの避難行動計画であるマイ・タイムラインの作成促進に取り組む自主防災組織等を支援するとともに、社会福祉法人による福祉避難所の開設等を支援するほか、災害時の福祉支援の拠点となる「災害福祉支援センター」を香川県社会福祉協議会に設置し、災害時の福祉支援体制等を強化します。
安定した水資源の確保と供給については、引き続き、ダムの整備やため池の老朽化対策を推進するとともに、香川用水及び県内水道の一層の安定供給に向け、香川県広域水道企業団をはじめ、国や独立行政法人水資源機構と連携しながら、施設の耐震化や老朽化対策に取り組んでまいります。
次に、「交通事故や犯罪のない安全安心な社会をつくる」についてであります。
本県における昨年の交通事故死者数は、4年連続で前年を下回り、統計資料が残る昭和23年以降で最少であった昭和24年と同数である31人となりました。しかしながら、人口10万人当たりでは全国ワースト11位と、依然として厳しい状況にあります。
交通事故死者数を何としてもゼロに近づけるため、本県の交通事故の特徴を踏まえた啓発や安全教育に積極的に取り組むとともに、引き続き、高校の自転車通学生を対象としたヘルメット購入費の補助を行うなど交通安全意識の向上を図ってまいります。
犯罪防止に向けた取組みについては、人流の増加が想定されるサンポート高松地区等に街頭防犯カメラを整備するとともに、急増する特殊詐欺及びSNS型投資・ロマンス詐欺の被害を防止するため、関係機関・団体等と連携した水際対策や県民への広報啓発活動に一層取り組んでまいります。
次に、「人口100万人計画」についてであります。
移住・定住の促進に向けては、県内市町と連携して、本県の魅力の情報発信、仕事や住まいのマッチング、定住のサポート、この3つの柱で施策を展開し、SNSを活用した県出身学生に対する情報発信や、東京圏から就職する学生への支援、東京や大阪における就職コーディネーターの配置などに取り組むほか、本県への移住者数が最も多い関西圏でのPRを強化することにより、本県へのUJIターンを促進します。また、地域おこし協力隊制度を活用した県内産業の人材確保等を通じて、若者等の県内定着を促進します。
さらに、市町等との新たな役割分担の構築に向け、県庁内に市町担当を配置し、地域ごとに異なる諸課題を抱える市町等を支援するとともに、課題解決に必要な交付金を創設します。
さらに、株式会社安藤忠雄建築研究所から寄贈いただく予定の「こども図書館船 ほんのもり号」の運航を通して、子どもたちの豊かな感受性や創造性、瀬戸内への愛着心等を育むとともに、香川ならではの魅力の発信などにより、地域活性化を図ってまいります。
第2は、「デジタル田園都市100計画」についてであります。
まず、「産業拠点香川へ」については、企業立地の促進に関して、「せとうち企業誘致100プラン」に基づき、中期的な視点に立った戦略的な企業誘致に取り組んでまいります。具体的には、優良な製造業・物流業などの拠点整備や若者の就業率が高い情報通信関連産業の立地、国が地方分散を進める大規模データセンターの誘致を一層促進し、新たな雇用の創出と本県経済の活性化につなげてまいります。
スタートアップ等の創出については、新たに、県内企業の人手不足の解消に資する独自のサービスや製品等を有するスタートアップの販路拡大等に向けた取組みを支援するなど、起業機運の醸成から起業後の成長促進まで切れ目ない支援を展開してまいります。
デジタル化等による競争力強化については、中四国初となる「AI開発用GPUデータセンター」の県内進出を契機に、GPUデータセンターを活用する県内企業の支援、及び産業技術センターにおけるAI技術を活用した開発などに取り組んでまいります。
次に、「『四国の玄関口』として確かなインフラ整備を進める」についてであります。
来週24日に開館記念式典を控えた香川県立アリーナについては、開館後、利用者の皆様が安全かつ快適に利用できるよう、適切な維持管理を行うとともに、中四国最大規模となる施設の機能を最大限に発揮し、多様な用途での利用促進が図られるよう、指定管理者と連携して取り組んでまいります。
また、サンポート高松地区において、県立アリーナ開館とあわせてプロムナードの運用を開始するとともに、歩行者優先のまちづくりをさらに進めるため、空間高質化や交通円滑化に取り組むほか、サンポートエリアとまちなかをつなぎ、中心市街地全体の回遊性、滞在性を高め、にぎわいが波及するよう取り組んでまいります。さらに、シーフロントプロムナード、ハーバープロムナード、キャッスルプロムナードといった一連の港湾緑地や高松市民プール跡地の利活用とともに、多様なニーズに対応した利便性の高い施設整備等の検討を進めるなど、より一層のにぎわいのある連続した海辺空間を創出し、「四国の海の玄関口」の名にふさわしいエリア形成に取り組んでまいります。
高松空港については、四国の拠点空港として発展するよう、高松空港株式会社等と連携し、既存航空路線の利用促進及び利便性向上に努めるとともに、国内においては札幌や仙台、国外においてはタイやベトナムとの間の新規航空路線の誘致に取り組みます。
四国の新幹線については、引き続き、四国各県や経済界、事業者等と連携し、四国一丸となって国や関係機関への要望や機運醸成に取り組むとともに、高松市が実施予定の新幹線駅の調査を支援します。また、地域公共交通ネットワークの充実・強化については、新たに、地域の実情に応じた公共交通の維持・活性化に向けた市町の取組み等を支援してまいります。
幹線道路等の整備については、県内各地域や交通・物流拠点等をつなぐ道路ネットワークの強化を図るため、「香川県幹線道路ネットワーク整備長期ビジョン」に基づく3つの「東西軸」と7つの「南北軸」の形成を目指し、空港連絡道路、県道太田上町志度線、国道438号などの整備や、国道11号の整備促進を引き続き進めてまいります。
また、この軸の中で、渋滞やミッシングリンクになっている箇所について、優先順位に沿って調査を進めてまいります。
次に、「農林水産業の先進県へ」についてであります。
まず、農業の担い手の確保・育成については、これまでの取組みのほか、香川県農地機構が行う就農支援施設の整備に対して支援し、研修から就農に結びつく体制を構築するとともに、兼業農家等の多様な農業人材の経営発展を支援するなど、幅広い担い手の確保・育成を進めてまいります。
また、漁業については漁業塾の取組みを強化し、就業から定着までの一貫したサポート体制の充実を図ってまいります。
農畜産物の安定供給に向けては、「おいでまい」、「さぬきの夢」等の県オリジナル品種をはじめとした主要品種の生産拡大、果樹の優良園地継承による生産基盤の強化に取り組むとともに、今年度末までに策定する地域計画の実現に向けた農地の最適利用を図るための取組み等を支援してまいります。そのほか、青刈りとうもろこしの栽培技術実証による国産飼料作物の確保や畜産農家とのマッチング支援など、耕畜連携の一層の推進に取り組むとともに、新たに、畜舎等への暑熱対策機器の整備を支援してまいります。
需要拡大に向けては、新たにレモンが加わった「さぬき讃シリーズ」やオリーブ新品種のブランド力の強化を図るほか、遺伝子評価を活用したオリーブ牛の高品質化によりブランド力の強化を図るとともに、戦略的な輸出拡大に取り組みます。
水産物については、アカエイやアイゴ等の認知度が低い地魚の新たな需要開拓を図るほか、オリーブ水産物等の市場拡大に向けて冷凍技術の開発に取り組みます。
また、豊かな海を取り戻すため、昨年度に策定した栄養塩類管理計画に基づく取組みの効果検証を行うほか、デジタル技術を活用した赤潮等の自動監視体制を整備するとともに、水産資源の保護に重要な役割を果たす藻場造成の取組みを拡充するなど、漁場環境の改善を積極的に進めてまいります。
森林整備と森林資源循環利用については、森林整備の担い手育成・確保や森林施業の集約化、高性能林業機械の導入促進などに取り組むとともに、新たに、利用期を迎えた「かがわヒノキ」について、利用促進を図るため、住宅等の施主や工務店への支援に取り組むとともに、安定供給に向けて、航空レーザ計測データの解析・活用により、森林資源情報の整備・精度向上を図ってまいります。
次に、「県産品の販路拡大」については、大阪・関西万博の開催にあわせ、今年度に引き続き、大阪市内で期間限定のアンテナショップを開設するほか、外資系ホテル等のレストランで「香川フェア」を実施するなど、関西での情報発信を強化するとともに、市場規模の大きい北米市場への販路開拓を推進するため、新たに、ロサンゼルスでの日本食展示会の出展や輸出に必要な認証の取得を支援してまいります。
また、本県独自の伝統的工芸品等について、新たに、PR効果が高い県内の宿泊施設等での利用に対する助成制度を創設するほか、認知度やイメージの向上を図るウェブサイトを構築し、国内外に情報発信し、販路拡大に取り組みます。
次に、「あらゆる世代・人材で香川の産業を支える」についてであります。
県内企業の人材確保に向け、「ワークサポートかがわ」において、第2・第4土曜日も開所し、きめ細かなマッチング支援の強化を図るとともに、新たに、民間の就活情報サイトを活用して県内企業の情報や魅力を効果的に発信してまいります。
外国人材の受入れ促進に向けては、今年度のベトナムのハノイ工科大学に加えて、来年度新たにフィリピンの実業系大学などと連携し、日本語教育や本県と県内企業の魅力発信を行う講座を実施するとともに、学生と県内企業とのマッチング、外国人材の雇用経費や住環境整備への支援など、県内企業の外国人材の確保を支援します。また、現地の送り出し機関と県内受入機関との連携に対する支援や、外国人材の資格取得を支援する事業者等への補助などにより、県内企業の特定技能などの外国人材の確保につなげてまいります。これらの支援とあわせて、「新かがわ多文化共生推進プラン」に沿って、外国人が暮らしやすい多文化共生の地域づくりにも引き続き取り組んでまいります。
次に、「グリーン社会の実現」についてであります。
地球温暖化対策については、「香川県地域脱炭素ロードマップ」に沿って、各市町や企業等と、より一層の連携を図りながら、脱炭素社会に向けた取組みを着実に推進してまいります。具体的には、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)や既築住宅の断熱改修、蓄電池設置等に対する補助等を通じて住宅の脱炭素化を促進するとともに、本庁舎や警察本部庁舎などの照明設備のLED化を図るなど、県有施設の脱炭素化も積極的に進めてまいります。
また、持続可能な循環型社会の形成に向けて、法律により、従来のプラスチック製容器包装だけではなく、プラスチック製品全般の資源化が求められていることを踏まえ、来年度から製品プラスチックの分別収集を実施する県内での先行事例をモデルとして、分別収集や中間処理の検証等を行い、リサイクルの促進を図ってまいります。
次に、「デジタル社会を形成する」についてであります。
本県が抱える課題を解決し、イノベーションの創出を図るためには、あらゆる分野においてデジタル技術やデータを効果的に活用し、デジタル社会に変革させていく必要があります。このため、県と市町、民間事業者による官民共創の場「かがわDX Lab」において、新たなサービスの企画、実証に取り組んでおり、今年度は、電動キックボード等シェアリングサービスなどの、初の社会実装サービスの創出につながりました。今後もこれらの取組みを推進し、地域課題の解決に取り組んでまいります。
また、「Setouchi-i-Base」においては、引き続き、デジタル技術や新規事業の創出手法などについて学ぶ機会を提供するとともに、DXを進める企業等へきめ細かな伴走支援を行うことにより、起業・創業や県内就職、県内企業のイノベーションの推進につなげてまいります。
第3は、「にぎわい100計画」についてであります。
まず、「観光客2割UPを目指して」については、サンポート高松地区周辺の観光コンテンツづくりとして、県立アリーナを生かしたプロジェクションマッピングや、それに合わせた観賞クルーズの運航、多目的広場のライトアップなどを行うことにより、夜型観光を推進し、宿泊客の増加につなげてまいります。また、本県の地域資源を生かし、多島美を誇る瀬戸内海を遊覧するクルーズツアーやアート・建築をつなぐバスツアーを造成・販売することにより、付加価値の高い観光コンテンツを普及してまいります。
また、「瀬戸内海」「アート」「遍路」等を中心とした新たな旅行商品の造成・販売やプロモーション活動等を進め、県内観光の一層の発展に取り組むとともに、瀬戸内海を挟んで隣接する兵庫県や岡山県とも共同で商品造成やデジタルスタンプラリー、及び四国4県で一体となった取組みを行うなど、広域連携による誘客促進を図ってまいります。
外国人観光客については、引き続き、高松空港国際線の就航先である韓国、中国、台湾、香港を中心に、誘客プロモーション活動や、SNSを活用した情報発信など、積極的な誘客活動を行ってまいります。特に、将来の定期便化を見据えて、タイやベトナムなど東南アジア地域のほか、フランスをはじめ欧米豪市場からの誘客に向けて積極的に取り組んでまいります。
次に、「まち全体の美化推進」については、県有の文化・交流施設等をはじめ、観光施設等のトイレ洋式化を一層進めるとともに、外国人観光客に安心して県内を観光していただくため、JR高松駅ビル内の多言語対応が可能な観光案内所の運営や、観光事業者等に対する多言語通訳サービスの提供など、旅行者目線に立った利便性の高い受入環境の整備、充実に努めてまいります。加えて、宿泊施設における人材不足の解消を図るため、新たに、外国人材の活用やスマートチェックイン・アウトなどのDXに対する支援を行ってまいります。
また、本県の地域資源を活用したにぎわいづくりを進めるため、新たに、満濃池森林公園において、満濃池を望む展望場所の整備や、子ども連れが楽しめる大型遊具の設置等を行うとともに、琴弾公園においては、山頂展望台の改築や浴日館前の芝生広場化、砂絵ライトアップ設備の改修などを、香川用水記念公園においては、遊具・学習施設の刷新と施設のバリアフリー化などを行ってまいります。
来月21日にリニューアルオープン予定の園芸総合センターについては、展示温室の魅力向上や体験教室等の空間整備などを行うとともに、新たに、隣接するさぬき空港公園との一体的な利用を促進するなど、県内外から幅広い世代が集まり、楽しめるよう、地域資源の魅力向上・周辺地域の活性化に取り組んでまいります。
次に、「文化芸術、スポーツの振興による地域活性化」についてであります。
来たる4月18日に開幕する「瀬戸内国際芸術祭2025」は、新たな会場として本県沿岸部の3つのエリアを加え、芸術祭のテーマである「海の復権」を更に深化させ、海を介して繋がるアジアをはじめとした世界の国や地域との交流を深め、本県が、瀬戸内国際芸術祭を通じてアジアの文化芸術の中核を担っていくことを目指します。また、国内外からの多くの来場者に対して、瀬戸内海の魅力を発信するとともに、島や沿岸地域のより一層の地域活性化を図ってまいります。
7月には第49回全国高等学校総合文化祭「かがわ総文祭2025」を本県で開催いたします。全国から集う高校生にとって実り多き大会となるよう、生徒実行委員を中心に開会行事や各部門大会等を運営していくとともに、県内全ての市町と連携しながら、周知・広報に努め、開催に向けての機運を醸成してまいりたいと考えております。
また、「アート県かがわ」の魅力をより一層高めるため、文化観光を推進する中核拠点として県立ミュージアムの機能強化、利便性向上を図るとともに、昨年12月に国の重要文化財の指定を受けた瀬戸内海歴史民俗資料館について、その建築、立地、展示品の魅力を生かしたイベント等を実施するほか、四国遍路の世界遺産登録に向けて、四国4県や経済団体等と連携して、より一層の登録機運の醸成に取り組んでまいります。
次に、スポーツの振興について、これまでの「県民スポーツ・レクリエーション祭」を「みなスポ!かがわ」としてリニューアルし、4月末に県立アリーナにて実施します。県民誰もが、それぞれの体力や年齢、興味・目的に応じてスポーツに親しみ、すべての人々が幸福で活力のある豊かな生活を営めるよう取り組んでまいります。
また、本県での新たなフルマラソンである「かがわマラソン2026」を令和8年3月に開催いたします。この「かがわマラソン」を通じて、本県のスポーツ文化の醸成を図るとともに、地域の魅力を県内外に発信し、にぎわいの創出や交流人口の拡大、地域経済の活性化につなげてまいります。
このほか、本年4月13日に瀬戸内海を挟む大阪府で開幕する大阪・関西万博については、本県の認知度向上やそれに伴う誘客効果により、県内の活性化につながる大きなチャンスと考えており、県立アリーナで開催されるコンサート・イベント、瀬戸内国際芸術祭2025などの施策との相乗効果につながるよう、情報発信と交流拡大の2つに力点を置き、万博終了後も本県への誘客効果が継続するよう、万博への出展や出展機会を活用した取組みを進めてまいります。
また、旧東京讃岐会館を含む三田小山町 西地区の市街地再開発事業に伴い、県が取得する権利床につきましては、令和10年度中の運営開始に向け、来年度、公募により運営事業者の選定を行い、運営開始に向けた準備を順次進めてまいります。
以上、御説明しました内容により編成した令和7年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,967億600万円となり、特別会計は、国民健康保険事業など16の特別会計で、総額2,779億4,200万円余、病院事業会計は、収益的支出が324億1,900万円余、資本的支出が37億3,100万円余、流域下水道事業会計は、収益的支出が22億9,800万円余、資本的支出が16億9,800万円余となっています。
そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、埋立て等に伴う土壌の汚染を防止するため、「香川県生活環境の保全に関する条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が30議案のほか、「『人生100年時代のフロンティア県・香川』実現計画の変更について」などが12議案、合わせて42議案であります。
なお、令和7年度は、「人生100年時代のフロンティア県・香川」実現計画の最終年度であります。
一方で、令和5年10月に計画を大幅に見直してから、1年半程度しか経過しておらず、県政が取り組むべき課題解決の方向性について、大きな変更等はありません。このため、令和7年度には次期総合計画の策定は行わず、私の任期であります令和8年度まで計画期間を延長し、引き続き現計画に基づき施策を進めてまいりたいと考えております。
以上、令和7年度当初予算関係議案の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げまして、私の説明を終わります。
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