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平成27年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び平成27年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
御説明に先立ち、シリアにおける邦人殺害テロ事件について、一言、申し上げます。
犠牲となられた方に心から哀悼の意を表し、御家族に衷心よりお悔やみを申し上げますとともに、このような非道かつ卑劣極まりないテロ行為を断固非難します。
東京圏の転入超過は直近の住民基本台帳人口移動報告でも拡大していますが、このような人の流れは明らかにバランスを欠いており、これにより地方の活力が奪われ続けることは、窮極的には、都市部を含めた我が国社会全体の存立を危うくするものと言わざるを得ません。私は、今、それゆえに「地方創生」が求められているのではないかと考えております。また、経済再生と財政再建、社会保障改革も求められています。
我々は、こうした時代の変化と国内外の大きな潮流をしっかりと見据えつつ、自らの責任と判断で、これまでの発想や考え方の大胆な転換を図りながら、地域社会の将来像を描き、勇気を持って前進していかねばなりません。
今年は、多くの方々の尊い命が失われた先の大戦から70年目を迎えます。私は、あらためて、先人の国や故郷を思う心に思いをはせるとともに、未来に向かって持続可能な平和で豊かな地域社会を創り出していくために、山積する諸課題に対して、私自身が先頭に立って、気概をもって挑む決意を新たにしているところであります。
私の最も尊敬する故大平正芳総理は、戦後70年から見れば丁度半ばとなる、35年前の昭和55年に志半ばにして亡くなられましたが、その提唱された田園都市構想を参考に本県において策定し、これまで着実な進展を図ってまいりました「せとうち田園都市香川創造プラン」の期間が平成27年度に終わります。私は、その成果を基に、さらに発展させていくため、「成長する香川」、「信頼・安心の香川」、そして「笑顔で暮らせる香川」の新しい3つの柱を軸に、県議会をはじめ、県民の皆様の御意見を幅広く伺ったうえで、「香川県産業成長戦略」や、国の総合的な戦略やビジョンなどとの整合性を図りつつ、最優先で取り組むべき人口減少・活力向上対策をはじめ、各種施策や目標を取りまとめた次期総合計画を年内に策定したいと考えております。
私は、知事就任以来、人口減少下における地域活性化を念頭に、働く場の確保策としての産業の振興、交流の活発化を図るための観光振興と交通ネットワークの充実、地域の宝である県産品の振興に取り組むとともに、次世代への責任としての子育て環境の充実や教育環境の整備、さらには、安心できる社会を目指した防災・減災対策の加速化などに取り組んでまいりました。そして、2期目の就任に当たり、「人口減少・活力向上対策本部」を立ち上げ、社会経済の根幹をなす人口の減少に対応するための施策の方向性をお示しいたしました。今後とも、初心を忘れることなく、謙虚と努力を肝に銘じ、無駄を省き、効率的な行政を進めて、子どもたちの将来のために財政の健全化を図るとともに、県民本位の県政を徹底していくこととし、県議会はもとより、県内の8市9町との、より緊密な連携のもと、誠心誠意、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
以上、所信の一端を申し述べました。続きまして、上程されました当初予算案について御説明いたします。
平成27年度の予算編成においては、現下の地域経済の動向を踏まえるとともに、「人口減少・活力向上対策本部」において示した施策の方向性に沿って人口減少への対応と地域活力の向上への対策を最重点として、成長、信頼・安心、笑顔で暮らせる香川づくりに向け、財政規律の確保に意を用いながら編成作業に取り組みました。加えて、政府において昨年末に取りまとめられた「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」も踏まえ、当初予算と一体として、人口減少社会への挑戦と適応のための取組みを着実、かつ持続的に進めるため、平成26年度補正予算の編成も同時に進めてまいりました。その結果、平成27年度の一般会計予算としては、地方消費税の平準化による影響も含め、前年度を250億円近く上回る規模となりました。
また、歳入面においては、緩やかな景気回復に伴う法人業績の改善による法人事業税の増収や、地方消費税の平準化による増収が見込まれることなどから、地方交付税や、地方交付税の振替え措置である臨時財政対策債は減少するものの、平成27年度の一般財源総額としては、前年度に比べ約150億円増加すると見込んでおります。
なお、同時に編成を進めました平成26年度補正予算は、期限を示されている経済対策基金の有効活用を図るための減額がありますことから、補正予算総額としては、34億円余となりますが、国の経済対策に伴う対応として、41億円余を計上し、県内景気の浮揚と地域の創生に向けた取組みを進めることとしており、その内容につきましては、後ほど、御説明いたします。
第1は、「成長する香川」についてであります。
「足腰が強く競争力の高いものづくり産業の育成」として、「香川県産業成長戦略」に沿い、5つの重点プロジェクトを推進することとしており、まず「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトでは、香川大学の希少糖研究への支援や民間研究所等の誘致、産学官による共同研究体制の推進による研究拠点機能の強化に取り組むとともに、希少糖商品の開発や新たに希少糖生産に取り組む県内企業を支援するほか、国際見本市への出展や百貨店等での希少糖商品の販売など、県内外での情報発信に取り組み、香川の希少糖ブランドの確立に向けて強力に取組みを進めてまいります。
次に、オリーブ産業強化プロジェクトでは、オリーブ産業の基盤となる生産量の確保に向けた作付拡大への取組みを強化するとともに、「かがわオリーブオイル品質表示制度」を活用した高品質化やオリーブ商品の開発など、生産・加工・流通が一体となった取組みを進めてまいります。また、「オリーブ牛」、「オリーブハマチ」の一層のブランド化を推進するため、生産基盤の強化を図るとともに、県内外の販路定着化や海外も含めた販路開拓を推進いたします。
K-MIX関連産業育成プロジェクトでは、産学官の連携により、医療・福祉分野でのニーズに応じた課題解決型の製品開発など、医療機関や福祉施設と県内企業とが協働して事業化を進める取組みを支援し、健康関連産業の創出に取り組んでまいります。
ものづくり「温故知新」プロジェクトでは、知的ロボット関連産業や炭素繊維複合材料関連産業などの成長分野等への進出を支援するとともに、企業の中核的な技術者の育成や大手企業との展示商談会などにより、県内企業の販路開拓や受注拡大に向けた支援に取り組みます。
世界に発信「アートの香川」プロジェクトでは、「アート県」としての地域イメージの定着化、ターゲットを絞った誘客活動を行い、交流人口の増大を図ってまいります。
こうした重点プロジェクトのほか、食品産業では、機能性表示制度を活用した高付加価値で競争力の高い商品開発などを支援するとともに、醤油、佃煮などの地域に根付く伝統的食品産業の発展のための人材育成や技術開発等を支援してまいります。
また、県内企業の海外展開支援については、今後成長が期待される東南アジアと直行便の就航している中国・上海や台湾を中心に、ビジネス展開に必要な現地情報の提供や国際見本市等への出展支援などに取り組むとともに、引き続き、ジェトロと連携して、海外展開に関心のある県内企業等が積極的に海外展開に踏み出せるよう、検討段階に応じたきめ細かな情報提供や相談支援を行うほか、海外展開を担う人材の育成に努めます。
企業誘致については、本県の優れた立地環境やそれぞれの工場用地が有する特性を踏まえ、ターゲットを絞った効果的な情報発信や、トップセールス等による誘致活動の強化に努め、優良企業の立地促進を図ります。
金融対策としては、新規創業融資及びフロンティア融資の保証料負担軽減を継続するなどの県独自の対策を講じ、新規創業や新事業進出等を促進するとともに、中小企業への事業資金の円滑な供給に努めることにより、経営の維持安定を図ってまいります。
また、県内の商店街振興策として、市町のまちづくりビジョンに沿った空き店舗対策や商店街の地域コミュニティとしての機能を高める事業など、活気ある商店街の再生に向けた持続可能な取組みを促進し、中心市街地や地域の商店街の活性化を推進してまいります。
次に、「働く意欲と地域産業をつなぐ雇用対策の推進」については、県内企業における人材確保のニーズに対応するため、香川県就職サポートセンターにおいて、民間のノウハウを持った人材採用コーディネーターを増員し、UJIターン新規学卒者や即戦力人材などのマッチング支援を行います。
また、UJIターン就職を促進するため、東京や大阪での転職相談会やUターンガイダンスに加え、大阪での合同企業説明会や企業見学会、県内外の大学等と県内企業との就職情報交換会等を開催し、県内企業の人材確保を支援します。
あわせて、高校生の就職を一層支援するため、就職指導専門のジョブサポートティーチャーの配置や、就職面談会、社会人を活用した授業等を実施するほか、新たに、県内大学生を対象として、大学と連携した特別講義を開設するなど、キャリア教育の推進を図るとともに、就職活動を支援するセミナーや合同就職面接会を開催することにより、雇用のミスマッチ解消に努めます。
さらには、地域経済に貢献する職業人材を育成する観点から、新たに、私立専修学校等における地元企業等との連携による実践的な職業教育の質の向上に向けた取組みに対して支援を行います。
次に、「世界に愛される香川印をめざすブランド化・販売促進」については、県産品の認知度向上を図るため、「さぬきうまいもんプロジェクト事業」を引き続き実施するとともに、「かがわ物産館・栗林庵」及び「せとうち旬彩館」を活用しながら、県産品の販路拡大に努めてまいります。
また、「かがわ県産品振興機構」と連携して、首都圏における「食」や「工芸品」のフェアの開催等により国内での販路拡大を図るほか、海外においても、東アジア市場を主なターゲットに、新たにEU圏などでも、販路開拓の取組みを戦略的に展開いたします。
これにあわせ、私自身もトップセールスを行い、県産品のブランド化と販路開拓を強力に推進してまいります。
さらに、イタリアのミラノで、「食」をテーマに開催されます「ミラノ国際博覧会2015」の日本館イベント広場に、8月29日(土曜日)から9月1日(火曜日)までの4日間出展し、さぬきうどんや盆栽など本県が誇る優れた県産品を世界に向けてPRするとともに、来る東京オリンピック・パラリンピックに向けた観光客誘致にもつながるよう香川を発信していきます。
次に、「香川の大地と瀬戸内の恵みを生かした攻める農林水産業への転換」についてであります。
農業の振興については、まず、県内外から、意欲ある担い手を確保するため、就農前後の青年農業者に対する給付金の交付や「のれん分け就農」の一層の促進をはじめ、認定農業者や新規就農者の経営の多角化、ネットワーク化による経営発展や人材育成の支援を行うとともに、新たに、市町などとの連携強化による就農から定着まで一貫したサポート体制の充実や、新規就農者の初期投資の一層の軽減に向けた機械施設のリース支援事業に取り組みます。
また、地域を支える集落営農組織の設立支援を強化し、設立の加速化を推進するとともに、規模拡大や法人化などの経営発展を支援してまいります。
さらに、「香川県農地機構」や市町・農業委員会等と連携して、農地中間管理事業に加え、県独自の農地集積計画の策定に対する支援や農地集積補助金などの施策を活用し、担い手への農地集積の加速化、耕作放棄地の発生防止に努めます。
また、本県の強みを生かした農産物のブランド力の強化に向け、市場から強く生産拡大を求められている県オリジナルのキウイフルーツや小原紅早生などの「さぬき讃フルーツ」や、「おいでまい」、「さぬきの夢2009」などの生産拡大を加速化するほか、本県を代表するレタスやブロッコリーなどについても、規模拡大に必要な機械・施設や省エネ施設の導入支援に加え、新たに農作業支援体制を構築することにより生産拡大や低コスト化を推進するとともに、新たな園芸品目の導入にも努めてまいります。
また、激化する産地間競争の中、ブランド農産物や新技術の開発に向けた試験研究を推進するため、府中果樹研究所と小豆オリーブ研究所の施設整備に取り組みます。
さらに、農水産業の6次産業化への支援の強化や輸出に向けた栽培技術の確立などにより、新たな販路の開拓など販売力の強化にも積極的に取り組んでまいります。
そのほか、県土保全や水源のかん養など、農業・農村が有する多面的機能の維持・発揮のため、「多面的機能支払事業」を活用して、農業者や地域住民などが共同して行う活動を支援してまいります。
林業の振興については、森林管理道などの路網整備や、森林施業の集約化、高性能林業機械の導入への支援などにより、搬出間伐を重点的に進めるとともに、公共建築物等での県産木材の利用や県産木材製品のPRに努め、その利用拡大を図ります。
また、イノシシやニホンザルなどの鳥獣害を減少させるため、市町と役割分担をして捕獲困難な地域等において、積極的な捕獲を実施してまいります。
元気な漁業の実現に向けては、ブランド化を推進しているハマチ・ノリ・イリコなどの県産水産物の販売促進・消費拡大に積極的に取り組みます。また、新規就業者の確保・育成を図るため、新たに、漁業就業希望者を対象とした漁業塾の開設や新規就業者への漁船・漁具リース事業に支援するなど、充実強化に努めてまいります。
次に、「未来と世界をつなぐ交通・情報ネットワークの整備」についてであります。
昨年12月に開港25周年を迎えた高松空港は、現在、国内線、国際線合わせて6路線が就航しており、引き続き、航空会社と連携した路線PRや本県観光情報等の発信など、インバウンド、アウトバウンド両面から路線の利用促進に努めるとともに、より利便性の高いダイヤへの改善や増便、新たな路線の誘致などにより、航空ネットワークの充実・強化を図ってまいります。また、急増する外国人観光客の多様なニーズに対応した観光情報等の提供体制の強化や、受入環境の整備も積極的に進めてまいります。
あわせて、利用者にとって利用しやすい高松空港を目指し、利用環境の改善や空港経営改革の検討にも引き続き取り組んでまいります。
また、高松空港までのアクセス性を向上させるため、高松西インターチェンジから高松空港に至る空港連絡道路について、ことでん琴平線や国道32号等との部分立体高架工事と平面部の4車線化工事を推進してまいります。このほか、県道高松長尾大内線、県道丸亀詫間豊浜線など本県の発展に必要な幹線道路の整備を引き続き進めるとともに、高松港朝日地区における国際物流ターミナルの整備を推進します。
まず、「子育てをみんなで支える次世代育成環境の充実」については、病児・病後児保育の利用料無料化を、現行の3歳未満の第3子以降から、就学前の第3子以降と3歳未満の第2子まで拡大するとともに、各市町が地域ごとのニーズに応じた取組みを強化できるよう、平成26年度に創設した「かがわ健やか子ども基金事業」を大幅に増額するなど、本県独自の施策を実施するほか、引き続き、高等学校等就学支援金や私立高等学校授業料軽減補助、低所得世帯の高校生等に対する奨学のための給付金などで、子育て家庭の経済的負担の軽減を図ることにより、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現を目指してまいります。人口の社会減を食い止める観点から、県独自の大学生等奨学事業についても、県内大学への進学や県内就職の動機づけとなるよう、拡充いたします。
また、結婚のきっかけとなる出会いの場の拡大や、妊娠・出産に関する正しい知識の普及を図るほか、本年4月から本格実施される子ども・子育て支援新制度の円滑な運用を図るとともに、新たに保育学生への修学支援を行うなど保育士人材を確保することにより、保育所入所待機児童の解消を図るなど、結婚から妊娠・出産を経て子育てまでの切れ目ない支援を行います。
さらに、発達障害など気になる子どもや小児慢性特定疾病を抱える子ども等への支援や、児童虐待への対応の強化、ひとり親家庭の支援や子どもの貧困対策の推進に努めてまいります。
次に、「元気で長生きをめざす誰もが安心して暮らせる地域の実現」については、がん検診の受診率向上に向けて、新たに啓発用プロモーションビデオを作成するとともに、市町関係者等に対するセミナーを行うほか、がん患者のパートナーとしてサポートに取り組む業種別団体を募集し、活動を支援するなど、県民が手を携えてがん患者を支えるための環境づくりを進めます。
また、家族ぐるみで生活習慣病の予防に取り組む「3世代ファミリー生活習慣改善応援事業」や、ロコモティブシンドロームの予防に向けたキャンペーンを実施するなど、生涯を通じた健康づくりを推進してまいります。
高齢者施策については、今定例会に提案している第6期高齢者保健福祉計画(案)に則し、介護サービス提供体制の整備や、介護サービスの質の向上、給付の適正化、人材の確保・育成などを推進し、医療・介護・予防・住まい・生活支援が継続的かつ包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めるとともに、高齢者の居場所づくりや認知症高齢者等への支援に取り組みます。また、老人クラブ活動の活性化、高齢者の方の活躍の場への案内や情報の提供など、高齢者の生きがいづくりと社会参加を促進してまいります。
障害者の自立促進と地域生活の支援については、今定例会に提案している第4期かがわ障害者プラン(案)に基づき、アドバイザーの派遣による圏域ごとの相談支援機能の強化を図るとともに、一般就労の促進や福祉的就労における所得の向上、香川県障害者スポーツ協会を通じた障害者スポーツの振興などに取り組むほか、虐待防止や差別解消など障害者の権利擁護に係る取組みを推進します。
さらに、人権が尊重される社会の実現を目指し、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や啓発活動の積極的な展開を図るとともに、人権に関する相談窓口を活用した人権擁護活動の推進に努めてまいります。
次に、「大切な命を守り輝かせる香川の医療の充実」については、地域医療再生計画に基づき、小豆医療圏における統合新病院の整備に係る支援を引き続き行うとともに、医療機関相互の円滑な医療連携を促進するため、かがわ医療情報ネットワーク(K-MIX+)の機能強化や参加医療機関の拡大に努めるほか、二次医療圏等にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進するため、「地域医療構想」の策定等に取り組みます。
また、精神科医療については、高松・大川医療圏における精神疾患患者が身体疾患を併発した場合の精神科病院と総合病院との連携体制の整備に取り組んでまいります。
医師の確保については、地域医療支援センターにおいて、修学資金を貸与した医師の配置調整やキャリア形成支援を実施するとともに、UJIターンをはじめとする県内外の医師の就業相談・あっせんにワンストップで対応するなど、引き続き、きめ細かな対策を進めます。
また、ナースセンターに新たに就業コーディネーターを配置するなど機能強化を図り、看護職員の養成確保に取り組みます。
県立病院では、引き続き、病院事業管理者のもと、経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
「未曾有の危機に備える地域基盤の整備・充実」については、本県独自の地震・津波被害想定等を踏まえ、来年度から3年間で短期集中的に実施する必要がある防災・減災対策を体系的に取りまとめた「香川県南海トラフ地震・津波行動計画」を本年度内に策定することとしており、「人的被害をゼロに近づける」ことを目指し、市町や防災関係機関と連携しながら、県民の防災意識の向上をはじめ、災害情報の収集伝達体制の充実、自主防災組織への積極的な支援、想定避難者数の大幅な増加に対応する物資の備蓄などを進めます。
また、大規模な地震等における民間建築物や住宅の被害軽減を図り、県民の皆様の安全を確保するため、市町と連携し、耐震化への支援に取り組んでまいります。さらに、老朽化して倒壊などの恐れがある危険な空き家についても、市町と連携し、新たに除却に対する支援を開始します。
なお、県立高校の老朽校舎の改築等を進めるとともに、防災拠点施設である県庁舎東館については、耐震化が喫緊の課題であることから、基礎免震による耐震改修の基本設計を行います。
また、ため池については、「老朽ため池整備促進 第10次5か年計画」に基づき総合的な防災対策を推進するとともに、大規模ため池の耐震化補強工事を早急に実施するなど、関係市町等と緊密に連携を図り、積極的に取り組んでまいります。
海岸堤防や河川堤防については、南海トラフを震源とする地震の被害想定を踏まえ、本年度末に策定する「地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に基づき、新たに地震・津波対策海岸堤防等整備事業として、地震直後に堤防等が沈下し、甚大な被害が想定されるなど、特に優先度の高い箇所から重点的・集中的に対策工事を実施していくことにより、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
これらに加え、風水害や土砂災害などの自然災害を未然に防止するため、計画的・効率的な河川改修や砂防施設の整備等に取り組むとともに、市町とも連携し、ハザードマップ作成や迅速な災害情報の提供などによる警戒避難体制の整備を推進いたします。
さらには、南海トラフを震源とした最大クラスの地震などの大規模災害が発生しても、人命の保護が最大限図られ、社会の重要な機能が維持され、迅速な復旧復興が可能となるよう、「香川県国土強靭化地域計画」を平成27年中に策定し、安全・安心な地域・経済社会の構築を図ってまいります。
次に、「香川の活力と県民生活を支える水資源の確保」については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、安全で良質な水を安定的に供給するため、地震などの災害に強い県営水道の構築に向けて、水道施設の更新・耐震化を推進するとともに、「香川県広域水道事業体設立準備協議会」を設置し、県と市町が協力して水道事業の統合・広域化の実現に向けた取組みを推進してまいります。
次に、「犯罪や交通事故から県民を守る安全対策の推進」についてであります。
本県では、昨年末から交通死亡事故が多発し、先月末には、高松市内で一度に5人もの若い命が失われるなど、今、まさに非常事態となっているところであり、交通死亡事故の抑止を県政の緊急課題として、これまで以上に効果的な広報啓発や交通安全教育を推進するとともに、交通安全施設等の整備、交通指導取締りの強化などに全力で取り組んでまいります。
具体的には、交通事故の犠牲となることが多い高齢者を中心に、また、運転技術が未熟であったり、交通安全意識が薄い場合が見受けられる若い世代にも力点を置いて、交通安全教育車による出前型、参加・体験型の交通安全教室や高齢者世帯訪問活動に加え、新たに、反射材の効果を啓発する交通安全教室の開催や自転車の安全利用を促すキャンペーンを実施いたします。
また、引き続き、交通安全マナーアップコンテストの開催や高齢者運転免許自主返納者優遇制度の充実、シートベルトの着用の徹底を図るための広報啓発、児童生徒の交通安全意識の向上を図るための学校での長期休業明けの「交通安全特別強化週間」の実施や、高校生に対する自転車運転免許証制度の運用など、効果的な取組みを積極的に実施してまいります。
さらに、自転車歩行者道や交差点改良、歩道のバリアフリー化、信号機のLED化等の計画的な整備に加え、交通事故多発交差点等において、路面の高輝度・カラー化やわかりやすい路面標示を実施するとともに、新たに自転車レーンのモデル的整備を実施するなど、安全で快適な交通環境の整備を推進します。
あらためて、県民の皆様にも交通ルールの順守と交通マナーの実践に努めていただきますようお願い申し上げます。
地域の犯罪抑止力の強化に向けては、増加傾向にある特殊詐欺等の抑止対策として、被害者となりやすい高齢者からモニターを選定して、警告メッセージや通話を自動録音する振り込め詐欺撃退装置を貸与し、効果を検証する新たな事業を実施するほか、県民の皆様に身近な犯罪を防止するため、引き続き、警察官によるパトロール等街頭活動の強化や青色回転灯を装備した車によるパトロールの一層の普及拡大、防犯ボランティア団体等の自主防犯活動への支援などに取り組み、犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。また、社会問題化している危険ドラッグについては、取締りを強化するとともに、その有害性、危険性を広報啓発し、撲滅に取り組みます。
なお、老朽化・狭隘化した三豊警察署の移転整備にも着手します。
「地球との共存を香川から進める低炭素・循環型社会の構築」については、再生可能エネルギーの導入を促進するため、住宅用太陽光発電の設置に対する補助を継続するとともに、メガソーラーについても、引き続き立地支援に努めます。
また、県や市町などの防災拠点施設等への太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電源設備の導入を推進します。
さらに、エネルギー需要が増加する夏季と冬季に重点をおいて、専用サイト等を活用して省エネ・節電を呼びかけるとともに、学校等における環境教育・環境学習の充実を図るほか、事業者向けの省エネルギー講座などにより、省エネルギー行動を促進します。
また、瀬戸内海の里海づくりの推進体制の整備とともに、瀬戸内海を県民みんなの里海としていくために、かがわ里海大学(仮称)の開設準備、離島の海ごみモニターツアーの実施等により、県民参加型の取組みを進めるとともに、里山についても、放置竹林対策として、新たに、伐採から植林、保育までの取組みを行う森林所有者に対する補助を行うほか、木質バイオマスの利用促進など、里山の整備・保全から里山資源の利活用までの総合的な取組みを進めます。
森林の整備・保全については、森林の持つ公益的機能の維持・向上を図るため、間伐などの森林整備を進めるとともに、県植樹祭の開催をはじめ、森林ボランティアや企業等との協働のもと、県民総参加の森づくりを一層推進するほか、平成29年度に本県で開催する全国育樹祭の開催準備を進めてまいります。
豊島廃棄物等処理事業については、より正確な進行管理と徹底した経費削減を図りながら、県民負担の軽減に努め、調停条項で定められた平成28年度末までの廃棄物等の全量処理に向けて、引き続き、直島町と豊島住民の方々、県議会をはじめ県民の皆様の格別の御理解と御協力を得て、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組んでまいります。
まず、「夢と希望に向かって羽ばたく人を育てる香川の教育力の向上」についてであります。
小中学校では、少人数指導、少人数学級、学力向上基盤形成の3つの柱から成る香川型指導体制を推進するため、小学校低学年での基本的な生活習慣などの指導や発達障害等に対応する教員を引き続き配置するとともに、小学校1年生から4年生で実施している35人以下学級を、新たに中学校1年生でも実施します。あわせて、県学習状況調査を実施し、確かな学力に向けた授業改善や教員の指導力の向上に努めるなど、学校の教育力の向上に取り組んでまいります。
また、今後、教員の大量退職が見込まれることから、引き続き、小・中学校への指導教諭の配置や退職教員の派遣を行うほか、優秀な教員の確保に向け、教員を志望する県内外の学生等に対する広報活動等の充実に積極的に取り組みます。
児童生徒の暴力行為等の問題行動に対しては、未然防止や早期解決を図るため、児童生徒同士の交流体験活動を一層推進するとともに、スクールサポートチームの学校への派遣や、スクールカウンセラーのすべての小・中学校への配置、また、スクールソーシャルワーカーの積極的な活用やいじめ24時間電話相談などを引き続き実施し、いじめ・不登校の解決や高校中退の解消などに取り組んでまいります。
教員の業務負担の軽減等を図り教育活動に集中できるようにするため、引き続き、小・中学校での業務改善を推進するとともに、県立高校の成績処理などの校務を支援するシステムを順次導入するなど、子どもと向き合う環境づくりを進めます。
家庭や地域との連携による教育力の向上については、「早寝、早起き、朝ごはん」など子どもの生活習慣づくりや家庭教育の重要性などについて、広報啓発に努めるほか、地域の多様な人材等を活用して、放課後子供教室や学校支援ボランティア、土曜日の教育支援体制等の整備などの取組みを進めるとともに、教育センターの移転にあわせ、保護者等との面談による教育相談の充実を図ります。
県立高校では、各学校の創意工夫による香川の活性化につながる教育プランの実践や高校生による香川漆芸のPR活動など、特色ある教育活動を積極的に進めるとともに、生徒の確かな学力の向上に取り組んでまいります。
また、多度津高校の実習船「香川丸」の代船を大分県と共同で建造することとし、その準備を進めるとともに、小豆地域の統合高校など高校再編に関連した施設等の着実な整備に努めてまいります。
さらには、香川丸亀養護学校における児童生徒の増加に伴う教室不足を解消するため、校舎の増築に係る実施設計を行うほか、青少年の自然体験活動の一層の充実を図るため、屋島少年自然の家の老朽化した研修棟の改築を進めます。
また、県立図書館の蔵書の充実を図り、魅力ある図書館サービスの提供に努めてまいります。
次に、「感動と驚きを呼び起こす香川の文化芸術・スポーツの振興」については、将来性豊かな若手芸術家を表彰するとともに、青少年が優れた芸術家から指導を受ける機会を充実させるなど、文化芸術を担う人材育成に努めるほか、県立ミュージアムや東山魁夷せとうち美術館において質の高い展覧会を開催するなど、文化芸術に親しむ機会の充実を図ってまいります。
また、「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録に向けた、札所寺院や遍路道の調査などの取組みを進めるとともに、新たに、世界遺産登録への協力を求めるために、世界遺産の巡礼路が所在するスペイン・ガリシア州と四国4県との交流事業を実施するほか、地方屈指となった「さぬき映画祭」を開催するなど、本県の特色ある文化芸術を生かした地域づくりを推進します。
スポーツの振興については、オリンピック選手などのトップアスリートを招いて本県ジュニア選手・指導者の育成を図る「かがわドリームスポーツ教室」を開催するほか、将来性豊かな中学生・高校生を個別に強化していくスーパーアスリート育成事業などにより、引き続き、本県出身の選手が日本代表としてオリンピックなどの国際舞台で活躍するための支援を行うとともに、国民体育大会での総合順位回復に向け、より効果的に選手強化を行うなど、本県の競技力向上に取り組んでまいります。
また、J2参戦2年目となるカマタマーレ讃岐や、毎年、NPB(日本野球機構)へ選手を送り出している香川オリーブガイナーズ、バスケットボールbjリーグで健闘している高松ファイブアローズ、日本アイスホッケーリーグ西日本で10連覇を達成した香川アイスフェローズといった地域密着型スポーツチームの活躍は、多くの県民に夢や希望を与えるとともに、本県のスポーツ振興や地域の活性化に大きく貢献しており、誘客に繋がる試合会場におけるエンターテイメント創出支援や県・市町が協力して取り組む各チームへの活動支援等を通じて、県民全体でチームを応援する機運の醸成に努めてまいります。
さらには、中核的な機能を果たす体育館の整備に向けた検討を行うこととしております。
次に、「世界を魅了する観光立県香川の実現」についてであります。
観光ニーズは、団体で景勝地等を巡る物見遊山的なものから、個人・小グループで、自然や癒し、様々な体験等、よりテーマ性や目的性の高い旅行を求める傾向にあることから、「香川せとうちアート」ブランドを活用し、瀬戸内海やアート、食など本県の観光資源を生かした魅力的な観光プログラムづくりにより、滞在型観光を推進します。
また、約1年後の平成28年3月から開催される「瀬戸内国際芸術祭2016」については、先月15日の実行委員会総会で具体的内容を盛り込んだ実施計画の了承を得たところです。今後は、芸術祭独特のスタイルである島の自然や文化に溶け込んだアート作品の展開を図っていくほか、次回芸術祭の特に大きな要素として掲げている「食プロジェクトの強化」「国際化の促進」に係る具体的な取組みを市町や地域の皆様などと協働しながら推進するとともに、企画発表会を始めとする国内外への広報・誘客活動や交通・宿泊対策も強化するなど、開幕に向けての万全な準備と機運の盛り上げに取り組んでまいります。あわせて、芸術祭の効果を県内全域に波及させるため、県内の市町や団体等が実施するアートイベント等で芸術祭との相乗効果が期待できるものを「パートナーシップ事業」と位置づけ、広報や誘客などで連携を図ってまいります
情報発信については、本県のブランドイメージの向上や魅力ある地域資源の紹介を通じて、旅行先や商品の購入先として「選ばれる香川」となるため、引き続き、「うどん県。それだけじゃない香川県」プロジェクトを推進します。「瀬戸内国際芸術祭2016」開催に向け、「アートの香川」が印象付けられるよう、「ART SETOUCHI」をはじめとする多彩な香川のアートを季節ごとのコンテンツとともに紹介する映像やポスターを制作し、香川県公式観光サイト「うどん県旅ネット」のほか、交通広告や全国雑誌など多様な媒体を活用することでパブリシティ効果を高め、それだけじゃない香川の様々な魅力を全国に発信していきます。
さらに、本年は、イタリアのパルマ市との間で交流協定の締結を目指すとともに、様々な分野での交流を深め、ヨーロッパ圏域での本県の魅力発信にもつなげてまいりたいと考えております。
また、瀬戸内国際芸術祭や5年後の東京オリンピック・パラリンピック開催も見据え、全県的な「観光香川おもてなし運動」を推進し、県外・海外から本県を訪れる観光客の満足度向上を図ってまいります。
海外からの誘客活動については、高松空港の定期路線就航先であるソウル、上海、台北に加え、乗り継ぎによる誘客が期待できる香港やタイなどを対象に、各国旅行会社やマスコミ関係者の招聘、観光キャンペーンなどを実施するとともに、瀬戸内海やアート、食など本県独自の観光資源の情報を海外へ発信し、観光香川の魅力をPRします。併せて、外国人観光客の受入環境整備のために、多言語での情報発信などにも取り組み、外国人観光客の誘致を図ります。
病院事業会計は、収益的支出が254億5,400万円余、資本的支出が20億4,800万円余、水道事業会計は、水道用水供給事業、工業用水道事業及び五色台水道事業の3会計を合わせ、収益的支出が53億5,200万円余、資本的支出が54億6,700万円余となっております。
次に、第7号議案の平成26年度一般会計補正予算議案について、その主な内容を御説明いたします。
昨年12月27日に閣議決定された「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を盛り込んだ国の平成26年度補正予算が、今月3日に成立いたしました。
この国の補正予算には、地方向けとして新たに「地域住民生活等緊急支援のための交付金」が4,200億円盛り込まれ、うち地域の消費喚起など景気の脆弱な部分にスピード感を持って的を絞った対応をする「地域消費喚起・生活支援型」が2,500億円、地方が直面する構造的な課題への実効ある取組みを通じて地方の活性化を促す「地方創生先行型」が1,700億円計上されております。
県としても、昨年11月県議会定例会で御議決いただいた県独自の地域・経済活性化のための補正予算に加え、今回の国の補正予算に基づく事業を効果的に実施することで、切れ目のない地域・経済の活性化、また、人口減少・活力向上対策の取組みを進めるべく、41億4,100万円余の増額補正を御提案したものであります。
主な事業としましては、地域消費喚起・生活支援型の交付金事業として、プレミアム付き商品券の発行に取り組む市町への支援、対象者を限定したプレミアム旅行商品の造成、低所得者に対する生活支援を行います。
地方創生先行型の交付金事業としては、香川県版まち・ひと・しごと創生総合戦略の策定とともに、「人の流れを変える」取組みとして、県外からの移住者の起業や就農に係る支援、移住体験ツアー、農業体験ツアー等の実施、若者から選ばれる魅力づくりに取り組む県内大学等に対する補助、革新的なものづくり技術である3D積層造形技術関連の産業の育成や、冷凍食品産業の基盤強化のための研修や技術支援、成長のエンジンとなる分野における創業の支援、地方への就職をくらしとしごとの両面からサポートする一元化窓口の開設やプロフェッショナル人材の県内企業への「お試し就業」への支援等を行います。
また、「安心で暮らしやすい環境を創る」取組みとして、第3子以降の子どもを持つ世帯が「みんなトクだね応援団」の店舗でさらに特別なサービスが受けられる仕組みの構築、本県での子育てを提案する「子育て県かがわ」の情報発信等を行います。
次に「地域の元気を創る」取組みとしては、無料Wi-Fi設備や案内板等の多言語表記などの外国人観光客の受入環境の整備やショッピングの利便性向上の推進、公共施設やまちづくりにおける花きの活用による花き産業の振興、医食農連携による「オリーブ牛」の機能性研究や地魚のニーズを把握するためのアンケート調査等を実施します。
さらに、「都市・集落機能を高める」取組みとしては、高齢者の在宅生活に役立つ買物支援事業を新たに展開・拡充しようとする事業者等の支援を行います。
その他、経済活動を支える重要な生活基盤である道路整備、津波・高潮対策や河川改修、県営住宅の耐震化など防災・減災対策の推進などのほか、国からの補助金を農地集積・集約化促進基金に積み増すこととしております。
また、平成27年度当初予算に関連し、国の経済対策に伴い造成した基金を27年度予算で活用するため、再生可能エネルギー等導入推進基金など2基金について、今年度の執行見込みを踏まえた剰余額を減額いたします。
これら補正予算の総額は、34億300万円余となっております。
以上、平成27年度当初予算関係議案等の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げます。
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