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ただいま上程された議案の御説明に先立ち、一言申し上げますとともに、4点について御報告いたします。
寛仁親王殿下には、去る六日、薨去されました。
殿下におかれましては、障害者福祉・スポーツの振興・国際親善の諸団体の総裁などとして幅広い分野で御活躍され、香川県に御来県の折りには、気さくなお人柄で県民に親しく接していただきました。
ここに県民を代表いたしまして、謹んで哀悼の意を表する次第であります。
さて、報告事項の第1点は、豊島廃棄物等処理事業についてであります。
豊島処分地の直下汚染土壌の水洗浄処理については、滋賀県大津市の土壌汚染対策法に基づく許可を有している水洗浄処理業者との業務委託契約について、協議の結果、両者の合意により、先月10日に契約を解除いたしました。改めて、その経緯を御説明申し上げ、県議会の皆様の御理解をいただきたいと存じます。
豊島処分地の直下汚染土壌の水洗浄処理は、処理量アップ対策の一つとして、専門家の委員で構成する「豊島廃棄物等管理委員会」で2年半の歳月をかけて審議を行った結果、土壌汚染対策法が認める浄化処理方法であり、技術的に安全かつ確実に処理できると判断し、豊島住民会議と協定合意書を締結、環境大臣の変更同意を得た上で、いわゆるWTO対象の契約となるため、地域要件を付さない一般競争入札を行い、結果として大津市所在の水洗浄処理業者と業務委託契約を結んだところです。
その後、昨年の12月から4月上旬まで、大津市や地元住民などの要請を受けて、処理施設に関係する地元の伊香立学区、和邇学区、真野学区の3自治連合会と、土地改良区や漁業協同組合が主催する7回の説明会に出席し、水洗浄処理の安全性や確実性について説明を尽くしてきましたが、「豊島の汚染土壌だから反対である」とする意見が根強くあり、地元住民の理解を得るに至りませんでした。
私どもとしては、豊島の汚染土壌を安全かつ確実に処理できるものと考えており、豊島を特別視した今回の住民運動には納得できないところでありますが、この状況のもとで、事業を実施することにより、地元において多くの問題が生じる可能性があり、また豊島についての誤ったイメージが広がるおそれもありました。
こうした現状に加え、何よりも、このままでは、豊島住民と合意した調停条項に定められた期限である平成28年度末までの全量処理に影響が生じるおそれがあることを踏まえ、豊島処分地の直下汚染土壌の水洗浄処理を大津市で行わないことといたしたものであります。
本事業は、平成12年に合意した調停条項に基づき取り組んでいる県政の最重要課題の一つであり、何としてもやり遂げなければならない事業であると考えており、今後、速やかに対応策を検討してまいります。
また、昨年、処理対象量を大幅に見直したことを踏まえ、事業のより正確な進行管理を図るため、毎年、年度末に測量調査を実施し、廃棄物等の残存量を把握することとしており、昨年度末時点で実施した測量調査の結果を現在とりまとめているところであります。
いずれにいたしましても、引き続き、直島町と豊島住民の方々、県議会をはじめ県民の皆様の格別の御理解と御協力を得て、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
第2点は、航空ネットワークの充実や県産品の販路拡大に向けた取組みについてであります。
高松ソウル線が、去る4月20日に就航20周年を迎えたことを機に、4月22日から24日の間、山本前議長や高松市の副市長らとともに、大韓民国ソウル市の、アシアナ航空本社及び韓国観光公社を訪問いたしました。
アシアナ航空に対しては、路線振興に向け、一層の利便性向上のため早期の機材大型化や現在の週3往復からの増便等を要望するとともに、韓国観光公社とも、相互交流の拡大に向けた意見交換を行う中で、路線就航20周年を機に、3者で相互交流協定を締結し、互いに協力連携しながら、交流拡大に資する取組みを進めることで合意したところであります。
先月18日には、正式に協定を締結するとともに、相互交流事業の第一弾として、韓国観光公社などによる「韓国の夕べ」が開催されたところであり、アシアナ航空からも、その際、7月から使用する機材の大型化が発表され、来月から利便性が向上することとなったところであります。
さらに、先月12日、13日には、伊勢丹シンガポールで開催中の四国フェアに併せて、県産品販路の定着と拡大を図るため、平木議長、辻村総務委員長をはじめ、農業団体や漁業団体の代表者らとともに、シンガポールを訪問し、セールス活動を行ってまいりました。
伊勢丹シンガポールでは、T.C.Lim社長と県産品の販路の一層の定着、拡大を図るための常時取引を目指すことを確認し、「申し合わせ書」の交換を行ったところであります。
東アジアは、大変重要なマーケットであり、また、その成長を取り込むことが、本県の発展にも資すると考えられますので、今回の訪問を機に、関係団体との連携をさらに強化し、県議会の御理解と御協力をいただきながら、一緒になって航空路線の利便性の向上や県産品の販路拡大に努めてまいりたいと存じます。
国において、出先機関の原則廃止に向けた検討がなされる中、四国知事会としては、去る2月に、まずは四国経済産業局の丸ごと移管を求めることとし、その受け皿となる特定広域連合の設立に向け取り組むことを申し合わせたところです。
その後、国の地域主権戦略会議やその下にある「アクション・プラン」推進委員会において、「国の特定地方行政機関の事務等の移譲に関する法律案」の議論がなされてはいたものの、移譲対象事務や財源措置などが不明確であるといったこと等も踏まえ、四国4県議会正副議長会議に引き続き、今月5日の四国知事会議において、「地域の自主性・自立性を高めるための出先機関改革の早期実現を求める緊急決議」を採択し、国に要望したところであります。
こうした働きかけを行ってきたにもかかわらず、いまだ今国会への法案の提出は見送られている状況であります。
私は、国の出先機関改革により、地域のニーズに対応した効果的な施策展開を行えることや、国と地方の二重行政の解消による行政サービスの効率化も図れるものと考えており、こうした国の遅々とした対応については、大変残念に思っております。
今後、できるだけ早期に法案が提出され、制度が創設されるよう、県内市町にもその趣旨を十分説明しつつ、一層国への働きかけを強めてまいりたいと考えております。
第4点は、平成23年度一般会計の決算見込みについてであります。
平成23年度の県財政は、東日本大震災の発生に伴う防災・減災対策をはじめ、厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、国の経済対策への対応や県独自の経済対策を行うなど、財政の健全化に配意しつつ、経済や地域の活性化、県民生活の安全・安心の確保などに取り組んだ結果、歳入総額4,444億6,172万円余、歳出総額4,318億5,397万円余となり、実質収支は、67億3,880万円余の黒字となる見込みであります。
今後とも、経済・雇用情勢に十分留意しつつ、「財政運営計画」に基づき、計画的な財政運営に努めてまいります。
まず、第1号の一般会計補正予算議案については、高松市に売却予定の仏生山町の農業試験場跡地から検出された汚染土壌について、その入替えに係る経費を、高松市に対して負担するとともに、国の経済対策に伴い造成した緊急雇用創出基金など10基金について、活用できる期限が迫っていることから、その早期執行が図れるよう、補正を行うものであります。
以上が歳出の主な内容でありますが、その総額は4億2,600万円余となっており、財源としては、繰入金4億1,000万円余、国庫支出金1,600万円を充当することとしております。
また、第2号議案の病院事業会計では、県立中央病院で発生した医療事故の和解に伴い、損害賠償金の支払いに要する経費の補正を行うものであります。
第3号議案は、地方自治法施行令の一部改正を踏まえ、予算の執行に関する知事の調査等の対象となる法人の範囲を拡大するための条例を制定するものであります。
第4号議案は、食品、添加物等の規格基準の一部が改正されたことに伴い、生食用食肉の安全性を確保するうえで、加工又は調理を行う作業場の施設基準を定めるため、条例の一部を改正するものであります。
第5号議案は、屋外広告物条例の一部を改正し、現在、屋外広告物に係る設置規制の適用除外となっている自家用広告物について、一定の規制を導入するものであります。
第6号議案は、警戒区域等で東日本大震災に係る災害警備等の業務に従事した場合等に警察職員に支給される特殊勤務手当について、国家公務員との均衡等を考慮し、所要の改正を行うものであります。
第7号議案は、中心市街地における県税の不均一課税について、法律に基づく適用期限が経過し、県税の不均一課税の対象となる施設の取得が今後見込めなくなったことから、香川県中心市街地における県税の特別措置条例を廃止するものであります。
第8号議案は、高松港コンテナターミナルの2バース化に併せて、コンテナ運搬機械を1台購入することについて、第9号議案は、農業試験場跡地の土地等の一部を売却することについて、第10号議案は、県立中央病院で発生した医療事故の和解に伴う、損害賠償の額の決定について、それぞれ議会の議決を得ようとするものであります。
以上、提案いたしました議案につきまして、その要旨を御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、御議決賜りますようお願いいたしまして、説明を終わります。
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