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平成23年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信、並びに、平成23年度当初予算の概要と主要施策等について、御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
世界経済は、先進諸国の経済が停滞する一方で、BRICs等の新興国が高度経済成長を続けるという、大きな構造変化を見せております。我が国経済は、バブル経済崩壊後20年以上低成長を続け、今なお本格的な回復の軌道に至らず、長期にわたるデフレが継続する中、先行きも大変不透明な状況にあります。加えて、我が国では、少子化・高齢化、さらには生産年齢人口の減少が進む一方、国と地方を合わせた長期債務残高は累増を続け、平成23年度末には、892兆円、対GDP比184%になる見込みであるなど、数々の難問が山積しており、我々は、未だかつて世界でどの国も経験したことがない羅針盤なき航海の真っ只中にあります。
本県においても、県内経済は、円高・デフレの影響などにより、本格的な回復からは遠く、雇用情勢もなお改善されておらず、また、少子化が進み、総人口も減少を続けるなど、厳しい状況に直面しております。
このような中、我が国社会には、冒険を避け、現状を維持しようとする内向き安定志向が広がりつつあるように感じます。
しかしながら、環境は確かに厳しいものの、このようなときこそ、先人のたゆみない努力に思いを馳せることが必要であります。我が国は、これまで幕末の国難を乗り切り、第2次世界大戦の敗戦から復興を遂げてまいりました。明治維新では西欧列強、第2次世界大戦後は米国などを目標に努力を重ね、世界でもまれな急成長という2度の奇跡を成し遂げてきたのであります。こうした先人の気概に学び、先例なき時代の中で、内向き安定志向に訣別し、現状を打破するため、勇気を出して、新しい考え、新しい取組みに積極果敢に挑戦するべきではないでしょうか。
平成23年の干支は、辛卯(かのとう)であります。「辛(かのと)」は、新(あたらしい)に通じ、草木が枯れて新たな世代が生まれようとする状態を表し、「卯(う)」は、茂(しげる)に通じ、草木が地面をおおう状態を表すと言われます。私は、干支にちなみ、ぜひとも、今年一年を、香川県の経済、文化、社会が繁栄に向け、新しい飛躍をしていく年といたしたいと考えており、私自らが先頭に立ち、道を切り拓いていく決意であります。
まずなすべきは、「元気の出る香川」づくりであります。本県の雇用情勢は、有効求人倍率が全国2位ではありますが、依然1を割る厳しい状況であり、雇用の確保・拡大に全力を尽くしてまいります。また、新規産業の創出や新技術、高度技術の開発支援、販路開拓、特色ある農林水産物の生産拡大、県産品の振興などを進め、本県経済の活性化に取り組んでまいります。
さらに、「安心できる香川」づくりを推進するため、子育て支援、地域医療の充実、震災対策、地球温暖化対策等に取り組んでまいります。
そして、「元気の出る香川」、「安心できる香川」を車の両輪として回転させていくことで、県民生活の安全・安心が確保され、日々充実したものとなるよう基盤づくりを進めつつ、「夢と希望あふれる香川」づくりを推進し、教育の充実、文化芸術やスポーツの振興により、県民のチャレンジ精神の発揮を支援するとともに、島や瀬戸内海、美術館など「香川の良さ」に磨きをかけて観光を振興し、定住・交流人口の増加に取り組んでまいります。
本県は、県内のどこからでも、都市の「利便性」や「活力」と、自然の「ゆとり」や「やすらぎ」の両方に比較的容易に接することができ、県全体が「田園都市」となる基盤を持っております。このような香川の特性を生かし、本県の魅力や可能性を引き出す独自の取組みを進めていくためには、徹底した地方分権の推進が必要であります。今後、様々な地方分権改革が進展していく中で、地方の主張が反映された真の地方分権改革が実現するよう、国に対して提案や要望を行ってまいります。
来年度は、県の新しい総合計画を策定いたします。計画は、今後の県政運営の指針となるものであるため、現在、私自ら、県内各市各町すべてに足を運び、地域の皆様の御意見をお聞きしているところでありますが、今後、各種団体等の御意見も直接お聞きすることとしております。計画の策定を通して、県議会をはじめ、県民の皆様と、知恵を出し合い、考えを共有し、これからの香川づくりに一致協力して取り組んでまいりたいと考えております。
知事就任以来、5ヵ月余になりました。この間、高松-上海線の開設、県産品の販路開拓、企業誘致など、各分野に亘ってトップセールスを懸命に行ってまいりました。平成23年度を迎えるに当たって今一度初心に立ち帰り、県議会はもとより、8市9町と連携し、県民の皆様とともに、「赤ちゃんからお年寄りまで、すべての人が笑顔で元気に暮らせる香川」の実現を目指し、誠心誠意全力を挙げて取り組んでまいりますので、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
さて、これより、上程されました当初予算案について申し述べます。
私は、むだを省き、効率的な行政運営に努めながら、「元気の出る香川」づくりをはじめとする施策により、経済が活性化し、雇用が拡大することが、財政健全化に向けての基本的な方策であり、中長期的には、「安心できる香川」づくりにより、子育て環境等の整備を行いつつ、「夢と希望あふれる香川」づくりにより、定住・交流人口を増やしていくことが、財政状況を好転させるために必要と考えております。
一方で、地方交付税をはじめとした財源等の制約があり、今後におきましても、厳しい財政状況が見込まれることから、その対策として、昨年12月に、「財政運営計画」を策定したところであります。
平成23年度の予算編成は、「財政運営計画」に基づき、財政健全化に向けた取組みを進める一方で、先の11月県議会定例会で成立した補正予算と一体的に捉え、機動的かつ切れ目のない経済・雇用対策などに積極的に取り組みました。その結果、平成23年度一般会計当初予算の規模は、総額では前年度を下回っているものの、平成22年度の特殊要因である道路公社補助金を除けば、43億円余上回るものとなりました。
歳入面においては、地方交付税の振替措置である臨時財政対策債が減少する一方で、本県の基幹税目である法人2税、個人県民税の増加により、県税収入は増収となり、また、地方交付税も増加するため、平成23年度の一般財源総額は増加すると見込んでおります。
しかしながら、一般財源総額の増加額は、三位一体改革以降、削減された額と比べると少額であり、国に要望していた地方交付税が復元されたとまでは言えず、依然として財源不足が生じている状態であります。
このため、引き続き、地方交付税をはじめとした財源の確保を国に強く働きかけてまいります。
このように、平成23年度当初予算案は、厳しい経済情勢と財政状況を踏まえ、県経済の活性化、景気浮揚や雇用創出に着実に対応するとともに、「財政運営計画」の考え方にも沿って、施策の選択と集中を徹底し、「元気の出る香川」、「安心できる香川」、「夢と希望あふれる香川」を実現するための施策に財源を思い切って重点配分し、効果的でメリハリのある「讃岐の元気に本気でとりくむ予算」として編成したところであります。
次に、平成23年度の主要施策について、御説明いたします。
経済の活性化策として、中小企業の経営基盤の強化や新分野進出などの積極的な事業展開を促進するため、新たに製造業を対象として、中小企業が行う設備投資に対する助成制度を設けます。
また、本県の強みであるものづくり基盤技術産業と食品産業に重点を置いた、「かがわ次世代ものづくり産業振興プラン」を推進するため、業界全体の技術の高度化を図るとともに、将来の成長が有望な次世代産業分野等における売れる商品づくりを支援するため、県内企業の商品企画力・営業力の向上を図ります。
さらに、産業技術センターの技術支援機能や「かがわ中小企業応援ファンド」を活用し、地域企業の独創的な研究開発や生産性向上のための技術開発を支援します。
加えて、上海線開設に合わせ、中国・上海地域における県内企業の事業展開を戦略的に支援するため、上海地域の市場動向調査、セミナーの開催などを行います。
先端技術分野の研究成果を生かした新産業・新事業の創出については、新たな取組みとして、香川大学で整備が進められている医工連携による医療機器等の研究開発拠点の成果などを生かして、将来の成長が有望な医療や福祉分野等の健康関連産業の創出に取り組むとともに、糖質バイオ分野の研究開発成果である希少糖D-プシコースを利用した食品等の事業化の促進を図ります。
企業誘致については、本県の立地環境の強みや工場用地の特性を踏まえ、ターゲットを絞った効果的な情報発信や、トップセールス等による誘致活動の強化に努め、優良企業の立地促進を図ります。
また、企業の競争力強化に向けた道路や港湾などの社会インフラの整備などにより、企業が操業しやすい環境づくりに努めるとともに、ワンストップサービス体制を強化することにより、企業の要望に対し、これまで以上に迅速かつきめ細やかに対応します。
金融対策としては、中小企業振興融資制度を改正し、国の緊急保証制度の終了に伴う保証料負担の激変緩和措置などの県独自の対策を講じることにより、中小企業の資金調達の円滑化を図ってまいります。
雇用対策については、厳しい経済・雇用状況が続く中、雇用の確保・拡大が喫緊の課題であり、現在、新卒未就職者100名を卒業後直ちに人材紹介会社で半年間雇用し、仕事に必要な知識、技術や資格取得などの研修を行った後、正規雇用につなげる事業を実施しているところでありますが、それに加え、来年度、内定を得ていない学生を対象に、県独自の新たな対策として、就職活動サポートセミナーと、県内企業見学会を開催するほか、離転職者などの再就職支援に取り組みます。併せて、高校生の就職を一層支援するため、就職指導専門のジョブサポートティーチャーを大幅に増員するとともに、就職面談会の開催など、就職対策の充実を図り、加えて、生徒一人ひとりが、望ましい職業観、勤労観を身に付け、主体的な進路選択ができるよう、インターンシップや社会人を活用した授業を実施するほか、次代の香川を担う人材を育成するため、新たに産学官の連携を充実・強化するための組織を設立するなど、キャリア教育の推進に努めてまいります。
さらに、UJIターン就職を促進するため、人材Uターンセンターの機能強化を図りながら、首都圏や関西圏で転職相談会やUターンガイダンスを開催するほか、セミナーや個別相談を行うサテライトを新たに大都市圏に設置し、本県の企業や求人などに関する情報を積極的に発信することにより、県内企業の人材確保の支援に努めます。
県産品の振興については、販路拡大を目指した新たな戦略プランを策定するとともに、地域資源の洗い出しを行い、新たな県産品の発掘に努めるなど、県産品の魅力向上を図ってまいりますほか、新たな物産販売棟の整備に向けて、実施設計を行います。
また、県産食材の消費を拡大するため、県内一円で、野菜、魚、肉、米、酒など香川の食をテーマとした祭りを開催するとともに、県産食材を提供する場を設けるなど、観光産業、マスコミ、県内小売店等と連携し、総合的な取組みを行ってまいります。
さらに、積極的なトップセールスにより、県産品振興に向けた本県の意気込みと県産品の魅力を大都市圏に向けて強く印象づけ、新規の販路開拓や販売額増大に取り組むとともに、高松-上海線等を活用し、急成長するアジア市場などをターゲットに、県産品フェア等を実施し、県産品の海外への販路開拓・拡大を図ります。
農業の振興については、県産野菜・果樹を選んで購入してもらえるような魅力的な産地を育成するため、全国有名店等のニーズを踏まえた品質基準等の設定や生育段階ごとの糖度測定による効果的な栽培指導を行うなど、生産・加工・流通・販売を総合的に捉え、主要野菜・果樹のブランド力の強化や生産拡大などに取り組んでまいります。
また、県産の米粉用米の早期作付拡大と県内での米粉の製造・流通の安定化を図るため、米粉の普及・定着に取り組む県内米粉製造業者への支援を行うとともに、県育成品種のうどん用小麦「さぬきの夢2009」の作付拡大を図ってまいります。
イノシシ等による農作物被害等の拡大防止については、被害状況の分析等を行い、総合的かつ抜本的対策を検討するとともに、捕獲や侵入防止施設等の整備に取り組む市町への支援を拡充するほか、県、市町等との役割や連絡体制を明確にし、連携して被害の軽減等を図るよう取り組んでまいります。
農業者の確保については、市町や農業委員会等と連携し、耕作放棄地や未利用地を含む農地全体の効率的な利用に向けて、新たに農外企業の参入を促進する事業を創設するほか、集落営農の法人化や新規就農の促進などにより、新たな担い手の育成に努めます。
林業の振興については、県産木材の利用を促進するため、森林管理道などの路網整備、森林施業の集約化及び機械化等による搬出間伐を進めるとともに、県産木材を加工する拠点施設の整備を引き続き支援するほか、県産木材製品のPRに積極的に取り組みます。
水産業の振興については、ハマチ・ノリ・イリコを中心とした県産水産物のブランド化を促進し、消費拡大・販売促進の取組みを強化するとともに、生産物の品質向上と安定生産に向けて、新たにイリコの脂イワシ対策や初摘みノリの食害対策、オリーブハマチの食味評価確立などに取り組み、特色ある水産物の安定供給の確保と漁業経営の安定を図ります。
広域交通ネットワークの整備については、今年3月から、上海線が開設されることから、路線の長期的な発展を図るため、運航当初のリスク分担や早期の市場形成などの観点から必要な支援を行ってまいります。併せて、中国からの観光客ができるだけ県内に滞在し、また、何度でも訪れ、本県経済の活性化に資するよう、県内で宿泊する旅行商品造成についてインセンティブを設けるなどの支援を行います。
今後とも、高松空港の拠点性や県民の利便性をより向上させるため、新規路線の開設やソウル線のダイヤ改善に取り組むなど、航空ネットワークの一層の充実・強化に努めるほか、高松港のターミナル機能の強化や物流の効率化により、本県経済のより一層の活性化や発展を図るため、引き続き、高松港朝日地区において、国際物流ターミナルの整備を推進します。
さらに、県道高松長尾大内線、県道丸亀詫間豊浜線など香川の発展に必要な幹線道路の整備を引き続き進めてまいります。
都市機能の充実・強化については、高松丸亀町商店街G街区市街地再開発事業について、平成22年度に引き続き高松市への補助を行うとともに、新たに、市街地再開発事業により整備される商業保留床を取得するG街区開発株式会社等に対して補助を行い、中心市街地活性化の取組みを支援するほか、サンポート高松の北側街区について、周辺施設との関連性も踏まえた利活用策を検討いたします。
子育て支援対策として、若者が家庭を持ち子どもを生み育てることに夢や希望など積極的な意義を感じられるよう、社会全体で子育てを支援するシステムを構築し、安心して子どもが育てられる環境づくりを一層推進してまいります。
特に、本年8月から、乳幼児医療費支給事業の対象年齢を、小学校就学前まで引き上げるとともに、母子家庭等医療費支給事業の支給対象者を父子家庭の父等まで拡充するほか、大学生等を対象にした奨学金制度を平成24年度から実施するための準備を進め、子育てに伴う経済的負担の軽減を図ります。
また、新たに、親子が楽しく遊び、気軽に他の親子と交流できる「つどいの広場」の設置の促進など、地域におけるきめ細かな子育て支援サービスの充実や、年間を通じての待機児童の解消に向けた取組みを進めるなど、子育て支援施策の充実を図ります。
健康づくりについては、予防施策の充実を図る観点から、糖尿病をはじめとした生活習慣病等の発症予防や早期発見・早期対応を図り、食習慣や運動習慣の改善を中心とした県民の健康づくりの支援や、がん検診・特定検診の受診率向上に向けた取組みなど、企業や関係団体等と連携して、効果的な予防施策を推進します。
また、子宮頸がんや細菌性髄膜炎を予防するため、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金を活用し、子宮頸がん予防ワクチン、ヒブワクチン及び小児用肺炎球菌ワクチンの接種を推進します。
特に、若い世代で増加している子宮頸がんについて、ワクチン接種に加え、検診受診による予防対策を推進するため、対象者や保護者をはじめとした県民への普及啓発に努めます。
高齢者施策については、高齢者に対する施設サービス・在宅サービスの充実や給付の適正化、介護予防、高齢者虐待の防止、ひとり暮らし高齢者等への支援を引き続き推進するとともに、平成24年度から26年度までの高齢者施策の方向性を示す「次期高齢者保健福祉計画」の策定に取り組みます。
また、福祉・介護サービスを担う質の高い人材の安定的な確保を図るため、緊急雇用創出基金等を活用し、介護雇用プログラムの実施や、潜在的有資格者の再就労、若者等の参入を図るとともに、就労者の処遇改善やキャリアアップ、定着の支援を行います。
併せて、急速な高齢化や核家族化の進展などにより、自助・公助だけでは対応できない多様な課題に対応するため、住民組織やボランティア等との協働により、声かけ・見守り等を行う地域ネットワークの構築支援及びその中核を担う地域リーダーの育成など、地域で支え合う体制づくりに積極的に取り組みます。
さらに、今後、認知症高齢者の増加が見込まれる中、認知症に関する正しい知識の普及に努め、認知症高齢者を地域で支える認知症サポーターの養成を推進するとともに、認知症が疑われる高齢者が早期に専門医療機関を受診できる体制をさらに充実するため、平成23年度下半期からの運営開始を目途に認知症疾患医療センターを指定し、もの忘れ相談医や認知症専門医療機関、地域包括支援センターとの連携を強化いたします。
障害者施策については、障害者が地域で自立して暮らしていけるよう、施設や病院からの地域生活移行支援、相談支援体制の充実、住まいの場の確保、障害者就業・生活支援センターによる就労支援や福祉施設で働く障害者の所得向上などを促進します。
人権尊重社会の構築については、同和問題をはじめ女性、子ども、高齢者、障害者、ハンセン病回復者など様々な人権課題の早期解決のため、人権に関する相談窓口を活用して、人権擁護活動の推進に努めるとともに、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や啓発活動の積極的な展開を図ってまいります。
医療の確保については、医師育成キャリア支援プログラムの実施など医師育成の環境整備を進め、若手医師の県内定着を図るとともに、新たに、香川大学が実施する香川地域医療・キャリアサポートセンターの整備に対し支援するほか、質の高い看護師の養成、看護学生の県内定着の促進など、医師確保対策、看護師確保対策に取り組みます。
また、地域医療再生基金を活用し、広域災害・救急医療情報ネットワークの機能強化を図り、より迅速で適切な救急搬送に努めるとともに、中核病院の救急や後方支援機能の強化に向けた取組みを支援するほか、医療機関の機能分担と連携をより一層進めるために、新たに周産期医療について、地域連携クリティカルパスを作成するなど、医療提供体制の充実・強化に取り組んでまいります。
さらに、新たに精神科救急拠点病院を指定することにより、精神科救急医療体制を整備いたします。
県立病院では、県立病院中期経営目標に基づき、病院事業管理者のもと、スピード感を持って経営改革に取り組み、県民から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
また、新しい中央病院の整備については、来月5日に起工式を行い、建設工事に着手することとしており、平成25年度の開院を目指して着実に整備を進めてまいります。
南海地震などの大規模な災害対策については、県有施設の耐震化を着実に推進するとともに、大雨や津波・高潮などによる自然災害を未然に防止するため、計画的・効率的な河川改修や砂防施設の整備等を行うほか、「津波・高潮対策整備推進アクションプログラム」に基づき、高松港をはじめ県内全域で、防潮壁等の整備を引き続き推進いたします。
また、市町等が実施する小中学校施設の耐震化事業について、大規模な地震により倒壊等の危険性が高い建物の助成措置の実施期間を延長するほか、大規模地震時の住宅被害の軽減を図り、県民の安全を確保するため、耐震診断や耐震改修への補助制度を創設し、市町と連携し、個人住宅の耐震化を支援するなど、災害に強い地域づくりを進めてまいります。
渇水対策については、引き続き、内海ダム再開発をはじめ、ダムやため池の整備を推進するとともに、中部・綾川浄水場連絡管の整備や水道施設の更新・耐震化対策を進めてまいります。
また、水道事業の広域化の枠組み等の具体的な検討を行うとともに、策定を進めている新たな水資源対策大綱に基づき、県民が安心して暮らせる、渇水に強い、水循環社会の実現を目指します。
犯罪防止対策については、地域における犯罪抑止力を強化するため、新たに青色回転灯を装備した車によるパトロールの支援を行うなど、規範意識の向上と絆の強化に向け、官民が一体となった犯罪の起きにくい社会づくりに取り組みます。
また、少年非行を防止するため、効果的な非行防止教室の開催等、地域ぐるみによる少年の規範意識の向上に向けた取組みを進めるほか、健全育成のために少年が取り組む自主・自立的活動を積極的に支援いたします。
さらに、「香川県暴力団排除推進条例」を制定し、社会全体で暴力団を排除する気運を高めるとともに、県民等による暴力団排除活動の支援を行ってまいります。
加えて、防犯カメラ付き緊急警報装置の設置拡充等による防犯環境の整備を進めるとともに、子どもたちが安心して登下校できるよう、スクールガードリーダーを県内の小学校へ派遣する市町への支援を行うほか、地域のボランティアによる巡回指導や子どもの見守り活動など、学校と家庭、地域が連携し、子どもを守る安全体制の整備を推進し、子どもや女性を犯罪から守るための環境整備に取り組んでまいります。
交通安全対策については、特に高齢者の交通死亡事故の割合が高いことを踏まえ、高齢者に対しては、歩行者・自転車利用者・自動車運転者それぞれに応じたきめ細かな交通安全教育や世帯訪問活動等を通じた啓発活動を実施します。
また、交差点や夜間の事故を防止するため、交差点改良や道路舗装のカラー化、標識・標示の高輝度化、生活関連道路の整備等を進めます。
さらに、自転車利用者等への交通安全教育を充実させ、規範意識の向上を図るとともに、街頭監視活動の強化と悪質・危険性の高い違反や取締要望の多い迷惑性が高い違反の指導取締りを行い、安全で快適な交通社会の実現に努めます。
地球温暖化対策については、温室効果ガスの排出を抑制するため、住宅用太陽光発電システム等に対する補助制度を創設するほか、家庭などにおける省エネの取組みを促進するための普及啓発を行うとともに、中小企業等の事業所に対する省エネ診断や、県及び市町の公共施設の改修に取り組みます。
森林の整備・保全については、水源かん養や県土保全、二酸化炭素の吸収源など、森林の持つ公益的機能の維持、向上を図るため、間伐などを進めるとともに、「かがわ 山の日」宣言の記念行事などを通じて、今後とも、森林ボランティアや企業等と協働し、県民参加の森づくりに取り組みます。
豊島廃棄物等処理事業については、中間処理施設での焼却・溶融処理に並行して、本年夏ごろから汚染土壌の水洗浄処理を行うなど、県議会、直島町や豊島住民の皆様をはじめ、関係者の御理解と御協力のもと、安全と環境保全を第一に、残された廃棄物等の処理に、緊張感を持って全力で取り組んでまいります。
水環境の保全については、対象事業場へのきめ細かな指導を行うとともに、排水処理施設を設置する事業者に対し、環境保全施設整備資金融資の融資期間を延長するなど一層の支援策を講じることにより、排水処理施設の設置を促進し、公共用水域の水質改善を図ります。
教育の推進については、小中学校では、児童生徒に確かな学力を身につけさせるとともに、暴力行為などの問題行動や教員の多忙化など、学校が直面する諸課題等に対応するため、国の学級編制標準の引き下げに伴う小学校1年生の35人学級に加え、小学校2年生でも県単独で原則35人学級を実施し、加えて、小学校の低学年での基本的な学習習慣などの指導や発達障害等に対応する教員を県単独で配置するなど、新たな香川型指導体制を整備してまいります。
併せて、学力の定着状況を的確に把握するため、県学習状況調査の実施方法を全面的に見直すとともに、調査結果を踏まえ、教員の指導力の向上や子どもが主体的に学習に取り組む姿勢の育成、さらには学校の教育力の向上に取り組んでまいります。
また、今後、経験豊かで優れた指導力を有する教員の大量退職が見込まれることから、こうした教員の指導力を若年教員へ継承するため、新たに小学校に指導教諭を配置いたします。
県立高校については、魅力ある学校づくりを推進するため、各学校の創意工夫による特色ある教育活動を積極的に進めるとともに、各学校の教育内容や特色を中学生に広く紹介する体験入学の充実を図るほか、平成25年度からの新しい学習指導要領の実施に向けた教員の教科指導力を高めるための研修を新たに行うなど、生徒の確かな学力の向上に取り組んでまいります。また、老朽校舎の建替えや改修に計画的に取り組むとともに、高校再編に関連した施設の整備などを行うほか、「県立高校の再編整備基本計画」の着実な実施に努めてまいります。
加えて、香川中部養護学校の教室不足解消に向け、校舎増築のための実施設計を行うとともに、高松養護学校について、耐震性の確保や障害の重度重複化への対応の観点から、全面改築に向けた基本設計に着手するほか、善通寺養護学校の移転整備について、香川小児病院と善通寺病院の統合と時期を同じくして移転できるよう、病院敷地内で学校用地を取得するとともに、建設工事に着手します。
児童生徒の暴力行為等の問題行動に対しては、拡大防止や早期解決を図るため、「スクールサポートチーム」派遣事業を拡充し、学校への支援を強化するとともに、新たに、問題行動の未然防止に向けて、小学校において問題行動防止プログラムを活用した具体的な取組みなどを行うほか、問題行動を起こした児童生徒の立ち直り支援などにも取り組んでまいります。
また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの派遣、いじめ電話相談などにより、引き続き、いじめ・不登校問題の解決や高校中退の解消に努めるほか、インターネットの有害情報から児童生徒を守るため、保護者の自主的な啓発活動を推進し、併せて、学校における情報モラル指導の充実や、トラブルの早期発見・早期対応のための支援に取り組んでまいります。
教員の業務改善については、教員がその能力を十分発揮し、教育活動に集中できるよう、教員の業務を見直すほか、業務負担の軽減を図るため、成績処理などの作成を支援するソフト開発を行うなど、子どもと向き合う環境づくりを進めます。
家庭・地域教育力の向上については、子どもの生活習慣づくりの重要性に関する広報啓発や、ボランティアを活用した学校と地域との連携を推進するとともに、新たに就学前の子どもの保護者に対する啓発や効果的な地域教育力向上の取組みへの支援を行います。
また、青少年に対し、研修、団体活動、国際交流等の活動の場を提供する青年センターについて、老朽化が著しい会議・宿泊棟の改築に着手します。
文化芸術の振興については、文化芸術振興計画に基づき、文化芸術を担う人材の育成や県内各地における文化芸術活動による地域の活性化を図るため、東京藝術大学の学生や県内の芸術家が、創作活動や地域交流を行う「アートアカデミー事業」を実施するとともに、「芸術家村事業」を小豆島と三豊市粟島において引き続き行います。
また、「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録に向けて、四国の他の3県や市町、大学、民間などと連携しながら、札所寺院や遍路道の調査を引き続き行ってまいります。
さらに、県立ミュージアムでは、「棟方志功」展など大規模展覧会を開催するとともに、東山魁夷せとうち美術館では、東山魁夷をはじめとする日本画家の魅力ある特別展を開催するなど、次期瀬戸内国際芸術祭まで文化芸術の機運を継続し、県内はもとより、県外からの交流人口の増加にも努めてまいります。
スポーツの振興については、豊かなスポーツの素質を持つ小学生を発掘し、各種プログラムを実施することにより、基礎的な能力を伸ばす「スーパー讃岐っ子育成事業」を引き続き実施するほか、トップアスリートの育成の基盤となる中学校・高等学校の運動部の充実、活性化を図るため、県内で活動するプロスポーツ選手等による高い技術指導や各種の強化事業を実施してまいります。
高校野球の強化については、野球王国香川の復活と、全国高校野球大会で優勝を狙えるチームを輩出するため、県高等学校野球連盟と連携し、小学校から高等学校までの一貫した指導や元プロ野球選手等を招聘した専門的な指導に取り組むとともに、県外遠征や全国大会常連校との招待試合などの強化策に取り組んでまいります。
また、昨年、独立リーグ日本一に輝いた香川オリーブガイナーズや今シーズンからJFLで戦うカマタマーレ讃岐、日本アイスホッケーリーグ西日本6連覇の香川アイスフェローズ、バスケットボールの高松ファイブアローズ、バレーボールの四国エイティエイツクイーンといった地域密着型スポーツチームの活躍は、本県のスポーツの振興や地域のにぎわいづくりに大きく貢献しており、県民に試合観戦やチームと親しむ機会を提供することなどにより、県民全体で我が香川のチームを応援する機運の醸成に努めてまいります。
観光の振興については、本県の認知度向上やブランドイメージの形成を図るため、県内各地の文化芸術資源の集積や瀬戸内国際芸術祭2010の開催により、ブランド力の高まったせとうちアート等を活用し、「アートの香川」を前面に打ち出した効果的な情報発信を行うとともに、訴求力の高い映像コンテンツを用い、メディアやインターネット等を通して、本県の魅力的な観光資源を効果的に情報発信するほか、明治32年に建築された木造建築物である栗林公園商工奨励館の改修に向け、耐震診断を行います。
瀬戸内国際芸術祭については、平成23年度においても継続作品を公開するとともに、イベントやワークショップ等を実施し、平成25年度に開催予定の第2回芸術祭につなげていくとともに、次期芸術祭の基本計画及び実施計画を策定いたします。
また、従来の韓国・台湾・欧米に対する誘客に加え、新たに中国からの誘客を図るため、大手旅行代理店との連携による国別の情報収集体制等を整備し、積極的に誘客活動を推進するとともに、ソウル線、上海線の活用や、台湾チャーター便の誘致など、東アジア等との航空ネットワークの強化に取り組むほか、大型客船の受入態勢の整備やクルーズ客船の誘致活動を行います。
併せて、日ASEAN次官級交通政策会合の開催支援を行うなど、政府系国際会議の誘致等に取り組むほか、市町や観光団体、民間事業者と連携して観光案内や情報提供機能の充実を図るとともに、おもてなしの心の醸成に努め、外国人観光客の来訪を促進します。
さらに、観光ニーズは、団体で景勝地等を足早に巡る画一的なものから、個人・小グループで、自然や癒し・体験等、よりテーマ性や目的性を高めるものに向かう傾向にあることから、「香川せとうちアート観光圏」を基盤としながら、瀬戸内海やアート、食など本県の多様な観光資源を織り交ぜた周遊ルートづくり及び効果的な情報発信により、滞在型観光を推進してまいります。加えて、島々の固有の文化や特色を生かした新たな交流や魅力の創出に努めるとともに、「まち歩き」に代表される着地型観光の商品づくりの支援や情報発信を行います。
<以上、御説明しました内容により、年間総合予算として編成した平成23年度当初予算案のうち、一般会計の総額は、4,275億100万円となっております。
特別会計は、小規模企業者等設備導入資金など17の特別会計で、総額1,868億3,100万円余の予算を計上しております。
病院事業会計は、収益的支出は207億3,400万円余、資本的支出は38億5,300万円余となっております。
水道事業会計は、水道用水供給事業、工業用水道事業及び五色台水道事業の3会計を合わせ、収益的支出が56億9,900万円余、資本的支出が32億4,500万円余となっております。
そのほか、御提案申し上げております予算外議案は、香川県大学生等奨学金貸付条例議案など新規制定の条例が4議案、香川県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例議案など一部改正の条例が14議案、そのほか香川県教育基本計画の策定についてなどが9議案、合わせて27議案であります。
以上、平成23年度当初予算関係議案等の概要について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願いいたしまして、説明を終わります。
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