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ただいま上程されました議案のご説明に先立ち、3点について御報告いたします。
第1点は、地方創生の取組みについてであります。
私は、知事就任以来、人口減少対策を県政の最重要課題と位置付け、県独自の産業成長戦略の策定や奨学金制度の創設、移住施策の推進等に取り組み、さらに、昨年10月には、国の地方創生の取組みと連携を図っていくことから、庁内に「人口減少・活力向上対策本部」を設置し、全庁を挙げて取組みを進めているところであります。
本県人口は、平成11年をピークに国に先行して減少しており、国立社会保障・人口問題研究所のデータに基づく推計によると、このままでは、平成72年の本県人口は60万人程度まで減少すると見込まれ、地域経済の縮小、地域活力の低下等が懸念されております。
こうした中、先月30日に、県議会はもとより、各界各層の皆様にご協力をいただき、平成72年の本県人口を約76万人に維持するなどの本県人口の将来展望を示す「かがわ人口ビジョン」と、今後5か年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策を示す「かがわ創生総合戦略」を策定することができました。関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
ビジョン等の策定に当たっては、何よりもまず、本県人口の現状や人口減少がもたらす影響等について、県民の皆様と認識を共有することが重要と考え、県議会や「かがわ創生総合戦略策定懇談会」での議論に加え、市町、金融機関との意見交換等多くの関係者の方々に関わっていただき、幅広い視点に基づき策定できたものと考えております。
今後は、「かがわ創生総合戦略」に掲げる目標の達成に向けて、若い世代の希望を実現し、出生率を向上させる施策などに積極的に取り組み、将来的には、安定した人口構造を実現し、次世紀には人口増社会を展望できる「持続可能な香川県」を目指してまいりたいと考えております。
第2点は、新たな財政運営指針についてであります。
ご案内のとおり、本県財政については、地方消費税率の引上げ等により一般財源総額の増額は見込まれますが、社会保障の充実・安定化に使途が限定されている地方消費税率引上げによる増収分を除く一般財源総額は、依然、三位一体改革以前の水準までに回復しておらず、厳しい状況が続いております。
今後におきましても、少子高齢化の進行に伴う社会保障関係経費や公債費などの増額が見込まれる一方、国の財政健全化に伴う地方財政制度の見直しの動きが見られるなど、地方交付税等の財源見通しも決して楽観できる状況にはなく、何らの対策も講じなければ、平成28年度から32年度までの5年間で835億円の財源不足が見込まれています。
こうしたことから、引き続き計画的な財政運営を行っていくため、今年度で計画期間が終了する「財政運営計画」に代わり、平成28年度から32年度までを対象期間とした新たな「財政運営指針」を策定したところであります。
指針では、現時点で可能と考えられる歳入確保策及び歳出抑制策を講じ835億円の財源不足を解消し、収支均衡を図るとともに、一層の施策の選択と集中を図り、現在策定中の「新・せとうち田園都市創造計画(案)」に掲げる施策を積極的に推進していくため、5年間で50億円の財源を捻出していくこととしております。また、次世代への責任の視点に立って、将来に過度の負担を残さない持続可能な財政運営に取り組んでいくため、毎年度の臨時財政対策債を除く県債残高の減少を図ることはもとより、期間中に臨時財政対策債を含む県債残高全体の減少を目指してまいります。
平成28年度予算の編成に当たりましては、この「財政運営指針」に沿って、財政健全化に向けた取組みを行いつつ、限られた財政資源を効率的に活用することにより、本県の将来の発展のために必要な課題に対して、全力で取り組みたいと考えております。
第3点は、交通死亡事故の抑止についてであります。
今年の県内の交通事故の状況については、人身事故及び負傷者数は昨年に比べ減少しているものの、年初から死亡事故が多発し、一時は人口10万人当たりで全国最悪になるなど、まさに非常事態となっておりました。
このため、6月議会においては、緊急的かつ効果的な広報・啓発活動や、交通安全施設等の緊急整備を行うための補正予算をご議決いただき、直ちに取組みを実施した結果、5月末から8月初旬まで、過去最長の連続67日間にわたり、死亡事故が発生せず、県内の交通情勢は小康状態となっておりましたが、9月には死亡事故が相次いだことから、県全域を対象とした「交通死亡事故多発全県警報」を発令するなど、再び、厳しい状況となっております。
私といたしましては、交通事故の犠牲となることが多い高齢者を中心に、また、運転技術が未熟であったり、交通安全意識が薄い場合が見受けられる若い世代にも力点を置いて、切れ目なく事故抑止対策を展開する必要があると考えており、来月から「年末年始の交通安全県民運動」を実施するとともに、県警察による交通指導取締りのより一層の強化など、関係機関との緊密な連携のもと、死亡事故の抑止に全力で取り組んでまいります。
これから慌ただしくなる年末年始を控え、また、日没も早くなっていることから、重大事故の発生が懸念されますので、どうか県民の皆様にも交通ルールの順守と交通マナーの実践に、より一層努めていただきますようお願い申し上げます。
さて、今議会に提案いたしました議案は、平成27年度一般会計補正予算議案など41議案であります。
第1号議案の一般会計補正予算について、その主な内容をご説明いたします。
まず、G7香川・高松情報通信大臣会合関連事業については、G7香川・高松情報通信大臣会合の警備に必要となる装備や設備の整備等を行うとともに、会場となる国際会議場等の設備整備を行おうとするものであります。
次に、地方創生関連事業については、大学生等の地方定着の促進を図るため、日本学生支援機構の奨学金を活用して、新たに取り組む奨学金返還支援制度の周知等に必要な経費を奨学金特別会計へ繰り出すほか、平成28年4月からスタートする子育て支援パスポートの全国共通展開や、県民生活及び県内産業の物流等に重要な役割を果たす宇高航路に対する支援、国際協力機構(JICA)と連携した国際協力活動の推進に必要な経費を補正しようとするものであります。
これらに加え、県内経済の状況や、夏の台風被害、施設の老朽化への対応等を踏まえるとともに、今後の財政状況も見据えながら、地域と経済の活性化策を講じることとし、その対策経費を補正予算として提案しております。
具体的には、県単独の公共事業として、道路関係で、道路の拡幅や線形改良等に加え、台風で被害を受けた県道善通寺綾歌線の中方橋について、災害復旧事業に併せて橋梁の拡幅及び耐震化を行うほか、河川の護岸工事や河床整理、砂防施設等の整備、港湾施設の改良や維持修繕、漁港施設の整備、森林荒廃地の整備などを実施するとともに、県有施設の改修や、老朽化した機器の更新を行うなど、46億円余の補正予算を計上し、地域と経済の活性化に努めたいと考えております。
以上が歳出の主要なものでありますが、これらにより、今回の一般会計の補正予算の総額は、48億2,700万円余となり、その財源は、財政調整基金からの繰入金26億3,900万円余、県債20億2,700万円、分担金及び負担金1億2,400万円余などとなっております。
また、G7香川・高松情報通信大臣会合の開催に併せて実施するICTフォーラム等の経費について、債務負担行為を設定し、会合の開催機運の醸成とICTの利活用の促進等を図ってまいりたいと考えております。このほか、香川県青年センターなどについて、指定管理者制度により来年度から5年間の委託を、さらに、旅券業務について、来年度から3年間の委託を行うこととし、債務負担行為を設定しようとするものであります。
第2号議案は、特別会計補正予算であり、駐車場事業特別会計において、G7香川・高松情報通信大臣会合に併せた設備整備等を行うほか、奨学金特別会計において、大学生等の地方定着を図るための奨学金返還支援制度の周知等に必要な経費を補正しようとするものであります。
第3号から第6号議案については、新規の条例制定であります。
第3号議案は、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴い、個人番号を利用できる県独自の事務や特定個人情報の庁内利用等を、第4号議案は、行政不服審査法の改正に伴い、第三者機関への諮問手続が新設されることから、その諮問機関の組織及び運営に関し必要な事項を、第5号議案は、地域再生法に基づく「香川地方活力向上地域特定業務施設整備促進プロジェクト」の地方活力向上地域において、本社機能を有する事務所等を新増設した事業者に対する事業税等の特別措置を、新たに定めようとするものであります。
第6号議案は、予算説明の中で申し上げました、大学生等の地方定着を図るための奨学金返還支援制度を運営していくため、基金条例を制定しようとするものであります。
第7号議案は、行政不服審査法の改正により、不服申立ての手続きが審査請求に一元化されることに伴い、関係条例について引用条項を改めるなど、第8号議案は、地方税法等の一部改正に伴い、徴収猶予について必要な手続きを定めるなど、所要の改正を行うものであります。
第9号議案は、第5号議案に関連しますが、本社機能等を担う地方拠点強化施設を県内に設置する企業に対する助成措置や県税の特別措置を規定するため、企業誘致条例及び企業誘致のための県税の特別措置条例の改正を行うものであります。 第10号議案は、第3号議案に関連しますが、住民基本台帳法の一部改正に伴い、県が独自に個人番号を利用する事務について、知事が本人確認情報を利用する事務に加えるなど、所要の改正を行うものであります。
第11号議案は、採石法等の一部改正に伴い、第12号議案は、職業能力開発促進法の一部改正に伴い、所要の改正を行うものであります。
第13号から第18号議案までは、「新・せとうち田園都市創造計画」等の策定について、香川県行政に係る基本計画の議決等に関する条例に基づき、それぞれ議会の議決を得ようとするものであります。
第19号議案は、三本松高校校舎棟改築工事の工事請負契約の締結について、第20号から第40号議案までは、香川県青年センターなど21の指定管理者の指定について、それぞれ議会の議決を得ようとするものであります。
第41号議案は、平成28年度において香川県が発売する全国自治宝くじ及び西日本宝くじの総額を定めるものであります。
以上、提案いたしました議案につきまして、その要旨をご説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、ご審議の上、ご議決賜りますようお願いいたしまして、説明を終わります。
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