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平成28年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び平成28年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
先月、人口に関する2つの調査結果を発表いたしました。一つは、昨年秋に実施した国勢調査の県人口の速報であります。結果は、97万6,756人で、平成12年の調査以降4回連続減少と非常に残念なものとなりました。もう一つは、平成27年の香川県人口移動調査の発表で、人口の転入・転出者の動きを示す社会動態は481人増と、平成11年以来16年ぶりの増加とこちらは久しぶりに明るい結果となりました。なお、この調査は、海外を含む県外との移動を示しており、同時期に総務省が日本人の日本国内の移動をまとめた住民基本台帳人口移動報告では、本県は492人の転出超過となっておりますが、転出超過幅が拡大する県が多い中、中四国では本県と島根県のみが縮小しております。
私は、知事就任時に、人口の自然動態、社会動態ともに減少が続く香川の現状に危機感を覚え、人口減少対策こそが、県政の最優先課題であると認識し、これからの香川づくりには、活力ある産業づくりと働く場の確保、生涯を通じた安心の確保、たくましい人づくりと魅力ある地域づくりが必要と考え、それらを基本方針とする「せとうち田園都市香川創造プラン」を平成23年10月に策定し、これまで全力で取り組んでまいりました。
今年度は、そのプランの最終年度となる年であり、成果を実感できるまでには至っていないものの、これまでの5年間に蒔いた種が、徐々に芽吹きはじめたのではないかと考えております。
しかしながら、今後も、当分の間、人口総数の減少が続くことは避けて通れない現実であり、生産年齢人口の減少や地域活力の低下など様々な弊害が懸念され、人口減少を抑制するだけでなく、人口減少に対応した社会の構築も重要な取組みとなってきており、これまでの発想や考え方の大胆な転換が求められております。
私は、県政の基本は、国から求められて行動を起こすものではなく、県民を主役に、自らが考え、行動を起こすことであり、そうした意味において、昨年、県民の皆様や県議会の皆様など多くの方に関わっていただき策定した「新・せとうち田園都市創造計画」、「かがわ創生総合戦略」に沿って行動を起こす新年度は、本県の地方創生の大きな一歩となる時期と考えております。また、同時に策定いたしました「かがわ人口ビジョン」では、2060年に約76万人の人口を維持する目標を掲げておりますが、この長期目標の達成に向けて、新年度から本格的にスタートする両計画の中期的な今後5年間の取組みこそが、大変重要なものとなってくると考えております。
目指すべきは、活気あふれる街と美しい自然が隣接し、生涯を通じて安心して生活できる環境の中で、人々が生きがいを見いだし、自らの能力を存分に発揮できる、また、その魅力に引かれて集いあい、人口の社会増がもたらされる、瀬戸内香川の生活圏域、せとうち田園都市の新たな創造であります。
そのため、引き続き、「着々寸進、洋々万里」の気概を持って、地に足をつけながら、未来に向かって、私自ら先頭に立ち、県政の課題解決に向けて取り組んでまいります。
さて、計画初年度の具体の取組みであります平成28年度当初予算は、人口の社会増を確実なものとする「活力あふれる香川」をめざして、移住・定住の促進、戦略的な産業振興や産業基盤の充実、交流人口の拡大などに取り組み、また、長期的な人口減少の抑制に向け「安心につなげる香川」をめざして、子育てに伴う経済的負担の軽減対策や民間住宅耐震化対策の制度拡充、高齢者の交通死亡事故抑止対策などに取り組み、さらに、子どもたちや県民の夢や笑顔を守る「未来を育て笑顔で暮らせる香川」をめざして、学校現場の充実や教育環境の整備、女性の活躍促進などに重点を置く「人口減少克服・地域活力向上をめざす予算」として編成いたしました。
平成28年は、申年であります。「申」という字は、もともとは伸びるという字の原字とされています。年初来、内外にわたり様々な課題が生じておりますが、これまで、先人たちの英知とたゆまぬ努力により、多くの困難を克服し、発展してきた成果を着実に伸ばしながら、笑顔で暮らせる郷土香川を実現するため、県議会はもとより、県内の8市9町との、より密接な連携のもと、誠心誠意、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
以上、所信の一端を申し述べました。
続きまして、上程されました当初予算案について御説明いたします。
平成28年度の予算編成においては、現下の地域経済の動向を踏まえるとともに、「新・せとうち田園都市創造計画」に掲げる本県の将来の発展に資する施策に限られた財源を重点的に配分してまいりました。その結果、平成28年度の一般会計予算の規模については、県立高校の再編整備が最終年度を迎え本格化することや、国の補正予算の活用等もあり、前年度を104億円程度上回る規模となりました。
一方、昨年11月に策定した「財政運営指針」に沿って、施策の選択と集中の徹底など財政健全化に向けた取組みを行い、目標とする臨時財政対策債を除く県債残高は減少する見込みであり、財政規律にも意を用いたものとなっております。
また、歳入面においては、緩やかな景気回復に伴う法人業績の改善等による法人事業税や地方消費税の増収が見込まれることなどから、地方交付税の振替え措置である臨時財政対策債は減少するものの、平成28年度の一般財源総額としては、約32億円増加するものと見込んでおります。
なお、同時に編成を進めました平成27年度補正予算は、国の補正予算に伴う対応として、少子化対策など喫緊の課題への対応や地域経済活性化への対応を進めるほか、経済対策基金の有効活用を図るための減額を行い、50億円余を計上することとしており、その内容につきましては、後ほど、御説明いたします。
それでは、平成28年度の主要な施策について、申し上げます。
第1は、「成長する香川」についてであります。
「戦略的な産業振興を図る」としては、本県経済の今後の成長のエンジンとなる分野において、本県ならではの地域資源、技術等を生かした重点的なプロジェクトを展開することとしており、まず、「かがわ希少糖ホワイトバレー」プロジェクトでは、香川大学での寄付研究や、産学官が連携した共同研究の推進による希少糖拠点機能の強化に取り組むとともに、県内企業に対して、希少糖商品の開発や希少糖生産に係る支援に加え、新たに希少糖生産技術の習得を支援するほか、国際見本市への出展や百貨店等での希少糖商品の販売など、県内外での情報発信に取り組み、香川の希少糖ブランドの確立を進めてまいります。
次に、オリーブ産業強化プロジェクトでは、全国トップにある本県オリーブ産業の地位を確たるものとするため、オリーブの生産振興はもとより、「かがわオリーブオイル品質表示制度」の普及・定着によるオリーブオイルの高品質化、全国をリードする香川発のオリーブ商品群の開発を促進するなど、ブランド力の強化を総合的に推進するとともに、小豆オリーブ研究所での品種育成や生産技術の高位平準化を図るほか、オリーブ牛、オリーブ夢豚、オリーブハマチなどオリーブを活用した畜水産物の計画的な生産拡大を推進いたします。
K−MIX関連産業育成プロジェクトでは、産学官の連携により、医療・福祉分野でのニーズに応じた健康関連製品開発への支援を行うとともに、医療機関や福祉施設と県内企業とのマッチングなどにより健康関連産業の創出に取り組むほか、新たに、K−MIXを活用し、介護サービス事業者と医療機関等が情報交換を円滑に行うことができるよう、モデル事業を実施、検証し、普及拡大を図ってまいります。
ものづくり「温故知新」プロジェクトでは、県内企業の競争力強化を図るため、昨年4月に連携協力協定を締結した産業技術総合研究所との共同研究に取り組む県内企業への支援を新たに行うとともに、革新的ものづくり技術である3D(三次元)積層造形技術関連産業などの成長分野等への進出を支援するほか、大手企業との展示商談会を開催するなど、県内企業の有望技術の発掘から製品化、販路開拓まで切れ目のない支援に取り組みます。
また、地場産業では、手袋、石材、漆器、うちわの4品目について、組合等が行うブランド化に向けた取組みや、事業者による新商品開発を支援してまいります。
県内企業の海外展開支援については、引き続き、今後成長が期待される東南アジアと直行便の就航している中国・上海や台湾を中心に、現地情報の提供や商談会の開催などに取り組むとともに、ジェトロと連携して、海外展開に関心のある県内企業等が積極的に海外展開に踏み出せるよう、検討段階に応じたきめ細かな情報提供や相談支援を行うほか、海外展開を担う人材の育成に努めます。
さらに、今月4日に署名された環太平洋パートナーシップ(TPP)協定が発効した場合、県内企業にとりましてもオープンな世界へ果敢に踏み出す大きなチャンスとなり得ることから、TPP協定の活用に向けた実務講座や国際見本市等への出展支援などを行い、県内企業がTPPの効果を最大限享受できるよう、積極的な支援に努めます。
企業誘致については、私自身が直接、企業のトップにお会いして、本県の優れた立地環境をPRするとともに、各市町などとも連携し、ワンストップサービスの一層の充実に努め、優良企業の立地促進や立地企業が操業しやすい環境整備に取り組んでまいります。
金融対策としては、新規創業融資及びフロンティア融資の保証料負担を引き続き軽減するなどの県独自の対策を講じ、新規創業や新事業進出等の促進を図るとともに、新たに「BCP(事業継続計画)策定企業融資」を創設するなど、中小企業への事業資金の円滑な供給に努めることにより、経営の維持安定を図ります。
また、後継者不足などで事業の存続に悩みを抱える県内企業の円滑な事業承継を支援するため、商工会・商工会議所や事業引継ぎ支援センターとも連携し、セミナーや経営指導員研修の開催など、事業承継に係る相談支援体制の連携・強化を図ります。
次に、「雇用対策を推進する」については、県内企業における人材確保のニーズに対応するため、「かがわ就職・移住サポートセンター」を中心としたマッチング支援や合同就職面接会を開催するとともに、県内企業の魅力を伝えるため、就職活動前のインターンシップや企業見学を実施するほか、就職指導専門のジョブ・サポート・ティーチャーの配置や社会人を活用した授業の実施など高校生へのキャリア教育の推進により、雇用のミスマッチの解消に努めてまいります。
また、新たに、香川労働局と連携して、新卒者の県内就職状況や意識に関する調査を実施し、若者の雇用対策の充実を図るとともに、若者はもとより、女性、中高年、留学生といった多様な人材を、研修や職場実習等により、県内企業の正規雇用につなぐことで、次代を担う産業人材の確保を図ってまいります。
さらに、建設労働者の高齢化や若年労働者の不足が進んでいる現状を踏まえ、将来の担い手に向けた魅力発信を行うとともに、若年建設労働者の職業訓練や資格取得を支援することにより、建設業の担い手の育成と確保を目指します。
次に、「移住・定住を促進する」については、これまでの「空き家バンク制度」を活用した空き家改修補助等の取組みに加え、新たに、県外からの移住者に対する賃貸住宅借上げ家賃等の助成制度や、市町が行う移住・定住者用住宅の整備費用の一部を助成する制度の創設により、移住者等の住宅環境の整備を進めていくほか、引き続き、「かがわ暮(ぐ)らし」による情報発信をはじめ、東京や大阪での移住フェアやセミナーの開催、県外大学生等のUJIターン就職を促進するための個別就職相談、マッチング支援、移住体験ツアーの開催など、市町と密接に連携しながら、きめ細かな対策を講じてまいります。
また、県独自の大学生等奨学金制度に加え、昨年新たに創設した日本学生支援機構の奨学金を活用した奨学金の返還を支援する制度と二本立てで実施することで、大学生等のより一層の地元定着を図ります。
次に、「豊かな地域資源を生かして交流人口の拡大を推進する」については、国土交通大臣が認定する「観光圏」の一つとして昨年4月に認定された「香川せとうちアート観光圏」を生かして、滞在交流型観光を推進するほか、観光客の満足度と利便性の向上を図るため、全県的な「観光香川おもてなし運動」を展開するとともに、魅力ある観光情報の提供や、無料Wi−Fiスポットの拡大、瀬戸内海国立公園内のトイレの整備などにより、観光客の受入態勢を整備してまいります。
また、引き続き、本県の認知度やブランド力を向上させるため、本県特有のさまざまな魅力等を紹介するプロモーションコンテンツの制作や、観光だけでなく、アートや食なども含めた、分野にとらわれない一体的かつ効果的な情報発信を行います。
さらに、海外からの誘客活動については、高松空港の定期路線就航先であるソウル、上海、台北に加え、乗り継ぎによる誘客が期待できる香港やタイなどを対象に、現地旅行会社等と密接に連携しながら、対象国・地域の最新の動向やニーズ等に応じた戦略的な情報発信・誘客活動を実施するとともに、多言語での情報発信や観光案内所での外国人対応の充実など、受入態勢の一層の充実・強化に努めます。
加えて、「G7香川・高松情報通信大臣会合」開催による本県の知名度向上と蓄積したノウハウを最大限に生かし、官民一体となってMICE誘致を推進してまいります。
次に、「攻めの農林水産業を展開する」についてであります。まず、中核となる担い手の確保・育成については、意欲ある人材を確保するため、県内外における就農・就業相談会の実施や、新規就農者に対する機械・施設等の初期投資の負担軽減や経営感覚の醸成、発展段階に応じた生産技術や経営改善、さらには、規模拡大等による経営基盤の強化など、就農から定着までの一貫したサポート体制を強化することで、次世代の力強い担い手へと誘導してまいります。
また、地域農業発展の一翼を担い、力強い担い手として女性の能力を最大限に発揮できるよう、次世代のリーダーとなり得る女性農業経営者を育成します。
農地の集積・集約化については、農地中間管理事業を積極的に活用し、これまでの個々のマッチングに加えて、集落営農の推進、基盤整備事業の推進、多面的機能の維持等との連携強化を図りながら、一体的に施策を推進することで、面的集積や担い手ごとに分散している農地の集約化を促進します。
魅力ある農産物の生産・流通・販売については、さぬき讃フルーツやオリーブなどの県オリジナル品種や栽培技術の開発、農作業支援体制の構築などにより、高品質で特色のある農産物の生産拡大を推進するとともに、多様化する消費者ニーズに対応した魅力ある農産物のブランド化や需要の拡大を促進するため、市場や消費者へのPR活動を強化するほか、契約取引や輸出の促進などにも取り組みます。
林業については、森林管理道などの路網の整備や、森林施業の集約化、高性能林業機械の導入などにより、搬出間伐などの森林の整備を推進するとともに、公共建築物等での県産木材の利用や県産木材製品のPRを行い、その利用促進に努めてまいります。
水産業の振興については、新たに、新規就業者の独立当初の生活安定のための給付金交付制度を設け、就業者の定着を支援するとともに、地魚の販路拡大支援や、ICTを活用した養殖管理システムの導入による養殖魚の品質向上に取り組むほか、消費者のニーズを踏まえた食材・料理方法や利用しやすい水産物の情報発信を行い、生産、消費の拡大と、販売強化を図ってまいります。
次に、「県産品のブランド力の強化・販路拡大を図る」については、県産品の認知度向上と消費拡大を図るため、「食の大博覧会」に代わる、新たな県民参加の「県産品料理コンテスト(仮称)」を開催するほか、引き続き量販店等と連携した販売促進活動などを実施するとともに、「かがわ物産館・栗林庵」及び「せとうち旬彩館」を活用しながら、県産品のブランド力の強化に努めてまいります。
また、香川漆器、庵治石などの伝統的工芸品や地場産品等の情報発信を強化し、首都圏におけるフェアの開催等により国内での販路拡大を図るとともに、盆栽については、EU圏での認知度向上や販路拡大を図るため、「かがわ県産品振興機構」と連携しながら、海外バイヤーの招聘などを通じて、多様な取引先の確保等を推進いたします。
私自身も積極的にトップセールスを行い、「食」や「地場産品」をはじめとした県産品のブランド力の強化と販路拡大を強力に推進してまいります。
次に、「四国における拠点性を確立する」についてであります。
現在、週4往復で就航している高松・台北線については、本年3月21日から週6往復に増便されることとなり、利用者の利便性が大きく向上することから、地域経済の活性化に資するよう、上海線、ソウル線等も含め、引き続き利用促進に取り組むとともに、利便性の向上を図ってまいります。あわせて、戦略的な空港運営の実現に向けて、空港経営改革の検討にも引き続き取り組んでまいります。
また、高松空港へのアクセスの向上や定時性の確保のため、高松西インターチェンジから高松空港に至る空港連絡道路について、ことでん琴平線や国道32号等との部分立体高架工事と平面部の4車線化工事を推進するとともに、高松自動車道の高松東インターチェンジから鳴門インターチェンジの4車線化や国が管理する国道11号大内白鳥バイパスなどの早期の完成に向けて、整備の促進に努め、国道377号、県道太田上町志度線など香川の発展に必要な幹線道路の整備も引き続き進めてまいります。さらに、高松港朝日地区における国際物流ターミナルの整備の推進、地域公共交通の確保・維持・改善、四国への新幹線の理解を深めるための啓発活動等に取り組んでまいります。
第2は、「信頼・安心の香川」についてであります。
まず、「「子育て県かがわ」の実現をめざす」については、多子世帯の子育てに伴う経済的負担をより一層軽減するため、保育所等の利用料の無料化の範囲を拡大し、現行制度に幼稚園等を加えるとともに、所得に応じて、第3子以降の3歳以上就学前までの利用料を減免します。
待機児童対策としては、新たに、市町と連携して、入所定員を増加させるため保育士を配置する私立保育所等を支援するなど、保育士等の人材の確保を図ってまいります。
このほか、県独自の大学生等奨学事業や、高等学校等就学支援金や低所得世帯の高校生等に対する奨学のための給付金などで、子育て家庭の経済的負担の軽減を図るとともに、放課後児童クラブ等の運営を支援するなど、次代を担う子供たちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現を目指してまいります。
次に、「健康長寿の香川をつくる」については、子どもから高齢者までのライフステージに応じた望ましい生活習慣の普及啓発により、がん・糖尿病などの生活習慣病の予防を推進するとともに、特に働く世代のがん検診・特定健診の受診率向上を図るため、従業員やその家族の健康づくりに積極的に取り組む中小企業の活動を支援するなど、生涯を通じた健康づくりに取り組んでまいります。
また、がんになっても安心して暮らせる環境づくりのため、がん患者をはじめとする県民、医療関係者、行政関係者等が一堂に集い、シンポジウムや相談会などを行う「かがわがんサミット(仮称)」を開催するなど、がんやがん患者に対する県民の理解の促進に努めてまいります。
次に、「切れ目ない安心な医療体制をつくる」についてであります。
まず、医師確保対策については、引き続き、医学生への修学資金の貸付や臨床医確保に向けた取組みを行うほか、精神科医師の確保のため、大学、県内精神科病院等と連携して、精神科専門医及び精神保健指定医取得のためのプログラムを推進するとともに、精神科医師を確保する公立病院等を支援してまいります。
看護職員の確保対策については、県内医療機関等において看護職員が不足している状況を踏まえ、現行の看護学生修学資金貸付制度を改正し、返還免除制度を設けることなどにより、貸付を受けた看護学生の県内医療機関への就業をより効果的に促進してまいります。
感染症対策については、エボラ出血熱などの新興感染症や、新型インフルエンザなどの感染症患者発生時に、良質で適切な医療の提供が図れるよう、第一種感染症指定医療機関を整備し、感染症に関する医療提供体制の構築、強化充実に努めるとともに、迅速な患者搬送や入院措置等の体制の強化を図ります。
また、各地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を適切に推進するため、「地域医療構想」を策定するとともに、地域医療介護総合確保基金の活用等により、県民の皆様が各地域でそれぞれの状態に応じた適切な医療を受けられる体制の構築に向けて取り組んでまいります。
県立病院では、今定例会に提案いたしております、来年度からの5年間を目標期間とする「第3次県立病院中期経営目標」に基づき、病院事業管理者のもと、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
次に、「高齢者や障害者が地域で安心して暮らせる社会をつくる」についてであります。
高齢者施策については、認知症予防に効果があるとされる「運動・栄養・社会交流」の三位一体による認知症予防に向けた取組みを全県展開して普及を図るとともに、第6期高齢者保健福祉計画に則し、介護サービスの質の向上や給付の適正化、介護サービスを支える人材の確保・育成などに取り組み、医療・介護・予防・住まい・生活支援が継続的かつ包括的に提供される地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。
障害者の地域生活支援と就労・社会参加の促進については、第4期かがわ障害者プランに基づき、圏域ごとの相談支援機能の強化を図るとともに、一般就労の促進や福祉的就労における所得の向上、香川県障害者スポーツ協会を通じた障害者スポーツの振興などに取り組むほか、障害者差別解消法の施行に伴い、障害者差別に関する相談窓口の設置や、障害や障害者に対する県民のより一層の理解促進を図り、障害者差別解消を推進してまいります。
さらに、人権が尊重される社会の実現を目指し、「香川県人権教育・啓発に関する基本計画」に沿って、人権教育の充実や効果的な啓発活動の積極的な展開を図るとともに、人権に関する相談窓口を活用した人権擁護活動の推進に努めてまいります。
次に、「周到な防災・減災対策で災害に備える」については、南海トラフ地震や大規模な風水害などの危機の発生に備え、発災時に迅速に初動体制を確立し的確な災害対応ができるよう、県庁5階の災害対策本部室等を拡充強化するとともに、先端的減災技術の活用や地域防災力の一層の向上を図るため、香川大学と共同で地域強靱化に関する研究事業に取り組むほか、引き続き、市町や防災関係機関と連携しながら、県民の防災意識の向上や、自主防災組織への積極的な支援などを進めます。
また、大規模な地震等における県民の安全を確保するため、市町と連携しながら、住宅耐震化への補助制度を拡充し、その利用促進を図るとともに、老朽化して危険な空き家の除却に取り組む市町を支援してまいります。
ため池については、「老朽ため池整備促進 第10次5か年計画」に基づき、海岸堤防や河川堤防については、「地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に基づき、それぞれ、計画的に対策工事を進め、県民の皆様の安全・安心の確保に努めてまいります。
さらに、私立学校の生徒等の安全・安心の確保を図るため、私立学校の施設の耐震化に対する助成制度を延長し、耐震化を促進するとともに、防災拠点施設である県庁舎東館について、基礎免震による耐震改修を進めてまいります。
次に、「安心につながる社会資本を整える」については、道路、河川、港湾等社会資本の計画的な整備を図るとともに、公共土木施設の長寿命化計画の策定や計画的かつ効率的な補修工事に取り組むなど、老朽化対策を推進します。
また、高松市総合都市交通計画推進協議会において計画が進められている、ことでん三条、太田駅間の新駅整備等を支援してまいります。
安定した水資源の確保と供給については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、安全で良質な水を安定的に供給するため、地震などの災害に強い県営水道の構築に向けて、水道施設の更新・耐震化を推進するほか、水道事業の広域化の実現に向けて、県と市町が参加する「香川県広域水道事業体設立準備協議会」において、具体的な協議を進めてまいります。
次に、「交通事故・犯罪のない安全安心な香川をつくる」についてであります。
本県における交通死亡事故は依然として多発傾向にあることから、交通死亡事故の抑止を県政の重要課題として、効果的な広報啓発や交通安全教育、交通安全施設等の整備、交通指導取締りなど、これまでの対策をさらに強化するとともに、新たな対策にも全力で取り組んでまいります。
特に、交通事故の犠牲となることが多い高齢者に対して、新たに、先進安全自動車の普及促進のための支援制度を創設するほか、引き続き、世帯訪問活動の実施や高齢者運転免許自主返納者優遇制度の充実を図ります。
また、ビッグデータを活用した交通安全対策など先進技術を活用した事故抑止対策に取り組むとともに、すべての高校生を対象に自転車運転免許証制度の運用を行うなど、効果的な取組みを積極的に実施いたします。
さらに、自転車歩行者道の整備や交差点改良、歩道のバリアフリー化、自転車通行空間等の計画的な整備に加え、交通事故多発交差点等において、道路標識、標示の高輝度化・カラー化や交差点のカラー舗装化を行うとともに、速度違反による重大事故防止のための速度感応型信号機の設置など、交通安全施設の整備を計画的に行い、安全で快適な交通環境の整備を推進してまいります。
地域の犯罪抑止力の強化に向けては、年々、悪質・巧妙化する特殊詐欺の抑止対策として、被害の大半を占める高齢者をはじめ幅広い年齢層を対象に、特殊詐欺についての関心を高めるための川柳コンクールを開催するとともに、高齢者防犯教室を実施するなど、社会全体の抵抗力を高める取組みを進めます。
また、新たに、市町や自治会等を対象に、防犯カメラの設置にかかる費用の一部を補助することにより、防犯環境の整備を推進し、地域住民の安心感の醸成を図ってまいります。
第3は、「笑顔で暮らせる香川」についてであります。
まず、「香川の将来を担う子どもたちを育てる」についてであります。
小中学校では、少人数指導、少人数学級、学力向上基盤形成の3つの柱から成る香川型指導体制を基本に、児童生徒の多様な実態に応じた指導方法や体制を工夫し、個に応じた指導の充実を引き続き図るとともに、魅力的な授業づくりに取り組み、児童生徒の学力向上を図ります。
また、新たに、学校司書が未配置の小中学校に、県が委嘱した学校司書を派遣し、学校図書館の環境整備や授業での図書資料活用等を支援することにより、市町の主体的な学校司書配置の促進を図るとともに、教員の多忙状態解消を目的として、様々な校務運営事務に従事する校務支援員をモデル的に配置する市町に対し支援を行い、教員が児童生徒の指導に一層専念できる体制の構築をめざしてまいります。
児童生徒の問題行動に対しては、未然防止や早期発見、早期対応を図るため、スクールカウンセラーのすべての小中学校への配置や、スクールソーシャルワーカーの効果的な活用、警察官OB等からなるスクールサポートチームの学校への派遣などを引き続き実施し、いじめ・不登校の解決や高校中退の解消などに取り組んでまいります。
家庭と地域との連携による教育力の向上については、家庭教育の重要性についての広報啓発に努めるとともに、子どもの自立を促す取組みを行うほか、地域の多様な人材等を活用して、放課後子供教室や学校支援ボランティアなどの取組みを進めます。
県立高校では、各学校の創意工夫による香川の活性化につながる教育プランの実践や、高校生による香川漆芸のPR活動など、特色ある教育活動を積極的に進めるとともに、新たに、地域における高等学校の教育力の向上が図れるよう教育内容の充実を検討してまいります。
また、多度津高校の大型実習船「香川丸」の代船を大分県と共同で建造し、運航するための準備を進めるとともに、平成29年4月の開校に向けた小豆地域や三豊・観音寺地域における統合高校の整備などを進めます。
さらに、香川丸亀養護学校における児童生徒の増加に伴う教室不足を解消するため、校舎棟の増築工事を行うとともに、小豆地域における特別支援教育の充実を図るため、そのあり方について検討してまいります。
次に、「女性が輝く香川にする」については、女性が働きやすい環境整備などを通して、あらゆる分野で女性の活躍の場を大きく広げ、女性が輝く香川の実現をめざし、新たに、男性の家事等参加促進を目的にした事業や、大学・短大等の女子学生が、目標となる県内で働く女性像を模索することを目的にした事業を実施します。
また、女性の安全・安心対策を推進するため、平成29年度に性犯罪被害者等のためのワンストップ支援センターが設置できるよう、準備を進めてまいります。さらに、昨年8月に成立した「女性活躍推進法」の主旨も踏まえ、女性が職業能力を十分に発揮できるよう、働いている女性はもとより、これから働きたい女性を応援するための相談会や各種セミナーを開催するとともに、優良企業表彰や企業へのアドバイザー派遣などを実施し、女性が活躍できる環境づくりを推進してまいります。
次に、「大学と地域の連携を深める」については、県内大学等が自らの特長を生かして行う魅力づくりを支援するための助成を行うとともに、県内大学等のイメージアップを図るための情報発信や県内高校との連携強化など、「大学コンソーシアム香川」が実施する事業等を通じ、魅力ある大学づくりに向けた取組みを促進してまいります。
また、専修学校各種学校の教育活動等に対する理解を深めるため、県内外の高校生や、保護者、教員などを対象とした専修学校各種学校フェアを新たに実施するなど、情報発信の充実、強化を図ります。
次に、「クリーンで快適なふる里をつくる」については、再生可能エネルギーの導入を促進するため、住宅用太陽光発電の設置に対する補助を継続するとともに、温室効果ガスの排出抑制による環境負荷の低減と中枢拠点機能の確保等を図るため、民間事業者が行う水素供給設備の整備を支援いたします。
また、学校や地域における環境教育・環境学習の充実を図り、環境を守り育てていくための人づくりに重点的に取り組むとともに、緑のカーテンを県内でさらに普及させるため、「全国緑のカーテンフォーラム」を開催するほか、家庭や事業所総ぐるみの「省エネ県民運動」を展開するなどにより、省エネルギー行動を促進します。
さらに、瀬戸内海を県民みんなの里海としていくために、本年4月に里海づくりを牽引する人材を養成する「かがわ里海大学(仮称)」を開校するほか、県民参加型の山・川・里(まち)・海をつなげる香川ならではの里海づくりを進めます。
豊島廃棄物等処理事業については、より正確な進行管理と徹底した経費削減を図りながら、県民負担の軽減に努め、調停条項で定められた平成28年度末までの廃棄物等の全量処理に向けて、引き続き、直島町と豊島住民の方々、県議会をはじめ県民の皆様の格別の御理解と御協力を得て、最後まで、安全と環境保全を第一に全力で取り組んでまいります。
また、深刻化するイノシシなどの有害鳥獣被害に対応するため、県主体の捕獲事業を拡充して実施するとともに、ITを活用した先進的な捕獲システムの確立に取り組むほか、市町が行う捕獲助成に対する補助制度を見直し、対象期間の通年化等を図ります。このほか、人と動物との調和のとれた共生社会を実現するため、動物愛護施策を効率的、効果的に実施できる拠点施設として、動物愛護センターの整備を高松市と共同で進めてまいります。
次に、「農山漁村を元気にする」については、農業者など地域が協働して行う水路やため池等の保全管理活動の促進や、周辺環境や農村景観等に配慮した施設整備により多面的機能、集落機能の維持・発揮に努めるとともに、都市との交流等による地域の活性化を促進します。
平成29年秋に開催される「第41回全国育樹祭」については、開催準備を着実に進めるとともに、森づくりに関するシンポジウムをはじめとするプレイベントの開催や「どんぐり銀行」の活性化等により、県民の参加と協働による県民総参加の森づくりを一層推進するなど、開催機運を盛り上げてまいります。
次に、「アート県の魅力を高める」についてであります。
来月から開幕する「瀬戸内国際芸術祭2016」については、魅力あるアート作品・イベントを地域の人々と協働しながら展開するとともに、特に「海でつながるアジア・世界との交流」、「瀬戸内の『食』を味わう食プロジェクト」、「地域文化の独自性の発信」の3点について、重点的に取り組むこととしており、こうした取組みを通して、国内外の人々との交流をさらに促進し、地域の活性化につなげてまいります。
また、「四国八十八箇所霊場と遍路道」の世界遺産登録に向けて、国内暫定一覧表入りに向けた活動をより一層推進するとともに、札所寺院や遍路道の保護措置のための調査等を進めてまいります。
さらに、県立ミュージアムや東山魁夷せとうち美術館において質の高い展覧会を開催するなど、文化芸術に親しむ機会の充実を図るほか、高度で洗練された独自の技法を有する香川漆芸の認知度向上に重点的に取り組んでまいります。
次に、「スポーツ県をめざす」については、国際舞台で活躍できる本県出身のアスリートを育成するため、これまで豊かなスポーツの素質を持つ小学生を対象として行ってきた「スーパー讃岐っ子育成事業」を中学生まで拡充するとともに、引き続き、将来性豊かな中高生アスリートの育成・強化、本県出身の日本代表候補選手への支援などを行い、ジュニア期から将来の日本代表へと成長させることができる育成・強化システムの構築に努めます。
また、J2参戦3年目となり、将来、J1昇格を目標に掲げるカマタマーレ讃岐、毎年、NPB(日本野球機構)へ選手を輩出している香川オリーブガイナーズや日本アイスホッケーリーグ西日本で11連覇を達成した香川アイスフェローズ、10月からは新リーグであるBリーグに参戦する高松ファイブアローズといった地域密着型スポーツチームの活躍は、多くの県民に夢や感動を与えるとともに、本県のスポーツ振興や地域の活性化に大きく貢献しており、県と市町が協力して取り組む各チームへの活動支援等を通じて、県民のチームに対する愛着を育み、応援する機運の醸成に努めてまいります。
新たな県立体育館については、有識者やスポーツ団体等からの意見をいただきながら、機能、規模などの検討を進めており、基本的な考え方を整理し、県議会の議論を踏まえながら、基本計画の策定に取り組んでまいりたいと考えております。
以上、御説明しました内容により編成した平成28年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,710億500万円となり、特別会計は、母子父子寡婦福祉資金など17の特別会計で、総額2,330億8,400万円余の予算となっております。
病院事業会計は、収益的支出が254億7,200万円余、資本的支出が28億3,500万円余、水道事業会計は、水道用水供給事業、工業用水道事業及び五色台水道事業の3会計を合わせ、収益的支出が54億9,800万円余、資本的支出が47億1,100万円余となっております。
次に、第7号議案の平成27年度一般会計補正予算議案について、その主な内容を御説明いたします。
昨年12月18日に閣議決定された国の平成27年度補正予算が、先月20日に成立いたしました。
国の補正予算には、「一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策等」として、地域における結婚に向けた活動の支援や、ひとり親家庭等の支援、地方版総合戦略に基づく各自治体の取組みを支援する地方創生加速化交付金などのほか、「災害復旧・防災・減災事業」等が盛り込まれております。
県としても、昨年9月及び11月県議会定例会で御議決いただいた地方創生の取組みや県独自の地域活性化のための補正予算に加え、今回の国の補正予算に基づく事業を効果的に実施することで、少子化対策など喫緊の課題への対応や切れ目のない地域経済の活性化を進めるべく、増額補正を御提案したものであります。
主な事業としましては、地域少子化対策重点推進事業として、結婚を希望する男女の出会い・結婚をサポートする拠点として、結婚サポートセンターを設置し、運営するほか、男性の育児、家事参画等を促進するための講座等を開催いたします。
また、不妊治療について、初回治療の助成費を増額するとともに、新たに男性不妊治療費の助成を行うほか、保育士資格の取得を目指す保育補助者を雇用する私立保育所等に対する貸付や就職に有利な資格を目指すひとり親家庭の親に対する就職準備金等の貸付を行う香川県社会福祉協議会への補助、児童養護施設等における学習環境を整えるためのパソコンの設置を支援いたします。
地方創生加速化交付金事業としては、オリーブ関連農水産物の機能性成分の分析など健康・長寿の産業化モデル事業に取り組むとともに、昨年10月に策定した「かがわ創生総合戦略」に沿って、成長産業の育成・雇用の確保や、移住・定住の促進、交流人口の拡大などに取り組んでまいります。
さらに、経済活動を支える重要な生活基盤である道路整備、地震・津波対策や河川改修、ため池の整備など防災・減災対策の推進を図ります。
また、国からの交付金を子育て支援対策臨時特例基金に積み増す一方、同基金を28年度予算で活用するため、今年度の執行見込みを踏まえた剰余額を減額いたします。
この結果、これら補正予算の総額は、50億4,700万円余となっております。
そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、消費生活センターの組織及び運営に関する事項等を定める「消費生活センターの組織及び運営等に関する条例議案」など新規制定条例が3議案、小豆島高等学校と土庄高等学校、観音寺中央高等学校と三豊工業高等学校をそれぞれ統合し校名を定める「香川県立学校条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が29議案、そのほか、「香川県広域水道事業体設立準備協議会規約の一部変更について」などが17議案、合わせて49議案であります。
以上、平成28年度当初予算関係議案等の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げます。
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