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答申
香川県選挙管理委員会(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
異議申立人は、平成24年9月7日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
異議申立人は、本件処分を不服として、平成24年9月25日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。
「本件処分を取り消すとの決定を求める。」というものである。
異議申立書において主張している理由は、次のとおりである。
意見書による主張は、次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
法第175条には、市町村選挙管理委員会は選挙の種類に応じ投票所内に公職の候補者の氏名等の掲示をしなければならない旨の定めがあるが、土地改良区の総代の選挙について定める土地改良法(昭和24年法律第195号)及び土地改良法施行令(昭和24年政令第295号)には、法第175条と同様の規定がなく、かつ同法の適用も準用もないことから、土地改良区の総代の選挙においては、投票所内に候補者の氏名等の掲示をすべき義務はない。
したがって、香川用水土地改良区総代選挙において、投票所内に候補者の氏名等の掲示を行わないことを改めて選挙管理委員会等で決定する必要はないことから、選挙管理委員会の会議その他の一切の会議において、こうした決定は行っていない。
このような理由から、本件請求の対象となる行政文書は作成しておらず、かつ保有していない。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。 なお、非公開情報の該当性の判断に当たって、非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。
本件請求は、香川用水土地改良区の総代の選挙に関して、投票所に、国政選挙や地方選挙で行っているような立候補者の氏名の掲示をしないことを決定した会議の記録が記載された行政文書を請求したものである。
審査会で確認したところ、投票所内における候補者の氏名等の掲示について、法第175条では、市町村選挙管理委員会は選挙の種類に応じ投票所内に公職の候補者の氏名等の掲示をしなければならないことを規定しているが、土地改良区の総代の選挙について規定する土地改良法並びに土地改良法施行令には同様な規定及び法を適用又は準用する旨の規定はない。また、土地改良法及び土地改良法施行令には、都道府県選挙管理委員会が投票所内における候補者の掲示について何らかの決定を行うべき規定もないことが確認された。
したがって、改めて投票所内に候補者の氏名等の掲示を行わないことを決定する必要はないことから、会議においてこうした決定は行っていないとする実施機関の主張は是認できる。
なお、異議申立人は、実際の選挙の実施に当たって必要な事項については、法令の規定はなくても実施機関が市町選挙管理委員会に指示をしており、そのような指示については実施機関において決定を行っていることから、実施機関の公開しない理由は誤りである旨を主張している。
実施機関に確認したところ、実施機関は、各市町選挙管理委員会において選挙事務が支障なく実施できるように、平成24年10月3日付け24選第126号の行政文書公開決定により異議申立人に既に公開している一般的な手引きである「平成24年9月10日執行香川用水土地改良区総代選挙執行要領」(以下「要領」という。)を配付するとともに、各市町選挙管理委員会からの個別の相談に応じて必要な助言を行っているが、そのような相談に対する助言について会議で決定した記録はないとの説明であった。実施機関は、各市町選挙管理委員会が行う選挙事務の実施に当たって必要とされる事項については、異議申立人に公開している要領により市町選挙管理委員会にその考え方を示しているところであり、実際の選挙に当たって個別の相談があった場合に、逐一それらの事項について選挙管理委員会の会議に諮っていないことが特に不合理であるとは認められない。したがって、そのことをもって、実施機関の公開しない理由は誤りであるとの主張は当たらない。また、異議申立人は、実施機関が特定選挙管理委員会に対して、投票所において候補者の氏名が分かるような措置を採るように助言をしていること等を主張の根拠として述べているが、本件請求の内容は、投票所に立候補者の氏名の掲示をしないことを決定した会議の記録の公開を求めるものであるので、この点についても異議申立人の主張は当たらない。
条例の解釈、運用に関するものではないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)
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