ページID:4486

公開日:2007年10月17日

ここから本文です。

平成19年10月17日 答申第452号(香川県情報公開審査会答申)

平成19年10月17日 答申第452号

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県小豆総合事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成18年10月13日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。小豆郡○○町○○にある、特定法人の焼却装置に関する一切の書類

2 処分庁の決定

処分庁は、公開請求のあった行政文書として、

  • (1)小豆郡○○町○○にある、特定法人の焼却装置に関する一切の書類のうち産業廃棄物処理施設軽微変更等届出書(平成13年4月10日付け)(以下「本件行政文書」という。)
  • (2)産業廃棄物処分業許可証写し(平成6年1月12日許可年月日)
    を特定し、本件行政文書のうち、法人の印影、運転内容、取引先の情報、機器仕様及び図面が条例第7条第2号に該当するとして、平成18年10月25日付けで本件処分を行い、審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成18年11月13日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第2号の該当性について

条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
本件行政文書のうち非公開とした部分には、法人の印影、施設の運転内容、取引先の情報、機器仕様、図面といった法人情報が掲載されており、これらは法人の内部管理情報又は経営情報であることから、公開することで当該法人の競争上の地位やその他正当な利益を害するおそれがある。これらは条例第7条第2号に該当するものであることから、当該部分を公開しないことを決定したものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書の内容等について

本件行政文書は、特定法人が産業廃棄物処理施設の軽微変更を行ったことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号。以下「施行規則」という。)第12条の10の2の規定に基づき、香川県へその届出を行った際のものである。

3 非公開情報該当性について

  • (1)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
    この基本的な考え方に基づき、処分庁が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)法人の印影について
      印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合には、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
      本件印影は、施行規則に基づいて提出された申請書面に表示されているものであり、当該法人等がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
      よって、本件印影は、内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (b)施設の運転内容について
      審査会で見分したところ、処分庁が非公開とした部分には焼却炉の稼働日数、稼働率が記載されている。当該情報は施設の稼動状況が分かる情報であり、当該法人が焼却炉の効率的な運転をするための技術上のノウハウに関する情報であると考えられる。
      また、他の情報(平均的な処理費用等)をもとに当該法人の経営状況を推測することが可能となる情報であると考えられる。
      よって、これを公にした場合、当該法人の技術上のノウハウを明らかにすることに加え、経営状況を推測させることになり、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (c)取引先の情報について
      取引先の情報として非公開とした部分には、産業廃棄物の受け入れ先に関する情報又は測定依頼業者名が記載されている。
      当該情報は、法人の取引先に係る情報であり、営業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、当該法人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (d)機器仕様、図面について
      審査会で見分したところ、非公開とした部分は、具体的な機器の仕様、施設の図面であった。
      当該情報は、法人の技術上のノウハウに係る情報であり、事業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、同業他社が同様の施設を導入するなど、当該法人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

4 第3の2異議申立ての理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

このページに関するお問い合わせ

総務部知事公室広聴広報課

電話:087-832-3060

FAX:087-831-1066