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公開日:2011年11月21日

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平成23年11月21日 答申第488号(香川県情報公開審査会答申)

平成23年11月21日(答申第488号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

  1. 平成23年3月4日付け22土改第50181号による諮問(以下「平成22年度諮問第11号」という。)について香川県中讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分1」という。)は、妥当である。
  2. 平成23年3月4日付け22土改第50183号による諮問(以下「平成22年度諮問第12号」という。)について処分庁が行った非公開決定(以下「本件処分2」という。)は、妥当である。
  3. 平成23年3月4日付け22土改第50184号による諮問(以下「平成22年度諮問第13号」という。)について処分庁が行った非公開決定(以下「本件処分3」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成22年11月17日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書について合わせて3件の公開請求をそれぞれ行った。

  • (1)平成22年度諮問第11号関係 香川県市××町△△△付近、県道長尾丸亀線●●●●●●●●●●、□□□□~■■■■番地沿の用水路並びに県道長尾丸亀線東西沿線における水路工事における資料、測量図、立会、費用一式(公図、事業費)(以下「本件請求1」という。)
  • (2)平成22年度諮問第12号関係 平成16年度単独県費補助土地改良事業▲▲▲▲地区に係る資料(測量図、境界立会等、公図、登記簿)及び審査、検査資料他本人署名の部分についての個人の情報※写真を含む。(以下「本件請求2」という。)
  • (3)平成22年度諮問第13号関係 ○○市××町字▼▼地区にある▽▽▽出水に係る補助事業等についての入出金を含む検査、監査資料及び工事資料(以下「本件請求3」という。)

2 処分庁の決定

処分庁は、本件請求1から3までに係る行政文書が存在しないとして本件処分1から3までを行い、平成22年11月30日付けで審査請求人にそれぞれ通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分1から3までを不服として、平成22年12月6日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して合わせて3件の審査請求をそれぞれ行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

いずれの審査請求についても「非公開ではなく公開すべきである。」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)平成22年度諮問第11号関係
    現場で工事が行われており、資料が全くないというのは了解できない、県道沿いであるため立会等の資料が存在しないというのは理解できない。利害関係者であるため確認する必要がある。
  • (2)平成22年度諮問第12号関係
    平成16年度の事業についての審査、検査資料がないのはおかしい。事業に係る利害関係者であるため内容を知り実態を知る必要がある。
  • (3)平成22年度諮問第13号関係
    補助事業が何度も行われているのに検査、監査の資料がないというのは理解できない。利害関係者であるため確認する必要がある。

3 意見書について

意見書を求めたところ、平成22年度諮問第10号から平成22年度諮問第14号までに対するものと称する意見書がまとめて提出された。しかし、平成22年度諮問第11号から平成22年度諮問第13号までについてのものと考えられる主張は記載されていなかった。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 平成22年度諮問第11号関係

香川県○○市××町△△△付近、県道長尾丸亀線●●●●●●●●●●□□□□~■■■■番地沿の用水路工事(以下「本件工事甲」という。)については、昭和50年代に工事が施工されたとは考えられるものの、その具体的な実施時期や実施事業主体を特定することができないが、少なくとも中讃土地改良事務所では該当する地番沿いの用水路工事は行っていないため、工事に関する資料、測量図等は存在しない。
次に県道長尾丸亀線東西沿線における水路工事(以下「本件工事乙」という。)については、この付近は、多くの水路があるが、土地改良事業や道路事業で工事を実施したかどうかは不明であり、少なくとも中讃土地改良事務所では該当する工事は行っていない。よって、工事に関する資料、測量図等は存在しない。

2 平成22年度諮問第12号関係

  • (1)「平成16年度単独県費補助土地改良事業▲▲▲▲地区(以下「本件事業」という。)に係る資料(測量図、境界立会等、公図、登記簿)」について
    中讃土地改良事務所においては、土地改良法上の事業認可、単独県費補助事業の補助金交付にかかる事務を行っているが、工事の施行は事業主体が実施している。
    その際に事業主体から提出される文書は、事業認可申請、単県採択申請、交付申請等の時に申請者(事業主体)が添付する資料は、事業認可申請には、施工事由書、事業計画書、平面図、代表者選任届、規約、総会の議事録、同意書、公告証明書、市長の意見書、資金計画書、単県採択申請交付申請には、事業計画概要書、位置図、収支計算書、実施設計書である。
    本件事業は、▲▲▲▲地区共同施行(以下「当該共同施行」という。)が事業主体となり、平成16年度に単独県費補助事業として採択され、平成17年3月に完了した事業である。
    事業主体である当該共同施行代表者から提出された文書は上記のとおりであるため測量図、境界立会等、公図、登記簿等の当該事業の工事実施にかかる資料は存在しない。
  • (2)「本件事業に係る審査、検査資料他本人署名の部分についての個人の情報(写真を含む。)」について
    審査、検査資料については、単独県費補助事業の採択申請時の要件審査や工事完了時の竣工検査に係る行政文書を指していると思われる。
    本件事業は、平成16年度に採択され、その年度に工事完了していることから、採択申請、竣工検査に係る行政文書については、香川県文書規程(昭和38年訓令第3号)により保存期間が5年以下とされており、当該行政文書については、保存期間の満了により廃棄したことから、存在しない。

3 平成22年度諮問第13号関係

一般的に補助事業とは単独県費補助事業を指していると考える。
単独県費補助土地改良事業の対象事業は、かんがい排水事業、農道事業、ほ場整備事業であり、出水整備は、かんがい排水事業として実施している。
本件請求3に係る行政文書である▽▽▽出水(以下「特定出水」という。)の検査資料については、単独県費補助土地改良事業の検査資料等の文書保存期間が5年以下であることから、現存する平成17年度以降の○○市内で実施された単独県費補助土地改良事業の検査復命書を探索したが、特定出水という名称は見当たらなかった。よって、本件請求3の対象行政文書は存在しない。
また、仮に平成16年度以前に、特定出水について、単独県費補助土地改良事業が行われていたとしても本件公開請求に係る文書は廃棄されていることから、本件請求3の対象行政文書は存在しない。

4 結論

以上により、請求対象政文書が存在しないため、それぞれ非公開決定を行ったものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 審査の併合について

平成22年度諮問第11号から平成22年度諮問第13号までは、同一の審査請求人に係るものであり、相互に関連している事案であるため併合して審査する。

3 本件請求対象行政文書の存否について

  • (1)平成22年度諮問第11号関係
    諮問庁は、「本件工事甲及び乙は、いずれもその具体的な実施時期や実施事業主体を特定することができないが、少なくとも中讃土地改良事務所では行っておらず、そのため請求対象行政文書が存在しない。」と主張する。
    この点について、審査会から諮問庁に本件工事甲及び乙を行っていないことをどのように確認したか説明を求めたところ「本件工事甲及び乙については、中讃土地改良事務所の執務室や文書保管倉庫において年度別・事業別に保管している『施設台帳』や『出来高設計書(実績報告書)』に該当するものがないか、年代の古いものから現在に至るまでの全てについて確認したが、請求内容に該当する施設台帳や出来高設計書が存在せず、水路工事を行っていないと判断した。」という説明があったが、諮問庁の当該説明に不自然なところはなく是認できる。
    また、審査請求人は、「県道沿いであるため立会等の資料が存在しないというのは理解できない。」と主張しているが、県道に隣接していることと処分庁が本件工事甲及び乙の実施主体であるかということは関係があるとはいえないため、当たらない。
    当該主張のほかに、請求対象行政文書の存在について審査請求人は具体的な主張をしておらず、その存在を推測させる特別の事情も認められない。
    したがって、「請求対象行政文書が存在しない。」との諮問庁の主張は是認できる。
    以上のとおり、処分庁が本件請求1に係る行政文書が存在しないとして行った本件処分1は妥当であると判断される。
  • (2)平成22年度諮問第12号関係
    • (a)請求対象行政文書について
      諮問庁は、本件請求2の請求対象行政文書について、「本件事業に係る資料(測量図、境界立会等、公図、登記簿)」及び「本件事業に係る審査、検査資料他本人署名の部分についての個人の情報(写真を含む。)」であると考えてその存否を説明している。
      これについて、審査会で検討したところ、本件請求2の行政文書公開請求書(以下「請求書」という。)の「行政文書の名称その他の公開請求に係る行政文書を特定するに足りる事項」欄に記載された文言が不明瞭なため断定はできないものの、その請求書の記載の形態等を善解すれば、審査請求人は、「本件事業に係る資料(測量図、境界立会等、公図、登記簿、写真)」(以下「請求対象行政文書?」という。)、「本件事業に係る審査、検査資料(写真を含む。)」(以下「請求対象行政文書?」という。)及び「他本人署名の部分についての個人の情報(写真を含む。)」(以下「請求対象行政文書?」という。)を請求していると判断された。
      このように、審査会は、請求対象行政文書について諮問庁及び処分庁と見解を異にするものであるが、上記の判断を踏まえ、これらの請求対象行政文書の存否について以下でそれぞれ検討する。
    • (b)請求対象行政文書?について
      諮問庁は、「本件事業は、当該共同施行が事業主体となり、平成16年度に単独県費補助事業として採択され、平成17年3月に完了した事業である。中讃土地改良事務所においては、土地改良法(昭和24年法律第195号)上の事業認可、単独県費補助事業の補助金交付にかかる事務を行っているが、工事の施行は事業主体が実施している。また、当該事務に関して提出される文書の中には、請求対象行政文書?は含まれておらず、保有していない。」と主張する。
      審査会で土地改良法及び同法施行規則(昭和24年農林省令第75号)並びに香川県単独県費補助条例(昭和31年条例第1号)及び同条例施行規則(昭和31年規則第2号)等の関係法令を調査したところ、単独県費補助事業においては、請求対象行政文書?を提出する必要がないことが認められるため、諮問庁の当該主張に不自然な点はなく、是認できると判断された。
      また、審査請求人は請求対象行政文書?の存在について具体的な主張をしておらず、その存在を推測させる特別の事情も認められない。
    • (c)請求対象行政文書?について
      諮問庁は、「当該部分では、単独県費補助事業の採択申請時の要件審査や工事完了時の竣工検査に係る行政文書を請求していると思われるが、本件事業は、平成16年度に採択され、その年度に工事完了している。採択申請、竣工検査に係る行政文書については、香川県文書規程により保存期間が5年以下とされており、請求対象行政文書?については、保存期間の満了により廃棄したことから、存在しない。」と主張する。
      これに対して審査請求人は「平成16年度の事業についての審査、検査資料がないのはおかしい。」と主張する。
      審査会で調査したところ、単独県費補助事業の採択申請、竣工検査に係る行政文書については、香川県文書規程に基づく文書分類表により保存期間が5年以下であることが確認されたことから、「保存期間の満了により廃棄した。」との諮問庁の当該主張に不自然な点はなく、是認できると判断された。
      したがって、審査請求人の当該主張は当たらない。
      また、当該主張のほかに、請求対象行政文書?の存在について審査請求人は具体的な主張をしておらず、その存在を推測させる特別の事情も認められない。
    • (d)請求対象行政文書?について
      請求対象行政文書?について、諮問庁は請求対象行政文書?に含めて存在しないものとして説明しているが、上記(a)のとおりそれぞれ異なる行政文書を請求していると判断される。
      そうすると、本件処分2は請求対象行政文書?の請求に対して公開決定等(条例第11条各項の決定をいう。以下同じ。)をしておらず、本件処分2を取り消した上で、改めて当該部分も含めて本件請求2に対して公開決定等を行うことが必要になるとも考えられる。このことについて、審査請求人は主張していないが、本件処分2の妥当性の判断に必要な事項であるので、審査会で検討する。
      ここで、審査請求人は、請求対象行政文書?として本件事業に伴い行った自己の署名が記載されている行政文書を請求していると考えられる。
      これについて検討すると、そもそも、条例による公開請求が請求の目的のいかんを問わずいずれの請求権者に対しても等しく認められるものであるため、請求者本人のものであっても、条例第7条第1号に規定する個人情報は原則として非公開とされるものであることを踏まえれば、請求対象行政文書?の存否を明らかにすることにより、審査請求人が本件事業に伴って署名をしたか否かという条例第7条第1号本文に該当する非公開情報である審査請求人の個人に関する情報を明らかにすることとなるので、条例第10条に基づきその存否を明らかにすることはできないと判断される。
      そこで、改めて請求対象行政文書?を請求した部分も含めて本件請求2に対して公開決定等を行うとしても、請求対象行政文書?を請求した部分については、上記のとおり条例第10条により請求対象行政文書の存否を明らかにしないとして、請求対象行政文書?及び?を請求した部分については上記(b)及び(c)で判断したとおり請求対象行政文書が存在しないとして、合わせて1件の非公開決定をすることになると考えられる。
      このように、いずれにせよ非公開決定を行うこととなるので、本件処分を取り消して改めて公開決定等を行うまでの必要はないと判断される。
      なお、審査請求人は、当該部分において自己の情報が記録されている行政文書の公開を求めているものと思われるが、このような実施機関が保有する自己の個人情報の開示については、香川県個人情報保護条例(平成16年条例第57号)に基づき保有個人情報開示請求を行うべきである。
    • (e)小括
      以上のとおり、処分庁が本件請求2に係る行政文書が存在しないとして行った本件処分2は、結論において妥当であると判断される。
  • (3)平成22年度諮問第13号関係
    • (a)請求対象行政文書の存否の検討に当たっての前提
      諮問庁は「一般的に、請求にいう『補助事業』とは単独県費補助事業を指していると考えられる。一般的に出水整備は、単独県費補助土地改良事業の対象事業のうち、かんがい排水事業として実施している。そこで、単独県費補助土地改良事業の検査資料等については、香川県文書規程により保存期間が5年以下とされていることから、現存する平成17年度以降の○○市内で実施された単独県費補助土地改良事業の検査復命書を探索したが、特定出水という名称は見当たらなかった。よって、請求対象行政文書は存在しない。また、特定出水について、仮に平成16年度以前に単独県費補助土地改良事業が行われていたとしても請求対象行政文書は、廃棄されており存在しない。」と主張する。
      まず、請求対象行政文書の存否を検討する前提として、諮問庁の主張のうち「出水整備は、単独県費補助土地改良事業の対象事業のうち、かんがい排水事業として実施している。」という部分及び「単独県費補助土地改良事業の検査資料等については、香川県文書規程により保存期間が5年以下とされている。」という部分を検討する。
      審査会で調査したところ、その規模から請求にいうような出水整備を行う補助事業は、通常、単独県費補助土地改良事業(かんがい排水事業)として実施されているものであることが確認された。
      したがって、本件請求3の請求対象行政文書は単独県費補助土地改良事業の検査復命書であると考えられる。
      また、当該文書の保存期間を調査したところ、香川県文書規程に基づく文書分類表により、保存期間が5年とされていることが確認された。
      これを前提として、以下諮問庁の主張を検討する。
    • (b)諮問庁の主張のうち「平成17年度以降の○○市内で実施された単独県費補助土地改良事業の検査復命書を探索したが、特定出水という名称は見当たらず、請求対象行政文書は存在しない。」という点について
      この点に関して、審査会から諮問庁に、平成17年度以降の○○市内で実施された単独県費補助土地改良事業の検査復命書の探索状況について説明を求めたところ、「処分庁をして再度探索させたが、特定出水についての行政文書は見当たらなかった。」との説明があった。
      当該諮問庁の説明に不自然なところはなく是認できる。
    • (c)諮問庁の主張のうち「仮に平成16年度以前に単独県費補助土地改良事業が行われていたとしても請求対象行政文書は、廃棄されており存在しない。」という部分について
      上記(a)において確認されたとおり、香川県文書規程に基づく文書分類表により、請求対象行政文書である単独県費補助土地改良事業の検査復命書については保存期間が5年とされており、諮問庁の当該主張に不自然な点はないので是認できる。
    • (d)審査請求人の主張について
      審査請求人は、「補助事業が何度も行われているのに検査、監査の資料がないというのは理解できない。」と主張している。
      これについて、審査請求人が、補助事業の行われた具体的時期を主張していないため、補助事業の有無や行われていた場合の事業主体等の事実関係を審査会で確認することはできないが、いずれにせよ上記のとおり本件請求3に係る行政文書は存在しないと判断されるため、審査請求人の当該主張は当たらない。
      また、当該主張のほかに、請求対象行政文書の存在について審査請求人は具体的な主張をしておらず、その存在を推測させる特別の事情も認められない。
    • (e)小括
      以上のとおり、処分庁が本件請求3に係る行政文書が存在しないとして行った本件処分3は妥当であると判断される。

4 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は、本件請求1から3までに係る事業の利害関係者であるため行政文書が公開されるべきとの主張をしている。
そもそも、条例による公開請求は、請求の目的のいかんを問わずいずれの請求権者に対しても等しく認められるものであり、審査請求人が当該事業の利害関係者であるか否かは、条例上の判断に影響を与えるものではないが、殊に、請求対象行政文書の存否についての判断には影響を与える余地がない。
したがって、審査請求人の当該主張は当たらない。

5 付言

  • (1)公開請求に対する補正について
    本件処分2は、上記3(2)のとおり結論において妥当であると判断されたが、請求対象行政文書について、諮問庁及び処分庁の見解と審査会の見解とに相違が見られた。
    このことは、そもそも本件請求2の請求書の「行政文書の名称その他の公開請求に係る行政文書を特定するに足りる事項」欄に記載された文言が不明瞭であることに起因するものであるが、そのような場合、条例第6条第2項により補正を求めることがより適切であったと考えられる。
    今後、処分庁においては、形式上の不備のある公開請求に対して補正を求め、あるいは、受付の際に請求者に対して確認又は助言するなど行政文書公開事務のより適正な執行に努めることを望むものである。
    また、諮問庁に対しても処分庁への適切な助言、指導を望む。
    あわせて、審査請求人に対しても、今後公開請求を行うときには、「行政文書の名称その他の公開請求に係る行政文書を特定するに足りる事項」について行政文書の特定が容易にできるようわかりやすく記載することを望むものである。
  • (2)理由提示の適否について
    本件処分における「公開しない理由」の提示について(以下「本件理由提示」という。)の適否を審査請求人は主張していないが、審査会として次のとおり考えるのでここに付言する。
    条例第11条及び香川県情報公開条例施行規則(平成12年規則第148号)第4条に対応して定められている香川県情報公開事務取扱要領第3の7(3)イ(以下「当該規定」という。)では、行政文書非公開決定通知書(規則第4号様式)の記載方法について、「文書の不存在を理由として非公開決定を行う場合は、請求者が公開を求めている行政文書が、実施機関に存在しない理由を記入する。」とされている。
    本件理由提示は「公開しない理由」として単に「文書が存在しないため」と記載しているにすぎず、「実施機関に存在しない理由」が示されていないことから、当該規定に照らして適切でないと判断される。
    処分庁に対しては、今後同様な過誤がないように行政文書公開事務の適正な執行に努めることを望むものである。
    また、諮問庁に対しても今後同様な過誤がないように処分庁への適切な助言、指導を望む。
    なお、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合の理由の提示については、一般的規定として香川県行政手続条例(平成7年条例第5号)第8条が定められており、条例上の非公開決定における理由の提示にも適用されると解されるが、同条に照らして本件理由提示が適正か否かは、条例の解釈、運用に関するものではないため審査会では判断しないものとする。
    よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

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