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答申
香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
異議申立人は、平成21年11月5日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
実施機関は、本件請求の(1)については、公開請求があった行政文書が不存在として非公開決定を行い、本件請求の(2)については、公開請求のあった行政文書として「新内海ダムの『意見書及び公聴会における主な反対意見の要旨と当該意見に対する事業認定庁の見解とを併記した意見対照表』」(以下「本件行政文書」という。)を特定し、本件処分を行い、それぞれ平成21年11月18日付けで異議申立人に通知した。
異議申立人は、本件処分を不服として、平成21年11月25日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。
「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。
異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
本件行政文書は、土地収用法(昭和26年法律第219号)に基づき、平成20年3月19日付けで香川県及び小豆島町が国(国土交通省)に申請した「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」の事業認定に関する資料である。
当該事業認定においては、同法第24条第2項の規定に基づき起業地である小豆島町において事業認定申請書を公衆の縦覧に供したが、それを受けて当該事業認定について利害関係を有する者から同法第25条第1項の規定に基づく意見書が提出され、また同法第23条第1項の規定に基づき平成20年6月27日及び平成20年6月29日に開催された公聴会において反対意見が出された。
本件行政文書は、それらの要旨と当該意見に対する国の見解を、国土交通省四国地方整備局がまとめたものの写しである。
異議申立人が、異議申立書において「本件公開請求対象の行政文書を開示していない。」と主張していることから、本件処分における行政文書の特定の妥当性について検討する。
実施機関は、「本件行政文書は新内海ダムを必要とする理由の全てを網羅するものであり、また、新内海ダムを必要とする理由について、具体的な数値や基準を明記して記載されており、科学的根拠が示されているので本件行政文書を特定したことは妥当である。」と主張している。
審査会で見分したところ、本件行政文書には新内海ダムを必要とする理由とその科学的根拠(以下「本件請求対象情報」という。)が記載されており、本件行政文書は、本件請求対象文書であると認められる。
また、審査会において本件行政文書以外の本件請求対象情報が記載されている行政文書の存否を含む詳細な説明を実施機関に求めたところ、「本件行政文書以外に本件請求対象情報が記載された行政文書としては、『二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事の事業認定申請書』及びその添付書類のうち『事業計画書』、『別当川水系河川整備基本方針』並びに『別当川水系河川整備計画』(以下「事業認定申請書等」という。)が考えられるが、事業認定申請書等に記載されている本件請求対象情報は、本件行政文書において網羅されている。また、本件行政文書には事業認定申請書等より詳細に言及している箇所があるとともに、その内容が反対意見への説明であることから比較的分かりやすい説明となっている。なお、『別当川水系河川整備基本方針』及び『別当川水系河川整備計画』は、内海ダム再開発事業を県民に周知することを目的として、県民室において一般の閲覧に供している『内海ダム再開発ホームページ リニューアル版』(冊子)(以下「配架行政文書」という。)に掲載されて公になっている。」との説明があった。
そこで、審査会で見分したところ、事業認定申請書等には、本件請求対象情報が記載されており、その内容は本件行政文書とおおむね重複しているものの、本件行政文書に記載されていない本件請求対象情報が一部記載されているが、この情報については、配架行政文書に記載されていることが確認できた。また、本件行政文書には事業認定申請書等の内容より更に詳細な本件請求対象情報が記載されていることが認められた。したがって、事業認定申請書等を本件行政文書として特定しなかった実施機関の判断は不合理とは言えない。
なお、配架行政文書については、県民室において閲覧に供していることから、これを改めて本件請求対象行政文書として特定し、条例第28条第4項に該当するとして非公開決定を行うまでの必要はないと考えられる。
さらに、本件行政文書以外に本件請求対象文書があることについて、異議申立人は具体的な主張をしていない。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)
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