ページID:4517

公開日:2011年8月10日

ここから本文です。

平成23年8月10日 答申第483号(香川県情報公開審査会答申)

平成23年8月10日(答申第483号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成21年10月5日付けで、香川県情報公開条例(平成12年条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。

  • (1)別紙Aの文書(香川県東讃土地改良事務所長作成名義の平成19年12月6日付19東土改第33001ー3号文書)に係る一切の起案文書の全部
  • (2)上記1の各文書の作成のための「検査」を実施した際の一切の記録の全部及び検査を実施した職員の氏名の分かる文書
  • (3)別紙Bの文書(香川県東讃土地改良事務所長あての文書)の原本
  • (4)別紙A及び別紙Bの各文書記載の事案についての香川県での一切の措置の結果の分かる文書

2 処分庁の決定

処分庁は、本件請求の(1)及び(2)に対応する行政文書として、「土地改良法第133条に基づく検査結果について」(平成19年12月4日付け起案文書)(以下「本件行政文書1」という。)を、本件請求の(3)に対応する行政文書として、「土地改良区の検査結果の是正について」(平成19年12月19日付け)(以下「本件行政文書2」という。)を、本件請求の(4)に対応する行政文書として、「特定土地改良区の定款変更認可申請に対する認可及び公告依頼の起案文書」(平成20年6月17日付け起案文書)(以下「本件行政文書3」という。)を特定し、別表の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成21年10月19日付けで本件処分を行い、審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成21年10月28日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であるから、本件処分を取り消し、全部公開をする必要がある。
  • (2)本件「決定通知書」記載の「公開しない理由」は、条例に規定する非公開事由に該当しない。
    特に、本件公開請求書に添付された別紙A及び別紙Bは、民事訴訟記録として何人でも閲覧できる状態に置かれていることから、非公開事由に該当しないのである。民事訴訟法第91条第1項では、「何人も、裁判所書記官に対し、訴訟記録の閲覧を請求することができる」と規定されており、別紙A及び別紙Bは、既に「何人も」閲覧できるのであるから、非公開事由に該当しないのである。本件非公開処分は、公務員の職権を濫用した違法な行政処分である。
    その他の部分についても、本件土地改良区の検査については、法律の規定に基づく検査であって、その検査の経過及び検査結果は、国民に開示される必要があるのであり、他の非公開部分も非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」記載の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し、本件処分は無効である。

3 行政不服審査法第25条第1項ただし書きに基づく口頭意見陳述

口頭意見陳述において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件公開請求書に添付した別紙A、別紙Bは、特定土地改良区との民事裁判において同土地改良区代理人から提出されたものであり、民事訴訟法では、何人でも閲覧請求できるとあることから、非公開理由には該当しないのである。本件非公開処分は、公務員の職権を濫用した違法な行為であり、検査の経過、結果は開示するべきである。
  • (2)別紙Aは、土地改良法133条に基づき1/10以上の組合員の同意を得て検査の請求をしたものである。検査の請求者から、検査結果の報告を求めても、請求者へ検査結果を知らせる義務がないとのことで、請求者の要請を拒否することはおかしい。
    また、別紙Aは、土地改良法133条に基づく検査結果で特定土地改良区へ県から出した文書である。別紙Bは、それに対する同土地改良区からの回答である。今回の審査請求人の検査請求の結果を検査請求者に知らせなかったことによって起こった問題であり、その結果定款変更に及んだのは情報を秘密にしたことによって起こっているのである。このことについて県は、同土地改良区を指導していないのである。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第1号該当性について

条例第3条第2項において、この条例の解釈及び運用に当たっては、個人に関する情報が保護されるよう最大限の配慮をしなければならないと規定し、原則公開を基本とする行政文書の公開制度の下においても個人に関する情報については、最大限の配慮をして、プライバシーの保護が図られるようこの条例を解釈及び運用するよう求めている。
これを受けて、条例第7条第1号本文においては、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものは、公開しないことができると規定されている。
個人の尊厳及び基本的人権尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するため個人のプライバシーに関する情報であると明らかに判別できる場合はもとより、個人のプライバシーに関する情報であるかどうか不明確である場合も含めて、個人に関する情報は非公開を原則としている。
本号に該当するため非公開とした部分は、本件行政文書1の「土地改良区等検査結果報告書」の「1検査土地改良区の名称及び立会人」のうち個人の氏名及び役職名並びに本件行政文書3のうち個人の氏名(公開される部分を除く)及び印影である。
これらは、当該土地改良区の役職員の氏名及び役職名並びに総代の氏名であり、特定の個人が識別できる個人に関する情報であるので、条例第7条第1号本文に該当する。
なお、土地改良区の役員の氏名は土地改良法の規定により公告され公にされているが、本件行政文書1の非公開部分は、土地改良区の検査にどの役職員が立ち会っていたかという情報であり、本件行政文書3の非公開部分は、副理事長は誰かという情報であり、いずれも法令又は条例の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報ではないので、同号ただし書アに該当しない。また、同号ただし書の他のいずれにも該当しない。

2 条例第7条第2号該当性について

条例第7条第2号本文においては、法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものは、公開しないことができると規定されている。
本号に該当するため非公開とした部分は、本件行政文書1の「土地改良区の検査結果について」(写し及び(案-1))のうち「1是正を要する事項」並びに「土地改良区等検査結果報告書」のうち「検査結果に基づく意見」、「検査土地改良区の運営上の問題点等」、別紙「役員選任の経緯」及び別紙「審査表」、本件行政文書2のうち印影及び是正方針、並びに本件行政文書3の「定款変更認可申請書」のうち理事長の印影、「平成20年度通常総代会議案」の一部及び「平成20年度通常総代会議事録」の一部である。
これらは、当該土地改良区の検査内容及び結果、当該土地改良区に対する評価等に関する情報、並びに土地改良区の経理及び事業等の内部管理に係る情報や土地改良区の運営方針であり、公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがある。
よって、これらの情報は、条例第7条第2号本文に該当する。また、同号ただし書には該当しない。

3 条例第7条第4号該当性について

条例第7条第4号においては、県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人、公社又は出資法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものは、公開しないことができると規定されている。

  • ア 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
  • イ~オ 略
    本号に該当するため非公開とした部分は、本件行政文書1の「土地改良区の検査結果について」(写し及び(案-1))のうち「1 是正を要する事項」並びに「土地改良区等検査結果報告書」のうち「検査結果に基づく意見」、「検査土地改良区の運営上の問題点等」、別紙「役員選任の経緯」及び別紙「審査表」、本件行政文書2のうち是正方針、並びに本件行政文書3のうち「平成20年度通常総代会議事録」の一部である。
    本件行政文書1には、香川県が土地改良法第133条に基づき土地改良区に対して実施した検査に関する情報、本件行政文書2には、当該検査の結果に対する土地改良区の対応策、また本件行政文書3には、当該検査の結果に関する総代への理事長の説明が記載されているが、当該検査は、土地改良区の健全な運営を確保する観点で行っているものであり、司法上の強制調査権とは異なり、行政法上の任意調査権として位置づけられている。当該検査の実施に当たっては、事実をありのままに記した資料の提出や説明等についての土地改良区の協力が必要であり、検査を効果的、効率的に実施するための前提となっている。そして、このような検査への協力は、香川県が検査によって取得した情報が、守秘義務によって公開されないことに基づいている。
    したがって、これらは、香川県が検査及び検査結果の通知によって取得した情報であり、公開すれば、検査に関して提出した情報が公開されるということで、今後の検査における土地改良区の協力が得られなくなり、正確な事実の把握が困難となるなど、検査に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。
    よって、これらの情報は、条例第7条第4号に該当する。
    以上により、本件行政文書について一部公開決定を行ったものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、諮問庁が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書について

本件行政文書1は、処分庁が特定土地改良区に土地改良法第133条の規定に基づく立入検査結果を通知するとともに香川県農政水産部長にその旨報告した際の起案文書であり、「土地改良区等検査結果報告書」、「審査表」、「役員選任の経緯」等の文書のほか、当該土地改良区への通知文書の写しが添付されている。
本件行政文書2は、上記通知を受けて、特定土地改良区が処分庁に提出した回答書であり、指摘事項への対応策が記載されている。
本件行政文書3は、土地改良法第30条第2項の規定に基づき、処分庁が特定土地改良区の定款変更を認可した際の起案文書であり、当該土地改良区への認可の通知及び香川県農政水産部長への公告依頼の案文、定款変更認可申請書等が添付されている。

3 非公開情報該当性について

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    本号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
    しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
    この基本的な考え方に基づき、処分庁が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)本件行政文書1の個人の氏名及び役職名について 処分庁が非公開としたのは、本件行政文書1のうち「土地改良区等検査結果報告書」に記載された特定土地改良区の立会人の氏名及び役職名である。
      これらはいずれも個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当すると判断される。
      次に、ただし書の該当性について検討する。
      土地改良区の検査における立会人の氏名及び役職名は、一般に慣行として公にされ、又は公にされることが予定されている情報とは認められないので、ただし書アに該当せず、その他のただし書にも該当しないと判断される。
    • (b)本件行政文書3のうち、個人の氏名(ただし、公開される部分を除く)、議長及び議事録署名人の署名並びに印影について
      処分庁が非公開としたのは、総代会出席者、副理事長、発言者、議長、書記及び議事録署名人等の氏名、議長及び議事録署名人の署名並びに印影である。
      これらはいずれも個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
    この基本的な考え方に基づき、処分庁が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)本件行政文書2及び3の土地改良区理事長の印影について
      印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。
      しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
      本件処分により非公開とされた印影は、特定土地改良区が処分庁に検査結果の是正方針を報告するために提出した文書に押印されていたもの、定款変更認可申請書に押印されていたもの及び特定土地改良区から提出された議事録が原本と相違ないことを証明するために押印されていたものであり、当該法人がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
      すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されることなどが考えられる。
      よって、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (b)本件行政文書3の平成20年度通常総代会議案のうち、第1号議案の第2の補助金以外の事業費の内訳に関する部分及び第3の4、第2号議案(町補助金に関する部分を除く)、第3号議案における交付金以外の収入に関する部分、第4号議案(監査報告書を除く)、第5号議案(町補助金に関する部分を除く)、第6号議案における補助金以外の収入に関する部分、第7号議案の補助金以外の事業費の内訳に関する部分、第8号議案(町補助金に関する部分を除く)、第9号議案における補助金以外の収入に関する部分、第10号議案の3における金額の部分、第11号議案における借入金額、借入先、利率、償還方法及び償還財源に関する部分、第12号議案における金融機関名の部分、第13号議案における借入限度額、借入先、利率及び償還方法に関する部分、第14号議案(字名、地番、面積、転用面積及び所有者の欄を除く)、借入金明細について
      審査会で見分したところ、当該非公開部分は、当該法人の資金調達、経費の収支予算・決算、取引先、財産等に関する情報など、当該法人の内部管理に属する情報であり、これを当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の財政状況が推測されるなど、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (c)本件行政文書3のうち、平成20年度通常総代会議事録の7ページ目19行目から8ページ目20行目までについて
      審査会で見分したところ、当該非公開部分には、定款変更議案に関する質疑応答が記載されていることが確認された。これは、役員定数の変更内容や定款変更に至った詳細な理由など、当該法人の運営上の内部管理に属する情報であり、これを当該法人の事業活動に関わりなく条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
  • (3)条例第7条第4号の該当性について
    条例第7条第4号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
    この基本的な考え方に基づき、処分庁が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)本件行政文書1のうち「1是正を要する事項」、「検査結果に基づく意見」、「検査土地改良区の運営上の問題点等」、「役員選任の経緯」及び「審査表」並びに本件行政文書2のうち「是正方針」について
      審査会で見分したところ、当該非公開部分には、検査での具体的な指摘事項、それに対する対応策、検査における聴取内容等の検査に関する情報が記載されている。
      本件検査は、土地改良法第133条の規定に基づき行われたものであり、検査を拒んだ場合は罰則の対象となる。しかし、このような検査権限は、捜査機関による捜索や差押のように直接的・物理的な強制力の行使を伴うものとは異なり、罰則による間接的な担保によって心理的に検査の受忍を強制しようとするものであることから、間接強制による担保が用意されているからといって、直ちに検査に対して対象者の全面的な協力が得られるというものではない。
      そうすると、事実をありのままに記した資料の提出や説明等によって検査を効果的、効率的に実施するためには、土地改良区の検査への協力が必要であり、その協力は検査に関する情報が公開されないという前提によって得られるものであるとの諮問庁の主張は是認できる。
      また、検査結果には、役員選任に関する詳細な経緯といった役員選任に関わった役員又は組合員など限られた者しか知りえない内部運営に関する情報や当該土地改良区の評価に関わる情報など、当該土地改良区にとって機微な情報が含まれており、仮にこれらの情報が公にされることになれば、今後、当該土地改良区が検査に対して非協力的又は消極的な態度をとり、その結果、検査における適正かつ公正な評価や判断の前提として正確な事実を把握することが困難になるなど、検査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
      よって、当該情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。

4 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は、本件請求に添付された別紙A及び別紙Bは、民事訴訟記録として何人でも閲覧できる状態に置かれていることから、別紙A及び別紙Bに係る本件行政文書1のうち「1是正を要する事項」及び本件行政文書2のうち「是正方針」の非公開部分は非公開事由に該当しないと主張しているが、別紙A及び別紙Bが民事訴訟の訴訟記録であることは当該訴訟関係者以外に広く一般に明らかになっているとはいえず、何人でも容易に閲覧できる情報とは認められないことから、審査請求人の当該主張は当たらない。

また、審査請求人は、その他種々の主張をしているが、当審査会の上記判断を左右するものでない。

5 第3の2の審査請求の理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

別表

土地改良法第133条に基づく検査結果について(平成19年12月4日付け起案文書)
公開しない部分 公開しない理由
個人の氏名及び役職名(ただし、公開される部分を除く) (条例第7条第1号本文該当)
特定の個人が識別される個人に関する情報に該当するため。
  • 「土地改良区の検査結果について」((案-1)及び写し)のうち「1是正を要する事項」
  • 「土地改良区等検査結果報告書」のうち「検査結果に基づく意見」、「検査土地改良区の運営上の問題点等」、別紙「役員選任の経緯」及び別紙「審査表」
  • (条例第7条第2号本文該当)
    当該法人の運営内容及び当該法人に対する評価等に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるため。
  • (条例第7条第4号該当)
    土地改良区の検査に関する情報であり、公にすることにより、県の検査に係る事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
土地改良区の検査結果の是正について(平成19年12月19日付け)
公開しない部分 公開しない理由
印影 (条例第7条第2号本文該当)
当該法人の内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるため。
「是正方針」
  • (条例第7条第2号本文該当)
    当該法人の運営等に係る内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の自由な活動や正当な利益を害するおそれがあるため。
  • (条例第7条第4号該当)
    土地改良区の検査に関する情報であり、公にすることにより、県の検査に係る事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるため。
特定土地改良区の定款変更認可申請に対する認可及び公告依頼の起案文書(平成20年6月17日付け起案文書)
公開しない部分 公開しない理由
土地改良区理事長の印影 (条例第7条第2号本文該当)
法人が公開の範囲を一定のものに限定している内部管理に関する情報で、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがあるため。
個人の氏名(公開される部分を除く)、印影 (条例第7条第1号本文該当)
個人に関する情報であり、特定の個人が識別されるため。また、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるため。

平成20年度通常総代会議案のうち、

  • 第1号議案の第2、の補助金以外の事業費の内訳に関する部分及び第3、の4
  • 第2号議案(町補助金に関する部分を除く)
  • 第3号議案における交付金以外の収入に関する部分
  • 第4号議案(監査報告書を除く)
  • 第5号議案(町補助金に関する部分を除く)
  • 第6号議案における補助金以外の収入に関する部分
  • 第7号議案の補助金以外の事業費の内訳に関する部分
  • 第8号議案(町補助金に関する部分を除く)
  • 第9号議案における補助金以外の収入に関する部分
  • 第10号議案の3、における金額の部分
  • 第11号議案における借入金額、借入先、利率、償還方法、償還財源に関する部分
  • 第12号議案における金融機関名の部分
  • 第13号議案における借入限度額、借入先、利率、償還方法に関する部分 借入金明細
(条例第7条第2号本文該当)
法人の運営方針、経理及び事業等の内部管理に関する情報で、公にすることにより、当該法人の自由な事業活動や正当な利益を害するおそれがあるため。
平成20年度通常総代会議案のうち、
第14号議案(字名、地番、面積、転用面積及び所有者の欄を除く)
(条例第7条2号本文該当)
法人の経営方針、事業等の内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の自由な事業活動や正当な利益を害するおそれがあるため。
平成20年度通常総代会議事録のうち、7ページ目(表紙を除く。)19行目から8ページ目20行目まで
  • (条例第7条第2号本文該当)
    法人の運営等に係る内部管理に関する情報であり、公にすることにより、当該法人の自由な事業活動や正当な利益を害するおそれがあるため。
  • (条例第7条第4号該当)
    土地改良区の検査に関する情報であり、公にすることにより、県の検査に係る事務の適正な執行に支障を及ぼすおそれがあるため。

401号~450号 451号~500号 501号~

このページに関するお問い合わせ

総務部知事公室広聴広報課

電話:087-832-3060

FAX:087-831-1066