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公開日:2013年4月4日

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平成25年4月4日 答申第498号(香川県情報公開審査会答申)

平成25年4月4日(答申第498号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成24年7月8日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)香川県農業協同組合のすべての規程類(規程、規則、内規その他名称は問わない)の名称のわかる文書(以下「本件請求」という。)
  • (2)上記(1)記載の規程類の中の総代選挙に関する規程類の全部
  • (3)上記(1)記載の農協の定款及び役員氏名の分かる文書
  • (4)上記(1)記載の農協の指導・監督等の業務を担当する課の座席表(農政課を含む)
  • (いずれも現に効力を有するものに限る)
  • (以下(2)、(3)及び(4)の請求を併せて「本件請求外請求」という。)

2 実施機関の決定

  • (1)本件請求について
    実施機関は、本件請求については、請求に係る行政文書は農業協同組合法(昭和22年法律第132号。以下「法」という。)上行政庁への提出義務がある文書ではないことから当該文書を保有しておらず不存在であるとして本件処分を行い、平成24年7月17日付けで異議申立人に通知した。
  • (2)本件請求外請求について
    実施機関は、本件請求外請求については、公開請求のあった行政文書として、次の(a)から(c)までの行政文書を特定して公開決定を行い、平成24年7月17日付けで異議申立人に通知した。
    • (a)香川県農業協同組合定款
    • (b)香川県農業協同組合第12回通常総代会資料のうち、「4.役員の状況」
    • (c)香川県農政水産部農政課配席図(平成24年6月15日現在)

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分を不服として、平成24年8月8日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分を取り消すとの決定を求める。」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であるから、本件処分を取り消し、全部公開をする必要がある。
  • (2)本件「非公開決定通知書」記載の「公開しない理由」は、誤りである。平成24年8月7日付の「知事への手紙」に対する農政課長名義の回答文書及び同課の○○職員の説明によると、本件公開請求書に「香川県の保有する」との文言がないため、全部非公開としたとするが、香川県知事に対する公開請求書は、「香川県が保有する」文書を対象にしていることは自明のことなのである。

3 意見書

意見書による主張は、おおむね次のとおりである。

  • (1)非公開理由等説明書の2において、実施機関は、「本件公開請求で請求されている行政文書は、(中略)目録的な文書であるものと解される」と主張するが、実施機関の主張は、誤りである。本件公開請求の対象文書は、「規程類の名称の分かる文書」であって、当該各規程類自体には、当然に、規程類の名称は記載されているのであるから、実施機関において保有している各規程類について開示決定等をする必要があるのである。
  • (2)「すべての規程類」の公開請求があっても、例えば、農協の全規程類が100種類あると仮定して、実施機関が30種類しか保有していない場合には、30種類について公開等の決定をする必要があるのである。

第4 実施機関の説明の要旨

本件公開請求で請求されている行政文書は、香川県農業協同組合(以下「県農協」という。)が定める全ての規程類の名称が分かる目録的な文書であるものと解される。香川県知事(以下「知事」という。)においては、県農協に対して法に基づく監督権限を有しているところであるが、法においては県農協が定める全ての規程類について承認等の手続や提出を義務付けるものではなく、また、事務の遂行上必要とされる規程がある場合は、その都度確認又は徴求を行うものであり、必ずしも全ての規程についてその詳細を把握する必要はない。
したがって、県農協が定める全ての規程類の名称を把握する必要がないことから、知事においては請求対象行政文書を作成しておらず、また、法においても県農協から知事に提出等の義務が課されているものでもないことから、本件公開請求の対象となる行政文書を保有していない。以上により、本件公開請求の対象行政文書が存在しないため、非公開決定を行ったものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 判断

  • (1)本件における文書の特定の妥当性について
    本件請求において実施機関は、公開請求の対象となる行政文書(以下、「請求対象行政文書」という。)を請求書の記載内容から「県農協の定める全規程類の名称が記載された目録的文書」であると解釈したと主張している。他方、異議申立人は意見書において実施機関の上記解釈が誤りである旨を主張しており、当該主張は本件で実施機関が行った請求対象行政文書の特定に誤りがあるとの主張であると考えられる。そこで本件における特定の妥当性について、以下検討する。
    一般に請求対象行政文書の特定に当たっては、請求書の記載内容だけでは請求対象文書を他の行政文書と識別できないような場合を除き、請求書の「行政文書の名称その他の行政文書を特定するに足りる事項」の欄(以下「特定事項欄」という。)の記載を合理的に解釈して行うものと解される。本件のようにある特定の種類の文書(以下「特定種類文書」という。)について、請求書の特定事項欄に「すべての特定種類文書の名称の分かる文書」と記載して請求がなされた場合、特段の事情のない限り当該記載自体から判断して「当該特定種類文書全部の名称」を記載した文書、すなわち、当該特定種類文書全部の名称が分かる一覧表その他これに類する文書を請求しているとするのが、文理上最も自然な解釈であると考えられる。
    他方、異議申立人は意見書において、本件の請求対象行政文書は「規程類の名称の分かる文書」であって、当該各規程類自体には当然に規程類の名称は記載されており、実施機関において保有している各規程類について開示決定等をする必要があると主張しているが、異議申立人は本件決定に続く平成24年8月8日付けの公開請求において、「農協のすべての規程類(規程、規則、内規その他名称は問わない)のうち、香川県の保有している規程類の全部」の請求を行っており、規程類自体の請求については、本件請求の記載内容とは明らかに異なる内容により請求を行っているものである。
    以上より、本件請求の特定事項欄の記載の趣旨を「県農協の全規程類の名称が記載された目録的文書」であると解釈した実施機関の判断に不合理な点はなく、実施機関が本件処分で行った請求対象行政文書の特定は妥当なものであったと判断される。
  • (2)本件請求対象行政文書の保有の有無について
    次に、実施機関が本件の請求対象行政文書を保有しているか否かについて検討する。
    審査会において調査したところ、実施機関は農業協同組合(以下「組合」という。)について定めた法の規定上、県農協について監督権限等を有する行政庁となるが、組合が定める諸規程について法は、信用事業規程等の一部規程を除き、策定・変更に当たってそれらを行政庁に提出する又は行政庁の承認を得ることを組合に義務づける規定を置いていないことが確認された。そうだとすると、組合は諸規程類すべての作成の度に実施機関に当該規程類を提出等をする必要はないといえるから、このような状況において組合が実施機関に提出を行うことは想定し難く、まして提出等の必要のない諸規程類についてその目録的文書を作成し、実施機関に提出するとも考え難いといえる。また上述のとおり実施機関は組合に対する監督権限を有しているが、定款や信用事業規程等の組合諸規程類については、法第93条第1項において、当該規程類を遵守しているかを知るために必要な報告を徴し又は必要な資料の提出を命ずることができることとされている。これによると、実施機関としても組合の定める当該規程類については事務上の必要がある場合に限って把握すれば足り、策定・変更等の度に保有状況や内容を逐一把握し、また、その目録的文書を作成・保有する必要もないと認められる。
    以上より、本件請求対象行政文書を作成・保有していないという実施機関の説明に不合理な点はない。
    なお、異議申立人は異議申立書において、実施機関に対する公開請求が「香川県が保有する文書」を対象にしているのは自明のことであり、請求書記載の文書もこれに限定して解釈するべきであるという趣旨の主張をしているが、仮に本件請求書の特定事項欄記載の文書である「香川県農業協同組合のすべての規程類」について当該主張のように県が保有するものに限定して解釈するとしても、その名称が記載された目録的文書を実施機関が作成・保有する必要がない点に変わりはない。よって、当該主張は結果として当審査会の上記判断を左右するものではない。
    したがって、実施機関が本件請求に係る行政文書が存在しないとして行った本件処分は妥当であると判断される。
    よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

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