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公開日:2012年12月3日

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平成24年12月3日 答申第495号(香川県情報公開審査会答申)

平成24年12月3日(答申第495号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成23年9月7日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)平成21年9月10日の香川県介護保険審査会の議事録
  • (2)平成22年5月27日の香川県介護保険審査会の議事録
  • (3)合計5名の委員の発言内容と○○氏の発言内容
  • (以下(1)、(2)及び(3)の請求を併せて「本件請求外請求1」という。)
  • (4)合計5名の委員の名前(姓名)(以下「本件請求外請求2」という。)
  • (5)合計5名の委員の経歴(以下「本件請求1」という。)
  • (6)平成21年8月6日に、○○氏と保健師の××さん、保健師の△△さんがショートステイ先で聞き取りした記録(以下「聞き取り記録」という。)(県職員3名が質問した詳しい内容とそれに対する回答・介護職員の名前は不要)(以下「本件請求2」という。)

2 実施機関の決定

  • (1)本件請求外請求1について
    実施機関は、本件請求外請求1に対しては、香川県介護保険審査会会議録(平成21年9月10日平成21年介審第1号)及び香川県介護保険審査会会議録(平成22年5月27日平成21年介審11号・12号)を特定し、条例第7条第1号本文及び第4号に該当するとして一部公開決定を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。
  • (2)本件請求外請求2について
    実施機関は、公開請求のあった行政文書として、香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成21年4月28日現在)及び香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成22年4月1日現在)を特定し、公開決定を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。
  • (3)本件請求1及び2について
    本件請求1に対しては、請求対象となる行政文書が不存在であるとして、本件請求2に対しては、請求対象となる行政文書が存在しているか否か答えるだけで、県が、特定のショートステイを利用している特定個人に関する聞き取り調査を行ったか否かという条例第7条第1号の非公開情報である個人情報を明らかにすることになるので、条例第10条の規定に該当するとして本件処分を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分及び一部公開決定処分を不服として、平成23年11月21日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対して、併合して異議申立てを行った。

4 諮問

諮問庁は、併合して提起された異議申立てに対して分離して審理することとし、平成24年1月12日に異議申立人に通知し、本件処分と一部公開決定処分に係る異議申立てをそれぞれ諮問した。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「異議申立てに係る処分を取り消し、対象文書の全部を公開するように求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)異議申立人が公開を請求している行政文書は、同人が実母の要介護認定処分を不服とし、実母の審査請求代理人として香川県介護保険審査会(以下「介護保険審査会」という。)に対して行なった審査請求に関連して、介護保険審査会の事務局である保険者指導グループ(以下「指導グループ」という。)が作成したものであり、指導グループには、公務員として、職務上で知り得た個人情報を漏らしてはならないという守秘義務が課せられているため、指導グループと異議申立人以外の人物が、この対象文書についてその存否を含めて知る由もないはずである。
    故に、異議申立人以外の人物が公開を請求することはあり得ず、実施機関が実母の審査請求代理人 として審査請求を行なった異議申立人に対し、対象文書を公開しても、個人(実母)の権利利益を害 するおそれは皆無である。
  • (2)県職員3名は、認定調査員テキストの基本的な内容さえ正しく理解できていなかったため、ショートステイ先の介護職員の方々に対し、無茶苦茶な質問しかできず、県職員3名の著しい能力不足のため、事実誤認だらけの情報しか得られなかった。この情報を基にして、介護保険審査会の委員(以下「委員」という。)が審議を行い、誤った裁決結果を出した。
    異議申立人が、県職員3名によって行なわれた実母に関する聞き取り内容を精査し、いかに杜撰な聞き取りであったかを確認することや、介護保険審査会の審議過程における委員達の発言内容と実質的に審議の進行を牛耳っていた○○氏の発言内容を精査することは、実母の審査請求代理人として審査請求を行い、不当な裁決しか得られなかった異議申立人の当然の権利である。
  • (3)実施機関は、委員の経歴書を作成しておらず、また取得もしていないことから不存在であるとして、異議申立人が公開を求めている5名の委員の経歴(以下「委員の経歴」という。)を非公開と通知してきた。当該の5名の委員を選定したのは、指導グループに所属しており、介護保険審査会事務局として裁決書作成の中心人物であった○○氏であるが、介護保険審査会が当該委員の経歴を知らずして、5名の委員を介護保険審査会の委員に選出することはあり得ない。
    故に、介護保険審査会が、当該の5名の委員のおおよその経歴は把握しているはずであり、異議申立人の公開の請求を拒否したことは、不当である。
  • (4)指導グループが、異議申立人が求めている対象文書の公開の請求を拒否しているのは、偏に、指導グループの所属担当の職員達の職務遂行能力がいかに劣っているかが、異議申立人によって暴露されるのを隠蔽したいが為に他ならない。

3 意見書による主張

意見書による主張は、おおむね次のとおりである。

  • (1)非公開理由等説明書の委員の経歴の不存在理由を読み、その内容を了承したので、当該の合計2回の介護保険審査会(平成21年9月10日開催と平成22年5月27日開催)に出席していた合計5名の委員の出席時における職業(公務員については、その役職も)についてのみ、公開を請求する。
  • (2)聞き取り記録については、○○氏を含む県職員3名が当該ショートステイ先に出かけて、聞き取りを行い、その情報を記録したものであり、その存否を含めて、認知している者は、指導グループと異議申立人以外にいないはずである。従って、公開を請求する者は、異議申立人以外にあり得ない。
    異議申立人は、「平成21年8月6日に○○氏を含む県職員3名が聞き取りを行ったショートステイ先の名前、県職員3名による聞き取りに対しての介護職員の回答の内容、介護職員の名前」について公開する必要はない。
    異議申立人は、実母の審査請求代理人として審査請求を行い、裁決書を受け取ったが、当該の裁決書において、県職員がショートステイ先で聞き取りを行った事実が記載されている。○○氏は、平成22年9月1日と平成22年9月13日の2度にわたって審査請求代理人であった異議申立人に対し、○○氏を含む県職員3名が平成21年8月6日にショートステイ先に聞き取りに行き、収集した情報を基にして、○○氏を含む県職員3名が裁決書の案を作成した事実を発言した。また、長寿社会対策課長は、異議申立人に対し、平成23年3月16日と同年4月5日の2度にわたって、聞き取り記録が存在しており、その記録を見ているという趣旨の発言を行った。
    個人の氏名(当然、実母の氏名も含む)や、特定のショートステイ先の名前を公開しなければ、当該の記録の存否や、その内容について公開しても個人情報を公開することにはならず、全体として、条例第10条に該当しないと考えられる。

4 意見陳述による主張

意見陳述による主張は、おおむね次のとおりである。
公開を請求している行政文書については、公開を請求する者は私以外にはあり得ないので、公開を切望する。
そして、その公開された文書をしっかりと精査することにより、いかに、指導グループが認定調査における基本的な内容さえ正しく理解していないかを指導グループに認識させ、改善させたい。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 本件請求1について

要介護認定について審査を行う介護保険審査会の合議体は、公益代表委員3人をもって構成すると介護保険法で定められており、保健医療福祉の学識経験者と法曹関係者を含むこととされている。そこで、本県では、保健所長、医師、香川大学法学部教授で構成することとしている。
委員の経歴については、長寿社会対策課から、社団法人香川県医師会及び国立大学法人香川大学に対して適任者の推薦を依頼し、その回答に基づき委員の委嘱を行っている。その際、特に経歴書の添付を求めておらず、また独自に経歴調査も実施していないため、当該文書は存在しない。

2 本件請求2について

聞き取り記録については、特定個人を想定し、当該個人が利用しているショートステイ先へ調査に行ったことや、当該個人がショートステイを利用していることを前提とした請求であるため、その記録の存否について応答するだけで個人情報を公開することになり、全体として条例第10条に該当すると考えられる。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件請求1について

異議申立人は、意見書において「委員の経歴については、不存在理由を了承したので、平成21年9月10日と平成22年5月27日に開催した介護保険審査会に出席していた委員の出席時における職業についてのみ公開請求をする。」旨主張しているので、委員の経歴については判断しない。
なお、出席時における当時の職業(公務員については、その役職も)について公開請求する旨の主張については、異議申立人が平成23年9月7日付けで公開請求し、「香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成21年4月28日現在)及び香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成22年4月1日現在)」を平成23年9月22日に実施機関が公開決定し、明らかにされている。

3 本件請求2について

  • (1)非公開情報該当性について
    実施機関は、「聞き取り記録の存否について応答するだけで個人情報を公開することになるため、条例第10条により本件処分を行った。」と主張する。
    同条は、「公開請求に対し、当該公開請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、非公開情報を公開することとなるときは、実施機関は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該公開請求を拒否することができる」と規定している。
    そこで本件請求2に関し、請求対象行政文書が存在するか否かを明らかにすることが、非公開情報を公開することになるかを検討する。
    本件請求2は、「平成21年8月6日に、○○氏と保健師の××さん、保健師の△△さんがショートステイ先で聞き取りした記録」との内容であり、通常、このような調査の行われた日時、調査者、介護保険サービスの種類は公になっているものではないにもかかわらず、特定年月日や具体的な県職員の名前、介護保険サービスの種類を特定していることから、これは、特定個人を想定した請求と判断される。
    また、異議申立人は、異議申立書等で特定の個人の関係者であることを明かしている。
    したがって、「平成21年8月6日に、○○氏と保健しの××さん、保健師の△△さんがショートステイ先で特定個人について聞き取りした記録」の公開を求める情報公開請求であると判断される。
    このような請求に対して対象となる行政文書の有無を明らかにすることは、平成21年8月6日に特定個人についての聞き取り調査が行われた事実があるかどうかという情報を明らかにするものである。
    特定個人が介護保険サービスを利用しており、それに関連する調査が行われたかどうかは、明らかに、特定の個人を識別することができる個人に関する情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書きには該当せず、同号により非公開とすべき情報に該当すると判断される。
    よって、聞き取り記録が存在しているか否かを答えるだけで、非公開情報を公開することとなることから、条例第10条に該当すると判断される。
  • (2)異議申立人のその他の主張について
    異議申立人は、異議申立書や意見書等で聞き取り記録について、「その存否を含めて認知している者は、指導グループと異議申立人以外にいないはずであり、したがって、情報公開を請求する者は、異議申立人以外にあり得ない。また、異議申立人が、県職員3名によって行われた実母に関する聞き取り内容を精査し、いかに杜撰であったかを確認することは、実母の審査請求代理人として審査請求を行い、不当な裁決しか得られなかった異議申立人の当然の権利である。」と主張するが、条例による請求は、請求の目的のいかんを問わずいずれの請求権者に対しても等しく認められているものであり、請求者が聞き取り調査対象となった特定個人の関係人であるかどうかは、条例の公開・非公開の判断に影響を与えるものではないので、異議申立人の当該主張は当たらない。

また、異議申立人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

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