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答申
香川県中讃保健福祉事務所長(以下「処分庁」という。)が一部公開決定(以下「本件処分」という。)により非公開とした部分のうち、別表1の「公開すべき部分」に掲げる部分については、公開すべきである。
審査請求人は、平成18年10月15日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
処分庁は、公開請求のあった行政文書として別表1の「公開請求に係る行政文書」に掲げる行政文書を特定し、別表2の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、平成18年10月30日付けで一部公開決定を行い、審査請求人に通知した。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成18年10月31日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。
審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
条例第7条第4号では、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。
本件行政文書(a)ないし(p)には、別表2の「公開しない部分」に掲げる部分に、「公開しない理由」に掲げる情報があり、条例第7条第1号、第2号又は第4号に規定する非公開情報に該当するため。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、処分庁が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。
本件行政文書(a)ないし(p)の内容等については、別表3のとおりである。
次に掲げる各非公開条項についての基本的な考え方に基づき、別表4のとおり判断する。
条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
公開請求に係る行政文書 | 公開すべき部分 |
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平成18年9月7日起案文書(以下「本件行政文書(a)」という。) | (1)産業廃棄物欠格審査表の産業廃棄物処分業の許可基準・能力に係る基準・イの備考欄の処分業課程受講者の職、氏名、(3)産業廃棄物処分業審査表の処分業に関係する法人名、法人の所在地、(4)産業廃棄物処分業申請書審査表の備考欄の誓約書の提出を求めた法人名を除く部分 |
平成18年9月8日付けで収受した産業廃棄物処分業許可申請書(以下「本件行政文書(b)」という。) | 申請者の印影を除く部分 |
平成18年6月29日付けで受付した産業廃棄物処分業協議書(以下「本件行政文書(c)」という。) | 担当者名を除く部分 |
平成18年9月8日付けで起案した廃棄物の処理及び清掃に関する法律による意見聴取について(照会)(以下「本件行政文書(d)」という。) | (1)起案理由のうち、法人数、個人数の部分 |
平成18年9月13日付け起案の産業廃棄物処分業の許可について(以下「本件行政文書(e)」という。) | (3)法人の定款、(4)法人の印影、(5)貸借対照表の要旨以外の部分及び損益計算書、(6)、(7)、(8)、(10)、(11)担当者名、(12)、(13)担当者名、(15)平面図、搬出入経路図、(16)能力計算書、仕様書、(18)管理技術者氏名、施設の維持管理に関する記録作成保存の担当者氏名、(21)機器の平面図、測定会社名、機器名として非公開とした部分のうち「減容処理機」との記載以外の部分、機器名が特定される部分として非公開とした部分のうち「二軸剪断式破砕機」、「電動式」との記載以外の部分、測定会社の印影、測定関係者名及び(23)土地の契約書を除く部分 |
産業廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置許可申請等に係る欠格要件について(回答)(以下「本件行政文書(f)」という。) | 欠格事由の調査対象となった個人の名称、生年月日、本籍地を除く部分 |
平成18年6月6日起案の産業廃棄物処理施設等の設置に係る問題点等の回答について(回答)(以下「本件行政文書(g)」という。) | (2)法人の印影、(3)関係自治会との操業に関する協定締結に関する部分、境界立会立会関係者の名称、(3)別紙1のうち関係自治会長名、関係自治会との協定締結に関する部分、(3)別紙5、6及び7のうち法人の印影を除く部分 |
平成16年11月11日起案の産業廃棄物処理施設等の設置に係る問題点等の回答について(通知)(以下「本件行政文書(i)」という。) | 境界立会立会関係者名を除く部分 |
平成16年10月21日起案の産業廃棄物処理施設の設置について(照会)(以下「本件行政文書(j)」という。) | 施設の処理能力 |
平成16年9月29日起案の産業廃棄物処理施設の設置について(照会)(以下「本件行政文書(k)」という。) | 施設の処理能力 |
平成16年9月29日付けで受付した産業廃棄物処理施設等の設置に係る事前指導申出書(以下「本件行政文書(l)」という。) | 非公開とした部分全部 |
本件行政文書(l)の添付書類(以下「本件行政文書(m)」という。) | (3)能力計算書を除く部分 |
業務日誌21部(以下「本件行政文書(n)」という。) | 「特定法人への指摘事項について(平成18年8月21日付け)」中、添付させる資料に係る法人の名称、「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌(平成18年9月14日付け)」のスレート片処理委託業者名、「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌(平成18年9月22日付け)」の水路汚泥処理委託業者名及び「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌」の特記事項の欄に記載の個人の所属・職名・氏名を除く部分 |
陳情に係る議事録、陳情書、要望書(以下「本件行政文書(o)」という。) | (2)来所者数、(5)請願者の住所、署名、(8)産業廃棄物処理施設の処理能力が特定できる部分、がれき破砕処分業者名、産業廃棄物処理業者名として非公開とした部分のうち、最終処分場の所在、企業名を除く部分、(9)及び(10)の非公開とした部分全部 |
協議内容の議事録(以下「本件行政文書(p)」という。) | (1)産業廃棄物処理施設の処理能力が特定できる部分、(3)土地の所有者名、関係業者名 |
公開しない部分 | 公開しない理由 |
---|---|
1 本件行政文書(a)
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特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
申請者の印影、施設の処理能力、施設の構造や処理方式 3 本件行政文書(c) 施設の処理能力、施設の構造や処理方式、県外産業廃棄物の取り扱いに関する部分、担当者名 |
法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
4 本件行政文書(d)
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法人の内部管理情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
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特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
5 本件行政文書(e)
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法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
6 本件行政文書(f) 産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律による意見について |
特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) 法人に関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
7 本件行政文書(g)
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法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
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特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
8 本件行政文書(h) 要望書の自治会長名及び印影 |
特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
9 本件行政文書(i)
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特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
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法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
10 本件行政文書(j) 施設の処理能力 |
法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
11 本件行政文書(k) 施設の処理能力 |
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12 本件行政文書(l) 施設の種類、処理能力、法第15条第1項又は第15条の2の4第1項の適用の有無欄、施設に供する土地の状況欄 |
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13 本件行政文書(m)
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14 本件行政文書(n) | 法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) 産業廃棄物指導監視は相手方の任意の協力により行われるものであり、その記録である業務日誌を公にすれば、今後の指導監視において協力が得られなくなるなど、県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため (条例第7条第4号該当) |
15 本件行政文書(o)
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特定の個人が識別される個人に関する情報が記載されており、また、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第1号該当) |
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法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
16 本件行政文書(p)
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法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報が記載されており、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため (条例第7条第2号該当) |
文書番号 | 行政文書の内容 |
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(a) |
香川県産業廃棄物処理等指導要綱(以下「要綱」という。)第19条の規定に基づき、産業廃棄物処分業許可申請予定者から県に提出された産業廃棄物処分業協議書についての審査関係書類である。 |
(b) |
平成18年9月8日付けで県へ提出された産業廃棄物処分業許可申請書である。 |
(c) |
要綱第19条の規定に基づき、産業廃棄物処分業許可申請予定者から県に提出された産業廃棄物処分業協議書である。 |
(d) |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第23条の3第1項又は第2項の規定に基づき、許可申請者が廃棄物処理法第14条第5項第2号ロからヘに該当するか否かを香川県警察本部長へ意見聴取したことについての起案である。 |
(e) |
廃棄物処理法第14条第6項の規定による産業廃棄物処分業の許可に関する起案である。 |
(f) |
許可申請者が廃棄物処理法第14条第5項第2号に規定される欠格要件に該当するか否かについて、関係機関からの回答文書である。 |
(g) |
要綱第15条の2の規定に基づき、産業廃棄物処理施設の設置に係る問題点等に関する施設設置予定者から県へ提出された協議結果を、関係機関に対して通知したものである。 |
(h) |
業廃棄物処理施設等の設置に係る問題点等について、○○町から追加回答があったものを、施設設置予定者に対して通知したものである。 |
(i) |
要綱第15条の2の規定により、産業廃棄物処理施設等の設置に係る問題点等について、関係機関から回答があったものを、施設設置予定者に対して通知したものである。 |
(j) |
要綱第15条の2の規定に基づき、産業廃棄物処理施設の設置に係る問題点等について関係機関に対して意見照会を行ったものである。 |
(k) |
要綱第15条の2の規定に基づき、産業廃棄物処理施設の設置に係る問題点等について関係機関に対して意見照会を行ったものである。 |
(l) |
要綱第15条の2の規定に基づき、施設設置予定者から県へ提出のあった「産業廃棄物処理施設等の設置に係る事前指導申出書」である。 |
(m) |
上記(l)の添付書類として、施設設置予定者から県へ提出されたものである。 |
(n) |
要綱第26条の規定に基づく香川県産業廃棄物指導監視機動班が実施した指導監視の記録である。 |
(o) |
産業廃棄物処理施設の設置に関しての、陳情書、陳情議事録、要望書である。 |
(p) |
産業廃棄物処理施設の設置に関しての協議議事録である。 |
公開しない部分 | 審査会の判断 |
---|---|
本件行政文書(a) (1)、(6) |
まず、条例第7条第2号の該当性について検討する。 廃棄物処理法第14条第5項第2号は申請者の欠格要件を定めている。本件許可にあっては、申請者が法人であることから、欠格要件の有無は法人の情報であると考えられる。 しかし、同号の規定から、同号ロ、ハ、ホに該当しないことは明らかであり、また、同号イ、ニ、ヘについても申請法人は許可を受けていることから、欠格要件が無いことは明らかであり、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがあるとは考えられない。 さらに、産業廃棄物処分業の許可の基準・施設に係る基準・1及び2の欄、能力に係る基準・ロの欄のについても、申請法人は許可を受けていることから、基準に該当することは明らかであり、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがあるとは考えられない。 よって、条例第7条第2号の非公開情報には該当しない。 次に、条例7条1号の該当性について検討する。 産業廃棄物処分業の許可基準・能力に係る基準・イの欄の処分業課程受講者の職、氏名については、特定の個人を識別することができる個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 しかし、その余の部分には法人の役員又は政令で定める使用人の欠格要件がないことが記載されているのみで、特定の個人を識別することができる情報には該当しない。また、廃棄物処理法第14条第5項は、同項各号に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならないと定めており、申請法人は許可を受けていることから、法人の役員又は政令で定める使用人の欠格要件が無いことは明らかであり、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるとは考えられない。 よって、産業廃棄物処分業の許可基準・能力に係る基準・イの欄の処分業課程受講者の職、氏名以外の部分は、条例第7条第1号に該当せず、公開すべきであると判断される |
本件行政文書(a) (2)、(3)、(4)、(5) 本件行政文書(b) 本件行政文書(c) |
本件行政文書(a) (2)、(3)[処理方法、施設の数量、施設の処理能力の部分]、(5)、本件行政文書(b)[施設の処理能力、施設の構造や処理方式の部分]、本件行政文書(c)[施設の処理能力、施設の構造や処理方式、県外産業廃棄物の取り扱いに関する部分]について
本件行政文書(a) (3)について
本件行政文書(a) (4)について
本件行政文書(b) 申請者の印影について 印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合には、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
本件行政文書(c) 担当者名について |
本件行政文書(d) (1) |
欠格要件の調査対象となる者が何人であるかという情報である。法人の役員数は商業登記簿により明らかであり、調査対象出資者が何人であるかも様式上明らかとなっていることから、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがあるとは考えられず、条例第7条第2号には該当せず公開すべきであると判断される。 |
本件行政文書(d) (2)、(3)、(4)、(5)、(6) |
特定の個人が識別できる個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しない。 |
本件行政文書(e) (1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)、(21)、(22)、(23) |
(1)、(2)、(9)について
(3)について 一般に株式会社の定款は、目的、商号、発行株式総数等、その組織・経営活動に関する基本事項を定めたものであり、会社法31条の規定により、株式会社の取締役は、定款をその本店及び支店に備えておかなければならないとされているものの、同条2項の規定により、これを閲覧できるのは株主及び債権者に限られている上、定款記載事項のうち公にされるべき事項は、商業登記法10条等に定める手続に従って公にされる場合のほかは、一般に公にされることのない情報であり、本件のような非上場企業の定款を公にした場合、当該法人の組織・経営の根本方針が明らかになるとともに、株主総会の議決事項の範囲、取締役会の決議方法など当該法人における重要事項に関する意思決定手続等が明らかになることにより、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号に該当するとして非公開としたことは妥当である。 (4)について 上記本件行政文書(b) 申請者の印影についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。(5)貸借対照表について 諮問庁は、貸借対照表には法人の経営状況を具体的に示す情報が記載されていることから、これを公にすれば、法人の事業活動の実態が明らかとなり、法人の正当な利益を害するおそれがあり、条例第7条第2号に該当するとしている。 しかしながら、申請法人にあっても、商法の規定により貸借対照表の要旨を公告することとされている。 そのため、貸借対照表の要旨の部分は、これを公にしたとしても、法人の正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。しかし、貸借対照表の要旨の部分以外の部分は、諮問庁が主張するように法人の経営状況を具体的に示す情報が記載されていることから、これを公にすれば、法人の事業活動の実態が明らかとなり、法人の正当な利益を害するおそれがあり、条例第7条第2号に該当すると判断される。 (5)損益計算書、(6)、(7)、(8)、(10)について 当該法人の経理、経営、事業活動上の内部管理に属する情報又は取引先に関する情報であることから、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 (11)担当者名、(13)2(3)(b)について 上記本件行政文書(c) 担当者名についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第1号に該当し、いずれのただし書にも該当しないことから、非公開としたことは妥当であると判断される。 (11)担当者名以外について 上記本件行政文書(e) (1)、(2)、(9)についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第2号には該当せず公開すべきであると判断される。 (12)について 廃棄物処分業を行うにあたって取引を予定している法人の名称及び所在地であり、具体的な取引先の情報であることから、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号に該当するとして非公開としたことは妥当である。 (13)のうち2(3)(b)以外の部分、(14)、(17)、(18)について 当該行政文書に記載の情報は、申請法人の当該事業における事業計画等の情報ではあるが、商業登記簿の登記事項のほか、産業廃棄物の発生源に関する一般的な記載であり、また、どのような施設により、どれだけの処理が可能かという情報であり、生産技術のノウハウとは考えられない。 さらに、維持管理責任者を定めることは法律で規定されており、また、申請法人にあっても掲示板に表示することとしており、保守点検頻度は一般的な回数であり、処分の流れは一般的な内容をまとめたものであり、法人の内部管理に属する情報ではないと考えられ、正当な利益を害するおそれのある情報とは考えられないことから、条例第7条第2号に該当しないと判断される。 ただし、(18)1.共通事項の技術管理者氏名、施設の維持管理に関する記録作成保存の担当者氏名は、特定の個人が識別できる個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないことから非公開としたことは妥当である。 (15)、(16)、(22)について 審査会で見分したところ、平面図、搬出入経路図には、具体的な施設の配置や経路が記載されている。 また、能力計算書、仕様書には、導入する機器の詳細な情報が記載されている。 当該情報は、法人の技術上のノウハウに係る情報であるとともに、当該事業に係る取引先の情報であり、通常、施設の導入を予定しているなど、特定の者に限り配布されるものと考えられ、事業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、同業他社が同様の施設を導入するなど、当該法人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 しかし、敷地平面図、案内図、公図(施設の位置を記載したもの)は、施設の位置等の情報を表示したものに過ぎず、立面図は、本件建物は既存のものであることを考慮すると、公になっている情報と考えられることから、法人の技術上のノウハウや内部管理情報とは考えられず、また、施設のカタログは、施設の概要を内容としており、施設の導入を予定している者に限らず広く配布されているものと考えられ、公にすることにより、法人等の正当な利益を害するおそれはないと判断され、条例第7条第2号に該当しない。 (19)について 申請法人の緊急連絡先の情報ではあるが、当該法人の内部管理すべき情報とは考えられず、条例第7条第2号に該当しない。 (20)について 申請法人の当該事業における保管量に関する情報ではあるが、産業廃棄物の処分等のための保管量は法令によって表示が義務付けられている情報であり、生産技術のノウハウとは考えられず、条例第7条第2号に該当しない。 (21)について 「生活環境影響調査結果」は、申請法人が当該事業を行うにあたり、生活環境への影響を調査した結果をまとめた資料である。処分庁が非公開とした部分には、産業廃棄物の処理方法や機器の名称が記載されてはいるが、いずれも特別な情報ではなく、当該事業では一般的な内容をまとめたものと判断されることから、正当な利益を害するまでの情報ではない。 しかし、騒音、振動測定値報告書のうち、機器の平面図、測定会社名、機器名として非公開とした部分のうち「減容処理機」との記載以外の部分、機器名が特定される部分として非公開とした部分のうち「二軸剪断式破砕機」、「電動式」との記載以外の部分は、導入する機器の名称、詳細な平面図や取扱い業者の情報があり、当該情報は、法人の技術上のノウハウに係る情報であるとともに、当該事業に係る取引先の情報であり、事業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、同業他社が同様の施設を導入するなど、当該法人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 また、測定会社の印影は、騒音測定値報告書に押印されたものであり、当該法人等がこのような文書を提出する相手方は、取引相手等に限定されていると考えられ、本件印影は、内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 さらに、測定関係者名は、特定の個人が識別される個人に関する情報であり、条例第7条第2号により非公開とすることのできる情報には該当しない。しかし、特定の個人が識別できる個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 (23)について 土地の契約書は、当該事業地を借地するための契約書であり、当該法人の経理、経営上の内部管理に属する情報又は取引先に関する情報であることから、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められ、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 |
本件行政文書(f) | 産業廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置許可申請等に係る欠格要件について(回答)のうち法人に関するものについて 法人の欠格事由の有無に関する情報は、法人の社会的評価に係わる情報ではあるが、記載法人が欠格事由に該当しないとの情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められない。 よって、産業廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置許可申請等に係る欠格要件について(回答)のうち法人に対するものについては条例第7条第2号に該当しないことから、公開すべきであると判断される。 産業廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置許可申請等に係る欠格要件について(回答)のうち個人に関するものについて 審査会で見分したところ、本件行政文書には、欠格事由の調査対象となった個人の名称、生年月日、本籍地(以下「個人の名称等」という。)が記入されている。個人の名称等は、特定の個人が識別できる個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。しかし、その余の部分には、特定の個人が識別できる情報は記載されておらず、条例第7条第1号には該当しないと判断される。 よって、産業廃棄物処理業及び廃棄物処理施設設置許可申請等に係る欠格要件について(回答)のうち個人に関するものについて、個人の名称等が条例第7条第1号に該当するとして非公開としたことは妥当であるが、その余の部分については条例第7条第1号には該当せず、公開すべきであると判断される。 産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律による意見について 審査会で見分したところ、本件行政文書には、特定の個人が識別できる情報は記載されておらず、条例第7条第1号には該当しないと判断される。 また、法人等の正当な利益を害するおそれがある情報は認められず、条例第7条第2号にも該当しないと判断される。 よって、産業廃棄物の処理及び清掃に関する法律による意見については、公開すべきである。 |
本件行政文書(g) (1)、(2)、(3)、(4) |
(4)について 境界立会者の団体名及び役職並びに関係自治会長名が記載されており、特定の個人が識別される個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 (2)について 上記本件行政文書(b) 申請者の印影についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 (1)、(3)のうち産業廃棄物の処理方法に関する部分、建設物、構造物に関する部分について 申請法人の当該事業における処理方法等の情報ではあるが、内容は一般的なものであり、ノウハウに該当する記載は見受けられない。 よって、条例第7条第2号には該当せず公開すべきであると判断される。 (3)のうち関係自治会との操業に関する協定締結に関する部分について 非公開とした部分のうち、締結年月日は、いつ協定を締結したかという情報であり、当該企業が、事業実施のために行ってきた交渉等の内容であると判断され、当該情報は当該企業の内部管理に属する情報で、公開することにより、法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められる。しかし、その他の非公開とした部分は、他の資料等により明らかとなっている情報であり、法人等の正当な利益を害するおそれは想定されない。 よって、締結年月日は条例第7条第2号に該当し、非公開としたことは妥当であるが、その余の部分は、条例第7条第2号には該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)のうち境界立会立会関係者の名称について 上記(4)についてで判断したとおり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断されることから、条例第7条第2号の該当性については判断しない。 (3)のうち別紙1の関係自治会長名を除く非公開とした部分について 施設がある場所の高さ、関係自治会への説明に関する部分は、実際の数値や一般的な手続きに関する記載であり、法人の内部管理又は事業上のノウハウに関する情報とは認められない。しかし、関係自治会との協定締結に関する部分は、事業を行うにあたり、いつ、どの自治会に説明を行い、どの自治会と協定を締結したかという情報であり、当該企業が、事業実施のために行ってきた交渉等の内容であると判断され、当該情報は当該企業の内部管理に属する情報で、公開することにより、法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められる。 よって、関係自治会との協定締結に関する部分は条例第7条第2号に該当し、非公開としたことは妥当であるが、その余の部分は、条例第7条第2号には該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)のうち別紙2の非公開とした部分について 別紙2は、「生活環境影響調査結果」と標題のついた文書で、申請法人が当該事業を行うにあたり、生活環境への影響を調査した結果をまとめた資料である。処分庁が非公開とした部分には、産業廃棄物の処理方法や機器の名称が記載されてはいるが、いずれも特別な情報ではなく、当該事業では一般的な内容をまとめたものと判断されることから、正当な利益を害するまでの情報ではなく、条例第7条第2号には該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)のうち別紙3の非公開とした部分について 申請法人の当該事業における事業計画等の情報ではあるが、商業登記簿の登記事項のほか、産業廃棄物の発生源に関する一般的な記載であり、また、どのような施設により、どれだけの処理が可能かという情報であり、生産技術のノウハウとは考えられない。 さらに、維持管理責任者を定めることは法律で規定されており、また、申請法人にあっても掲示板に表示することとしており、保守点検頻度は一般的な回数であり、処分の流れは一般的な内容をまとめたものであり、法人の内部管理に属する情報ではないと考えられ、正当な利益を害するおそれのある情報とは考えられないことから、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)のうち別図1、4、5について 本件図面は、汚水処理槽や沈殿槽の設置位置を表示したものであって、施設の位置等の情報を表示したものに過ぎず、法人の技術上のノウハウや内部管理情報とは考えられず、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)のうち別紙5、6、7について 別紙5、6は関係者と締結した同意書の写しである。同意書は、どの関係者と同意に至ったかという情報であり、当該企業が、事業実施のために行ってきた交渉等の内容であることから、当該企業の内部管理に属する情報であると判断され、公開することにより、法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められ、条例第7条第2号に該当し非公開としたことは妥当である。 別紙7は当該法人が公共財産の用途廃止を行った申請書の写しである。当該法人が公共財産の用途廃止申請を行っていることは、法人自ら公にしており、内部管理情報とは考えられず、条例第7条第2号に該当しない。 ただし、申請書に押印されている申請法人の印影については、公共財産の用途廃止申請書に押印されているものであり、当該法人等がこのような文書を提出する相手方は、特定行政庁等に限定されていると考えられる。 よって、本件印影は、内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 |
本件行政文書(h) | 要望書に記載された特定個人の氏名、印影については、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであるから条例第7条第1号本文に該当すると判断される。 次に、ただし書の該当性について検討する。 要望は、法律上保障された権利としてでなく実情を訴えて、相当の措置を要望する行為である。本件にあっては、法人等の考えを表明するものではあるが、誰の名において法人等の考えを表明するかは、個々の事案ごとに法人等の内部において判断すればよく、要望にあっては、法人等の代表者でなければならないとする規定や必要性はないと考えられる。そうすると、誰の名において法人等の考えを表明したかという情報は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは言えず、ただし書ロ、ハ、ニに該当しないことは明らかである。なお、本件処分では、法人等の役職名を公開しているところではあるが、これによって上記の判断は左右されない。 また、個人の印影は、いずれのただし書にも該当しないと判断されることから、非公開としたことは妥当である。 |
本件行政文書(i) (1)、(2)、(3)、(4)、(5) |
(1)、(2)について 境界立会者の団体名及び役職が記載されており、特定の個人が識別される個人に関する情報で、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 (3)、(4)、(5)について 申請法人の当該事業における産業廃棄物の処理方法ではあるが、生産技術のノウハウとは考えられず、また、事業予定地が開発許可申請が不要であることの説明であり、法人の内部管理に属する情報とは考えられないことから、条例第7条第2号に該当しないと判断され、公開すべきである。 |
本件行政文書(j) 本件行政文書(k) |
申請法人の当該事業における産業廃棄物の処理施設に関する情報ではあるが、処理できる能力を示したものに過ぎず、法人の内部管理又は生産技術のノウハウに関する情報とは認められず、公にしたとしても、具体的な経営内容を推測することはできず、条例第7条第2号に該当しないことから、公開すべきであると判断される。 |
本件行政文書(l) | 施設の種類及び処理能力について 上記本件行政文書(e) (1)、(2)、(9)についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 法第15条第1項又は第15条の2の4第1項の適用の有無について 事前指導申出に係る産業廃棄物処理施設が廃棄物処理法の許可施設に該当するかどうかの情報であり、施設の種類、規模から当然に分かるものであることから、法人の内部管理又は生産技術のノウハウに該当せず、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 施設の構造及び概要について 登記簿又は現地を確認することにより明らかとなる情報であり、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは考えられない。よって、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 施設に供する土地の状況欄について 産業廃棄物処理施設の設置場所を公にしており、登記簿により明らかとなる情報であり、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは考えられない。 なお、施設に供する土地が、購入予定か借地かなのかは、事前指導申出の時点では法人の内部管理情報とも考えられるが、本件情報公開請求時点では当該処分業は許可となっており、その申請において借地であることは明らかとなっていることから、公にすることにより当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは考えられない。 よって、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 |
本件行政文書(m) (1)、(2)、(3) |
(1)、(2)について 上記本件行政文書(g) (3)のうち別紙3の非公開とした部分についてにおいて判断したと同様の理由で条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。 (3)について 審査会で見分したところ、能力計算書には導入する機器の詳細な情報が記載されている。 当該情報は、法人の技術上のノウハウに係る情報であるとともに、当該事業に係る取引先の情報であり、通常、施設の導入を予定しているなど、特定の者に限り配布されるものと考えられ、事業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、同業他社が同様の施設を導入するなど、当該法人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 しかし、施設のカタログは、施設の概要を内容としており、施設の導入を予定している者に限らず広く配布されているものと考えられ、公にすることにより、法人等の正当な利益を害するおそれはないと判断され、条例第7条第2号に該当しない。 |
本件行政文書(n) | 廃棄物処理法第19条では、都道府県知事に立入検査権限があることを定めている。 また、要綱第26条1項では、産業廃棄物処理に関する指導監視を的確かつ機動的に行うために産業廃棄物指導監視機動班を置き、同条2項では、産業廃棄物の適正処理の確保を図るため、事業者又は処理業者に対し、指導票を交付するものと定め、同条3項では、指導票の交付を受けた事業者又は処理業者は、速やかに、改善措置を講ずるとともに、その実施状況を記載した報告書を提出しなければならないと規定している。 本件産業廃棄物処理業者は、平成18年9月14日付で処分業の許可となっており、少なくとも同日以降は、廃棄物処理法等の規定により立入り等が行えるものと判断される。加えて、同日前にあっても、当該事業者は処分業許可の事前指導を申し出ており、施設への立入り等が相手方の任意の協力により行われたものであるとしても、施設への立入り等の協力がなければ事前指導を受けることができないのであるから、業務日誌を公にしたとしても、今後の指導監視において協力が得られなくなる恐れは想定されず、諮問庁の主張する県の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれは認められず、条例第7条第4号には該当しない。 次に、条例第7条第2号の該当性について検討する。 審査会で見分したところ、「特定法人への指摘事項について(平成18年8月21日付け)」中、添付させる資料に係る法人の名称、「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌(平成18年9月14日付け)」のスレート片処理委託業者名、「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌(平成18年9月22日付け)」の水路汚泥処理委託業者名については、法人の内部管理又は取引先の情報であることから、公にすることにより、法人の正当な利益を害するおそれがある認められ、条例第7条第2号に該当すると判断される。 しかし、その余の部分には、条例第7条第2号に該当し非公開とすべき情報は確認されなかった。 なお、諮問庁は特に主張していないが、審査会として条例第7条第1号の該当性について検討する。 「産業廃棄物指導監視機動班業務日誌」の特記事項の欄には、個人の所属・職名・氏名が記載されている。個人の所属・職名・氏名は、特定の個人が識別される個人に関する情報であり、条例第7条1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないことから、非公開としたことは妥当と判断される。しかし、その余の部分には、条例第7条第1号に該当し非公開とすべき情報は確認されなかった。 |
本件行政文書(o) (1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10) |
来所者名について 来所者の氏名・役職が記載されており、特定の個人が識別される個人に関する情報で、条例第7条1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 来所者数について 来所者数は、特定の個人を識別することのできる情報ではなく、条例第7条第1号には該当しない。 自治会長の氏名、印影について 特定個人の氏名、印影については、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであるから条例第7条第1号本文に該当すると判断される。 次に、ただし書の該当性について検討する。 陳情は、法律上保障された権利としてでなく実情を訴えて、相当の措置を要望する行為である。本件にあっては、法人等の考えを表明するものではあるが、誰の名において法人等の考えを表明するかは、個々の事案ごとに法人等の内部において判断すればよく、陳情にあっては、法人等の代表者でなければならないとする規定や必要性はないと考えられる。そうすると、誰の名において法人等の考えを表明したかという情報は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報とは言えず、ただし書ロ、ハ、ニに該当しないことは明らかである。 なお、本件処分では、法人等の役職名を公開しているところではあるが、これによって上記の判断は左右されない。 また、自治会長の個人の印影は、いずれのただし書にも該当しないと判断されることから、非公開としたことは妥当である。 反対住民の氏名、発言者の氏名が特定できる部分、指導の対象者が特定できる部分、要望者及び趣意書提出者の住所、署名、印影について 特定の個人が識別される個人に関する情報で、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 請願者の住所、署名、印影について 本件行政文書は、地方自治法第124条の規定に基づき○○町議会議長に提出された請願書の写しである。 本件請願書は、特定の個人から提出されたものであり、請願者の住所、署名、印影は、特定の個人が識別される個人に関する情報で、条例第7条第1号本文に該当すると判断される。 次に、ただし書の該当性の有無について検討する。 地方自治法の規定に基づき議会議長に提出された請願は、委員会での審査の後、本会議において審議、表決がなされる。議会の本会議が原則公開されることに加え、議会の審議内容は議事録として公表されている。そうすると、請願者の住所、氏名、紹介議員の氏名は、法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報と考えられ、条例第7条第1号ただし書イに該当すると判断される。 しかし、請願者又は紹介議員の印影は、議会の審議や議事録においても公表されることのない情報であり、ただし書イには該当しない。さらに、紹介議員の印影は、議員の氏名を記名した場合に押印することとされており、請願書の真正を証明するために押印されるものと考えられ、審査会において見分したところ、その形状から、当該紹介議員の個人印であると認められ、請願書の紹介議員としてその氏名が公開される場合であっても、印影そのものまでが公開されるものであるとは、通常考えられない。このような状況を踏まえれば、請願書の紹介議員の印影は、職務の遂行に係る情報とまでは言えず、請願者の印影とともにただし書ハに該当しないと判断される。また、ただし書ロ、ニに該当しないことは明らかである。 よって、請願者又は紹介議員の印影を非公開としたことは妥当であるが、その余の部分は公開すべきである。 処理能力、がれき破砕処分業者名、産業廃棄物処理業者名、産業廃棄物処理施設に関する情報について がれき破砕処分業者名、産業廃棄物処理業者名は、諮問庁が公表している産業廃棄物処理業者名簿で公表されており、法人の内部管理に属する情報ではなく、また、法人のノウハウ等に関する情報でもないことから、条例第7条第2号には該当しない。 ただし、産業廃棄物処理業者名として非公開とした部分のうち、最終処分場の所在、企業名を公にすると、陳情自治会が会った自治会長が誰であるかということが明らかとなることから、特定の個人が識別される個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断される。 産業廃棄物処理施設に関する情報として非公開とした部分には、当該施設の取得に関する情報が記載されてはいるが、当該情報は不動産登記簿等によって明らかとされている情報であり、条例第7条第2号により非公開とすべき情報とは認められない。 処理能力は、申請法人の当該事業における産業廃棄物の取扱い量に関する情報ではあるが、取扱い見込み量を示したものに過ぎず、また、地元との協議において、法人自らが明らかにしている情報であると考えられ、法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報とは認められず、公開したとしても、具体的な経営内容を推測することはできず、条例第7条第2号に該当しない。 |
本件行政文書(p) (1)、(2)、(3) |
協議者名、発言者名、自治会への説明に行った者が特定できる部分、(2)2関係事業者名、自治会役員名、説明者名について 審査会において見分したところ、非公開とした部分には、特定個人の氏名に加え、所属、役職等の記載があった。 当該情報は、法人の情報とは考えられず、条例第7条第2号の非公開情報には該当しない。 しかし、特定の個人が識別される個人に関する情報であり、条例第7条第1号本文に該当し、いずれのただし書にも該当しないと判断されことから、非公開としたことは妥当である。 自治会が特定できる部分、自治会名について 審査会において見分したところ、非公開とした部分には、説明を行った自治会についての情報、同意をしていない自治会の情報が記載されている。 これらは、事業を行うにあたりどの自治会に説明を行ったかや同意を得ることのできていない自治会がどこであるかという情報であり、当該企業が、事業実施のために行ってきた交渉等の内容であり、当該情報は当該企業の内部管理に属する情報で、公開することにより、法人等又は事業を営む個人の事業活動が損なわれると認められる。 よって、条例第7条第2号に該当し、非公開としたことは妥当である。 処理能力が特定できる部分について 当該情報は、申請法人の当該事業における産業廃棄物の取扱い量に関する情報ではあるが、取扱い見込み量を示したものに過ぎず、また、地元との協議において、法人自らが明らかにしている情報であると考えられ、法人の内部管理及び生産技術のノウハウに関する情報とは認められず、公開したとしても、具体的な経営内容を推測することはできず、条例第7条第2号に該当しないと判断される。 土地の所有者名、(3)4関係業者名について 土地の所有者は登記簿で明らかにされており、また、関係業者名として非公開とした従前の操業者の名称は、建物に表示されていることに加え、不動産登記簿等で明らかにされていることから、公にすることにより、当該法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められず、条例第7条第2号に該当しないと判断される。 |
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