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答申
香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
審査請求人は、平成17年6月3日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
処分庁は、平成17年6月15日付けで、次の処分を行い、それぞれ審査請求人に通知した。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成17年6月18日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。
審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
行政文書の公開に係る手数料の減免を決定することについては、香川県出先機関事務決裁規則(昭和44年香川県規則5号。)第3条の規定により、知事から出先機関の長に委任されている。よって、東讃土地改良事務所長は、行政文書の公開に係る手数料の減免を決定するか否かについては条例第17条第1項及び規則第11条の規定に基づいて、自ら判断し処理している。
規則第11条は、公益のために必要があるものとして手数料が減免される判断基準を定めており、平成17年4月1日以降に施行されることとなる規則第11条の改正はなかったことから、審査請求人の主張する公開手数料の減免に関する「新たな基準」となる行政文書は存在しない。
よって、条例第11条第2項の規定に基づき非公開としたものである。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
諮問庁は、規則第11条は、公益のために必要があるものとして手数料が減免される判断基準を定めており、平成17年4月1日以降に施行されることとなる規則第11条の改正はなかったことから、審査請求人の主張する公開手数料の減免に関する「新たな基準」となる行政文書は存在しないと主張している。
手数料について条例は、その第17条において、行政文書の公開を受けるものは、手数料を県に納入しなければならないと規定し、そのただし書において、公益のため必要があるものとして規則で定める場合は、規則で定めるところにより、これを減免することができるとしている。
また、規則では、その第11条において、手数料の減免ができる場合として、「人の生命、身体、健康、財産及び消費生活の保護、環境の保全その他公共の福祉のために行われる行政文書の公開請求である場合」等を規定し、第12条に減免の申請及び減免の承認又は不承認に関する手続きを定めている。
審査会で確認したところ、条例第17条は、平成12年10月1日の施行日以降改正はなされていない。また、規則第11条及び第12条も同様である。
さらに、香川県情報公開事務取扱要領及び行政文書公開手数料減免事務取扱要領においても、手数料の減免申請等に関する改正等は行われていない。
そうすると、公開手数料の減免に関する「新たな基準」となる行政文書は存在しないとの諮問庁の主張は具体的かつ合理的であり、妥当であると判断される。
なお、審査請求人は、新たな基準により減免申請に対して不承認の処分をしているのであると主張していることから、この点について検討する。
例えば、減免申請に形式的な不備があるような場合は、香川県行政手続条例(平成7年香川県条例第5号。以下「行政手続条例」という。)第7条の規定により補正を求めることがあり、また、規則第12条第1項は、知事は、必要があると認めるときは、減免を受けようとする理由を証する書類の提出を求めることができるとしており、減免を受けようとする理由について補正等を求めることがあることは、従来より予定されていたものであると考えられる。
そのため、補正されない場合には、行政手続条例第7条の規定により、申請により求められた許認可等を拒否せざるを得ないものと判断される。
よって、新たな基準により拒否処分を行ったのではなく、従前からの制度において拒否処分を行ったものであると考えられ、「新たな基準」を設けなければならない必要性はなく、請求対象行政文書が存在しないとの諮問庁の主張は是認できる。
以上のことから、実施機関が請求対象行政文書が存在しないとして、非公開とした本件処分は妥当であると判断される。
条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
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