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答申
香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が却下したことは、妥当である。
審査請求人は、平成17年3月15日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、「○○土地改良区の平成5年以降に開催された「臨時総代会」の議事録の全部」に係る行政文書の公開請求(以下「本件公開請求」という。)を行った。
処分庁は、本件公開請求に係る行政文書は、審査請求人が、平成16年11月15日付けで処分庁に公開請求(以下「前出公開請求」という。)を行い、平成18年3月14日までに公開決定等が行われることになっている行政文書に全て含まれており、本件公開請求に対して公開決定等を行う実益がないため、平成17年3月29日付けで審査請求人に却下通知を行った。
審査請求人は、本件却下処分を不服として、平成17年3月31日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「却下処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。
審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
却下理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
審査請求人の本件公開請求の請求内容は、「○○土地改良区の平成5年以降に開催された「臨時総代会」の議事録の全部」であるが、当該文書は、前出公開請求に係る行政文書に全て含まれている。
本件公開請求が行われた平成17年3月15日の時点では、前出公開請求は、行政文書が著しく大量である等の理由により条例第13条の規定に基づく公開決定等の特例延長通知を行い、本件公開請求と重複する文書を含む対象文書のほとんどについて、以後順次公開決定等が行われる予定であった。
このことから、前出公開請求と重複して本件公開請求に対する公開決定等を行う実益はなく、本件公開請求に対する公開決定等を行わなくても県民の行政文書の公開を請求する権利を不当に妨げるものではない。
また、条例第4条の規定においては、行政文書の公開を請求するものは、その権利を正当に行使しなければならないと定めており、処理中の公開請求と重複した内容の公開請求を行うことは、権利の正当な行使とはいえないものである。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
上記の条例の趣旨に基づき、審査請求人の本件公開請求について、処分庁が平成17年3月29日付けで却下したことの妥当性について検討する。
審査会で調査したところ、本件公開請求で特定されるべき行政文書は、下記アないし オの行政文書(以下「本件行政文書」という。)であり、香川県土地改良法施行細則(昭和56年香川県規則第60号)第6条の規定により、○○土地改良区から処分庁に届出があった議決事項の添付書類として提出されたものである。
また、前出公開請求の請求内容は、「(a)土地改良区(○○土地改良区を除く)の平成2年以降に開催された総代会の議案書の全部」及び「(b)○○土地改良区の平成2年以降の総代会議事録の全部」であるところ、処分庁は、公開請求に係る行政文書が著しく大量であることから条例第13条の規定を適用し、平成16年11月29日付けで行政文書公開決定等期間特例延長通知を行い、公開決定等の期間を延長(期限:平成18年3月14日)した。その後、平成17年1月13日付けで(a)に係る対象行政文書の一部の公開決定等を行い、残りの行政文書は、順次、延長期間中に公開決定等を行うこととしていた。
その後に提出された本件公開請求に対し、処分庁は上記アからオの行政文書を特定した上で、本件公開請求の対象とする行政文書が、前出公開請求で公開決定等がなされることになっている行政文書に全て含まれているとして、却下したものである。
そこで、前出公開請求の(b)の請求内容である「○○土地改良区の平成2年以降の総代会議事録の全部」と本件公開請求の請求内容である「○○土地改良区の平成5年以降に開催された臨時総代会の議事録の全部」とを比較すると、前者の「総代会」は後者の「臨時総代会」を含んでいること、前者の請求期間の始期は後者よりも前の年度であること、また、処分庁に確認したところ、前出公開請求の請求日以降から本件公開請求の請求日までの間に総代会は開催されていないことから、本件公開請求に係る行政文書は、前出公開請求の対象行政文書に全て含まれているとの処分庁の結論は正しいものと判断される。
また、本件公開請求が行われた平成17年3月15日の時点では、前出公開請求は公開決定等の期間を延長し、順次公開決定等を行うことを審査請求人に通知していたところであり、その後に提出された本件公開請求に係る審査請求人への却下通知書の「却下の理由」に、本件行政文書が前出公開請求で公開決定等がなされることになっている行政文書に全て含まれていることが記載されている。
すなわち、本件公開請求は、前出公開請求と同一内容の行政文書の公開を求める請求となっていたことから、本件行政文書の公開決定等の準備を進めていた前出公開請求により公開決定等を行うこととしたものであり、審査請求人の行政文書の公開を求める権利を不当に侵害するものではない。なお、本件行政文書は、平成17年4月14日付で前出公開請求に対するものとして、公開決定等が行われており、本件公開請求に係る審査請求人の公開請求の目的は達せられている。
したがって、処分庁が、本件公開請求に係る行政文書が前出公開請求の対象行政文書と重複しており、当該文書を前出公開請求により公開する旨の理由を記した上で、本件公開請求を却下したことは、上記のような状況の中で、開示手続の重複や同一案件処理の長期化を避けること、行政文書の公開を求める権利を不当に侵害するものではないことから、これを否定すべきものではないと考える。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
年月日 | 審査の経過 |
---|---|
平成17年4月18日 | 諮問の受理(平成17年度諮問4号) |
同年8月2日 | 諮問庁から却下理由等説明書を受理 |
平成19年4月26日 | 審査(第53回審査会第一部会) |
同年6月4日 | 審査(第54回審査会第一部会) |
同年7月3日 | 審査(第32回審査会) |
青竹美佳、桑城秀樹、竹内麗子、三野隆子、山田健吾、吉田正己
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