平成18年12月26日 答申第411号(香川県情報公開審査会答申)
平成18年12月26日 答申第411号
答申
第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論
1 平成17年5月2日付け17土改第7748-2号による諮問(以下「平成17年度諮問5号」という。)関係
香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分1」という。)は、妥当である。
2 平成17年5月31日付け17広聴第13735号による諮問(以下「平成17年度諮問9号」という。)関係
実施機関が行った一部公開決定(以下「本件処分2」という。)は、妥当である。
第2 異議申立てに至る経過
1 行政文書の公開請求
異議申立人は、平成17年3月31日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
- (1)土地改良課及び広聴広報課において保有する土地改良区に関連する「請願書」及び「知事への手紙」の全部。ただし、平成15年4月以降に提出されたものに限る。
- (2)上記(1)の「請願書」及び「知事への手紙」に対する回答文書の控え及び関連する一切の起案文書の全部
- (3)平成16年9月7日付の土地改良課長作成名義の高松東警察署に提出した書類の写し及び関連する一切の起案文書の全部
2 実施機関の決定
実施機関は、平成17年4月14日付けで、次の処分を行い、それぞれ異議申立人に通知した。
- (1)本件請求の(1)及び本件請求の(2)に対応する行政文書として別表1、別表3及び別表4の「公開請求に係る行政文書」を特定し、「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして行った本件処分2
- (2)本件請求の(1)に対応する行政文書として別表2の「公開請求に係る行政文書」を特定し、「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして行った本件処分1
- (3)本件請求の(3)について、「本件請求の(3)は、土地改良課が作成し香川県高松東警察署に提出した文書等を請求したものであるが、当該行政文書の存否を答えることによって、香川県高松東警察署における事件等の有無を明らかにすることとなり、犯罪の証拠等の発見、収集、保全等が困難になるなど、犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第7条第5号に該当するため、条例第10条により存否応答拒否します。」との理由により行った非公開決定
3 異議申立て
異議申立人は、本件処分1及び本件処分2を不服として、平成17年4月18日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対してそれぞれ異議申立てを行った。
第3 異議申立ての内容
1 異議申立ての趣旨
- (1)平成17年度諮問5号関係
「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。
- (2)平成17年度諮問9号関係
「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。
2 異議申立ての理由
異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
- (1)平成17年度諮問5号関係
- 本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
- 本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
- 本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。
- (2)平成17年度諮問9号関係
- 本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
- 本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
- 本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。
第4 実施機関の説明の要旨
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
1 平成17年度諮問5号関係
- (1)条例第7条第1号の該当性について
条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
当該文書には、個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分が記載されているが、これらは条例第7条第1号本文に規定するところの特定の個人が識別され得る個人に関する情報であることは明白であり、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものである。また、これらの情報は同号のどのただし書にも該当しない。
2 平成17年度諮問9号関係
- (1)条例第7条第1号の該当性について
条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
当該文書には、個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分が記載されているが、これらは条例第7条第1号本文に規定するところの特定の個人が識別され得る個人に関する情報であることは明白である。また、これらの情報は同号のどのただし書にも該当しない。
第5 審査会の判断理由
1 判断における基本的な考え方について
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
2 審査の併合について
「平成17年度諮問5号」及び「平成17年度諮問9号」は、同一の異議申立人に係るものであり、相互に関連している事案であるため併合して審査する。
3 本件行政文書の内容等について
「知事への手紙」は、県民とともにつくり、分かち合う参加の県政を推進するため、広く、県政に対する自由な意見・提言・要望等をしてもらう趣旨で設けられた制度であり、回答を要するものは関係課長に回答案の作成を依頼し、関係課長から回答を受け取った後、決裁を経て提言者に送付することとなっている。
本件行政文書の記載事項は概ね次のとおりである。
- (1)別表1の「公開請求に係る行政文書」について
別表1の「公開請求に係る行政文書」は、「知事への手紙」、「請願書」に対して、担当課長に回答案の作成を依頼をするための起案文書である。標題、起案年月日等の記載された起案表紙のほか、依頼文(案)、添付資料として「知事への手紙」、「請願書」の写し及び原本が添付されている。
- (2)別表2の「公開請求に係る行政文書」について
平成17年3月31日付けの請願書。請願者の住所、氏名、電話番号のほか、請願の内容等が記載されている。
- (3)別表3及び別表4の「公開請求に係る行政文書」について
別表3及び別表4の「公開請求に係る行政文書」は、「知事への手紙」、「請願書」の提出者に対して回答をするための起案文書である。標題、起案年月日等の記載された起案表紙のほか、回答(案)、添付資料として「知事への手紙」、「請願書」の写し、担当課が作成した回答案及び「知事への手紙」、「請願書」の写しが添付されている。
4 非公開情報該当性について
- (1)条例第7条第1号の該当性について
条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
- 「知事への手紙」、「請願書」について
審査会において、「知事への手紙」、「請願書」を見分したところ、すべて個人から提出されたものであった。
本件「知事への手紙」、「請願書」には、提出者の主張する土地改良区の運営等についての意見が本文として、提出者の住所、氏名、連絡先等とともに記載されている。
よって、全体として個人に関する情報で特定の個人が識別され得るものと考えられ、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書のいずれにも該当しないと判断される。
- 差出人の氏名、請願者の住所、氏名について
差出人の氏名は、「知事への手紙」、「請願書」の提出者に対して回答をするための起案表紙の受信者の欄、回答(案)の宛名の部分、担当課が作成した回答案の宛名の部分に、請願者の住所、氏名は、「請願書」の提出者に対して回答をするための起案表紙の受信者の欄、起案理由、回答(案)の宛名の部分に記載されているものであり、すべてが個人のものである。
個人の住所、氏名は、個人に関する情報で、特定の個人が識別され得るものに該当することは明らかである。よって、条例第7条第1号本文に該当する。また、本号ただし書のいずれにも該当しないことは明らかである。
- (2)条例第7条第2号の該当性について
条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
- 土地改良区の名称について
土地改良区の名称は、担当課長に回答案の作成を依頼をするための起案表紙の標題、「知事への手紙」、「請願書」の提出者に対して回答をするための起案表紙の標題、回答(案)、担当課が作成した回答案に記載されているものである。
審査会で見分したところ、本件処分2で既に公開されている回答の内容は、「知事への手紙」や「請願書」で提出者が主張している土地改良区の運営等についての意見に対して知事が見解や指導の要否を述べたものとなっている。
そのため、土地改良区の名称を公開すると、特定土地改良区の運営等が適正に行われていないのではないかといった憶測を一般に与え、当該土地改良区の信用、社会的評価、事業活動の自由等が損われ、正当な利益を害するおそれがあると認められる。
よって、土地改良区の名称が条例第7条第2号に該当するとして非公開としたことは妥当である。
5 第3の2異議申立ての理由のうち、(1)の3及び(2)の3について
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
別表1
公開請求に係る行政文書 |
公開しない部分 |
公開しない理由 |
- No.156(平成15年6月19日起案文書)
- No.157(平成15年6月19日起案文書)
- No.158(平成15年6月19日起案文書)
- No.173(平成15年6月25日起案文書)
- No.221(平成15年7月14日起案文書)
- No.224(平成15年7月15日起案文書)
- No.225(平成15年7月15日起案文書)
- No.231(平成15年7月18日起案文書)
- No.233(平成15年7月18日起案文書)
- No.237(平成15年7月22日起案文書)
- No.239(平成15年7月23日起案文書)
- No.271(平成15年8月1日起案文書)
- No.272(平成15年8月1日起案文書)
- No.273(平成15年8月1日起案文書)
- No.296(平成15年8月14日起案文書)
- No.301(平成15年8月19日起案文書)
- No.302(平成15年8月19日起案文書)
- No.303(平成15年8月19日起案文書)
- No.310(平成15年8月25日起案文書)
- No.322(平成15年9月1日起案文書)
- No.329(平成15年9月3日起案文書)
- No.330(平成15年9月3日起案文書)
- No.331(平成15年9月4日起案文書)
- No.332(平成15年9月4日起案文書)
- No.355(平成15年9月16日起案文書)
- No.397(平成15年10月6日起案文書)
- No.409(平成15年10月14日起案文書)
- No.427(平成15年10月24日起案文書)
- No.436(平成15年10月28日起案文書)
- No.684(平成16年2月27日起案文書)
- No.709(平成16年3月11日起案文書)
- No.742(平成16年3月31日起案文書)
- No.296(平成16年8月5日起案文書)
- No.516(平成16年10月28日起案文書)
- No.661(平成16年12月14日起案文書)
- No.821(平成17年3月1日起案文書)
- No.899(平成17年3月30日起案文書)
- No.900(平成17年3月30日起案文書)
- No.004(平成17年4月4日起案文書)
- No.017(平成17年4月15日起案文書)
- No.018(平成17年4月15日起案文書)
|
知事への手紙、請願書 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分であり、個人の権利利益を害するおそれがあるため |
土地改良区の名称 |
条例第7条第2号該当
土地改良区の運営状況及び土地改良区に対する評価に関する情報があり、土地改良区の名称を公にすることにより、当該土地改良区の信用、社会的評価、事業活動の自由等が損なわれるおそれがあるため |
別表2
公開請求に係る行政文書 |
公開しない部分 |
公開しない理由 |
請願書(平成17年3月31日付け) |
請願書 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため
個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分であり、個人の権利利益を害するおそれがあるため |
別表3
公開請求に係る行政文書 |
公開しない部分 |
公開しない理由 |
- No.156(平成15年7月2日起案文書)
- No.157(平成15年7月2日起案文書)
- No.158(平成15年7月2日起案文書)
- No.173(平成15年7月2日起案文書)
- No.221(平成15年8月18日起案文書)
- No.224(平成15年8月18日起案文書)
- No.225(平成15年8月18日起案文書)
- No.231(平成15年8月18日起案文書)
- No.233(平成15年8月18日起案文書)
- No.237(平成15年8月18日起案文書)
- No.239(平成15年8月18日起案文書)
- No.271(平成15年8月18日起案文書)
- No.272(平成15年8月18日起案文書)
- No.273(平成15年8月18日起案文書)
- No.296(平成15年9月2日起案文書)
- No.301(平成15年9月2日起案文書)
- No.302(平成15年9月2日起案文書)
- No.303(平成15年9月2日起案文書)
- No.310(平成15年9月2日起案文書)
- No.322(平成15年9月8日起案文書)
- No.329(平成15年9月8日起案文書)
- No.330(平成15年9月18日起案文書)
- No.331(平成15年9月18日起案文書)
- No.332(平成15年9月18日起案文書)
- No.355(平成15年9月18日起案文書)
- No.397(平成15年10月20日起案文書)
- No.409(平成15年10月20日起案文書)
- No.427(平成15年10月31日起案文書)
- No.436(平成15年11月19日起案文書)
- No.684(平成16年3月4日起案文書)
- No.709(平成16年3月22日起案文書)
- No.742(平成16年4月14日起案文書)
- No.296(平成16年8月9日起案文書)
- No.516(平成16年11月2日起案文書)
- No.661(平成16年12月16日起案文書)
- No.821(平成17年3月9日起案文書)
- No.899(平成17年4月7日起案文書)
- No.900(平成17年4月7日起案文書)
|
差出人の氏名 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため |
土地改良区の名称 |
条例第7条第2号該当
土地改良区の運営状況及び土地改良区に対する評価に関する情報があり、土地改良区の名称を公にすることにより、当該土地改良区の信用、社会的評価、事業活動の自由等が損なわれるおそれがあるため |
知事への手紙、請願書 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため 個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分であり、個人の権利利益を害するおそれがあるため |
別表4
公開請求に係る行政文書 |
公開しない部分 |
公開しない理由 |
請願書に対する回答について(平成15年4月18日起案文書) |
請願者の住所、氏名 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため |
土地改良区の名称 |
条例第7条第2号該当
土地改良区の運営状況及び土地改良区に対する評価に関する情報があり、土地改良区の名称を公にすることにより、当該土地改良区の信用、社会的評価、事業活動の自由等が損なわれるおそれがあるため |
請願書 |
条例第7条第1号該当
特定の個人が識別される個人の情報に該当するため
個人の過去の行動、言動又は心情に関する部分であり、個人の権利利益を害するおそれがあるため |
401号~450号 451号~500号 501号~