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答申
香川県東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
審査請求人は、平成17年10月22日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「新条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
処分庁は、公開請求のあった行政文書として「香南町土地改良事業施行認可申請書(平成11年5月14日付)」(以下「本件行政文書」という。)及び別表1に掲げる行政文書を特定し、本件行政文書については別表2の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして本件処分を行い、また別表1に掲げる行政文書については公開決定を行い、平成17年11月4日付けで審査請求人に通知した。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成17年11月15日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。
審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
本件行政文書には、個人の氏名が記載されているが、これは、特定の個人が識別され得る個人に関する情報であることは明白である。よって、旧条例第6条第1号本文に該当し、ただし書に該当しない。
本件行政文書には、法人の所有地及び当該法人の印影が記載されているが、これは、財産管理及び事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報と言える。この情報を当該法人の事業活動に関わりなく一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人に不利益を与えることから、これが旧条例第6条第2号本文に該当することは明白であり、ただし書に該当しない。
本件行政文書には当該地方公共団体の事業の事務等に関する情報が記載されているが、これらの情報を一般に公開することは、当該地方公共団体の事務に関する公正若しくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある。このことから、これらの情報が旧条例第6条第5号本文に該当することは明白である。
新条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、新条例の施行日である平成12年10月1日前に作成し、又は取得した旧条例第2条第1項に規定する公文書に該当する行政文書であって平成18年4月1日前の公開請求の対象となったものについては、新条例附則第3項により、旧条例第6条各号の解釈、運用が適正であったか否かにより非公開情報の該当性について判断するものである。
また、非公開情報の該当性の判断に当たっては、処分庁が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。
土地改良法(昭和24年法律第195号)の規定により、香南町が土地改良事業を行うために平成11年に提出した施行認可申請書であり、土地改良事業計画書、公告した事項を記載した書面、同意書、事業費の細目及び資金計画を記載した書面、従前地各筆調書等が添付されている。
次に掲げる各非公開条項についての基本的な考え方に基づき、別表3のとおり判断する。
旧条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
公開しない部分 | 公開しない理由 |
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宅地等地区編入同意書のうち所有者の印影(公開分は除く) |
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非公開部分 | 審査会の判断 |
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同意した者の総数、同意率、同意書のうち住所、氏名、署名(記名)、印影、所有者の印影、所有者以外の使用収益権者が記載された部分、耕作者の住所、氏名、職業、変更後の土地利用者、施設の概要の転用予定に関する部分については、本件土地改良事業の施行認可申請について個人が同意したか否か、当該同意が相続人によるものであるか否かがわかる情報、耕作者が誰であるかがわかる情報、利用者の氏名、職業がわかる情報等であり、個人の内心に関わる情報、資産に関する情報等であることから、個人に関する情報であって特定の個人を識別することができるものであると判断され、旧条例第6条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 審査会で見分したところ、「非農用地設定に伴う農業振興地域整備計画協議資料」は、換地の計画段階での町と県との協議資料であり、特定個人の財産の帰属に関する情報が記載されていた。当該資料における「非農用地を設定しようとする土地」欄のうち地番、地目、面積が記載されている部分、変更後の土地用途、変更後の土地利用者、非農用地区域設定理由が記載されている部分については、協議段階での暫定的な数値等が記載されており、本件土地改良事業は現在継続中であることから、これを公開すると、本件土地改良事業の計画変更に際して無用の混乱を生じ、町が行う土地改良事業の事務の円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められることから、旧条例第6条第5号に該当すると判断される。 |
宅地等地区編入同意書のうち所有者の印影(公開分は除く) | 印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。 しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。 本件処分により非公開とされた印影は、宅地等地区編入同意書に押印されている特定土地改良区理事長の印影であり、当該法人がこのような文書を提出する相手方は、土地改良事業の事業主体等に限定されていると考えられる。 すなわち、本件印影はいずれも当該法人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示す機能を有する性質のものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、当該法人の各種書類の偽造等に悪用されるなどが考えられる。 よって、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、旧条例第6条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。 |
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