ここから本文です。
答申
香川県小豆総合事務所長(以下「処分庁」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
審査請求人は、平成16年2月8日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
処分庁は、平成16年2月23日付けで、本件請求の(1)に対応する行政文書については、作成及び取得しておらず存在しないとして本件処分を行い、本件請求の(2)に対応する行政文書については、次の行政文書を特定して一部公開決定を行い、本件請求の(3)に対応する行政文書については、「○○地先の一般海域における不法投棄に関する資料」を特定して公開決定を行い、審査請求人に通知した。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成16年2月25日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの裁決を求める」というものである。
審査請求書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
一般海域を占用しようとする場合には、海上における船舶交通その他の海上の安全の確保に影響を与える可能性もあることから、県に対する一般海域占用許可申請とは別に、申請者において当該区域を管轄する海上保安署と協議等を行うことが一般的である。
通常の場合、県と海上保安署との間では、直接協議はしておらず、請求のあった行政文書は存在しない。
なお、審査請求人が審査請求の理由の中で述べている「別件の公開請求により既に開示されている」というのは、申請人と坂手海上保安署との協議に関する文書であり、県と海上保安署との協議に関する文書ではないと思われる。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
審査請求人は、一般海域の占用許可等をするに当たり、坂手海上保安署と香川県とが協議した一切の記録の公開を請求しているが、占用許可等の根拠である建設省所管公共用財産管理規則(昭和38年規則第3号:平成12年3月31日以前適用)には、その第16条第2項「土木事務所長は、第4条、第5条及び第7条の規定による申請書の提出があった場合において必要があると認めるときは、関係市町長の意見を聞くものとする。」の規定以外に官公署と協議等を行う規定はない。
また、香川県一般海域管理条例(平成12年条例第12号:平成12年4月1日以後適用)及び同施行規則(平成12年規則第63号:平成12年4月1日以後適用)にも、同施行規則第9条第2項「所長は、前項の規定による書類の提出があった場合において必要があると認めるときは、関係市町長の意見を聴くものとする。」の規定以外に官公署と協議等を行う規定はない。
したがって、一般海域の占用許可等において、香川県が意見を聴き協議をするのは、法令上関係市町長に限られており、諮問庁の「通常の場合、県と海上保安署との間では、直接協議はしておらず、請求のあった行政文書は存在しない。」との説明に不自然な点があるとは認められず、その存在を推認させる特段の事情もない。
また、審査請求の理由にある「別件の公開請求により既に開示されているので、理由の記載は誤りである。」との主張については、具体的にどの文書であるかの説明がないため、当該施設に関する坂手海上保安署と香川県とが協議した記録が存在する根拠とは認められず、処分庁が公開した行政文書の中には、平成12年8月17日付けの申請者と坂手海上保安署との協議記録はあるが、坂手海上保安署と香川県とが協議した記録の存在を推認させるものはない。
よって、処分庁が、請求対象行政文書が存在しないとして非公開とした本件処分は、妥当であると判断される。
条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
このページに関するお問い合わせ