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1.就任1年を迎えるにあたっての所感について
2.バスケットボールワールドカップ2023について
3.就任2年目にあたってのキャッチフレーズについて
4.サンポート開発について
5.四国新幹線について
6.ローカル線存廃問題について
7.改正地域公共交通活性化再生法について
幹事社:まず、知事の就任1年を迎えるにあたっての所感についてお伺いします。池田知事は、明日5日で就任から1年を迎えます。この就任1年を迎えるにあたっての所感をお伺いします。またこの1年間、どんな政策に力を入れ、その成果をどう捉えているかをお伺いします。また、今後取り組むべき課題は何と考えているのかを併せてお伺いします。
知事:いつも大変お世話になります。今日もよろしくお願いいたします。
今ご質問いただいた通り、ちょうど明日で1年になります。大変皆様方にもお世話になります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。月並みですけれどもあっと言う間の1年でございました。日々、県政にかかる課題といいますか、取り組むべき問題は毎日、いろんな分野で、発生するなということを、改めて痛感した1年でございました。そういった問題について、一つ一つ解決をし、また改善をしていくことが、県民の皆様の安全な暮らし、そして県の発展、経済を中心とする発展に繋がっていくのだろうなという気持ちをまた改めて新たにしているところであります。振り返ってみますと新型コロナウイルス感染症の感染状況は昨年の9月以降も厳しいものがございまして、その感染拡大防止と、経済の回復の両立を目指していくということを念頭に取り組んだ1年であったかと思います。それから現在も続いておりますけれども原油高・物価高騰についても、昨年の9月より、その状況がございましたけれども、これについても、なお、今もそういう状況が続いており、いろいろな業種がございますけれども非常にその影響を大きく受けている業種もございまして、これについても、これまでもまたこれからも状況を注視して必要な対策を機を逸することなく続けていかなければならないと思います。そして、中長期的な点も見まして一番力を入れておりますことは、少子化対策、産業の振興、観光の振興、この三本柱であります。
まず少子化対策の関係については、経済的負担の軽減、孤独な子育て世帯の相談を持ちかける、そういう拠点の整備、それと社会全体で子育てを応援する体制、これを進めてきているところですけれども、この1年間におきましては、子ども医療費の無償化について県の方での小学3年生までの無償化の助成を受けて、県内全市町での高校までの無償化が実現をしたということについて、市町長にも感謝を申し上げたいと思います。それから県立高校の冷暖房経費の県費による対応についても実現ができました。また第3子以降の学校給食の無償化について、現在進めており、この9月議会にも、補正予算の提案をして、ぜひ、各市町、これに沿って第3学期以降(令和6年1月以降)の給食、第3子以降の給食の無償化につなげてまいりたいと思います。少子化対策については、一つ一つ進めてきておりますけれどもこれからも力を入れて特に共稼ぎ、共育てができる社会環境を作っていくことに焦点を当て、また断続的に切れ目ない対策を継続して行っていくことが必要な課題でありますので、取り組んでいきたいと思います。
それから産業政策でございますけれども、香川県の経済発展を長く続けるには、香川の産業基盤をしっかりしないといけないというのが私の強い思いであります。瀬戸内という非常に運搬に恵まれた地の利、そういったものを生かしてこれまでも多くの企業が沿岸地域中心に、香川県に立地をしております。これをさらに拡充していくとともに現在国内回帰の流れの中で進んできている企業立地を香川に持ってくる、こういったことに力を入れたいと思い進めてまいりました。「せとうち企業誘致100プラン」を3月までに策定をし、積極的な企業立地に努めております。その中で特に全国初となるカーボンニュートラルポートの形成に資するようなエネルギー関連の企業への追加的な支援策、そして民間企業の行う工業団地の土地造成への支援、こういった2つの全国初の支援策も取り入れて、今後進めていきたいと思います。すでに、これまでに日本IBM社が高松市内に「地域DXセンター」を開設したりする事例も出てきておりまして、現在私が着任してからも8件の立地がございました。令和元年度から3年度までの年平均の企業立地件数が4件(正しくは令和元年度から3年度までのトータルで4件。後段※で訂正あり)でありますので、順調にこの立地が進捗をし始めたところではないかなと思います。先ほどの支援策も大いに活用して、今後とも力を入れたいと思います。
それから三つ目の観光振興でございますけれども、特に高松空港の国際線を活用したインバウンドの誘客を進めてまいりました。コロナですべて休止になっていた国際線4路線の再開につきまして、就任当初より早期の再開を目指しておりましたが、何とかこの9月の上海線の再開に至るまで、4路線すべてにつきまして再開をすることができました。まだ便数については、コロナ前への状態に戻ってないところがございます。これをさらに進めていきたいと思いますし、これから新たな新規路線の開拓にも力を入れたいと思います。それから瀬戸内の魅力というのが香川県の魅力の大きなポイントですけれども、特に瀬戸内の中でも、この島というものが非常に観光の財産になってきております。特に国際的な評価が高いということがあります。瀬戸内国際芸術祭の力もあったかと思います。この島への観光ということ、これからもっともっと伸ばすために「島へ行こうキャンペーン」をこの秋以降、実施をすることで、県内の人も含めて島へ多くの方が往来をしてもらえるように今後とも進めてまいりたいと思います。観光についてはコロナ前の約8割の水準までは戻ってまいりました。そして宿泊者については、ほぼコロナ前の水準まで戻ってまいりました。これから大阪・関西万博の時期が近づいてまいります。こういったチャンスを生かしてインバウンド、それから全国の大阪への訪問をさらに香川にも伸ばしていけるという、こういったものも生かしてコロナ前以上の観光客に伸ばしていきたいと思います。
それから今縷々申しましたけれども、今後取り組むべき課題といたしましては、まずはやはり少子化対策に力を継続して入れたいと思います。先ほど申しました、共働き、共育てができる、特に重要なのは、育児休暇の取得ができるような、そういうような環境を作っていくことが重要であると思っております。先日、各県内の各経済団体とも協定を結び、経済団体と一緒になった子育ての支援の推進を目指しておりますけれども、この点については特に力を入れたいと思います。
産業の振興につきましては、先ほどの企業の誘致の関連で、忘れてはならないのが人材の確保であります。現在どの業種も全国的に非常に人材の不足が経済の足かせになってきている状況がございますので、この点について、経済界と連動して進めていきたいと思います。それと県産品の特に農業、畜産、水産いろんな香川ブランドが大きな力といいますか、確立されてきているものが増えておりますので、これを国内外の販路拡大をしっかりと進めたいと思います。
それから観光振興につきましては先ほどのインバウンド、大阪・関西万博を活用した誘客に加えまして、高松、香川県の魅力として丸亀町を中心としたまちのにぎわいが全国の中でもありますけれども、それに加えて、サンポート地区に、にぎわい拠点を設ける、ここに力を入れたいと思います。
以上のようなものを中心に、経済の発展と県民の安全な暮らしの確保、この2本柱を満足できるように、しっかりといろいろな政策を進めてまいりたいと思いますので、ぜひ引き続きのご支援をよろしくお願いしたいと思います。
幹事社:追加でもう1点お伺いします。話が変わってバスケットボールの話です。報道でも話題になっていますが、バスケットボールのワールドカップで先日、日本が勝利しまして、48年ぶりに自力でのオリンピックの出場権を獲得しました。このチームでは香川県で三木町出身の渡邊雄太選手の活躍が光ったのは記憶に新しいと思います。こういった県人の活躍をどのように見られていらっしゃるのか、また知事として今後期待する点などありましたらお話をお聞かせ願えればと思います。
知事:このバスケットボールのワールドカップは私もテレビの前で食い入るようにしてずっと観戦をしておりました。勝利の瞬間には非常に私自身も感動をいたしました。特に、このバスケットボールは渡邊雄太という、日本のエースが香川県の出身であるということで、彼の40分、最終戦はフル出場で、チームのいわゆるリーダー、大黒柱として、その自覚を持ってチームを引っ張っている、その姿に胸を打たれたところであります。ぜひ、パリオリンピックでもいい成績を残していただきたいと思います。そして香川の、また誇りとして活躍をしてほしいと思います。渡邊雄太選手もそうですし、スポーツで言えばジャイアンツの浅野選手もおられます。たくさんの選手がこの世界レベルで活躍をしていただけるということは、県民にとっても大きな力であると思います。そしてまた香川は芸術文化の面でも非常にすぐれた方が大勢おられ、その分野でも世界にも名が通るような方がたくさんおられます。こういった分野においても、ぜひこれからも活躍をして香川県の力になっていただきたいと思います。香川の人がそういった方の活躍を見て、より気持ちが活性化して、全体として香川の発展にも繋がってくるのではないかなと思います。改めて渡邊雄太選手を初めとするバスケットボールの日本選手の方々にはお礼を申し上げたいと思います。これからも頑張っていただきたいと思います。
知事:(※)1点だけ訂正させてください。企業立地の実績で令和になって元年から3年まで年平均4件と言いましたけど、トータルで4件であったものが今年、私が就任してから8件になったということで非常に順調な経過になってきているのではないかなと思いますのでよろしくお願いします。
記者:就任1年の関連で追加で質問させていただきます。去年就任した時に、キャッチフレーズが確かONE STEP TOGETHERということで、そういったキャッチフレーズもおっしゃっていたかと思うのですけど、2年目になるにあたって何かキャッチフレーズとか、そういったものってありますでしょうか。
知事:やはり引き続き、ONE STEP TOGETHERというのをキャッチフレーズにしていきたいと思います。これは私自身の県政に取り組む上での、基本的スタンスの一つなのですけれども、特に経済の振興を先ほど挙げましたけれども、経済を引っ張っていただいている大半は、民間の事業者の方であります。民間の事業者の方がいかにうまくその事業をこの地で発展させられるか、それは民間事業者の力にかかるのですけれども、そこに行政のうまいサポートが、適切なサポートができるかどうかということが非常に重要だと思っておりまして、そういうことの意も含めて、一緒に発展をという、そういうことをこれからも標ぼうしながら、今、経済の話をしましたけれども、その他の分野においても進めてまいりたいと思います。
記者:先ほどスポーツの話題にも触れましたけど、次の1年、来年はパリ五輪の年でもあるので、かなりスポーツの関連っていうのが大きく取り上げられるのかなと思うのですけど、県政運営にもその辺スポーツを一つテーマにしたりとかその辺の考えはいかがでしょうか。
知事:これはスポーツで言えば、先ほど例に出した高校野球などはもう以前より、今もこれからも、県民が気持ちを一つにして、盛り上がっていけるテーマだと思いますけれども、それに加えまして我が県には野球とサッカーとバスケットのチームがございます。この3チームについても、これからも今まで以上に県の方もしっかりサポートをし、先ほどのONE STEP TOGETHERじゃないですけれども、それによってさらに県民の方にも大きな関心を持って、この3チームが活躍していく、これがまた県の中の一体感、さらなる気持ちの活性化に繋がるのではないかなと思いますので、そういったところに重点を置きながら進めていきたいと思います。
記者:この1年なのですけれども、豊島の処理事業であったりだとかサンポート開発など前浜田県政から引き継いできた課題となっている事業もありました。
そういったところの取り組み、振り返ってみていかがでしょうか。
知事:豊島の事業については、この1年で私自身も非常に印象に残っている出来事の一つであります。この3月まででようやくこの整地が完了をいたしました。長い年月の中でようやく完了したということで、改めて起こったことの事の重大さを再認識いたしました。それからさらに私もそのあと現地も行きまして地元の方ともお話をいたしましたが、まだ引き続きしっかりと県の方で管理をして最終的に自然の浜に戻って行くまで県の方でしっかりと取り組んでいかなければならないなということを感じたところであります。前の浜田知事もそうですし、これは長い間、多くの知事が取り組んできた課題であり、私もその中のバトンを引き継いだ1人として、これからもしっかりやらなきゃいけないなと思います。
記者:またサンポート開発についてなのですけれども知事もプロムナード化の計画も進めていらっしゃいますけど一方で県立アリーナの方の設計変更の問題も生じていますけれども、今後どのように進めていきたいと思いますか。
知事:今建設ももう最盛期になりまして、全体のフォルムといいますか、形も見えて参りました。いろいろな方から楽しみだねというお話をお聞きします。このアリーナの建設を一つの起爆剤にして、この建設だけにとどまらず、この地区が多くの方が日常的に歩いてにぎわう、こういうエリアにしないといけないと思います。アリーナの完成、オープンまではあと1年半ぐらいになって参りました。限られた時間ですけれども、今おっしゃられたプロムナード化を含め、アリーナの完成に伴って、あの地区に人がたくさん往来する空間を作りたいと思います。
記者:わかりました。それで池田知事になってから今総合計画の見直しが進められているかと思います。その中で人口減少というのが大きな課題として取り上げられているかと思います。知事として人口減少の今の現状であったりだとか、それによる香川県としてのデメリットといいますか、そういったところについてお聞かせください。
知事:非常に危機的な状況であると思います。もう一度改めて申しますと、今年の元旦、1月1日現在で93万余という人口ですけれども、これは1年前に比べまして、8,110人もの減少になっております。そして自然減が7,680人、社会減は430人なのです。自然減というのは亡くなられた方と生まれてくる方の差ですけれども、これが圧倒的に多い。結局生まれてくる出生数の減少というのが非常にこれからも大事になって参ります。そしてこの出生数を見ますと、令和4年、5,802人ということで、その前年の6,223人から、421人減少しまして、統計取り始めて初めて、6,000人を割り込んだという、これも非常にショッキングな数字になっております。少子化の流れを、まずは止めないといけないと思います。
その上で先ほど申しました政策ですけれども、まず結婚をしたいという方が希望を持ってできる、そして、子どもを産みたいという方が希望を持って出産できるということを実現しないといけないと思います。経済面もあります。それから1人で孤独で、そういうリスクは嫌だという、こういったものを何とかしないといけないというのもあります。それから両方に関わりますけども社会全体でそういったものをサポートしないといけない、この三つの観点から、行政と経済界と地域社会が一体となったサポート体制を作ることで何とかこの少子化の流れを変えていきたいと考えております。
記者:そういった中で知事も先ほどおっしゃいましたけど、その子育て政策に力を入れているということなのですが、当初予算でも医療費の無償化の補助を上げられていたのですが、そういった今知事になられてからの子育て政策の成果なり、教えていただいてよろしいでしょうか。
知事:経済的な負担をできるだけ少なくということを、今おっしゃられた医療費の問題、高校の空調費の問題、あるいは給食費の一部助成の問題、こういったものあるいは不妊治療にかかる費用の問題、出産から子どもが大きくなるまで一連にいろいろな出費があるわけですけれども、できるところからそういったものを軽減するということに取り組んで参りました。ただ、それが少子化の局面を変えるっていうところに至っているということはまだまだできてないなという認識でおります。一つは子どもを躊躇するっていうのは、経済的な問題は一つありますけれども、それ以外でもやはり母親に負担がかかりすぎていて女性がどうしてもそういったことから出産をためらうっていう面もありますし、経済的な面だけではなかなか解決できない面もあるだろうということを痛感しております。それから今、国も含めて、少子化対策の打ち出しはいろいろされているのですけれども、これがやっぱり続いていかないと、やはり一時的に子育て支援と言う政策を打ち出されているのではないかなという、まだそういうこともあるのではないかなと思います。そういう意味で、やはり継続して国も県も市町も継続して政策が進められれば、こういう子育て世代の方にとっても信頼して、希望を持って、出産に踏み切っていけるということになるのではないかなと思うので、この課題は、継続というのは非常に大きなポイントではないかなと思っております。
記者:先ほど経済政策の方でも企業誘致を挙げられていましたけれども、ある意味その人口減少という課題に対して定住人口を増やすという意味でも、企業誘致というのは繋がってくるのではないかと思うのですが、そういった意味で現在の状況をどう踏まえているかというところと、あと今後のところをお願いします。
知事:先ほど申しましたように知事に就任した1年間の中で8件の企業立地がありまして、それぞれ雇用も起きているわけですけれども、中にはこの春の新卒の中で、採用が生まれているという、その8件の中にはそういう企業もありますので、そういったことが今後増えてくることで、県内定住ということが進むことになってくると思いますので、この企業立地はそういう面でも、これからも積極的に進めたいと思います。具体的には先ほどの「せとうち企業誘致100プラン」というのを使いながら私も東京で経団連とか商工会議所に行って、このプランの説明をして誘致を進めておりますけれども、今月中旬に東京ミッドタウン日比谷で、企業立地フェアの実施を予定しておりまして、これは私も参りまして、プレゼンテーションもしたいと思いますし、訪れられた企業さんにも直接私の方から、またセールスもしていきたいと考えております。これも中期的に取り組まなければいけない課題であります。企業さんにセールスするってことももちろん大事なのですけれども、来てもらうにはやっぱり来てもらえる用地もいる、
それから交通機関の充実もいる、こういったことは、今日明日にできる話ではないので、そういった用地の確保、交通機関の充実、こういったものを着実に進めるということも中期的な立地には重要ですので、こちらも併せて進めたいと思います。
記者:今までちょっと人口減少ということなり少子化なりを聞いてきたのですけれども、各県に共通する課題ともいえるというところで知事として香川県ならではの課題というのをどのように捉えているのかというのをお伺いしてもよろしいでしょうか。
知事:香川県の課題は、やはり日本の中で見たときに、特に東日本からなのですけれども、やや縁がちょっと薄いといいますか、東日本から見たときに香川県というのは縁が薄い、ちょっと強い言葉で言えば、知名度がやはりどうしても足らない。だから私も東日本で生活した時期はかなり長いのですけど、四国自身がそうですし、香川もそうなのですけれども、何かどこかに行こうとか、そういう場合に、九州の方は浮かぶけれども、四国とか香川県とかが頭に浮かびにくい面がどうしてもあるのです。それをこれから、これは人の気持ちとか、そういうのに関わっているので、これも一朝一夕には難しいのですけれども、いろいろなことで、「あの香川ね!」という、そういうようなことをやっていかなければいけないなと思います。観光っていうのも観光自身が振興策ですけれども、やっぱり観光ということで知ってもらえるということもあるので、そういうことにおいて、そういう観光での力も活用しながら、何か事を起こそうというときに、日本の中で、香川や四国が、頭の中に浮かんでくるような、こういうことをしっかり考えていかなければいけないなと思います。
記者:その知名度がちょっと低いというところなのですけど、それによって、例えば人口減少でもそうですけれども、どういった課題なり問題が生じてきていたりするのかということと、あと今後それを克服するためにはどういったことをしていきたいのかというのをお伺いしてもよろしいでしょうか。
知事:まず観光で言えば、どこかへ国内旅行しようというときに、やはり北海道とか九州とか沖縄っていうのは思い浮かんでも、四国というのはなかなか発想が出ないという問題なのだと思うのです。だからそこはやっぱりそういうのが一人一人の中で少しずつあると、やはりこういう誘客を広げていくにも障害になってくるし、それからビジネスについて言っても、新たに企業をどこか展開しようというような時に、四国というのがなかなか頭に浮かんでこないと、いくら災害が少ないとか、気候が温暖だとか、いろいろな船便がいいのだとかという、知ればわかってくれるのですけれども、まず浮かんでこないということであれば、大きなチャンスを失ってきている、毎日にそのようなことが、人の気持ちの中で起こるわけですから、浮かんでくるかこないかというのは、すごく大きいことだと思うのですね。だからそういった障害になってくるので、これをやはり知名度を上げるということは重要になってくると思います。これをどうするかというのは、これも何かやると一朝一夕に知名度が上がるということでもやっぱりない、人の気持ちにかかってきている問題があるので、そう特効薬があるわけではないのですけれども、まずはやっぱり香川ならではのものというのは大事です。そういう意味で、このうどんというのは非常に入口としての力はいまだに健在でありますけれども、ビジネスということを考えた場合に、うどんの場合だとやっぱり来てすぐ食べて帰ることになります。それも入口としてはあるかもわかりませんけれども、もう一ついるかなということを考えると、一つ候補になるのは、これも10年ぐらい前から言っていますけれども、アートっていうのが香川のブランドになりつつあると思うのです。これは瀬戸内国際芸術祭の力が大きかったと思いますけれども、このアートというのがブランドになりつつあるので、これを伸ばして、香川と言ったら「あのアートの香川県ね」となってくると、みんなの先ほどお話した頭の中に浮かぶ時の一つのきっかけになるキーワードではないかなと思うので、そういうところを力入れていきたいと思います。
記者:最後に今後の県政運営ということなのですけど、ある意味この1年というのは浜田県政からの例えば豊島だったりサンポート開発だったり、そういったところの取組みというのをされてくる中での1年ということだったと思うのですが、今後、いわゆる池田カラーといいましょうか、その独自色といいますか、というのはどのように出していきたいのかということも含めて県政運営についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
知事:今やはり前の浜田知事の時代と今の時代背景でやっぱり異なってきているのは、いわゆる象徴的なことは企業の国内回帰ということがあると思うのです。今から30年ぐらい前を見たときに、日本の企業は国内の生産ではなかなか立ち行かないという状況がありました。土地も高い、人件費も高い、海外で物を作って、そこで世界に売っていくというのがビジネスモデルだったと思うのですけれども、それがいろいろな状況の中で30年を経て、今の時代に、今の時に立ってみると、そこが大きく変わっている、日本で物を作り、海外に売って外貨を稼いでいくという、こういう時代がやってきていると思います。こういうものをしっかりと踏まえた上で、香川県の経済発展を考えていくということは、時代背景の変化を踏まえて、大きくこれは私自身が舵を切って進めていかないといけない課題かなと思っております。
記者:四国新幹線についてお伺いします。先日、池田知事ら四国4県の知事が8月30日、東京都内の四国新幹線整備促進期成会の大会に出席されまして、国土交通省に要望活動などを行われたと思います。整備計画格上げに向けた調査なんかを国に要望されたと報道が出ていますけれども、改めて要望された内容と、国側の反応、それを受けての手応えについてお伺いします。
加えて、国は6月に骨太の方針で、四国新幹線を含む基本計画線を調査検討すると初めて言及しましたが、それを受けての期待感もお願いします。
知事:先月30日に四国新幹線の期成会が東京でありまして、私も出席をしました。当日は600人を超える方が参加されて、非常に熱気のある中で開催されておりました。私は初めての参加になりますが、毎年参加されている方は「今年は違ったな。」というような感想を述べておられました。
今の要望は、四国新幹線が基本計画路線のままなので、これを早く整備計画の分類に格上げをしていってもらわないと困るということで、これに尽きるわけです。要望についての反応ですけれども、国土交通省が所管になりますが、古川政務官に要望したところ、来年度の予算編成に向けて、その月の要望をしっかりと胸に留めて、検討していきたいというようなお話をいただきましたので、前進をしてもらえると期待をしたいと思います。
それに関連しますけれども、今年の6月に発表された政府の来年度要望の元になっている骨太の方針というのが毎年出ていますが、今年の方針の中に、基本計画路線について初めて取り上げられて、地域の実情に応じて今後の方向性について調査検討を行うというのが書かれたということでありまして、この基本計画路線について今後進めていくという、国が進めていくという、この骨太の方針の主語は国ですから、国が進めていくという姿勢を新たに打ち出したということでありますので、これはこれまでとは一つ違うギアに入ったなと受けとめております。ギアに入っただけでは前にいきませんので、それを形にしていくためにこれからしっかりと、国土交通省の方と、4県一体となって進めて、整備計画の早期格上げに繋がるような動きになるようにしていきたいと思います。
記者:続いて、JR四国のローカル線の存廃問題についてもお伺いします。池田知事は、かねてからローカル線の存廃問題については、鉄道は社会経済活動を支える基本的・基幹的なインフラで、また県民生活に不可欠な移動手段として重要な役割を持っていることから、交通事業者だけの問題ではなくて、行政や県民の参加のもとで、鉄道の維持活性化に向けた議論や取り組みを進める必要があるとの考えを示されていると思います。これは今の段階でも変わりありませんでしょうか。
知事:鉄道が事業者だけの問題じゃなく、行政も含めた地域全体の問題であると考えております。この考えに変わりはありません。
記者:自治体とJR四国の間で議論がなかなか進まない現状がありまして、その議論を始める前提として、愛媛県と徳島県の知事がもっと情報開示をしてほしいとJR四国に対して求めています。一方で、JR四国は2019年度から21年度の線区別収支をすでに公表されまして、かなり困窮した状況にあるということを訴えておりまして、なかなかすれ違いの現状があるのかなと思います。こうした中で、将来にわたる公共交通のあり方について、JR四国と自治体が協議を進めていく上では、何が必要であると考えられていますでしょうか。
知事:まず一つは、情報開示を愛媛県の知事が求めておられるということで、愛媛県の知事のお考えがいろいろなところでお話になっているのをお聞きしますと、線区ごとの収支は出ているけれども、収支の特にコストの部分で、そこの路線区のいわゆる乗客がどうなのかということに加えて、やっぱり本社経費とか共通経費もあるだろうと。そういったものがどんなふうに振り分けられているかということも大事なことになってくるので、そういったものを含めて、しっかりと開示をして判断をしていくべきではないかということかなと、お話を振り返るとそう思います。そういったことについて、私も同じような考えでおります。
もう一つ大事なことは、JRの路線を今後どうしていくかというのは、その事業者がやっていけるかどうかということが一番に来るのではなくて、国民が、県民が生活していく上で鉄道路線網っていうのはどう必要なのかということが最初にあって、その上でそれを事業者にやってもらうとした時にどういう枠組みになるのかという、そういう思考回路で枠組みを考えていくという、これが一番重要なことである、大事なことであると思います。
記者:重ねてお伺いします。今年4月に地活化法、改正地域公共交通活性化再生法が成立しまして、新たに国や事業者、自治体で構成される再構築協議会が設置できることになりました。隣のJR西日本では、広島県と岡山県を結ぶ線で協議会の設置を国に要望するとすでに表明されています。JR四国の西牧社長も、いずれも県外にありますけれども、3路線4線区を存廃協議の候補に挙げておりますが、一方で、JR四国は国の行政処分で全路線の事業の方向性を示すことを求められています。これを受けて、再構築協議会とは別に、香川県がJR四国との間で会議体を設置する考えは今あるのかどうか、お伺いします。あるいは、現状どのような話し合いが同社と行われているのかということも教えてください。
知事:これはいろいろなものが動いているものですから、ちょっと整理させていただくと、再構築協議会というのが今、国全体として動き始めているわけですけれど、この設置の対象は輸送密度が千人を下回る線区となっているのですね。今、香川県内の線区にはそういう輸送密度が千人を下回る線区はないものですから。そういうことで、今JRからこの協議会の設置を香川県が提案されている、相談されているという状況はないということなのです。
それから、今おっしゃられた行政処分で、全路線の事業の方向性を示すということが求められているのではないかという、この点については、この再構築協議会とは別なのですけれども、令和2年3月に国交省からJR四国に対して改善指導というものがされていまして、そこで全路線について検討をしていくようにということが行政指導でされているのです。その中で、令和3年から令和7年の5年間でどういう改善をやっていくのかという、事業計画を作って進めていくようにということで、この事業計画はもうできており、それに沿って香川県も協力して、JR四国が進めているのですけれど、いろいろな改善策、利用促進策などを進めていくということになっているという、そういうことであります。
5年間の事業計画を進める上での取組みの一環として、「香川県鉄道ネットワークあり方懇談会」というのを作っていまして、これには県と市町も入っています。JR四国も入っています。こういったところで、利用促進の方策などが議論され、一部実施に移されていっているということです。現時点においては、この「香川県鉄道ネットワークあり方懇談会」をベースにして、これからも香川県はJR四国と意見交換して、利用促進策を進めていきたいと思います。
記者:冒頭で今後取り組むべき課題についておっしゃっていたと思うのですが、特に重要なこととして、育児休暇の取得ができるような環境づくりだとか、どの業種でも人材不足は経済の足かせになっているのでこの点について経済界と連動して進めるとおっしゃっていました。具体的には、どういった施策をお考えでしょうか。
知事:まず、最初の育児休暇については、現時点では育児休暇を長くとると給与が下がるというマイナスがあるわけです。それが育児休暇取得の障害にもなっていると思います。国の方で、25年度から、28日間の育児休暇分についての補填を相当引き上げる方向性が示されておりますけれども、これを早く実現してもらえるように国に働きかけております。また、この28日というのも少し短いのではないかなと思っております。いろいろな方から、専門家も含めて聞きますと、やはり2ヶ月から3ヶ月育児休暇を取ることで、男性が育児休暇を取る場合を想定すると、お手伝いの範疇から主体側になれるかどうかは、2ヶ月から3ヶ月必要じゃないかと言われております。そういったことを考えると、2ヶ月以上の育児休暇が給与の心配ができるだけ少ない形で取れるようにするということ、これに力を入れていきたいと思います。
二つ目については、これは構造的な問題で、一つは、まだ実際には働ける能力も意欲もある人がなかなかチャンスを見つけられないケースがまだまだあると思います。一つは女性の子育てが一段落した後の世代の方々、それから障害者の方々。こういった方々が、能力も意欲もあるにもかかわらず、それを生かせる職につけるチャンスを見つけられずにいる。ここを、しっかりとマッチングが進むように進めていくということが一つ。もう一つは、日本全体でも進んできていますけど、外国人の方、特に優秀な技術を持った外国人の方に、もう少し日本に来て活躍してもらえるようなことを、これは政府の取組みが中心にまずなって、県内としては、その受け入れのいろいろな方策を整えていかないといけない面がありますけれども、両面で進めていかないといけない問題かなと思います。
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