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政府は、11月9日、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定し、同月、横浜市で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議において、環太平洋経済連携協定(TPP)に関し、情報収集を進めながら、国内の環境整備を早急に進めるとともに関係国との協議を開始することを表明した。
TPPは、関税撤廃の例外を原則認めない貿易自由化を目指す協定であり、物品貿易だけでなく、サービス貿易、政府調達、競争、知的財産、人の移動等を含む包括的な交渉が行われることとなる。
農林漁業に関する対策はもとより、他の分野においても十分な検証のないまま、拙速にこの交渉に参加し、関税などの国境措置が撤廃された場合、製造業などの輸出関連産業においては、自由貿易という流れの中で、競合関係にある諸外国に対する競争力の低下を防ぐ効果が想定される。一方、海外から安価な農林水産物が国内に大量に流入し、我が国の第一次産業が壊滅的な打撃を受けることは明らかであり、国内対策が先行的に実施されないまま、国際貿易交渉に参加することには、反対である。
政府は、新たに設置した「食と農林漁業の再生推進本部」において、「来年6月を目途に食と農林漁業再生の基本方針をまとめ、その後、TPP参加の是非を判断する」との報道がなされているが、我が国の第一次産業は、高齢化等の構造的な課題を抱え、極めて厳しい状況にあり、TPPへの対応如何によっては、国内農林水産業の疲弊と農山漁村社会の崩壊を招き、将来に大きな禍根を残すことになる。
また、情報をはじめ、金融、郵政、労働市場の開放など幅広い分野において、包括的な交渉が行われることから、参加の条件によっては、我が国の経済や生活に関する基準や仕組みの根本的な変更につながるため、国民への十分な説明と理解のもとに進められなければならない。
よって、国におかれては、TPPへの参加について、下記のとおり慎重に対応されるよう強く要望する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年12月16日
香川県議会
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