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今月7日、沖縄県・尖閣諸島周辺の我が国領海内において、中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件に関して、那覇地方検察庁は、25日、公務執行妨害容疑で逮捕、送検されていた中国人船長を、処分保留のまま釈放した。
釈放に先立ち会見した那覇地方検察庁は、「我が国国民への影響や今後の日中関係も考慮すると、これ以上容疑者の身柄拘束を継続して捜査を続けることは相当ではない」旨説明した。
そもそも、「尖閣諸島は、我が国固有の領土であり、このことは歴史上も国際法上も明白である」というのが、政府の公式見解である。
したがって、我が国の領海内で今回のような事件が発生した場合、当事者の国籍如何を問わず、我が国の国内法に基づき厳正に対処されるべきである。
しかしながら、事件発生後、中国側が強硬な姿勢をエスカレートさせる中で取られた今回の措置は、過度の外交的配慮からの、いわば超法規的な措置であったと言わざるを得ず、その責任を検察に転嫁しようという政府の姿勢は言語道断である。
多くの国民は、海上保安庁が撮影した現場のビデオすら公開されない中での今回の措置を到底納得していない。
このような結果となったことは極めて遺憾であり、日中関係を長期的な観点から捉えるとき、将来に大きな禍根を残し、国際社会に向けて誤ったメッセージを発信してしまったと言わざるを得ない。
領土を巡る事案は、国の主権そのものに直結するものであり、独立国家としてどこまでも毅然とした姿勢を貫かなければならない。
同時に、中国との間で、真の意味での対等で互恵的な関係が構築されることは、様々な経済的文化的な交流を促進しようとしている地方公共団体にとっても、不可欠の前提条件であり、重大な関心事である。
よって、国におかれては、毅然とした外交姿勢の確立と真に対等で互恵的な日中関係の構築に向け、次の事項を実現するよう強く求めるものである。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成22年9月28日
香川県議会
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