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公開日:2014年11月14日

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平成26年11月14日 答申第510号(香川県情報公開審査会答申)

平成26年11月14日(答申第510号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県小豆総合事務所長(以下「処分庁」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成26年3月5日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
○○○から、土庄町△△△の間は香川県管理港湾の土庄港領域に含まれている。

  • (1)標記管理港湾海域に属する、土庄港対岸の□□□岸壁の海域に平成24年以降に、工作物等の設置許可の申請、又は届けの一切の書類(以下「本件請求1」という。)
  • (2)上記(1)の海域内の既に設置されている構造物、杭について分かる一切の書類(以下「本件請求2」という。)
  • (3)上記(1)の海域の□□□側陸上には、石油貯蔵タンクが設置されている。この件に関して、香川県が認可または許可したことの分かる書類(以下「本件請求外請求」という。)
  • (4)特定組合の了解のあることを示す書類(以下「本件請求3」という。)

2 処分庁の決定

  • (1)本件請求1から3までについて
    処分庁は、公開請求のあった行政文書として、次の行政文書を特定し、別表の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして、本件処分を行い、平成26年3月18日付けで審査請求人に通知した。
    • (a)港湾区域における行為許可について(平成25年10月1日付け、25小総第35451号起案文書)(以下「本件行政文書1」という。)
    • (b)海岸保全区域の占用許可について(平成25年10月1日付け、25小総第35454号起案文書)(以下「本件行政文書2」という。)
  • (2)本件請求外請求について処分庁は、本件請求外請求に対しては、公開請求があった行政文書が不存在として非公開決定処分を行い、平成26年3月18日付けで審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成26年4月6日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める。」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であるから、本件処分を取り消し、開示請求対象文書の全部を開示する必要がある。
  • (2)本件決定通知書の「公開請求に係る行政文書」欄には、2件の行政文書しか記載していないが、虚偽の記載である。例えば、一部公開された起案文書は「許可」に関する起案文書であるから、当該許可の申請書類が存在するはずである。更に、平成26年3月5日付の公開請求書記載の4項目の公開請求に対して明確な公開・非公開の判断が示されていない。

3 意見書

意見書による主張は、おおむね次のとおりである。
当該案件について、審査請求人は知事への手紙でも照会している。知事への手紙に対する回答書の中で、知事は利害関係者同意要件は地元自治会でないといい、特定組合長の同意だけで事足りるとしているが、土庄港港湾区域の中の漁業権を特定組合は既に放棄している。そんな組合の同意を有効として、地元自治会の同意は不要とした理由は不明である。
また、平成26年5月に各家に配布された「土庄町 地震 津波ハザードマップ」の記載によると、震度分布による(南海トラフ最大クラスの地震)想定時には震度6の強震域に入り、そんなところに石油の備蓄施設を設置されることに周辺自治会の住民が神経質になるのは当然であり、彼ら住民の代表の同意が不必要と判断する知事の回答は失当である。

第4 諮問庁の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第2号の該当性について

条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
本件行政文書1において非公開とした「法人の印影」は、法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため非公開としたのであり、条例第7条第2号本文に該当する。なお、同号ただし書きには該当しない。
また、「同意書の施工者、申請書添付図面の作成者」は、取引先に関する情報として、法人の経理、経営等に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、条例第7条第2号本文に該当する。なお、同号ただし書きには該当しない。
次に、本件行政文書2において非公開とした「法人の印影」は、法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため非公開としたものであり、条例第7条第2号本文に該当する。なお、同号ただし書きには該当しない。
また、「申請書添付図面の作成者」は、取引先に関する情報として、法人の経理、経営等に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため非公開としたものであり、条例第7条第2号本文に該当する。なお、同号ただし書きには該当しない。
審査請求人は、平成26年4月6日付け「審査請求書」において、「平成26年3月5日付の公開請求書記載の4項目の公開請求に対して明確な公開・非公開の判断が示されていない。」と記載しているが、平成26年3月18日付け25小総第61849号「行政文書一部公開決定通知書」及び「行政文書非公開決定通知書」において、明確な非公開の判断は示しているものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件行政文書1及び本件行政文書2の内容等について

本件行政文書1は、特定株式会社が土庄港の護岸に隣接した民有地で整備する石油配送基地に石油を海上から搬入するため、港湾区域の水域に桟橋を設置する目的で、港湾法(昭和25年法律第218号)第37条第1項に基づく港湾区域の占用許可に関して、特定株式会社が小豆総合事務所長に提出した申請書に対する許可の起案文書である。この起案文書には、起案理由、許可書案、土庄町意見書、特定株式会社から提出された申請書及びその添付書類が添付されている。
本件行政文書2は、特定株式会社が土庄港の護岸に隣接した民有地で整備する石油配送基地に石油を海上から搬入するため、港湾区域の水域に設置する桟橋から配送基地までの受入配管を護岸を横断して敷設する目的で、海岸法(昭和31年法律第101号)第7条第1項に基づく海岸保全区域の占用許可に関して、特定株式会社が小豆総合事務所長に提出した申請書に対する許可の起案文書である。この起案文書には、起案理由、許可書案、土庄町意見書、特定株式会社から提出された申請書及びその添付書類が添付されている。

3 行政文書の特定の妥当性等について

  • (1)行政文書の特定の妥当性等について
    審査請求人は、審査請求の理由において「本件処分の決定通知書の「公開請求に係る行政文書」欄には、2件の行政文書しか記載していないが、虚偽の記載である。例えば、一部公開された起案文書は「許可」に関する起案文書であるから、当該許可の申請書類が存在するはずである。」旨主張する。審査会で本件行政文書1及び本件行政文書2を確認したところ、港湾法及び海岸法の規定に基づく占用許可の起案文書であり、それぞれ起案理由、許可書案、土庄町意見書、申請者から提出された申請書及びその添付書類から構成されており、審査請求人が存在するはずであるとする申請書も含まれている。これらの行政文書については、諮問庁に確認したところ、許可の申請書も含めて、平成26年3月19日に処分庁において、審査請求人に対し、一部公開が行われているとのことである。
    また、審査請求人は、審査請求の理由において「平成26年3月5日付公開請求書記載の4項目の公開請求に対して明確な公開・非公開の判断が示されていない」との主張を行っているが、同公開請求書記載の4項目については、「第2 審査請求に至る経過」で既述のとおり、処分庁において本件請求1から3までに対して、本件行政文書1及び2を特定し、非公開部分及びその理由を明らかにして一部公開決定を行い、また、本件請求外請求については、不存在を理由として非公開決定を行い、それぞれ審査請求人に通知していることが認められる。
    よって、審査請求人の主張は、いずれも当たらない。
  • (2)非公開条項の該当性について
    本件審査請求で審査請求人は非公開条項の該当性について主張していないが、本件処分の適否を判断する上で審査が必要な事項であると判断されるため検討する。
    • ア 条例第7条第2号の該当性について
      • (a)法人の印影について
        印影は、一般的に、法人等が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。
        しかしながら、このような情報であっても、当該法人等がそのような管理をしていないと認められる場合などには、これが公開されても、当該法人等の正当な利益を害するものとは認められない。
        本件処分により非公開とされた印影は、本件行政文書1における許可申請書に押印された申請者である特定株式会社の印影及び桟橋設置工事に関する同意書の特定組合の印影並びに本件行政文書2における許可申請書に押印された申請者である特定株式会社の印影であり、これらの法人がこのような文書を提出する相手方は、処分庁等に限定されていると考えられる。
        よって、本件処分において、非公開とされた印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと判断され、本件印影を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
      • (b)法人の取引先情報について
        本件処分において、法人の取引先情報として、非公開とされた情報のうち、本件行政文書1における桟橋設置工事に関する同意書の施工者名並びに本件行政文書1及び本件行政文書2における申請書添付図面の作成者名については、申請者である特定株式会社において、工事発注又は図面作成を依頼した相手先であることが認められる。また、併せて申請書添付図面において、作成者の略称が非公開とされており、これについては、当該図面が石油貯蔵タンクの設置に関する図面であることと作成者の略称を考え合わせれば、容易に当該作成者を特定できる情報であると判断される。
        よって、本件処分において、非公開とされたこれらの情報は、法人の取引先等に関する情報であり、当該情報は公にされているものではなく、公開することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。

4 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

(省略)

別表

(1)本件行政文書1
公開しない部分 公開しない理由
「行為許可申請書」及び「同意書」のうち法人の印影 (条例第7条第2号本文該当)
法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
「同意書」のうち施工者
「行為許可申請書」添付図面のうち作成者
(条例第7条第2号本文該当)
法人の経理、経営等に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
(2)本件行政文書2
公開しない部分 公開しない理由
「許可申請書」のうち法人の印影 (条例第7条第2号本文該当)
法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
「許可申請書」添付図面の作成者 (条例第7条第2号本文該当)
法人の経理、経営等に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

401号~450号 451号~500号 501号~

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