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答申
香川県小豆総合事務所長(以下「処分庁」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
審査請求人は、平成26年3月5日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
○○○から、土庄町△△△の間は香川県管理港湾の土庄港領域に含まれている。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成26年4月5日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの裁決を求める。」というものである。
審査請求書において主張している理由は、次のとおりである。
意見書による主張は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
香川県小豆総合事務所では、この件に関する事務を所管しておらず、請求にかかる行政文書が存在しないため。
審査請求人は、平成26年4月5日付け「審査請求書」5 審査請求の理由2において、「本件決定通知書の「公開しない理由」欄には、「行政文書が存在しないため」と記載しているが、虚偽の記載である。現に、同一日付・同一番号の「一部公開決定書」には一部公開の行政文書を明示しているのである。」と記載しているが、一部公開した文書は、審査請求人が行政文書公開請求を行った内容のうち本件請求外請求1、本件請求外請求2及び本件請求外請求3(以下「本件請求外請求」という。)にかかるものである。
本件請求の対象である石油貯蔵タンクの設置許可については、小豆地区広域行政事務組合の所管事務であり、小豆総合事務所では事務を所管しておらず、行政文書が存在しないため、非公開としているものである。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
本件請求は、香川県知事が港湾管理者となっている土庄港の護岸に隣接した民有地に設置された石油貯蔵タンクの設置に関し、「香川県が認可または許可したことの分かる」行政文書を請求したものである。
石油貯蔵タンクの設置に関しては、消防法(昭和23年法律第186号)第11条第1項において、設置場所等の区分に応じて定められた許可権者の許可が必要と規定され、同項第1号では、消防本部及び消防署を置く市町村については、当該市町村長が許可権者とされている。一方、本件請求の対象である石油貯蔵タンク設置場所である土庄町の消防に関する事務については、小豆島町とともに一部事務組合である小豆地区広域行政事務組合を設置し、共同処理を行っていることが認められる。また、一部事務組合が成立し、共同処理するとされた事務は、関係地方公共団体の権能から除外され、一部事務組合に引き継がれるとされている。これらのことからすると、本件請求の対象である石油貯蔵タンクの設置に関し、必要となる消防法第11条第1項の許可に関しては、小豆地区広域行政事務組合が許可権者であることが認められる。
また、諮問庁に確認したところ、本件請求対象の石油貯蔵タンクが設置された民有地において、石油貯蔵タンクを設置すること自体に関しては、上記消防法の許可以外に何らかの許可等は、必要としないとのことであった。
以上のことからすれば、処分庁において、本件請求対象文書である石油貯蔵タンクの設置についての認可または許可に関する文書を保有していないとする諮問庁の主張は、是認できる。
審査請求人は、審査請求の理由において、本件処分の通知書に「行政文書が存在しないため」と記載しているのは、虚偽の記載であり、同一日付・同一番号の「一部公開決定通知書」には一部公開の行政文書を明示している旨の主張を、さらに、意見書において、処分庁から港湾法の規定による許可申請書等の写しの交付を受けており、当該許可申請書等を受け取りながら、処分庁が不存在を理由とする非公開決定を行っているのが、不可解である旨の主張をするが、一部公開決定通知書に記載した行政文書及び審査請求人が写しの交付を受けた行政文書は、本件請求外請求の対象文書であり、当該記載をもって、本件処分が誤っているとする審査請求人の主張は当たらない。
また、審査請求人は、意見書において、審査請求人が提出した「知事への手紙」に対する回答書の中で、「占用許可の必要が無く書類の提出は受けていない」と回答しながら、「審査に当たっては、必要な書類や図面の提出を受けた上で許可した」との回答がされており、不可解である旨、主張している。審査会において、当該「知事への手紙」及び手紙に対する回答を確認したところ、審査請求人からの質問に対して「占用許可の必要が無く書類の提出は受けていない」と回答しているのは、香川県港湾管理条例(昭和31年香川県条例第9号)第2条に規定する岸壁や防波堤などの港湾施設を占用しようとする場合に必要となる同条例第8条に基づく占用許可に関する書類であり、一方、「必要な書類や図面の提出を受けた上で許可している」と回答しているのは、本件請求外請求の対象行政文書をもって許可された港湾法(昭和25年法律第218号)及び海岸法(昭和31年法律第101号)に基づく許可であることが認められた。このため、当該「知事への手紙」に対する回答書の記載をもって、本件処分が誤っているとする審査請求人の主張は当たらない。
よって、請求対象行政文書が存在しないため非公開とした本件処分は、妥当であると判断される。
審査請求人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
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