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答申
香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
異議申立人は、平成24年10月11日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
特定病院附属仮称○○(△△町)香川県に相談していた図書(平面レイアウト)
実施機関は、公開請求のあった行政文書として「特定病院附属仮称○○(△△町)香川県に相談していた図書(平面レイアウト)(以下「本件行政文書」という。)」を特定し、条例第7条第2号及び条例第7条第4号に該当するとして、本件処分を行い、異議申立人に通知した。
異議申立人は、本件処分を不服として、平成24年11月9日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。
「本件処分を取り消すとの決定を求める。」というものである。
異議申立書において主張している理由は、次のとおりである。
私が平成24年6月4日障害福祉課において、担当者と面談した折、法人の建築図面には敷地面積1,428平方メートルの一体活用であったが、建築確認申請では、576平方メートルで開発行為(1,000平方メートル)の利害関係人の同意書のがれのため脱法行為が行われている。以上のことから、法人及び高松市に対して、不利益及び秘密の保持に当たらないので公開すべきである。
意見書による主張は、おおむね次のとおりである。
意見陳述による主張は、おおむね次のとおりである。
高松市に対して住民監査請求をしている。本来は香川県に対して住民監査請求をしたかったが、公金の支出がなかったのでできなかった。
また、県が特定財団法人のグループホームの平面レイアウト(案)を公開しなかったため、建築工事差し止めの仮処分申請ができなかった。
特定財団法人は建築確認が下りていないにもかかわらず、建築確認が下りたと偽り重機を持ち込んだ。また、特定株式会社は無茶ばかりしている。そのような特定財団法人や特定株式会社の権利や利益を守る必要はない。
香川県はどれだけ時間がかかっても住民に説明し正しく理解してもらうように特定財団法人に指導すべきであった。
なにより、火事が起きた時、入居者の生命を守るため、内部の構造を知る必要がある。条例第9条に該当するので公開を希望する。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
本号に該当するとして非公開とした本件行政文書は、特定財団法人が建設を計画するグループホームのレイアウト(案)であり、図面を作成した業者名が記載されている。
当該レイアウト(案)は、特定財団法人が県と協議するために法人の自由な意思により作成した図面であり、当該図面を使用・提出する相手は県に限られており、法人外に明らかにしているものではないことから、当該法人の事業及び経営に関する内部管理情報である。また、図面を作成した業者名は、特定財団法人の具体的な取引先の情報であり、当該法人の事業及び経営に関する内部管理情報である。
このような情報を公にすることにより、当該法人の自由な事業活動や競争上の地位が損なわれるなど正当な利益を害するおそれがあるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しない。
条例第7条第4号では、県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人、公社又は出資法人が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。
特定財団法人は、平成23年11月29日時点での当該指定障害福祉サービスに係る事務の所轄庁である香川県と法に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚労令171号)(以下「指定基準」という。)に適合しているか協議を行うために、本件行政文書を県に提出したものである。
しかしながら、当該指定障害福祉サービス係る事務は、平成24年4月1日から、県から中核市である高松市に移譲されていることから、当該事務が移譲される前に県が取得した情報を公にすることにより、高松市において公にする予定のない情報を明らかにするなど、高松市の当該指定障害福祉サービスに係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるので、条例第7条第4号に該当する。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たって、非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。
本件行政文書は、特定財団法人が、高松市△△町に建設を計画した法第5条第17項に規定する共同生活援助を行う事業所(グループホーム)の平面レイアウト(案)であり、指定基準に適合しているか協議するために、平成23年11月29日に同日時点では高松市内における当該指定障害福祉サービスに係る事務の所轄庁であった実施機関に提出されたものである。
条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした本件行政文書について検討する。
本件行政文書は、特定財団法人が、高松市△△町に建設を計画した法第5条第117項に規定する共同生活援助を行う事業所(グループホーム)について作成した平面レイアウト(案)である。審査会で確認したところ、当該平面レイアウト(案)は、グループホームが指定基準に適合しているかを協議するために実施機関に提出した図面であるが、提出時点では未だ検討途中にあり確定しておらず、実施機関等との協議以外で外部に明らかにすることを予定していない情報であると認められる。
そして、当該図面には、建設予定施設の具体的な規模や詳細な内部構造等が記載されており、これらは当該事業に関する当該法人の経営方針に属する内部管理情報であって、防犯上の理由等により一般に公開されるものではないといえる。
このような情報が当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開されれば、法人内外に無用の混乱を引き起こすなど当該法人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められることから、条例第7条第2号本文に該当すると判断される。
なお、異議申立人は意見書において、実施機関の非公開条項該当性の説明に対し、当該図面が災害時に入居者の生命・財産の保護のため救出・救護活動を円滑に行う際に必要なものであり、条例第7条第2号ただし書により公開されるべきであるという主旨の主張をしていると解される。
しかし、本件行政文書は、法人の事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害に関連する情報ではなく、条例第7条第2号ただし書きには該当しない。
異議申立人は、当該図面は、災害時の救出・救護活動を円滑に行うために公開する公益上の必要があるから、条例第9条により、当然公開されるべきものであると主張する。しかし、当該図面は、検討段階の平面レイアウト(案)のため、そのとおり建物が完成したかは不明であることから、当該図面の公開・非公開は救出・救護活動に関する公益性に直接関連するものではない。
よって、異議申立人の当該主張は認められない。
また、その他異議申立人は種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
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