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6月15日、毎年恒例で行われる香川県の初夏の風物詩「満濃池の初ゆる抜き式」に参加しました。当日は朝から小雨模様でしたが、神事が終わりゆる抜きをする頃には、雨も上がり、多くの見物客でにぎやかな式となりました。
今年は、5月から6月の降雨に恵まれ、満濃池の水位は満水で、風で波打った水面が時折堤防をやさしくたたく景色も見られ、これからの田植えに向けて安堵した気持ちになりました。そして、正午ぴったりに、満濃池土地改良区の黒木理事長が水門を開けるハンドルを回すと堤防下の放水口から「ドー」というごう音とともに水が勢いよく流れ出ました。その迫力ある風景に見物客から歓声が上がり、私も、改めて水の恵みを感じる機会にもなりました。
この満濃池は、約1300年前に築造され、その後ずっと讃岐平野を潤し、香川県民の生活を支えてきました。放水される水を見ながら、現在守ってくださっている方々をはじめ、1300年の間に満濃池を守ってくださった全ての方々への感謝の気持ちを新たにしました。
その日の式に、幕末から明治維新にかけて、この満濃池を復興した先人のご子孫の方が参加されておられました。その方々から復興の物語をお聞きしました。その先人は、和泉虎太郎という方で、幕末の1854年に満濃池が地震で決壊し、その後復興が進まない中、窮状を看過できない和泉虎太郎が、仲間と奔走して費用の算段をしました。そして、当時の幕府の了解を求めましたが、なかなか了解がもらえず、明治維新後には当時は京都にあった朝廷に直接お願いするなどして、ようやく1869年に明治政府より復旧着工の命が下りたとのことでした。幕末の混乱もあったのかなと思いますが、このような先人の努力でこの1300年があること、そして、今の時代の香川県民として、この満濃池を次の世代に引き継いでいかないといけないことを感じました。
式の後は、満濃池のほとりの食堂で、参加者みんなで和気あいあいでうどんをいただきました。香川県人は「うどんの前ではみな友達」。うどんの恵みも感じた一時でした。
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