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自然風景・伝統文化
心ほっこり讃岐の冬
松の緑にめでたさあふれ、あん餅雑煮で迎える新年。
サザンカにツバキの赤が心に染みます。
梅や水仙の高貴な香り、トックやマーガレットの愛らしさ。
花の讃岐路、もうすぐ桜の春がやってきます。
正月の餅(もち)
12月の半ばから始まる正月準備。お正月飾りやおせちをつくり、年神様に供えるハレの日の食べ物「餅」をつきます。昔は、「ハテノハツカ」という12月20日と「苦(く)が重なる」29日、さらに讃岐では28日も「火がさとい」、つまり火事が起きやすいので餅つきをしなかったということです。
かつての農家では、1俵くらいの餅をつき、うるち米を混ぜた餅やカキモチも作られました。「モチバナ」は、川やなぎの木を取ってきて、その枝に小さな餅をつけたもの。
三豊市の志々島では、正月準備をしているときに、落城した香川氏の一族が逃げ延びてきたので餅がつけなくなり、代わりに米粉の団子「カンノメ」や「タカキビダンゴ」をつくって正月を迎えたいわれがあり、長く正月の餅を食べませんでした。
あん餅雑煮/白みそを使い、あん餅を入れてつくる讃岐ならではのお雑煮。
あなたの残したい讃岐の”おたから”提供 ふるさとおたから情報
「首山観音の椿(つばき)」
三豊市上勝間にある「平照寺」は、桜や梅が咲く山里の高台にあり、弘法大師が一夜で建てたと伝わります。通称「首山観音」と呼ばれ、首から上の病気や子授け、入学祈願と、参拝者が絶えません。ここの境内には、大きな岩を割って育つ椿の古木があります。難関突破!そのたくましい姿に勇気をもらえるようです。
岩を割る椿の木
「水仙ロード」
冬にはさみしげな田んぼの風景を彩るのは、綾川町西分の「水仙ロード」。農道の脇に黄色い水仙が続いて植えられます。やがて、田んぼの土手にツクシが芽を出し、陽光の中で「堀池の枝垂れ桜」が花開きます。
仕事はじめと初詣
「ワカミズムカエ」といって、新鮮な水をくんでつくった雑煮を食べ、正月の朝はそれぞれの氏神様にお参りします。
正月二日の仕事はじめは「クワゾメ」といって、お供えをして田の打ち始めをします。海辺では漁船に乗り込む「ノリゾメ」。このときには、たいてい「フナダマ」さんにお供えをします。
1月には、県内各地からその昔は歩いて山越えをし、金刀比羅宮に参拝しました。また、16日には高松市の八栗寺の聖天堂、20日は高松市の一宮寺、21日は同じく香西寺(現在は第3日曜日、うるう年は第4日曜日)、26日(現在は最終日曜日)は坂出市の白峯寺など、多くの人々が新年の無事を祈ります。そうして、節分、立春と過ぎ、新たな一年が巡ります。
一宮寺/1月20日に初大師大般若修行が行われます。
八栗寺聖天堂/1月16日に聖天尊正月大縁日が行われます。
ゲタの干物
小豆島の北西にある四海(しかい)地区で冬の風物詩といえば、ゲタの干物。ゲタとはシタビラメ(舌平目)のことで、瀬戸内地方での呼び名です。漁師町の四海地区では、ゲタの干物作りがおもに女性たちの仕事となっています。作り方は、まずゲタのヌメリやウロコをきれいに取り除き、内臓を処理して軽く塩をふり水で洗いながします。そして、きれいになったゲタを1枚ずつ丁寧に竹竿につるし、2日間ほど天日で干します。寒空の下、海風にさられされて出来上がった干物を使った、四海地区の郷土料理が、「ゲタの飴煮」です。ゲタの干物を一口大に切って油で素揚げしたものを、砂糖、醤油、酒などで甘辛く味付けます。最後にゴマを振りかけてできあがり。ご飯のおかずはもちろんのこと、子どものおやつやお酒のお供にぴったり。漁師町で愛され続ける郷土の保存食です。
ゲタを丁寧に竹串に刺して、天日干しをします。
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