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公開日:2021年1月20日

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高潮対策事業

背景

平成16年は香川県に影響した台風が8個と史上最多であり、特に台風16号による高潮では、県下の多くの地域で既往最高潮位(※1)を更新し、死者3名、負傷者6名、床上・床下浸水21,960戸と未曾有の被害をもたらした。

表―1 平成16年台風16号における各検潮所の最高潮位と既往最高潮位
港名 最高潮位(m) 出現時間 既往最高潮位(m)
三本松港 2.30 8月31日 0時10分 2.07(第二室戸台風(※2))
土庄東港 2.51 8月30日 23時30分 1.92(洞爺丸台風(※3))
高松港 2.46 8月30日 23時21分 1.94(第二室戸台風)
坂出港 2.70 8月30日 22時40分 2.59(洞爺丸台風)
丸亀港 2.75 8月30日 23時10分 2.75(第二室戸台風)
詫間港 2.83 8月30日 23時10分 2.91(第二室戸台風)
観音寺港 2.90 8月30日 23時10分 3.06(第二室戸台風)

(備考)
※1)既往最高潮位:各検潮所における潮位観測開始以来最高の潮位。
  潮位については、発生時のT.P.(東京湾平均海面)を基準とする。
※2)第二室戸台風:1961年9月16日来襲
※3)洞爺丸台風:1954年9月26日来襲

事業実施までの経過

平成16年の台風16号の高潮被害を踏まえ、県では、学識経験者、国、県、市町などから構成される「香川県高潮等対策検討協議会」を平成16年10月に設置するとともに、協議会の中に2つの小委員会を設置して、今後の海岸保全施設等の整備方針や災害に強いまちづくりについて検討を行い、平成17年3月に報告・提言をとりまとめた。
引き続き、平成17年4月には、この報告・提言に基づき、県及び関係市町で構成される「津波・高潮対策市町連絡協議会」を新たに設置し、関係機関が協力連携しながら、ソフト、ハード両面にわたる津波・高潮対策の具体的な作業を進めた。
このうち、ハード面では、護岸や堤防などの防護施設(県及び市町管理施設)の整備を計画的に進めるための「津波・高潮対策整備推進アクションプログラム」を平成18年3月に策定し、平成17年度からこのアクションプログラムに基づき、整備を開始した。

津波・高潮対策整備推進アクションプログラム〈概要〉

対象防護施設:

本計画で対象としている防護施設は、港湾、河川、漁港などの県及び市町管理施設(係留施設、護岸施設、河川堤防など)

整備目標:

今後の防護施設の整備にあたっては、平成16年の台風16号の潮位実績を含めた既往最高潮位に対して安全が確保できるよう整備する。

整備必要箇所の抽出:

以下の場合に整備必要箇所として抽出する。

  • 防護施設の天端高が既往最高潮位より低い施設(背後に代わりの防護施設がある場合や背後地盤が高い場合などを除く)。
  • 防護施設の天端高が既往最高潮位より高い施設についても、高い波浪による浸水被害の恐れのある箇所や施設自体が老朽化している箇所。

整備優先度を決定する指標:

以下の2つの指標のランクの組み合わせにより施設整備の優先度を決めることにした。

  • 防護施設の天端高による指標
    高潮ランクといい、A、B、C、Dの4段階にランク分け。
  • 背後地の状況による指標
    背後地ランクといい、a、b、cの3段階にランク分け。

アクションプログラム:

高潮対策のための施設整備が必要な延長は、県下で約140kmであり、総事業費約455億円と試算している。
現況施設の天端高や背後地状況、被害状況等を考慮して整備の優先度(Ⅰ期、Ⅱ・Ⅲ期)を決定し、順次、施設整備を図っていく。

  • Ⅰ期:概ね10年間で整備することを目標とし、総事業費約200億円と試算している。
  • Ⅱ・Ⅲ期:概ね20~30年で整備することを目標とする。
高潮対策のための施設整備が必要な延長
(単位:km) アクションプログラム整備必要延長
全体計画 Ⅰ期計画 Ⅱ・Ⅲ期計画
県管理施設 51 50 1
市町管理施設 86 30 56
合計 137 80 57

アクションプログラムによる整備の進捗状況:

  • Ⅰ期整備区間延長約80kmに対し、平成28年3月末時点における整備進捗率は、98%であり、県・市町別の進捗率は、以下のとおりである。
Ⅰ期計画区間 整備状況
(単位:km) 整備必要延長 整備済み延長 平成28年3月末進捗率
県管理施設 49.5 49.5 100%
市町管理施設 29.9 29.3 98%
79.4 78.8 99%

地震・津波対策海岸堤防等整備計画への移行:

平成26年1月に文部科学省地震調査委員会から公表された資料では、南海トラフにおけるマグニチュード8~9クラスの地震の発生確率は、今後30年以内に70%程度と高い値となっている。このクラスの地震が発生した場合には、大きな揺れや津波による被害は、関東から九州に至る広範囲で甚大なものとなることが予想されており、本県においても早急な対策が必要となっている。
本県における津波対策については、ハード・ソフトの施策を総合的に組み合わせ効率的、効果的に推進する必要がある。このため、津波浸水想定区域内の地盤高や人家連担状況、重要な公共施設の立地状況などを考慮し、対策箇所の優先順位や対策工法の選定など、新たな津波対策の実施方針や実施計画を定めて計画的に取り組む。
また、「津波・高潮対策整備推進アクションプログラム」で高潮対策として整備を予定していたⅡ・Ⅲ期区間については、津波対策を含めた再検討を行い、必要な箇所については「地震・津波対策海岸堤防等整備計画」に移行した。

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