ここから本文です。
民法第772条第2項は、「婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と、「嫡出推定」の規定を定めている。
この規定は、法律上の父親を明確にして子どもの身分を早期に安定させるためのものであると解されているが、その反面で、この規定により、新しい夫との間にできた子どもであっても、離婚後300日以内に生まれた場合には前夫の子と推定され、出生届を提出すれば前夫の戸籍に入ってしまうことになる。
このため、母親が出生届を出さず、無戸籍となっている子がいるが、等しく行政サービスを受けることができず、不利益を被っている。
こうした子どもたちを救済するため、法務省は、平成19年5月に通達を出し、離婚後の妊娠であることが医師の証明書により確認できれば、現在の夫の子として出生届を認める特例救済措置を講じている。
しかし、この特例で救済されるのは全体の1割程度であり、多くの子どもたちは、依然として救済が図られていない状況にある。
よって、国におかれては、親子関係の明確化、早期安定といった子どもの人権を守るため、社会通念上やむを得ないと認められるものについては嫡出推定の救済対象を拡大するよう、幅広い観点から検討し、措置を講じられるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年3月19日
香川県議会
このページに関するお問い合わせ