ページID:29859

公開日:2020年12月10日

ここから本文です。

整備

老朽化したため池の状況

本県では、今から1300年も昔に満濃池が築造されるなど、数多くのため池が造られておりました。しかしながら、そのほとんどのため池は築造後200~300年を経過していることから老朽化が進み、早急に改修が必要なため池が増加しています。
始めに、老朽化したため池の状況を見てみましょう。

ため池2法の成立

このように老朽化が進行し堤体からの漏水や侵食、また、施設の機能が低下しているため池を放置すると台風等の豪雨などにより大量の雨が一気に鉄砲水となってため池に流れ込んだり、上流域からの土石流により大きな被害が発生します。
平成16年の大型台風により834箇所のため池が被災を受けました。その内訳は、決壊が114箇所、堤防の前面、裏面の法ズレが生じたものや洪水吐、取水施設に被害が生じたものが215箇所、その他が505箇所に区分されます。

決壊したため池

平成30年7月豪雨では、全国で32箇所のため池が決壊し、ため池の下流に大きな被害を与えたことを契機として、国において、農業用ため池の情報を適切に把握し、決壊による災害を防止するため、令和元年7月に民有ため池を対象とする「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」が、また、令和2年10月には、防災重点農業用ため池に係る防災工事等を集中的かつ計画的に推進することを目的として「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法(以下、「ため池工事特措法」という。)が施行されました。


この「ため池2法」の施行に伴い、ため池の適正な保全管理に向けた取組の強化や、防災工事等の緊急的な対応を実施していく必要が生じたことから、県では、ため池の実態調査(令和元年9月~令和3年3月)を実施し、県内ため池の現状を把握したうえで、浸水想定区域図による下流への影響度をもとに、関係市町と協議のうえ、令和3年2月、決壊した場合に人的被害のおそれのあるため池を「防災重点農業用ため池」として3,049箇所を指定しました。


リンク:法律・条例


また、「防災重点農業用ため池」のうち未改修のため池1,440箇所について、ため池の「劣化状況評価」を実施し、老朽度の高いものからA、B1、B2、C、Dの5段階の老朽度に区分しました。「劣化状況評価」の結果、劣化が進行している「老朽度A」と「老朽度B1」に区分された377箇所のため池について、早期に防災対策を講じる必要があるものと判断し、令和5年度から「ため池工事特措法」の有効期限となる令和12年度末までの8年間で、防災工事等に計画的に取り組んでいきます。

劣化状況の調査

リンク:ため池の劣化状況評価の結果等について

老朽ため池整備促進計画

県では、昭和41年にため池の保全に関する条例を制定するとともに、昭和43年度から「老朽ため池整備促進計画」(5か年計画)を定めて計画的な整備を進めています。

令和5年度を初年度とする「第12次5か年計画」では、「防災重点農業用ため池の整備促進」、「受益地がないため池等の防災対策」を基本方針として、ため池の総合的な防災対策を計画的かつ積極的に取り組んでいきます。

  • (1)防災重点農業用ため池の整備促進
    「劣化状況評価」の結果、劣化が進行している「老朽度A」と「老朽度B1」に区分された377箇所のため池のうち、受益農地の有無、老朽度や下流への影響度等を考慮のうえ、優先度の高い150箇所について全面改修を行います。また、堤体の劣化は顕著でないものの、局所的に劣化や変形が生じているため池や、豪雨等の外的要因により変形等が生じたため池は、必要に応じて部分改修を行います。
  •  
  • (2)受益地がないため池等の防災対策
    受益農地がなくなり管理者が不在となったり、農業従事者の高齢化や減少により、保全管理が困難となっているため池が増加し、中には防災上放置できないため池もあります。このため、農業用水の貯水池として利用されていない90箇所について、地域で今後の在り方を話し合ったうえでの貯水機能の廃止等を検討することとしています。
  • 老朽度Aのため池

    受益地のないため池

ため池5か年計画実績(令和4年度まで)

令和4年度までに、全面改修3,568箇所(進捗率:箇所ベース29.1%、貯水量ベース91.4%)、部分改修4,619箇所のため池の改修整備を、また、平成5年度~平成23年度の期間には68地区のため池環境整備を実施しています。

老朽ため池整備の実績 計画 実績
ため池数 事業費 ため池数 事業費
第1次~10次5か年計画
(昭和43~平成29年度)
全面改修 2,720 1,054億4千万円 3,484 1,253億3千万円
部分改修 2,500 217億9千万円 4,498 290億7千万円
耐震化 67 40億 39 30億9千万円
中小規模
防災対策
100 2億 42 5千万円
5,387 1,314億3千万円 8,063 1,575億4千万円

第11次5か年計画

(平成30~令和4年度)

全面改修

140

96億 84 115億7千万円
部分改修 165 15億 121 25億
耐震化 30 41億 22 20億2千万円
中小規模
防災対策
75 1億 16 3千万円
410 153億 243 161億2千万円
全面改修 2,860 1,150億4千万円 3,568 1,369億円
部分改修 2,665 232億9千万円 4,619 315億7千万円
耐震化 97 81億 61 51億1千万円
中小規模
防災対策
175 3億 58 8千万円
5,797 1,467億3千万円 8,306 1,736億6千万円

老朽化したため池の改修前後

受益地がないため池の廃止前後

環境整備実績

環境整備の実績
(平成5~23年度)
計画 実績
ため池数 事業費 ため池数 事業費
第6次~第8次5か年計画 58 55億円 63 53億4千万円
第9次5か年計画 7 5億円 5 2億6千万円
65 60億円 68 56億円

ため池の環境整備

 

ため池の保全管理

ため池は農業用水の安定確保だけでなく、降雨時に雨水を一時的にためる洪水調節や土砂流出の防止など、下流の宅地や農地を守る役割もあります。また、生物の生息・生育場所の保全、地域の憩いの場の提供など多面的な機能も有しています。
しかし近年、農業従事者の減少や高齢化、また、農村の混住化の進行等により受益の減少や管理者の不在などにより、ため池の保全管理が大変困難となってきています。
そこで、農業従事者のみでなく、地域住民等を含めた共同活動組織により、ため池を保全管理する活動も行われています。
また、県では先人たちが守ってきたため池を次の世代へ継承していってもらうため、小学生を対象としたため池の出前授業にも取り組んでいます。
13

地域住民の参加による堤防の草刈


リンク:多面的機能支払交付金制度
リンク:ため池出前授業

 

このページに関するお問い合わせ