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本県では、今から1300年も昔に満濃池が築造されるなど、数多くのため池が造られておりました。しかしながら、そのほとんどのため池は築造後200~300年を経過していることから老朽化が進み、農業用水の安定確保だけでなく、防災上からも早急に改修が必要なため池が増加しています。
ため池改修は、ため池の決壊等の災害を未然に防止することにより下流の宅地や農地を守ります。それでは、老朽化したため池の状況を見てみましょう。
近年、農業従事者の高齢化や減少、また、農村の混住化の進行等により受益の減少や管理者の不在などにより、ため池の保全管理が大変困難となってきています。また、都市化や生活様式の高度化などにより生活排水の量も増え、ため池の水質が悪化してきています。
水質悪化した住宅地周辺のため池
受益地がなくなり放置されたため池
このように老朽化が進行し堤体からの漏水や侵食、また、施設の機能が低下しているため池を放置すると台風等の豪雨などにより大量の雨が一気に鉄砲水となってため池に流れ込んだり、上流域からの土石流により大きな被害が発生します。
平成16年の大型台風により834ヶ所のため池が被災を受けました。その内訳は、決壊が114ヶ所、堤防の前面、裏面の法ズレが生じたものや洪水吐、取水施設に被害が生じたものが215ヶ所、その他が505ヶ所に区分されます。
決壊したため池
県では、昭和41年にため池の保全に関する条例を制定するとともに、昭和43年度から「老朽ため池整備促進計画」(5か年計画)を定めて計画的な整備を進めています。
平成30年度を初年度とする「第11次5か年計画」では、「老朽ため池の整備推進」「ため池耐震化整備の推進」「中小規模ため池の防災対策の促進」を整備の基本方針として、ため池の総合的な防災対策を積極的に取り組んでいます。
また、農村地域の混住化や都市化の急速な進行などから、「水辺空間」や「いこいの場」の設置を求める声が高まる中で、平成5年度を初年度とする「第6次5か年計画」から、ため池の環境整備についても計画に盛り込みました。
平成29年度までに、全面改修3,484か所(進捗率:箇所ベース23.8%、貯水量ベース88.6%)、部分改修4,498か所のため池の改修整備と68地区のため池環境整備を実施しています。
老朽ため池整備の実績 | 計画 | 実績 | |||
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ため池数 | 事業費 | ため池数 | 事業費 | ||
第1次~9次 5か年計画 (昭和43~ 平成24年度) |
全面改修 | 2,550 | 962億4千万円 | 3,359 | 1,166億9千万円 |
部分改修 | 2,300 | 201億9千万円 | 4,375 | 269億1千万円 | |
計 | 4,850 | 1,164億3千万円 | 7,734 | 1,436億 | |
第10次5か年計画 (平成25~ 平成29年度) |
全面改修 | 170 | 92億 | 125 | 86億4千万円 |
部分改修 | 200 | 16億 | 123 | 21億6千万円 | |
耐震化 | 67 | 40億 | 39 | 30億9千万円 | |
中小規模 防災対策 |
100 | 2億 | 42 | 5千万円 | |
計 | 537 | 150億 | 329 | 139億4千万円 | |
計 | 全面改修 | 2,720 | 1,054億4千万円 | 3,484 | 1,253億3千万円 |
部分改修 | 2,500 | 217億9千万円 | 4,498 | 290億7千万円 | |
耐震化 | 67 | 40億 | 39 | 30億9千万円 | |
中小規模 防災対策 |
100 | 2億 | 42 | 5千万円 | |
計 | 5,387 | 1,314億3千万円 | 8,063 | 1,575億4千万円 |
老朽化したため池の改修前後
環境整備の実績 (平成5~23年度) |
計画 | 実績 | ||
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ため池数 | 事業費 | ため池数 | 事業費 | |
第6次~第8次5か年計画 | 58 | 55億円 | 63 | 53億4千万円 |
第9次5か年計画 | 7 | 5億円 | 5 | 2億6千万円 |
計 | 65 | 60億円 | 68 | 56億円 |
ため池の環境整備
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