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答申
東讃土地改良事務所長(以下「処分庁」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
審査請求人は、平成17年3月15日付けで、香川県情報公開条例(平成12年条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、処分庁に対し、次の内容に関する行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
「平成15年9月以降に土地改良法違反事件に関して東讃土地改良事務所職員が香川県〇〇警察署に提出した一切の文書の控え又は写し及び当該各起案文書の全部」
処分庁は、平成17年3月29日付けで、本件請求について、次の理由により、本件処分を行い、審査請求人に通知した。本件請求は、平成15年9月以降に土地改良法違反事件に関して東讃土地改良事務所職員が香川県〇〇警察署に提出した文書等を請求したものであるが、当該行政文書の存否を答えることによって、平成15年9月以降の香川県〇〇警察署における土地改良法違反事件の有無を明らかにすることとなり、犯罪の証拠等の発見、収集、保全等が困難になるなど、犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第7条第5号に該当するため、条例10条により存否応答拒否します。
審査請求人は、本件処分を不服として、平成17年3月31日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第5条の規定により、香川県知事(以下「諮問庁」という。)に対して審査請求を行った。
「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。
審査請求の理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書において主張している内容は、おおむね次のとおりである。
警察署は、許認可事務等を行う行政警察としての側面を持つ一方、事件の捜査等を行う司法警察としての活動も行っており、本件公開請求は事件の捜査等に関する行政文書を含む請求である。
このような事件の捜査等に関する行政文書を含む請求の場合、事件の捜査等に関する行政文書が存在しない場合に不存在と答えて、事件の捜査等に関する行政文書が存在する場合にのみ存在を明らかにしないで拒否したのでは、請求者に事件の捜査等に関する行政文書の存在を類推させることになる。
よって、当該行政文書の存在を答えること自体が、請求者に捜査開始の有無、捜査の状況等を確認あるいは推測させ、その結果、犯罪の証拠等の発見、収集、保全等を困難にするための行為を容易にすることになることから、条例第7条第5号において非公開とされている犯罪の捜査等に支障を及ぼすおそれがある情報に該当すると認められ、条例第10条の規定によりその存在を明らかにすることなく非公開決定したものである。
条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
審査会において請求内容を見分したところ、本件請求は、請求者が考える特定の事案(以下「特定事案」という。)に関して警察署に文書が提出されたということを前提としており、かかる請求に対して行政文書の存否を明らかにすることは、提出先が警察署であることから、特定事案に関する警察の捜査活動等に関する情報を明らかにし、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると判断される。したがって、対象行政文書の存否を明らかにすることにより条例第7条第5号に定める非公開情報を明らかにしてしまうことから、条例10条により対象行政文書の存否を明らかにしないで請求を拒否したことは妥当であると判断される。
条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
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