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答申
香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。
異議申立人は、平成15年10月17日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「新条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件請求」という。)を行った。
実施機関は、公開請求のあった行政文書として、本件請求の(1)については、請求に係る行政文書は保管されておらず存在しないためとして本件処分を、本件請求の(2)については、次の(1)~(2)の行政文書を特定し、見積書における事業者の担当者の氏名及び印影が新条例第7条第1号又は香川県公文書公開条例(昭和61年香川県条例第30号。以下「旧条例」という。)第6条第1号に、債権者の印影、口座情報(支払金融機関名、店舗名、預金種目、口座番号、口座名義)及び不採用となった見積書に記載されている事業者の名称等特定の事業者が識別できる部分が新条例第7条第2号又は旧条例第6条第2号に、予定価格調書における予定単価及び予定価格が新条例第7条第4号又は旧条例第6条第4号に該当するとして一部公開決定を、それぞれ行い、平成15年10月31日付けで異議申立人に通知した。
異議申立人は、本件処分を不服として、平成15年12月24日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。
「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。
異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。
非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。本件異議申立ての対象となっている行政文書は存在せず、電磁的記録媒体にも保存されていないため、香川県情報公開条例第11条第2項により非公開となったものである。
新条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
実施機関は、本件異議申立ての対象となっている行政文書は存在せず、電磁的記録媒体にも保存されていないとしている。
そこで、実施機関に請求対象行政文書が不存在であることの説明を求めたところ、「本件請求対象行政文書は中部土地改良事務所の職員が作成した文書を請求したものであると思われる。中部土地改良事務所に寄せられた管内の特定土地改良区に対する苦情で、中部土地改良事務所において苦情の処理を完結したものであり、土地改良課には、報告や文書の送付はなかったことから請求対象行政文書は保有していない。本件処分に当たって、土地改良課の保有する文書及び電磁的記録を探索したが、本件請求の対象となる「特定土地改良区地区内の工事に対する(国営農地防災事業所関係)苦情について」と題する文書の存在は確認できなかった」とのことであった。
香川県出先機関事務決裁規則(昭和44年規則第5号)では、軽易な陳情等を処理することは所長等委任事項とされており、また、土地改良事務所の処理した苦情について土地改良課へ報告等を行わなければならないとする規定は確認されないことから、報告や文書の送付はなかったとする実施機関の説明は不自然な点があるとは認められない。
よって、実施機関が請求対象行政文書が存在しないとして、非公開とした本件処分は妥当であると判断される。
新条例及び旧条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。
よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。
(省略)
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