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公開日:2020年10月14日

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平成18年7月3日 答申第375号(香川県情報公開審査会答申)

平成18年7月3日 答申第375号

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が非公開決定(以下「本件処分1」という。)又は一部公開決定(以下「本件処分2」という。)により非公開とした部分のうち、次の部分については、公開すべきである。
入港船舶集計表(平成13年)、船舶乗降人員集計表(平成13年)、海上出入貨物集計表(平成13年)、コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成13年)の全部
泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~13年)の係留施設名称並びに泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10、11年)の主要品種を除く部分

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成15年8月13日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「新条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)平成10年度以降の〇〇の全施設についての「泊地係船岸及び本船荷役集計表」の全部
  • (2)平成10年度以降の〇〇の全施設についての上記1以外の利用状況の分かる一切の集計資料

2 実施機関の決定

実施機関は、平成15年9月10日付けで、公開請求のあった行政文書として、次の(1)ないし(10)の行政文書(以下「本件行政文書」という。)を特定し、本件行政文書(1)ないし本件行政文書(5)が新条例第7条第4号又は第7号に該当するとして本件処分1を、本件行政文書(6)ないし本件行政文書(9)について公開決定を、本件行政文書(10)のうち法人の所有する専用岸壁に係る情報が記載された部分が新条例第7条第2号又は香川県公文書公開条例(昭和61年香川県条例第30号。以下「旧条例」という。)第6条第2号に該当するとして本件処分2を行い、異議申立人に通知した。

  • (1)入港船舶集計表(平成13、14年)
  • (2)船舶乗降人員集計表(平成13、14年)
  • (3)海上出入貨物集計表(平成13、14年)
  • (4)コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成13、14年)
  • (5)泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成13、14年)
  • (6)入港船舶集計表(平成10~12年)
  • (7)船舶乗降人員集計表(平成10~12年)
  • (8)海上出入貨物集計表(平成10~12年)
  • (9)コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成10~12年)
  • (10)泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~12年)

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分1及び本件処分2を不服として、平成15年10月5日付けで行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、香川県の情報公開条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」の「公開しない理由」は、香川県の情報公開条例の非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例第8条に違反し本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 新条例第7条第4号又は第7号の該当性について

新条例第7条第4号では、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。
また、新条例第7条第7号では、法令等の定めるところ又は実施機関が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、公にすることができないとされている情報を非公開情報と定めている。
公開請求に係る行政文書を取りまとめて公表する「港湾統計(平成13年)、(平成14年)」は作成途中である(行政文書非公開決定時)。よって、これら統計調査の集計結果を公表以前に公開することにより、社会・経済の混乱を招くおそれがあり、また、統計調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。(新条例第7条第4号に該当)
また、統計法(昭和22年法律第18号)第19条の2第2項で「前項に掲げる者(指定統計調査に関する事務に従事する者等)が総務大臣の承認を得た場合のほか集計された結果を第7条の規定により定められた公表期日以前に、他に漏らし、又は窃用したときは、これを10万円以下の罰金に処する」と規定されている。(新条例第7条第7号に該当)

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

新条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、新条例の施行日である平成12年10月1日前に作成し、又は取得した旧条例第2条第1項に規定する公文書に該当する行政文書であって平成18年4月1日前の公開請求の対象となったものについては、新条例附則第3項の規定により、旧条例第6条各号の解釈、運用が適正であったか否かにより非公開情報の該当性について判断するものである。
また、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書の内容等について

本件行政文書は、平成10年から平成14年の入港船舶集計表、船舶乗降人員集計表、海上出入貨物集計表、コンテナ個数・シャーシ台数集計表、泊地係船岸及び本船荷役集計表であり、これらの集計表は、港湾調査規則(昭和26年運輸省令第13号)に基づき行われる港湾調査の調査票の調査事項を項目ごとに集計した年報である。

3 非公開情報該当性について

  • (1)新条例第7条第7号の該当性について
    新条例第7条第7号は、法令等の定めるところ又は実施機関が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、公にすることができないとされている情報が記録されている行政文書は、非公開とすることを定めたものである。
    この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    統計法第16条は、「指定統計調査の結果は、速やかにこれを公表しなければならない。ただし、総務大臣の承認を得た場合には、これを公表しないことができる。」と規定している。
    一方、同法第19条の2第2項は、「前項に掲げる者(指定統計調査に関する事務に従事する者等)が、総務大臣の承認を得た場合のほか集計された結果を、第七条の規定により定められた公表期日以前に、他に漏らし、又は窃用したときは、これを十万円以下の罰金に処する。」と規定し、同条第3項は、「職務上前二項の事項を知り得た第一項に掲げる者以外の公務員又は公務員であつた者が、前二項の行為をしたときもまた当該各項の例による。」と定められている。
    審査会で調査したところ、港湾調査は、指定統計第6号として、昭和22年内閣告示第21号により告示されており、同法の適用を受ける指定統計調査である。
    さらに、港湾調査の年報の公表期日は、港湾調査規則第14条第1項の規定により、調査年の翌年12月末日までと定められている。
    そうすると、平成14年の港湾調査の年報の公表期日は平成15年12月末日であると判断され、本件処分がなされた平成15年9月10日において平成14年の港湾調査は公表期日が到達しておらず、同法第19条の2第2項の規定により、公表期日以前に港湾調査の集計表を公にすることはできないと認められる。
    しかし、平成13年の港湾調査の公表期日は平成14年12月末日までと判断されることから、平成13年の港湾調査はすでに公表期日を経過しており、公にすることができないとは認められない。
    よって、入港船舶集計表(平成14年)、船舶乗降人員集計表(平成14年)、海上出入貨物集計表(平成14年)、コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成14年)、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成14年)は、本号に該当し、入港船舶集計表(平成13年)、船舶乗降人員集計表(平成13年)、海上出入貨物集計表(平成13年)、コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成13年)、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成13年)は、本号に該当しないと判断される。
  • (2)新条例第7条第4号の該当性について
    新条例第7条第4号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
    この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした行政文書のうち、(1)により新条例第7条第7号に該当しないと判断された行政文書について検討する。
    実施機関は、「「港湾統計(平成13年)」は作成途中であり、統計調査の集計結果を公表以前に公開することにより、社会・経済の混乱を招くおそれがあり、また、統計調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり、本号の非公開理由に該当する」として、当該行政文書を非公開としている。
    審査会で調査したところ、港湾調査規則第14条第1項は、国土交通大臣は、港湾調査の集計を港湾統計として編さんし、年報を調査年の翌年12月末日までに公表するものとしている。また、国土交通省が冊子として発行する「港湾統計(年報)平成13年」も平成15年3月に刊行されていることが確認された。
    よって、平成13年の港湾調査の集計結果は、本件請求時点では既に公表されていたものと判断される。
    したがって、「統計調査の集計結果を公表以前に公開することにより、社会・経済の混乱を招くおそれがあり、また、統計調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」との主張は理由がない。
    よって、入港船舶集計表(平成13年)、船舶乗降人員集計表(平成13年)、海上出入貨物集計表(平成13年)、コンテナ個数・シャーシ台数集計表(平成13年)、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成13年)は、本号に該当しないと判断される。
  • (3)新条例第7条第2号又は旧条例第6条第2号の該当性について
    新条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
    また、旧条例第6条第2号も基本的な考え方は同様と解される。この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    実施機関は、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~12年)の法人の所有する専用岸壁に係る情報が記載された部分を「法人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため、新条例第7条第2号又は旧条例第6条第2号の非公開理由に該当する」として一部公開としている。
    泊地係船岸及び本船荷役集計表には、都道府県名、港湾名のほか、係留施設名称、水深別管理者、バース数、係留状況、荷役船、貨物トン数等を記載することとされている。
    1. 実施機関が非公開とした部分のうち、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~13年)の係留施設名称及び泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10、11年)の主要品種の部分(以下「特定法人専用係留施設名称等」という。)について
      審査会において、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~13年)を見分したところ、実施機関が非公開とした部分のうち係留施設名称の部分には、特定法人専用の係留施設の名称が記載されている。また、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10、11年)の主要品種の部分には、特定法人専用の係留施設から積揚げされる主要な品物の名称が記載されている。
      特定法人専用係留施設名称等は、特定法人専用の係留施設の名称又は特定法人専用の係留施設から積揚げされる主要な品物の名称に関する情報であることから、実施機関の主張するように法人の当該事業に関する情報であると考えられる。
      そして、特定法人専用係留施設名称等を公開すると、特定法人専用の係留施設からどのような品物がどれだけ積揚げされたかという情報が明らかとなり、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものと判断される。
    2. 実施機関が非公開とした部分のうち、特定法人専用係留施設名称等以外の部分について
      実施機関が非公開とした部分のうち特定法人専用係留施設名称等以外の部分には、特定法人専用の係留施設の係留状況や荷役状況が記載されている。しかし、本件行政文書に記載された特定法人専用の係留施設は3施設あり、また、係留状況等に記載された数値は集計されたものであることから、係留状況等に記載された数値からはどの法人の情報であるかということは明らかとはならず、当該部分を公開したとしても、当該法人の正当な利益を害するおそれがあるとは認められず、本号に該当しないと判断される。
      よって、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~13年)の実施機関が非公開とした部分のうち、泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10~13年)の係留施設名称並びに泊地係船岸及び本船荷役集計表(平成10、11年)の主要品種の部分を除き公開すべきである。

4 第3の2異議申立ての理由のうち、(3)について

新条例及び旧条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

(省略)

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