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公開日:2023年7月10日

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特別支援教育の推進のための教員等の適切な配置を求める意見書

 文部科学省「学校基本調査」によると、特別支援教育を受ける児童生徒は年々増加しており、10年間で、特別支援学校については学校数が約11%増加、児童生徒数が約14.3%増加、特別支援学級については1.6倍に増え、児童生徒数が2.1倍に増加している。また、通級による指導を受けている児童生徒数は約2.5倍に増え、教育現場では新たな特別支援教育体制の整備が必要になっている。
 インクルーシブ教育が求められている昨今において、その合理的配慮も求められており、このような状況に適切に対応するためには、特別支援学校・特別支援学級等の学級編制基準の引き下げ、教員の増員を行う必要があるのと同時に、すべての教員が特別支援教育に関する一定の知識・技能を有していることが求められる。特に発達障害等に関する専門性は、発達障害等特別な教育的支援を必要とする児童生徒が通常の学級にも多く在籍していることから必須である。これについては、教員養成段階で身に着けることが適当であるが、現職教員については、研修の受講等により基礎的な知識・技能の向上を図る必要がある。また、特別支援教育支援員や医療的ケア看護職員など特別支援学校・特別支援学級への専門的な知識や経験を持ったスタッフの増員や、保護者や関係機関との連携調整役を担う特別支援教育コーディネーターなどの適切な配置が不可欠である。
 よって、国においては、特別支援教育の理念に基づき、障害の重度・重複度や多様化に適切に対応し、児童生徒一人ひとりのニーズに応じた教育を実現するため、以下の事項について財政措置を含め、積極的に取り組むよう強く要望する。

1 特別支援教育支援員の適切な配置
 障害のある児童生徒に対し、食事、排せつ、教室移動の補助等、学校における日常生活動作の介助を行ったり、発達障害の児童生徒に対し、学習活動上のサポート等を行うなど、個々の障害の状況に応じたきめ細やかな指導や支援を行うことが必要である。そこで、義務標準法に定める特別支援学校・特別支援学級等の学級編制基準を引き下げること。特に、低学年児童が在籍する学級の場合は、より少人数による特段の措置を講じること。

2 特別支援教育コーディネーターの適切な配置
 特別支援教育コーディネーターについては、適切な配置に加え、他の業務と兼務することなく、その業務を専任で行えるよう新たな加配を創設すること。

3 看護師等の専門家の適切な配置
 医療的ケアが必要な子どもや、障がいのある子どもへの支援を的確に実施するために、看護師、ST(言語聴覚士)、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)等の専門家の必要に応じた配置への財政措置を含め支援を行うこと。

4 特別支援学校のセンター的機能の強化
 各学校でインクルーシブ教育を一体的に進めるために、担当の教員だけでなく学校長等に対する指導や研修会等を実施し、学校内全体での取り組みを促進するために、特別支援学校のセンター的機能強化への支援を行うこと。

5 特別支援教育デジタル支援員(仮称)の配置
 GIGAスクール構想により整備された1人1台の端末を、特別支援学級や特別支援学校において、授業はもとより、個々の特性や教育的ニーズに応じた支援ツールとして有効に活用するための特別支援教育デジタル支援員(仮称)の配置への支援を行うこと。

6 特別支援学校教諭免許状の取得支援及び研修等の充実
 特別支援学校教員の特別支援学校教諭免許状の取得率は87.2%となっており、特別支援学校における教育の質の向上の観点から、教職員への取得支援の強化や大学等における特別支援教育に関する科目の取得促進等、教職員に対する特別支援学校教諭免許状の取得への支援を強力に推進すること。また、研修の実施等の基礎的な知識・技能の向上を図る取組に対する財政措置を講じること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和5年7月10日
香川県議会
 

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