ここから本文です。
陝西省は中国の内陸部、黄河の中流に位置しています。高原や平原などが広がり、北から南へ黄土高原、関中平原、秦巴山区と3つの特色を持つ自然区を形成しています。春周戦国時代は秦に統治されていたため、略称は「秦」或いは「三秦」です。陝西省は中華民族文化の重要な発祥地の一つで、歴史が長く、周、秦、漢や唐など13の王朝がここに都を置きました。中華民族のために、輝かしい歴史文明を創造し、たくさんの貴重な文化財を残しました。民俗文化や芸術も多彩で繁栄していて、華やかさを競い合っています。
秦腔は中国に現存する最古の地方劇で、陝西省の略称が秦であることから名付けられました。秦腔は、悲愴・慷慨・激昂を深い歌声で表現し、また軽快なリズムや柔和でおだやかな音調を特徴とします。秦腔の隈取はどっしりとした大らかな印象を与え、活き活きとして美しいく、また、歌われる題材は幅広くあり、物語は起伏に富んでいます。陝西省にはさまざまな方言やなまりがあることから、秦腔の流派が東府秦腔、西安秦腔、西府秦腔、南路秦腔の4つに分かれました。
安塞腰鼓は中国の戦国時代(前403-前221年)にまで起源をさかのぼることができる伝統舞踊です。「腰鼓」は、腰につけた小太鼓を打ちながら踊る民間舞踊ですが、単に舞踊のみならず、音楽や武術も一体となった勇壮で、動きの激しい踊りで、中国でも「天下第一鼓」と称され、人気が高いです。安塞腰鼓は安塞地域の名物芸能となり、黄河文明の一部で、陝北男子の勇ましさ、何物も恐れない強さや一本気さを表しており、民俗的及び地域的な特色を兼ね備えています。
陝西省では、南部から北部にいたるまで、色とりどりの切り絵を目にすることができます。陝西省の切り絵にはさまざまな風格があり、精巧ですっきりした美しさを持つものや、素朴で荒々しいものがあります。独特の形をしており、はっきりした線を持ち、誇張と想像に富んでいます。これらの切り絵には深い意味が込められており、生活の息吹と趣を感じさせます。窓、門、オンドルやすだれなどの飾り物にすることが多いです。
皮影戯はおよそ2,000年前の前漢(BC206~AD8年)時代、現在の陝西省周辺で発祥した中国の影絵劇で、2,000年という長い歴史のある皮影戯は陝西省起源の人形劇で、大変愛されています。人形は牛皮や紙の板で作られており、それを演者がスクリーンの背後で操ります。物語にあわせてBGMや効果音も奏でられます。観衆は、スクリーンに映った人形の影を楽しみます。世襲制によって厳格に守られており、多くの名戯曲が京劇などの世界へ取り入れられました。中国では近代に誕生した映画に多大な影響を与え、「映画の祖」とも称されています。
戸県は陝西省西安市付近に位置し、中国農民画の故郷として有名です。戸県農民画は中国では50年以上の歴史を持つ伝統芸術です。画家の多くは貧しい農民で、厳しい畑仕事の合間に筆を持ち、山や草木、農作物、牛や豚、家庭の風景など、彼ら自身の生活を題材に作品を作成しました。作物収穫や祭り、結婚式、正月などの身近な農村生活の様子が、平面的で大胆な構図と鮮やかな色彩で軽快に、生き生きと描かれています。
陝西省宝鶏市の鳳翔県の泥人形工芸品は、国家レベルの無形文化遺産リストに登録され、民間工芸品として国内外でその名が知られています。考古学者によると、鳳翔の泥人形工芸品は中国の最も古くて特色のある民間工芸品の一つだそうです。鳳翔の泥人形は、170種類あり、大きいもので高さ85センチの虎の像もあれば、小さいもので人間の親指のようなサイズの兔もあります。鳳翔泥人形の最も有名な産地は、六営村という村です。
このページに関するお問い合わせ