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陝西省は「陝北」、「関中」、「陝南」の三つの地域に分かれています。南北に長く広がっているため、気候や食物、習慣、方言などが地域によってずいぶん違います。私は、大学を卒業した後、約8年間、「陝南」の安康市外事弁で国際交流の仕事に携わりました。今回は、私の第2の故郷である安康市について紹介いたします。安康市は陝西省東南部に位置しており、重慶市、四川省及び湖北省に隣接しております。北には中国南北の分水嶺である秦嶺山脈があり、南には巴山(はざん)があります。面積は23500平方キロ、人口は303万人です。3,000年余りの歴史を有する町で、「安康」という言葉は平和・健康・安らかさ・豊かさを意味しております。
漢江(川)の側で暮らす安康市の人々の生活は、とてものんびりしています。食べ物は、関中と四川省両方の影響を受けており、種類がとても多いです。麺類と米両方をよく食べます。野菜と果物の種類もとても多いです。有名な食べ物としては、「旬�飜八大件(シンヨウバダイジャ)」、蒸麺、お餅、紫陽蒸盆子(シヨウディパンズ)、安康ベーコン等があります。シャブシャブなども大好きです。漢江の側でシャブシャブを食べたり、ダンスをしたり、太極拳をしたりすることがとても人気があります。
陝西省の秦?山脈に生息しているトキ、パンダ、キンシコウ、ターキンは「秦?四宝」と呼ばれています。安康市は秦?山脈と巴山との間にあり、自然環境が非常によく、人間とさまざまな動物が共存しています。
春節は、中国の旧暦のお正月で、中国国内だけではなく、全世界の中国人にとって最も大切な日です。春節は国民の祝日で、多くの人は一週間の連休になります。伝統を重んじる町、安康市でも春節はとても大切です。春節が近づくと人々は年越し用品を買い、大晦日には家族揃って夕食を食べます。そして吉祥というおめでたい気分を表す絵や対聯(ついれん)という新年を祝い邪気を払う言葉を書いた赤い紙を家の門や入り口に貼って新年を迎えます。餃子や餅など、さまざまなご馳走が食卓に並びます。街の至る所で飾り付けがされ、爆竹が鳴り響き、龍や獅の踊りなども行われます。
日本では端午の節句に男子の健やかな成長を祈願し各種の行事を行う風習がありますが、中国の端午節は旧暦の5月5日で、有名な愛国詩人・屈原(くつげん)が関係している「ドラゴンボートレース」という行事が行われます。安康市は、この「ドラゴンボートレース」で有名な町です。国際大会も開かれているスポーツ競技で、細長い龍を模した飾りのある船に舵取り1名、太鼓手1名と、18~20人の漕手が乗ってレースを行います。この船は中国語で「竜船」(ロンチュエ)と言います。楚の政治家であった屈原は正義感の強さと愛国心で多くの人望を集めた人で、その反面、王に自分の忠告を聞き入れられなかったり、同僚の陰謀で地位を追われたりなど、不遇の人でもありました。楚の将来を憂い、5月5日に屈原は入水自殺をしてしまいます。屈原の遺体を探すために、人々は川に船を出しましたが、遺体は見つかりませんでした。屈原の体が川の中で魚の餌になるのはしのびないと考えた人々が、船から太鼓を叩くなど大きな音を立てて魚を追い払ったり、川に粽(ちまき)をまいたりしました。そのようにして、屈原を偲んで川に船を出すという習慣が生まれ、それがドラゴンボートレースとして発展していきました。
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