ページID:3594

公開日:2018年1月25日

ここから本文です。

がん教育

子どもの心に響くがん教育
香川県がん教育推進事業

学習目標・体の力をパワーアップするひみつをみつけよう。

高松市立木太小学校小学校3年生試行授業

1.学校におけるがん教育の必要性

健康について子どもの頃から関心を高めることは重要であり、学校において健康の保持増進と疾病予防の観点から、健康教育に取り組んでいます。「がん」についても、生活習慣病のひとつとして学習していますが、「がん」そのものやがん患者に対する理解を深めるまでには至っていません。
平成24年度県政世論調査によると85.2%が、がんは「こわい・どちらかといえばこわい」と答えており、こわいと思う理由に77.5%が「治る確率が低いと思うから」を挙げています。「がん」に関する情報の氾濫とも相まって、「がんは不治の病」という誤解や偏見につながっている状況がみられます。
そこで、児童・生徒が学習活動を通じて「がん」について正しく学び、がんを予防するために自分たちができることを考えるとともに、行動できる能力を培い、「いのち」の大切さや身近にいるがん患者や家族に対する思いやりの気持ちを醸成する必要があります。

がん教育とは

がん教育は、がんを取り巻く現状や科学的根拠に基づくがんの成り立ちや原因、予防や治療方法さらに、がん患者や家族の心理など「がん」という疾患に特化した健康教育を学習活動を通じて実施するものです。

 2.がんの現状と課題

がんの現状

  1. 香川県がん死亡者数(平成23年)
    2,946人(26.0%)
  2. 親世代の総死亡にしめるがんの死亡割合(平成23年)
    • 30歳代男性13.1%/女性29.3%
    • 40歳代男性11.6%/女性33.8%
  3. 香川県がん推計患者数(平成23年患者調査)
    • 外来1.2千人
    • 入院1.2千人
  4. がん検診受診率(平成22年国民生活基礎調査)
    • 胃がん検診-30.1%(27位)
    • 大腸がん検診-27.5%(13位)
    • 肺がん検診-27.0%(19位)
    • 乳がん検診-31.5%(24位)
    • 子宮がん検診-34.3%(14位)
  5. 平成23年度県民健康・栄養調査/がんに関する知識
    • 「県の死亡原因第1位はがんである」知っている。36.8%
    • 「子宮頸がんはウイルスが原因である」知っている。42.0%
    • 「2人に1人はがんになる」知っている。19.9%
  6. 平成24年県政世論調査/がんについての印象
    「こわい・どちらかといえばこわい」割合歳代
    • 20歳代-85.4%
    • 30歳代-89.3%
    • 40歳代-88.3%
  7. 平成24年県政世論調査/がんをこわいと思う理由
    • 治る確率が低いと思うから-77.5%
    • 家族に負担がかかるから-74.8%
    • 治療費が高いから-63.8%
    • 身近な人が「がん」になったから-37.7%
    • 予防できないから-34.8%

がん教育領域の課題

  • ♯課題1
    「がんは死」というイメージがあり、がんに対する恐怖心が強い。
  • ♯課題2
    がんを学ぶ機会がないため、がん罹患の状況や原因、予防法などについて正しい知識が乏しい。
  • ♯課題3
    がん検診は重要と思っているが、受診しているのは25~35%と低く、がんに関する予防行動が実践されていない。

学習活動を通じた「がん教育」により、一人ひとりが主体的にがん予防に取り組み、更に身近にいるがん患者等に対する理解や思いやりの気持ちを持ち、互いに支え合う社会の形成に寄与する。

 3.香川県がん教育推進事業について

香川県がん対策推進条例(平成23年香川県条例第34号)

第14条.県は、学校関係者、保健医療関係者及び関係団体等と連携し、児童及び生徒が学習活動等を通じてがんに対する理解及び予防に関する知識を深めるために必要な施策を実施するよう努めるものとする。

第2次香川県がん対策推進計画(平成25年3月)

(取り組むべき施策)
がん患者会、がんに携わる保健医療の専門家や教育委員会をはじめとする教育関係者等が協力して、小学生・中学生・高校生の発達段階と適時性を考慮した適切ながん教育用教材を作成し、教育現場におけるがん教育を推進します。
また、実際に指導に携わった教員の意見や、児童・生徒の理解度などを踏まえて、教材及び指導内容等について検討を行います。
さらに、県民に対してがん予防や早期発見につながる行動を促し、自分や身近な人ががんに罹患してもそれを正しく理解し、向かい合うための普及啓発をさらに進めます。
(個別目標)
児童・生徒に対して、がんに関する正しい知識やがん患者に対する正しい認識を持つようながん教育を実施することを目標とします。
(数値目標:平成29年度目標年次)

  • 項目
    すべての中学校でがん教育を実施
  • 目標
    100%

香川県がん教育推進事業

児童及び生徒のがんに関する正しい知識の習得及びがんに対する理解の向上を図るため、「香川県版がん教育プログラム」を活用し、県内の小中高等学校を対象としたがん教育を実施する。

 4.香川県版がん教育プログラム検討経緯

【1】香川県がん教育プログラム検討会の設置

平成23年12月に、医療・教育・行政の関係者、がん患者等で構成する「香川県がん教育プログラム検討会」を立ち上げ、がん教育のあり方について検討を行いました。検討会では、小・中・高の教諭や香川大学教育学部の関係者等で構成する作業部会を設け、発達段階に応じた到達目標の設定や教材・学習指導案の作成を行うとともに、がん教育を進めるための研修会の開催や公開授業・試行授業等を通じて、がん教育の実践に向けた検討を行いました。

【2】香川県がん教育プログラム検討会の経過

開催日時 主な議題 講師

1

23年12月3日
  1. 先進事例検証
  2. 香川県がん教育プログラム概要
がんサポートかごしま理事長
三好綾先生

2

24年1月21日
  1. がん教育取組みアンケート結果報告
  2. がん教育プログラム素案の検討(教育目標、対象学年、教育上の配慮、授業の位置づけ等)
綾川町国民健康保険
綾上診療所
十枝めぐみ先生

3

24年3月17日
  1. 各小・中・高等学校における教育目標と指導内容の検討
国立がん研究センター
片野田耕太先生

4

24年6月23日
  1. 公開出前授業の実施検証
  2. がん教育推進に向けての課題検討
東京大学医学部附属病院
中川恵一先生

5

24年10月23日
  1. 各小・中・高等学校教材の検討
  2. がん教育試行授業に向けての課題検討
 

6

25年3月2日
  1. 各小・中・高等学校教材の検討
  2. がん教育試行授業報告と検証
  3. 今後の課題と推進の展開について検討
 

【3】発達段階を踏まえたがん教育の目標

小学校から高等学校までの学習活動を通じて、がんに関する正しい知識をもち、がんは誰もがかかりうる病気として捉え、家族や身近な人とがんについて話し合い、がんを防ぐ生活行動を実践することができる。

  1. がんは身近な病気であることや、がんの発生と原因を科学的に理解する。
  2. がんと生活習慣の関連やその他の原因を理解し、がんを予防する具体的な生活習慣について自分の課題を見付ける。
  3. 早期発見の有用性と保健・医療制度を知り、適切に活用していくことができる。
  4. がんの予防や治療、療養生活を支える様々な職種の役割を知る。
  5. がん患者の心や身体の変化を理解し、自分や家族ががん患者となった場合の対応を考えることができる。

【4】香川県版がん教育プログラムの特徴

小・中・高等学校積み上げ型プログラム

小学校では3年生と6年生を対象とし、学級活動のとして位置づけ、3年生ではがんという疾患を通じて、健康の大切さを認識させます。6年生は、がんの原因などから生活習慣の課題を見付け、健康で安全な生活態度の形成を図ることを目的とした内容としています。中学校は3年生の学級活動のとして位置づけ、がんの予防や早期発見の有用性、さらに治療に関することを学び、望ましい生活態度や習慣の形成を図ることを目的とします。各学校・学年とも保健学習との関連をもたせた教材と指導内容となっています。高等学校では2年生を対象とし、保健体育科(科目保健)と位置づけ、がん対策に関する保健・医療制度を学びます。さらに、がん患者と家族の体験談を通じて患者の理解を深め、生涯を通じた自己の健康を管理する能力を育成することを目的とした内容としています。

1時間完結型授業(応用編:授業参観の活用提案)

発達段階に応じ、医学用語を適切に表現した教材を用い、がんの正しい知識を1時間で学習します。中学校のプログラムは、専門家を派遣し学級担任とのチームティーチングによる授業としています。
また、家庭との連携を目的に授業参観としての実施や、患者体験談による「いのちの授業」としても展開できます。

自分のこととして考える学習内容

統計的な視点から香川県の現状を学び、がんは身近な健康課題であることを確認します。自分自身の生活習慣に関心を持ち、がんを予防するために、自分ができることを主体的に考え、さらに大切な人の命を守るためにできることを考える学習内容としています。

親世代への検診受診アクション

学習を通じて学んだことを自分の言葉として家族に伝えることにより、家庭内の意識向上を期待し、健康課題に取り組む実践力を培います。家庭や地域社会でお互いに手をたずさえ、がんと向かい合う香川県の実現をめざします。

5.がん教育の手引き

香川県がん教育の手引き(全体版)(PDF:6,825KB)
香川県がん教育の手引き(概要版)(PDF:1,506KB)

以下分割版

小学校

第3学年用教材データ

第6学年用教材データ

小学校3年生用紙芝居教材「ガンダーをやっつけろ!」は、平成26年9月に県内小学校へ1セットずつ配布しております。

小学校3年生教材

小学校6年生教材

中学校

第3学年用教材データ

中学校3年生のプログラムで使用することとなっているDVD教材「がんちゃんの冒険」は日本対がん協会が作成しておりますので、がん教育の手引き内には含まれておりません。

県内中学校へは、平成24年2月ごろに各中学校1枚ずつ配布しております。学校の状況に応じて中学校2年生への使用も可能としています。

中学校教材

高等学校

第2学年用教材データ

高等学校教材

 

このページに関するお問い合わせ

健康福祉部健康福祉総務課

電話:087-832-3261

FAX:087-806-0209