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9月29日(日)、ドングリランドビジターセンターにて、森と海のつながり体験講座を開催し、9名が受講しました。講師に、香川大学名誉教授増田拓朗氏を迎え、森の働きをフィールドで体験し、森と海のつながりを学ぶことを目的として開催しました。
〈座学〉森と海のつながり
森と海のつながりについてはかなり昔から経験的に知られており、江戸時代から“魚つき林”として保護されてきたそうです。しかし、明治以降の近代化の中で軽視され、湾岸や国道の開発などで海岸の丘陵や湾内の木々を伐採した結果、漁獲量が減少し、その後植林など人の手で森林を復活させたところ漁獲量が増加した事例が全国的に多く見られたそうです。そして、各地での取り組みの事例を紹介いただき、人と自然の関わり方について学びました。
次に、森と海の豊かさについて説明がありました。森と海の豊かさとは多様な植物・動物が生息することであり、そのためには物質生産(光合成)が可能で、食物連鎖・物質循環が行われることが大切だそうです。しかし、海だけでは物質循環は完結できないため、海の生き物を育てる上で森の栄養を含んだ水が重要であるとお話がありました。
その後、森林の持つ水土保全機能についての解説がありました。森林に降る雨は土壌に浸透し、ゆっくりと流出させることで洪水を緩和し、川の流量を安定させる重要な役割を果たすことから緑のダムとも呼ばれるそうです。最後に、土砂災害に強い森づくりのためには、それぞれの森について明確な目標設定と目標に応じた維持管理(森づくり、利用)を行うことが何よりも大切だとお話があり、受講者たちはメモを取るなど真剣に聞き入っていました。
〈実験〉簡易ライシメーターを用いた実験で水の流れ方を観察しました
裸地・草地・森林を再現した装置にジョウロで雨を降らせ、水が流出するまでの時間と流出量を比較しました。装置の中央の穴からは表面水が流れ、左右の穴からは浸透流が流れ出る仕組みになっています。実験の結果、裸地は散水後すぐに濁った水が地表から流れ出す一方、森林はゆっくりと透き通った水が地下から流れ出すことが分かりました。
〈フィールドワーク〉森林観察ころころコース→峠の広場→コブシ坂を散策しました!
園内では近年、ブナ科の木々が集団で枯れる「ナラ枯れ」と呼ばれる被害が急増し、これは体長5mm程のカシノナガキクイムシ(通称カシナガ)という小さな虫が運ぶナラ菌が原因で起こるドングリの木の伝染病だそうです。ナラ枯れ被害が拡大した背景の一つとして、人と森の関係が変化したことが原因であるとお話がありました。昔からこの辺りでは里山林として燃料の薪や堆肥の落ち葉を取るなど森林の資源を活用してきたそうですが、今では人が森に立ち入らなくなり薪や落ち葉を取らなくなったことで手つかずのまま放置されていることが原因の一つであり、今後森をどう活用するかが課題であるというお話に受講者たちは熱心に耳を傾けていました。散策の途中、「スギとヒノキの違い」「アカマツとクロマツの違い」やどんぐりの木として知られる「クヌギとアベマキの見分け方」などを教わり、実際に葉を手に取って違いを確かめました。また、イヌザンショウを手に取り、その芳香を楽しみました。
〈実験〉浸透実験を行い、森林の保水力を体感しました!
森林の持つ保水力を体感してもらえるよう、土壌に散水して底面からの流出量を観察しました。実験の結果、地表流はほとんど見られず土壌に浸透した水がかすかに染み出す様子が観察できました。一方、裸地に水を撒くとにごった水が勢いよく流れ出し、受講者たちは森林の保水力にとても驚いている様子でした。
ドングリランドビジターセンターへ戻り、まとめと振り返りを行いました。受講者からはナラ枯れや森の適切な管理方法についての質問などがありました。講座終了後のアンケートでは、「森林を守らなければいけない理由が分かった」「実験があり内容が理解しやすかった」という感想がありました。
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