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森林・林業・木材産業を巡っては、人工林資源が本格的な利用期を迎える中、国産材の供給量が拡大するとともに林業産出額や林業従事者給与の増加など良い流れが生まれている。
一方、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、我が国最大の吸収源として森林・木材の最大限の貢献が求められているとともに、近年、地球温暖化の影響により、局地的な豪雨・豪雪、大型の台風等により全国各地で大規模な山地災害が頻発している。
さらに、昨年来のいわゆるウッドショックによる影響に加え、今般の円安やロシアによるウクライナ侵略など、木材需給の不透明さが増しており、経済安全保障の観点からも海外情勢の影響を受けにくい木材の需給構造を早急に構築することが必要である。
よって、国においては、次の措置を講ずるよう強く求める。
記
1 森林吸収量の確保・強化や国土強靱化に向け、間伐の着実な実施や主伐後の再造林、林道等の路網整備、病虫獣害対策等に必要な予算を十分に確保すること。また、災害から国民の生命・財産を守っていくため、荒廃山地の復旧対策をはじめ、山腹崩壊・流木・土石流対策等の事前防災・減災に向け、治山対策の予算を十分に確保すること。
2 木材製品の供給力強化に向けた加工流通施設の整備、原木の供給力強化に向けた搬出間伐や主伐後の再造林対策、林道等の路網や高性能林業機械、苗木生産、森林資源情報など生産基盤の整備、新規参入支援も含めた担い手の確保・育成、さらには、製材やCLT等の木材利用の促進による国産材の需要拡大など、国産材の安定的かつ持続的な供給体制の強化に向け、採択要件の緩和や予算の増額など総合的な対策を強力に推進すること。
3 森林環境譲与税については、林業に係る財政需要がより大きい地方公共団体への譲与額を増大させるよう、譲与基準の見直しを行うこと。また、見直しに当たっては、基礎配分額を設けるなど、譲与額が少ない地方自治体が一定規模の事業を行えるよう配慮すること。
4 伐採から再造林・保育に至る収支をプラス転換するとともに、若者・女性等にも働きやすく安全で魅力ある「新しい林業」の実現に向け、新たな技術の導入による経営モデルの構築、ICT等の活用による森林情報の精度向上・高度利用、遠隔操作・自動操作機械や木質新素材の開発・実証、さらには、地域一体となって林業活動にデジタル技術をフル活用する取組を支援するなど、林業のデジタル化とイノベーションを推進すること。
5 「緑の雇用」事業等による林業従事者の確保・育成や労働安全対策の強化等の取組の支援を一層推進するとともに、造林に係る林業経営体の新規立ち上げへの支援や林業高校・林業大学校等における人材育成への支援、デジタル技術を含む多様な技術の習得等に対する支援を強化するなど、多様な担い手の確保・育成の取組を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和4年12月15日
香川県議会
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