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令和5年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び令和5年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。
新型コロナウイルス感染症が確認されてから、3年余が経過いたしました。
この間、医療、介護現場で働く医師、看護師、介護職員の皆様、事業者の皆様、そして県民の皆様の御理解と御協力を頂きながら、感染の波を乗り越えてきたところであります。改めて皆様に感謝申し上げます。
5月8日から、ウイルスの病原性、感染力の評価等を踏まえ、感染症法上5類感染症となります。これにより、あらゆる場面でウィズコロナへの移行が本格化されることになります。
コロナ禍の3年間、例えば少子化やそれに伴う労働力不足、社会とのつながりの希薄化など、様々な社会課題の存在を改めて認識いたしました。一方で、デジタル技術を活用したテレワークやオンライン会議の活用など、コロナ禍であったからこそ進んだ分野もあり、人々の価値観、行動の変容も出てきているところです。災い転じて福となす、との気持ちで、どのような時にも前を向いて進む、そのような力が、香川県の持つ潜在力を活かし、それを次の世代につないでいくために求められる時代となってきていると考えます。
今年は卯年。ウサギ年であります。ウサギが飛び跳ねることから、跳ね上がるという意味があり、何かを開始するのに縁起がよく、物事が好転する良い年になるとも言われます。
私は、今年一年を、これまでの新型コロナウイルス感染症によりもたらされていた閉塞感を払拭し、香川県の経済、社会、文化が新しい飛躍を遂げ、人生100年時代のフロンティア県の実現に向け、跳び出す年にしたいと考えております。
県議会はもとより、県内の8市9町との緊密な連携のもと、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
人生100年時代のフロンティア県の実現を計画的に行うため、県の総合計画を見直すこととし、先般、その骨子案を取りまとめました。
骨子案では、基本方針として、安全・安心で住みたくなる香川をつくる「県民100万人計画」、活力に満ち挑戦できる香川をつくる「デジタル田園都市100計画」、多くの人が行き交い訪れたくなる香川をつくる「にぎわい100計画」の3つを掲げております。
今後は、この基本方針に沿った各種施策に取り組むことにより、直面する喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策、コロナ禍における原油価格、物価高騰対策はもとより、令和4年の出生数は全国で80万人を割り込む見込みとなるなど、急速に進展する少子化局面の打開、経済と財政の好循環を生み出すための企業誘致やスタートアップ支援、防災・減災、国土強靭化にも資する物流・人流を支えるネットワークの整備、ウィズコロナに向けた観光誘客やにぎわいづくりなどを的確に進めてまいりたいと考えております。
総合計画の見直しにあたりましては、本県の強みや魅力を見つめ直すとともに、急速に変化する社会情勢を踏まえた課題の変化にも対応し、本県の将来にとって必要と考えられる新しい取り組みにもチャレンジする内容となるよう、県議会はもとより、県内各市町や各界、各層からの御意見、県民の皆様の声を十分に踏まえながら進めてまいりたいと考えておりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
それでは、上程されました当初予算案について御説明いたします。
令和5年度当初予算は、先程申し上げました、総合計画見直しの骨子案に沿いつつ、具体的には、喫緊の課題である、新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策、加速する少子化へ局面打開を図る対応、経済と財政の好循環を生み出すための企業誘致やスタートアップへの支援などに財源を重点配分し、一方で、施策の有効性の観点等からの事務事業の見直しやスクラップ・アンド・ビルドなどに全庁的に取り組むことで財源確保に努め、効果的・効率的な予算となるよう意を用いながら、編成したところであります。
その結果、令和5年度一般会計の当初予算の規模は、4,883億円余、総額では前年度を下回っているものの、令和4年度の特殊要因である東京地区県有資産権利変換等金銭給付積立金を除けば、14億円余上回るものとなりました。
歳入面においては、県税、地方譲与税、地方消費税清算金が総額80億円余増加する一方、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた額は37億円減少しました。税収と連動する市町への税収関連交付金等38億円余増加の影響を除く一般財源総額は、5億円余の増加となっております。
また、令和元年度から令和3年度決算において減少した県債残高については、令和4年度末及び令和5年度末の見込みともに、臨時財政対策債を除く県債残高、県債全体の残高、双方とも減少する見込みとなっております。今後も、次世代への責任の視点に立って、将来に過度の財政負担を残さない持続可能な財政運営に努めてまいります。
なお、令和5年度当初予算と同時に編成を進めました令和4年度補正予算は、新型コロナウイルス感染症対策、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策や国の補正予算に伴う対応、鳥インフルエンザ特別対策などに一般会計で15億9,800万円余を計上することとしており、その内容につきましては、後ほど、御説明いたします。
それでは、以下、令和5年度の主要な施策について、申し上げます。
第1は、「県民100万人計画」についてであります。
まず、「『子育て県かがわ』をつくる」については、現在の少子化の流れ・局面を打開するとの考えのもと、若い世代が定住し、結婚の希望をかなえ、誰もが夢と仲間を持って、次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」を、社会全体が一体となってつくります。
その取組みの柱として、「経済的負担の軽減」、「子育て拠点の充実」、「みんなで子育て」を掲げ、「少子化対策局面打開パッケージ」として進めていくことになりますが、まず、子育て家庭の「経済的負担の軽減」としては、子ども医療費の一層の負担軽減を図るため、市町が行う子ども医療費支給事業に対する助成対象を、小学校就学前から小学校3年生まで引き上げ、所得制限を廃止します。また、産後ケアを受ける際の交通費を助成する市町への補助、県立高校の教室の冷暖房に係る経費を県費により対応することに加え、市町と連携し、児童生徒の給食費負担軽減に向けた検討を進めてまいります。
次に、「子育て拠点の充実」については、各市町が地域のニーズに応じて計画的に創意工夫をこらした事業を実施できるよう3期目となるかがわ健やか子ども基金事業を実施します。あわせて、子育て拠点の充実に向けた調査・検討を進めるとともに、待機児童解消や多様な保育ニーズに応えるため、保育施設に対し年度途中に発生した待機児童の受入れや一時預かりを行うために必要な保育士を派遣する仕組みを構築し、その経費の一部を補助します。
また、保護者・保育者の負担軽減のため、私立保育所等での使用済み紙おむつの処分費用を補助する市町への支援や、私立保育所等におけるICTを活用した業務効率化の支援を行います。
「みんなで子育て」については、結婚・妊娠期からの支援として、若い世代に対し結婚、妊娠・出産、子育てを含めたライフデザインの良さを学ぶ講座を実施するとともに、社会全体で仕事と家庭生活の両立を進めるため、男性の家事・育児への参画促進に向けた当事者に対する家事育児実践講座の開催、企業における男性の育児休業の取得促進に向けた研修や個別支援を実施します。このほか、女性が働きやすくするための支援や、「かがわ縁結び支援センター」における支援の充実のため、性格診断によるお勧めマッチング機能の追加を行います。
次に、「教育の充実」についてであります。
教育の充実については、教育委員会との緊密な連携のもとに各種の取組みを進めてまいります。
まず、来年度は、新たに、小・中学校におけるICT活用のサポートを受けられる体制の整備や、県立高校へのICT支援員の派遣を行うなど、学校教育の情報化を推進してまいります。
また、中学校の休日部活動の地域移行については、将来にわたり児童・生徒がスポーツ・文化芸術活動に親しむことができる機会の継続的確保に留意して、導入方法の検討や体制整備、実証事業の支援を行ってまいります。
いじめ・不登校や高校中退等の課題に対しては、すべての学校へのスクールカウンセラーの派遣やスクールソーシャルワーカーの効果的な活用などを引き続き実施するほか、新たに、不登校支援連絡協議会の開催や、モデル校での校内サポートルームの設置に取り組むなど、その解消に努めます。
このほか、教員業務支援員や部活動指導員を配置する市町への支援や、学校の働き方改革を加速させるため、モデル市町の小・中学校に県の総務事務システムを導入し、教員が児童生徒の指導に、より専念できる体制の構築に取り組みます。
東讃地域に新しく整備する高等学校については、複数の学科があることを積極的に生かした教育を、地域と連携しながら行っていくための準備を進め、魅力ある学校、地域の活性化に資する学校となるよう努めてまいります。
特別支援教育については、特別支援学校の在籍者数増加に伴う教室不足などに対応するとともに、本年4月開校の小豆島みんなの支援学校が、小豆地域における特別支援教育の拠点となるよう運営してまいります。
次に、「女性や高齢者、障害者が活躍する社会づくり」については、女性リーダーの養成講座や、女性を対象としたデジタルスキルを活用した「新しい働き方」を支援する事業を実施する等により、女性が個性とその能力を十分に発揮できる環境づくりを行います。
さらに、女性の就労促進に向け、県内企業の経営者等を対象とした機運醸成のためのシンポジウムを開催するほか、高等技術学校の施設内職業訓練での託児サービスの実施や、出産・子育て等でキャリアが中断した女性の就職を支援するための短期間の研修を実施するとともに、女性向け正社員求人の開拓や就職支援を行う人材採用コーディネーターを配置します。
また、女性、高齢者等の新規就業支援を県内全域できめ細かく行うため、かがわ女性・高齢者等就職支援センターのサテライト支援拠点を新たに設置するほか、障害者の雇用に向けた個別支援を行うコーディネーターを香川県社会就労センター協議会に配置するなど、女性、高齢者、障害者の就労支援にも取り組んでまいります。
次に、「安心できる医療・介護体制を構築」についてであります。
まず、新型コロナウイルス感染症対策については、入院病床、軽症者等受入施設を引き続き確保するとともに、発生届対象外の陽性者が登録できる体制や、県民からの受診相談などの体制を引き続き維持します。
重症化リスクの高い高齢者施設等における患者が医療機関の早期支援を受けられる体制の維持や、ワクチン接種の促進などにも取り組みます。
そのほか、新たな感染症等に対応できる感染症分野の専門人材の育成、感染管理認定看護師の育成支援を行います。
また、医療ニーズが変化する中、病床機能の分化・連携や在宅医療の推進に積極的に取り組むとともに、良質かつ適切な医療を持続可能な形で効率的に提供する体制の確保に努めるとともに、令和4年度に運航を開始したドクターヘリを活用し、島嶼部や山間地域でのより迅速な救急医療の提供など、導入効果を最大限に活かした救急医療や災害医療の充実・強化に取り組みます。
県立病院においては、引き続き、病院事業管理者のもと、「第4次県立病院中期経営目標」に基づき、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。
安心できる介護体制の構築に向けては、新型コロナウイルス感染症対策として、引き続き高齢者施設や障害者施設等において感染が発生し、業務継続が困難となった場合に、施設間で連携、支援する体制の確保や、介護人材の確保対策として、介護の周辺業務を担う介護助手の掘り起こし、介護ロボットやICTを導入する介護事業所への支援により、介護職員の負担軽減や介護現場の業務の効率化を図ります。
そのほか、認知症の人にやさしい地域づくりの一環として、地域で認知症の人や家族を支援する仕組みであるチームオレンジの設立を目指す市町に対し、医療専門職等による支援を行います。
次に、「災害や渇水に強い県土をつくる」についてであります。
災害から県民の命と安全な暮らしを守るためには、自助・共助・公助が一体となって防災・減災対策を推進していくことが重要であり、引き続きハードとソフト両面から総合的かつ一体的に取り組んでまいります。
海岸堤防や河川堤防、ため池については、それぞれ、優先度の高い箇所から重点的・集中的に対策工事を進めます。併せて、ため池における監視カメラや水位計の設置により、適正な保全管理や管理の省力化を図る市町の取組みを支援します。
また、市町と連携し、住宅の耐震化、老朽化して危険な空き家の除却への支援などを継続するとともに、県民の皆様の防災意識の一層の向上や、家具類の転倒防止対策など家庭における防災対策、地域における地区防災計画の策定等の促進にあわせ、防災人材の育成などによる地域防災力の強化に取り組みます。
さらに、高松合同庁舎については、耐震化できておらず、老朽化が著しいことから、令和9年度の高松市郷東町への移転整備に向けて、基本設計等準備を進めてまいります。
安定した水資源の確保と供給については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、広域水道企業団による水道施設の更新・耐震化を促進するほか、国や独立行政法人水資源機構と連携し、香川用水施設の耐震化及び老朽化対策に取り組んでまいります。
次に、「交通事故や犯罪のない安全安心な社会をつくる」についてです。
本県における昨年の交通事故死者数は、統計資料の残る昭和23年以降、2番目に少ない35人となりました。
今後も、交通事故死者数をゼロに近づけるためには、今年も、毎月の交通死亡事故ゼロを目指すことを目標に、これまでの対策に加え、本年4月1日から全ての自転車利用者に対し、ヘルメットの着用が努力義務化されることを踏まえ、重点的に周知啓発を行うなど、自転車が関係する交通事故の抑止に努めます。
また、交通事故死者数の約7割を占める高齢者に対しては、きめ細かな交通安全教育を行う訪問指導を実施するとともに、運転に不安を感じている高齢者の方に対し運転適性診断の受講を支援するなど、高齢者が交通事故の被害者にも加害者にもならないよう取り組んでまいります。
犯罪防止に向けた取組みについては、悪質かつ巧妙化する特殊詐欺の予防活動や水際対策に取り組むほか、交番・駐在所等の再編等による夜間体制及び機動力等の機能強化を図ります。
次に、「人口100万人計画」についてであります。
移住・定住の促進に向けては、県内市町と連携して、本県の魅力の情報発信や仕事や住まいのマッチング、定住のサポートの3つの柱で施策を展開し、県内企業の若手社員の就職相談会等への派遣や、移住支援金の子育て加算の拡充などにも取り組み、本県へのUJIターンを促進します。
また、高校でのキャリア教育における、地域企業等と連携したインターンシップ、県内企業の魅力や県内就職の利点の紹介などを通じ、高校生の主体的な進路選択につなげ、次代の香川を担う人材の育成を推進します。
加えて、県内大学等や経済団体、自治体で組織する「大学・地域共創プラットフォーム香川」において、産学官の連携を強化し、若者の県内定着等を図る取組みを加速化させます。
第2は、「デジタル田園都市100計画」についてであります。
「産業拠点香川へ」については、企業立地の促進と産業基盤の強化に関して、今後の5年から10年先を見据え、各種の企業誘致施策をとりまとめたアクションプラン「せとうち企業誘致100プラン」を本年度末までに策定し、中期的な視点に立った戦略的な企業誘致に取り組んでまいります。その取組みとして、新たに、企業誘致の基盤となる産業用地を確保するため、民間事業者による工業団地等の開発に対する助成を行うとともに、カーボンニュートラルポート形成への支援のため、エネルギー関連分野における工場等の設置に対する助成制度を創設します。
また、各市町や金融機関、不動産事業者等と連携し、各種行政手続きなどのワンストップサービスの一層の充実を図ることにより、優良な製造業や物流業のほか、若者にとって魅力のある情報通信関連産業の立地を進めてまいります。
さらに、立地企業の活動を支えるため、県内各地域や交通・物流拠点等をつなぐ道路ネットワークの強化を図ります。さぬき浜街道のうち県道高松坂出線五色台工区や空港連絡道路である県道円座香南線香南工区の整備、国が管理する国道11号などの直轄国道の整備促進を図るとともに、県道太田上町志度線、国道438号など、将来の香川の発展に必要な幹線道路の整備も引き続き進めてまいります。
また、高松港や坂出港が四国における物流・交流拠点として発展するよう、港湾整備の方向性を検討し、計画的に港湾機能の強化を進めます。具体的には、高松港国際物流ターミナルにおけるコンテナヤードの拡張等を推進するとともに、国事業の高松港複合一貫輸送ターミナルの岸壁整備等を促進します。
スタートアップ等の創出については、「起業家マインドの醸成」から創業後の成長促進まで切れ目ない支援を展開し、県経済を牽引するような新たな企業や事業の創出を図ってまいります。
そのため、香川インテリジェントパークにおいて、県内起業家の集積地形成を目指し、起業当初の事務所や作業所などの活動拠点を提供するとともに、かがわ産業支援財団や「Setouchi-i-Base」での経営の専門家による相談体制を拡充するなど、きめ細やかな相談対応に取り組んでまいります。
さらに、本県のスタートアップ支援に携わる関係機関で構成する「かがわスタートアップカンファレンス」を立ち上げ、本県のスタートアップ支援のあり方や今後の方向性を検討するとともに、カンファレンスの知見も活用したビジネスコンテストを開催し、地域経済の活性化や社会課題解決につながるスタートアップに対して、その創出・短期間での成長を資金面から強化してまいります。
次に、「『四国の玄関口』として確かなインフラ整備を進める」についてです。
香川県立アリーナの整備については、昨年4月に建設工事に着手するとともに、管理運営についても、9月定例会において、施設の設置根拠となる「香川県立アリーナ条例」の御議決をいただき、現在、指定管理者の選定を進めているところであります。
引き続き、着実に建設工事を進めるとともに、指定管理者と連携して、施設の利用調整やイベント等の誘致・広報活動等の開館準備を本格化するほか、香川県立アリーナに必要となる備品の準備を開始するなど、令和7年3月の開設に向け、積極的に取り組んでまいります。
また、サンポート高松地区において、香川県立アリーナなどの新たな施設整備にあわせて、屋根付き歩道や連絡デッキの整備による鉄道駅や港からの安全で快適な歩行空間の確保に取り組むとともに、地区全体として、にぎわいがある一大プロムナードとなるよう、歩行空間の検討を進めてまいります。
高松空港については、高松空港株式会社等と連携・協力しながら、落ち込んだ航空需要の早期回復や、東南アジア等との新規路線誘致を推進するとともに、四国の拠点空港として利便性を確保し、さらに発展していけるよう取り組みます。
四国の新幹線については、引き続き、四国各県や経済界、事業者等と連携し、四国一丸となって国や関係機関への要望や機運醸成に取り組みます。
また、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築に向け、来年度、新たに、地域公共交通のマスタープランとなる「香川県地域公共交通計画(仮称)」を策定してまいります。さらに、令和5年度に拡充された地域公共交通への国の助成策を活用した支援を実施します。
併せて、将来的に、新たな移動手段として地域課題の解決への有効性が期待される空飛ぶクルマについて、飛行ルートや潜在的ニーズ等必要な調査・分析を行います。
次に、「農林水産業の先進県へ」についてです。
農産物の安定供給に向けては、「おいでまい」や「さぬきの夢」等の県オリジナル品種の品質向上に取り組み、高品質な農産物の生産拡大を推進するとともに、持続可能で環境への負荷に配慮した環境にやさしい農業の推進、耕畜連携による自給飼料の確保などに取り組みます。
需要拡大に向けては、「さぬき讃シリーズ」や本県オリーブのブランド力の強化を図るほか、「全国高校生花いけバトル」を引き続き開催し、県産花きの需要拡大に繋げてまいります。また、輸出先国のニーズや規制等に対応した輸出品目の産地形成を進めるため、生産者や事業者が実施する輸出事業計画の策定、生産・加工体制の構築や事業効果の検証・改善等の取組みを支援します。
畜産物については、高品質化に取り組むとともに、卸、仲卸業者を中心に、販路定着化と販売促進を図り、全国での需要拡大に取り組んでまいります。さらに、海外でニーズの高いオリーブ牛については、東アジアやアメリカなどを中心に、戦略的な販路開拓の取組みを展開します。
水産物については、本県の海面養殖に適した県産サーモン種苗の開発や、ハマチ人工種苗による養殖試験を進めます。また、トップセールスや関係団体と連携したPR活動、首都圏などの大消費地や海外の新たな市場の開拓により、オリーブ水産物などの販路拡大を図ります。
生産性を高める基盤整備については、農地の最適利用の実現に向け、市町における将来の農地利用の姿を明確化した地域計画の策定や、粗放的管理による農地保全、遊休農地の再生利用などの取組みを支援してまいります。
高病原性鳥インフルエンザや豚熱等の家畜伝染病対策については、各農場における飼養衛生管理基準の遵守や消毒の徹底指導など、発生防止に努めるとともに、発生時には、迅速かつ的確な防疫対応が行えるよう、防疫体制の強化を図ります。
林業については、森林組合や民間企業と連携した木材加工流通体制の強化のほか、県立農業大学校への林業・造園緑化コース(仮称)の設置など、担い手確保対策に取り組みます。
次に、「県産品の販路拡大」については、観光客や県内外の消費者に向け、オンライン上のみで旅行商品を扱う、いわゆるOTA事業者との連携や、SNSなどのデジタルメディアの効果的な活用により、香川の「食」の魅力発信に取り組むほか、アンテナショップを通じて、県産品の認知度向上の強化等に努めます。
また、大消費地の百貨店、レストラン等でのフェアや食材のプロモーションに加え、通信販売事業者等との関係強化により、国内での販路を拡大します。海外においては、民間事業者と緊密に連携しながら販路の拡大に取り組むほか、EUにおいて本県盆栽の魅力を強く発信し、ブランド化を図ります。
次に、「あらゆる世代・人材で香川の産業を支える」についてであります。
県内企業の人材確保に向け、「ワークサポートかがわ」において、きめ細かなマッチング支援を行うほか、就職活動のオンライン化及び早期化に対応するため、オンラインイベントシステムを活用した就職イベントを開催するなど、県内企業の情報や魅力を効果的に発信するとともに、新たに構築した就職支援サイト「ワクサポかがわ」を活用して、企業の採用活動を支援してまいります。
外国人材の受入れ支援・共生推進につきましては、外国人材の雇用等に関する相談窓口を運営するとともに、県内企業における外国人材の受入れ支援に取り組みます。
次に、「グリーン社会の実現」についてです。
地球温暖化対策については、先般、「香川県地域脱炭素ロードマップ」を策定したところであり、ロードマップに基づく取組みを着実に推進するため、来年度は、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)に対する補助制度の拡充や、初期費用がかからない太陽光発電設備の導入促進などに取り組みます。このほか、市町の脱炭素に向けた取組みへの支援や、カーボンニュートラルポート形成に向けた取組支援、さらには、県自ら県有施設や設備の省エネルギー改修などを積極的に行い、様々な分野における事業を展開してまいります。
また、脱炭素に向けた取組みを加速させるため、新たに環境森林部内に「カーボンニュートラル推進室」を設置し、取組体制を強化することとしており、今後とも、各市町や企業、団体等とより一層の連携を図りながら、脱炭素社会の実現に向けた取組みを推進してまいります。
豊島事業については、県政の最重要課題の一つとして取り組み、これまでに、多くの課題を達成し、計画どおり、産廃特措法の期限内である来月までに、処分地の整地を完了するよう進めております。
来年度以降、自然浄化により地下水の浄化が完了するまで、モニタリングを継続しながら、処分地を維持管理し、地下水の環境基準を達成した後、処分地を豊島3自治会に引き渡すこととしており、今後とも、豊島住民の方々や、県議会をはじめ県民の皆様の御理解と御協力を得ながら、本事業に取り組んでまいります。
また、来年度からは、廃棄物対策課を循環型社会推進課に改組し、昨年施行されたプラスチック資源循環促進法への対応や循環経済への移行など、持続可能な循環型社会の形成に向けた取組みを、より一層推進してまいります。
次に、「デジタル社会を形成する」についてであります。
本県が抱える課題を解決し、イノベーションの創出を図るためには、あらゆる分野においてデジタル技術とデータを効果的に活用するデジタル社会に変革させていく必要があります。
このため、県と県内17市町、民間事業者による官民共創の場「かがわDX Lab(ラボ)」では、今年度末に完成予定の拠点施設を生かし、新たなサービスの企画、実証に積極的に取り組むとともに、事業者などが新たに生み出すサービスの提供に必要となる、様々な地域のデータが利用できる基盤の構築に向け具体的な検討を進めます。
また、行政分野では、電子申請の際にキャッシュレスで手数料を納付できるよう取り組むとともに、インターネット上で契約を締結することにより、契約書の郵送、押印等が不要となる電子契約の導入に向けた準備を進めることなどに取り組み、県が関わる各種分野でのデジタル化の推進を図ります。
さらに、人材育成については、「Setouchi-i-Base」において、地域や企業でニーズが高いプログラミング講座等に加え、デジタルに関する基礎的な講座も新たに開設し、全体の底上げを図ってまいります。
第3は、「にぎわい100計画」についてであります。
まず、「観光客2割UPを目指して」についてであります。
観光客の2割アップに向けましては、民間事業者等が実施するその土地ならではの特色あるイベントや体験型コンテンツの造成に対する支援、多様化する旅行ニーズに対応した体験型旅行商品の造成・販売強化に引き続き取り組みます。また、県民をはじめ多くの観光客に、多島美を誇る瀬戸内の素晴らしさを改めて感じてもらい、島を訪れるきっかけづくりや島を含め県内での滞在促進を図るほか、本県への旅行に対する助成を行い、継続的な旅行需要の喚起を図ってまいります。
さらに、大阪・関西万博が開催される2025年に向けて、「瀬戸内海」、「アート」、「遍路」等を中心とした旅行商品の造成やプロモーション活動により、新たな市場開拓に取り組みます。
加えて、インフルエンサー等を活用した観光情報の発信などに加え、県民や旅行者に県内の魅力や感動をSNSに投稿していただくキャンペーンを実施するなど、効果的な情報発信を進めます。
海外からの誘客については、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、高松空港の定期路線就航先である韓国、中国、台湾、香港を中心に、戦略的な情報発信・誘客活動に取り組むとともに、富裕層の多い欧米豪市場からのインバウンド回復に向けた誘客対策にも取り組んでまいります。また、JR高松駅の新駅ビル完成に伴い、同駅観光案内所を移転リニューアルし、旅行者目線に立った利便性の高い受入環境の充実強化に努めます。
MICE誘致については、官民一体となり政府系国際会議や大規模MICEなどの誘致活動を行うとともに、本年7月の「G7香川・高松都市大臣会合」の成功に万全を期してまいります。
クルーズ客船誘致については、誘致活動や寄港時の歓迎行事を行うほか、乗船客から好評を得ている高松港玉藻地区の旅客船専用岸壁において、11万トン級までの大型クルーズ客船の受入れが可能となる施設整備を進めてまいります。
次に、「まち全体の美化推進」については、市町や観光協会、観光関連団体などと連携し、まちの美化も含めた全県的な「観光香川おもてなし運動」を展開するとともに、外国人を含め誰もが利用しやすいユニバーサルデザインの推進の取組みとして、多くの県民の皆様や来県者が利用する文化・交流施設、観光施設や交通施設のトイレの洋式化を促進するなど、受入環境の整備を進めてまいります。
次に、「文化芸術、スポーツの振興による地域活性化」についてであります。
今定例会に御提案申し上げている新たな「香川県文化芸術振興計画(案)」に基づき文化芸術による地域活性化を一層推進するため、県民の皆様とともに、「アート県かがわ」のブランド力を高め、その魅力を発信するとともに、大切に受け継がれてきた地域の伝統文化等を次世代へ継承できるよう、取組みを進めます。
あわせて、昨年、多くの来場者をお迎えした瀬戸内国際芸術祭については、これまでの作品等を生かした継続的活動であるアートせとうち事業や文化芸術分野の人材育成等に取り組むとともに、2025年の次回開催に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。
また、東京2020オリンピック競技大会での本県出身選手の活躍に見られたような、様々な国際大会で活躍できる本県出身のアスリートを輩出するため、今後も、スポーツの豊かな素質を持つ小学生の発掘・育成や、将来性豊かな中高校生選手の育成・支援に努めるなど、ジュニア期からの一貫した育成・強化に取り組んでまいります。
このほか、持続可能な社会の実現のため、今年度から運用している県内事業者等のSDGs登録制度を活用し、県内におけるSDGsの普及促進を図ってまいります。
また、離島においては、様々な分野で本土との地域間格差が生じており、地域の実情やニーズを踏まえた支援を行うとともに、離島がもつ魅力を生かして、交流人口の拡大などにより、その活性化を図ることが重要であります。
昨年11月の離島振興法の改正を受け、現在、香川県離島振興計画の改正作業を行っております。各市町と十分連携しながら、瀬戸内国際芸術祭等を通じた交流促進、関係人口など島外人材の活用、遠隔医療への配慮などに取り組むとともに、国の交付金を活用した様々な事業を実施し、離島の振興を図ってまいります。
東京讃岐会館を含む三田小山町(みたこやまちょう)西地区の市街地再開発事業につきましては、再開発組合の権利変換計画について、昨年12月に東京都の認可を受けましたことから、再開発組合から権利変換に伴う金銭給付を受け、本年1月に土地・建物の明渡しを行ったところであり、今後は県議会での御議論や民間事業者の御提案等を踏まえながら、県が取得する権利床(けんりしょう)の運営等に関する検討を進めていきたいと考えております。
以上、御説明しました内容により編成した令和5年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,883億2,000万円となり、特別会計は、国民健康保険事業など16の特別会計で、総額2,685億2,000万円余、病院事業会計は、収益的支出が298億3,500万円余、資本的支出が27億5,700万円余、流域下水道事業会計は、収益的支出が21億7,000万円余、資本的支出が10億400万円余となっています。
次に、第5号議案の令和4年度一般会計補正予算議案について、その内容を御説明いたします。
この補正予算につきましては、新型コロナウイルス感染症対策、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策や国の補正予算を受けた対応、今年度発生した高病原性鳥インフルエンザを踏まえた特別対策を講ずるため、御提案したものであります。
まず、新型コロナウイルス感染症対策、コロナ禍における原油価格・物価高騰対策につきましては、国の新たな融資保証制度を利用する県内事業者等に対する信用保証料の補給のほか、県立高校等における感染予防等の対策、県内漁業者が、国が構築する漁業用燃油にかかる漁業経営セーフティーネットに加入する際の漁業者負担分への補助に必要な経費を計上しようとするものであります。
次に、国補正予算関係につきましては、子どもの安全対策を強化するため、送迎用バスへの安全装置の装備などの導入に係る支援、信号機などの特定交通安全施設の老朽化対策、瀬戸内海国立公園の施設整備を実施するほか、農業者等が行う生産性の向上への取組みに対し支援するものです。
鳥インフルエンザ特別対策については、この度の防疫対応に要した経費のほか、移動制限等の措置に伴う農家等の売上減少や増加費用に対する補助、農家が防疫措置等に伴う国の手当金等の交付を受けるまでのつなぎ資金を活用する場合の、県が独自に行う利子や保証料の補給、経済的に影響を受けた養鶏業者や取引業者の経営継続を支援する県独自の給付金の支給などの経費を計上しようとするものであり、これら補正予算の総額は、15億9,800万円余となっております。
そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、児童・生徒数の変化等を踏まえ、県立学校職員及び市町立学校県費負担教職員の定数を改める「香川県立学校職員及び香川県市町立学校県費負担教職員定数条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が14議案のほか、「香川県文化芸術振興計画の策定」などが11議案、合わせて25議案であります。
以上、令和5年度当初予算関係議案の概要等について御説明いたしました。議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げます。
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