地方財政の充実・強化を求める意見書
国において、2020年度の財政健全化目標の堅持を盛り込んだ「経済・財政再生計画」が策定され、地方においても、歳出改革・効率化等に取り組むこととされているが、デフレ脱却と経済再生を実現するためには、地方が経済活性化・雇用対策、人口減少対策などの施策を十分に進められるよう地方の安定的な財源確保が不可欠である。
地方の実情を踏まえない一方的な歳出削減は、景気回復に向かっている地方経済に水をさし、地域の経済の好循環や地方創生の実現も困難となる。
地方の歳出の大半は、法令等に義務付けられた経費や、国の補助事業であり、これまでの高齢化の進展等に伴う社会保障経費の増嵩分については、給与関係経費や投資的経費などの地方の懸命な歳出削減努力により吸収してきたのが実情である。
よって、国におかれては、公共サービスの質の確保と地方自治体の安定的な行政運営を実現するため、下記の事項について格段の措置を講ずるよう強く要望する。
記
- 社会保障関係経費や地域経済活性化のための取組みなど増大する地方の財政需要を地方財政計画に的確に反映し、安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額を確保すること。
- 地方の財政力や行政コストの差は、人口や地理的条件など、歳出削減努力以外の差によるところが大きく、単純な行政コスト比較による地方歳出の削減はなじまないこと。
- 地方交付税については、地域間の財政力格差を是正するとともに、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるようにするために必要不可欠なものであり、その総額を確保すること。また、臨時財政対策債を廃止するとともに、地方交付税の法定率の引上げを含めた見直しを行うこと。
- 地方財政計画の策定に当たっては、人口減少、少子高齢化に伴う社会保障経費の自然増や少子化対策への対応、地域経済・雇用対策に係る歳出を特別枠で実質的に確保してきたこと等を踏まえ、歳出特別枠及びそれに伴う国の別枠加算で実質的に確保し、必要な歳出を確実に計上すること。
- 地方創生の取組みを後押しする新型交付金については、自由度の高いものとし、平成26年度補正予算で措置された「地方創生先行型交付金」を大幅に上回る規模を確保すること。また、この交付金の創設に当たっては、既存の補助金が縮小するなど、単なる財源の振替えにならないようにすること。
- 今後数年で法人実効税率を20%台までに引き下げる場合には、地方の財政運営に支障が生じないように必要な税財源を確保し、最終的には、恒久減税には恒久財源が確保されるようにすること。
- 消費税及び地方消費税率10%の引上げ時における車体課税の見直しについて、自動車取得税の廃止の際は、自動車税・軽自動車税の環境性能課税の制度設計等により、都道府県・市町村の財政運営に支障が生じることのないよう安定的な代替税財源の確保を同時に図ること。
- 償却資産に対する固定資産税について、固定資産税が市町村財政を支える安定した基幹税であり、現行制度を堅持すること。また、ゴルフ場利用税についても、特に財源の乏しい中山間地域の市町村にとって貴重な財源であり、現行制度を堅持すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成27年7月14日
香川県議会