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七條有加里
将来に向け自立を支援します。「自分は自分でいい」という気持ちや挑戦する心を育てます。
社会福祉士とは
身体や精神に障害のある人や環境上の理由から日常生活を営むのに支障がある人に対し、必要な助言を行うとともに利用できるサービスの紹介や利用調整、関係者間の連絡調整などを行う。社会福祉施設の利用者に対する生活支援も行っている。
私が社会福祉士の仕事に興味を持ったのは、「障害のある人の役に立つには、どんな資格を取ればいいのだろう?」と思ったことがきっかけです。その後福祉系大学での実習を通して、さまざまな場所で経験を積める公的機関の福祉職に魅力を感じ、公務員になりました。3年間ケースワーカーとして児童相談所で勤めた後、福祉型障害児入所施設で児童指導員として働いています。
現在働いている施設では、18歳未満の子どもたち15人が生活しています。児童指導員は交代制で家族に代わって起床から着替え、学校への送り出し、おやつ、宿題、入浴といった生活全般のサポートを行っています。施設と学校が主な生活の場となるため、ショッピングモールなどでの買い物体験や、公園などへの外出、キャンプのような屋外での活動も大切な社会経験となります。
子どもたちとの関わりは「子育て」の要素を多く含んでいます。子どもが自分の気持ちをうまく伝えられないこともあれば、私たちがメッセージを伝えきれないこともあり、それだけに子どもたちの笑顔や「できたよ!」という言葉が聞けたときの嬉しさは格別です。保護者や他の職員と成長の喜びを分かち合うことは、子どもたちの「次も頑張ろう、こんなことに挑戦しよう」というやる気を育てるだけでなく、私たちのやりがいにもつながっています。
児童指導員にとっては「子どもの心を健やかに育てる」ことが最終目標だと思いますが、すぐに結果や答えを出すことはできません。大切なのは、日々の生活の中で子どもたちと信頼関係を築き、良いこと・悪いことの区別ができるようにすること、将来に向けて「自分は自分でいい」と思う気持ちや「できなくても、やってみよう!」という挑戦する気持ちを育てることだと考えています。
この大きな目標に向けて、子どもたちの日々の様子を観察・理解した上で、支援を続けていくことが求められています。子どもたちの障害や個性はそれぞれ異なるため、例えば、排せつの自立に向けてとなれば、トイレのタイミングなどの「日々の観察」と、一貫した支援方法の「繰り返し」がとても大切になってくるのです。健康面には特に気を配らなければなりません。発作を起こす子どももいるため「命を預かっている」という大きな責任も感じています。子どもたちの生活をサポートし続けるためには、自分自身の心身の健康を維持する努力も欠かせません。
子どもたちの人生の大きな選択に関わるのも児童指導員ならではのやりがいであり、難しさです。「家に帰る」「進学する」「自立する」「別の施設に入所する」などのさまざまな道がありますが、ご家族や他の職員、児童相談所や学校などの関係機関とも相談しながら子どもの選択を支援しています。ご家族とともに子どもの一生に関わるという点からも、児童指導員は「保護者に代わって子どもを支援する」という活動を通して「家族を支援する」職業であると思います。
福祉・介護の現場にはもともと別の職業についていた、という方も多く、私もかつては別の仕事をしていました。いろんな人がいることは子どもたちにとってもいいことですし、知識や経験は後からついてきますから、福祉の仕事を志望する人は「自分に何ができるか考える」ことを大切にしてほしいと思っています。今の職場でいえば、職員全体のチームワークで子どもたちを見守っていくので、子どもとのやりとりだけではなく周りとのコミュニケーションも欠かせません。人と接することが好きな人、話すことが好きな人は楽しく仕事ができると思います。
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