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子どもへの虐待とは、本来子どもを守るべき親や親に代わる保護者が、子どもの体や心を傷つけることをいいます。虐待は、子どもの心身に重大な影響を与え、最も深刻な子どもに対する人権侵害といえます。
虐待には、殴る・蹴るなどの「身体的虐待」ばかりでなく、傷つくことを言う・無視する・きょうだいで差別するなどの「心理的虐待」や、性的行為を強要するなどの「性的虐待」、食事・風呂・着替え等の世話をしない、乳幼児を家や車の中に放置して外出するなどの「ネグレクト(保護の怠慢・拒否)」があります。
子どもの前で配偶者に暴力をふるったり、保護者以外の同居人による虐待を放置することも虐待にあたります。
本来子どもを守るべき親や親に代わる保護者が、子どもの体や心を傷つけることをいいます。虐待は、子どもに対する人権侵害です。
間違ったことに対し、愛情をもって本気で叱ることは大切です。ただ、感情に任せて怒ることは子どもたちのためにはなりません。おびえたり、傷ついたり、ましてや命の危険にさらされるようでは、しつけとはいえません。
しつけのつもりで行った行為でも、子どもの心身に著しい影響を与えるものであれば、それはしつけではなく、虐待となります。
1989(平成元)年に国連総会で採択された「児童の権利に関する条約」は、子どもを、保護の対象から権利の主体であることを再確認し、子どもの最善の利益を考慮することを各国に求めています。
「児童の権利に関する条約」は、内容が広範多岐にわたるため、条約で定められた子どもの権利を実効あるものとするためには、教育・福祉・保健など行政各分野の積極的な取り組みと連携が不可欠です。
我が国では、2000(平成12)年5月に「児童虐待の防止等に関する法律」(児童虐待防止法)が制定されました。その中で、虐待を受けた児童の保護のための規定や虐待を発見した者に対する関係機関への通告義務等が盛り込まれています。
子どもにとって虐待が不幸なのは、その場のつらさだけに終わらず、その子の将来にも様々な影響を及ぼすことです。
虐待は家庭という密室に隠されてしまいがちです。ちょっとしたサインを見逃さないことがとても重要です。
あなたのまわりに虐待を受けたと思われる子どもがいたら、すぐに相談窓口に通告(連絡・相談)しましょう。
通告された方の秘密は守ります。たとえ、虐待でなかったとしても通告された方に迷惑がかかるようなことはありません。
子どもは、自ら救いを求めることはできません。虐待は子どもの命を奪ってしまうこともあります。勇気をもって通告してください。通告は子どもを守るためのものです。
子どもへの虐待が増えている背景には、人間関係が希薄になり、子育てをする親が周囲から孤立しているなど、子育てをめぐる環境の変化が大きく影響していることがあると考えられます。
地域から孤立し、閉じこもりがちの家庭では、子育ては親のみの責任になり大きな負担になりがちです。
虐待を未然に防止するには、子育て不安に苦しむ親に対し、地域全体で子育てを応援していくことが大切です。親を責めるだけでは解決になりません。虐待は、親からのSOSでもあるのです。育児に悩む親の相談相手になったり、あいさつや声かけ、手伝いをしたりするなど、手をさしのべてあげてください。
この法律は、2000(平成12)年5月に成立し、同年11月から施行されています。この法律では、児童に対する虐待の禁止、児童虐待防止に関する国及び地方公共団体の責務、児童虐待を受けた児童の保護のための措置などが定められています。
2004(平成16)年4月に一部改正(同年10月から施行)され、児童虐待を「人権の著しい侵害」と明記し、児童虐待の定義を明確化すると共に、国及び地方公共団体の責務の強化、通告義務の範囲の拡大、児童の自立支援等を盛り込みました。
さらに、2007(平成19)年6月にも一部改正(2008(平成20)年4月から施行)され、法律の目的に「児童の権利利益の擁護に資すること」を明記すると共に、児童の安全確認等のための立入調査等の強化、保護者に対する面会・通信等の制限の強化等を盛り込みました。
☆2005(平成17)年4月から、児童福祉法の改正に伴い、市町においても児童家庭相談窓口を設け、相談に応じています。
いじめ防止対策推進法」においては、「いじめ」とは、「児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人間関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう」と定義されています。
なお、起こった場所は学校の内外を問わず、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的に行うことなく、いじめられた児童生徒の立場に立つことが必要です。
「人権教育の指導方法等の在り方について[第三次とりまとめ](平成20年人権教育の指導方法等に関する調査研究会議)」においては、「いじめなど他の児童生徒を傷つけるような問題が起きたときには、まずは被害者を守り抜く姿勢を示すことが重要である。さらに、問題発生の要因・背景を多面的に分析し、加害者たる児童生徒の抱える問題等への理解を深めつつも、その行った行為に対しては、これを許さず、毅然とした指導を行わなければならない。」と指摘されております。「被害者には全く批判される点がなく、いじめは絶対に許されない。」との強い認識に立った対応が必要です。その上で、加害者がそうせざるを得ない要因や背景を受け止め、人格は尊重しながらも、その行った行為については毅然とした指導を行うことを通して、加害者の心の変容を図ることが重要です。
この法律は、2013(平成25)年6月に成立し、同年9月から施行されています。
この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、いじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的としてできました。
学校教育法第11条では、「体罰を加えることはできない」と禁止されています。また、学校だけでなく、地域のスポーツクラブでの行き過ぎた指導で、子どもたちが傷つけられる事例も見受けられます。
体罰は絶対に許されないということは、すべての人が認識しておくべきことです。
不登校は、特定の子どもに特有の問題があることによって起こることではなく、どの子どもにも起こりうるものであると言えます。
子どもたちは、不登校になる前に何らかのシグナルを出しています。これを大人がしっかりと読み取り、早期に対応することが不登校を防ぐ大きな手立てとなります。
早期に対応することで、不登校にならずにすんだり、早期に回復したりする場合も多いものです。
学校との連絡を密にし、家庭と学校の両方が常に子どもの状態を把握して適切に援助することが大切です。
スクールカウンセラーや相談機関・医療機関に相談し、助言を受けながら学校と協力して子どもを援助していくことが大切です。
家庭で本人が安心できる温かい雰囲気をつくる、干渉的にならず一定の距離をおいて温かく見守る、親子の対話や手伝いの機会を多くするなど、子どもの様子に気を配りながら対応することが大切です。
温かい言葉や態度によって励まされ、やる気を起こす子どもがいる一方で、何気ない言葉や態度で、傷ついてしまう子どももいます。周りの大人の言葉や態度が、場合によっては子どもにとって「暴力」にも等しいものになることを常に考えることが必要です。
例えば、「兄さんに比べて、おまえは…」などの言葉は、自分は認められていない、信頼されていないと感じさせ、子どもを深く傷つけることもあります。
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