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岡遠田遺跡では20 区の調査が終わり、21 区の調査が始まっています。20 区では、掘立柱建物跡3 棟と土坑跡 1 基が見つかりました(写真1)。
まず、掘立柱建物跡について紹介します。掘立柱建物とは地面に穴を掘って柱を据える地上式の建物のことですが、その規模は柱の数が縦 3 本・横4 本の場合、この柱の間の数をとって、2 間 3 間と表します。20 区の掘立柱建物跡の規模は、2 間 3 間のものが 2 棟(写真2・3)と、2 間 2 間のものが 1 棟(写真4)です。
2 間 3 間の 2 棟については、埋土と柱の太さが似ているため、同じ時期のものと考えています。また、現在検討中ですが、建物の方位が近似していることからも、同じ時代のものである可能性が考えられます。
一方、この 2 棟と2 間 2 間の 1 棟は、建物の方位や柱跡の埋土、柱の太さが違っていることから、違う時期の建物である可能性があります。しかし、これらの掘立柱建物跡からは、時期を決定できる土器が出土していないため、時期決定については検討中です。
つぎに、土器が大量に出土した土坑跡について紹介します(写真5)。この土坑跡の埋土は5 層に分けられます。このうち、2層から5層までは、自然に土が積もった痕跡(レンズ状堆積)が観察できました。つまり、長期間使用され続けられていたと考えられます。そのため、1層と 4 層から時期を決定できる土器が大量に出土していますが(写真6・7)、層によって時期が異なる可能性があり、詳細な時期については現在慎重に検討中です。
このように、20区にはまだ検討すべき点が多く残っていますが、現在調査中の21区は、20 区の東隣の区画ですので、この区も含めると新しいことがわかるかもしれません。今後も、この地がどのように利用されたのかを解明するために、引き続き調査を進めていきます。 (8月25日)
写真1 岡遠田遺跡20区全景写真(北から)
写真2 2間3間の掘立柱建物跡(SB10)(北東から)
写真3 2間3間の掘立柱建物跡(SB20)(北から)
写真4 2間2間の掘立柱建物跡(SB60)(北から)
写真5 土坑跡(SK01)(北から)
写真6 土坑跡(SK01)1層(北から)
写真7 土坑跡(SK01)4層(北から)
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