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香川県埋蔵文化財センターでは、今年度で3年目となる岡遠田遺跡(丸亀市飯山町上法軍寺)の発掘調査を4月から行っています(写真1・2)。当遺跡は岡田台地の先端部に立地する遺跡で、弥生時代後期を中心とした集落跡を確認しています。現在、17区・18区の調査を終え、20区の調査が始まりました。今回は17区(写真3)の竪穴建物跡と土坑跡について紹介します。
竪穴建物跡は5棟(円形3、方形2)あり、そのうち3棟が建て替えをしています。今回紹介する方形竪穴建物跡(SH80)は、埋土全面に焼土と炭が広がっていたため、鍛冶遺構などの可能性を想定して掘削を進めました。結局、鍛冶遺構を示すものは見つかりませんでしたが、焼土の中から屋根の構築材と思われる木材が出土したことから、焼失家屋(火事で焼けた建物跡)だと考えられます(写真4)。遺物は出土しなかったものの、SH80と同じ構造の建物跡が、土層からみて、円形竪穴建物跡群よりも後に建てられていることから、SH80はこれらよりも時代が新しいと考えています。
また、土坑跡からは壺や甕、高杯などが多く出土しています(写真5)。土器の検出状況や埋土の堆積から、これらの土器はある時期に一斉に埋まったとみられるため、この遺構は土器を捨てるために掘られたと考えられます。
17区の調査では、北と西に隣接する調査区で検出した弥生時代の遺構群がそのまま広がっていることを確認できました。一方、南側にある18区ではこれらの遺構群は確認できず、見つけた遺構も埋土の特徴から中世以降と推定しています。弥生時代の集落がこの辺りで途切れる可能性がありますが、台地の平坦部に近いことから、後世の開発で遺構が既に失われてしまっていることも考慮する必要があります。今後もかすかな手がかりを見落とさないように調査を続けていきたいと思います。(7月12日)
写真 1 岡遠田遺跡(令和4年度)位置図
写真2 令和4年度調査区割り図
写真3 17区全景写真
写真4 SH80屋根構築材検出状況
写真5 土坑跡出土土器検出
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