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公開日:2018年12月11日

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平成30年11月15日答申第49号(香川県個人情報保護審議会答申)

平成30年11月15日(答申第49号)

第1 香川県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)の結論

警察本部長(以下「実施機関」という。)が行った一部開示決定(以下「本件処分」という。)のうち、対応状況記録欄の措置詳細の1行目中途部分から26行目までに記載された部分(以下「本件保有個人情報」という。)全てを不開示としたことは、妥当である。

第2 審査請求に至る経過

1 保有個人情報の開示請求

平成30年1月12日、審査請求人は、香川県個人情報保護条例(平成16年香川県条例第57号。以下「条例」という。)第14条第1項の規定に基づき、実施機関に対し「平成27年〇月〇日ころに、警察官が110番通報を受け私の自宅に来て対応をしてくれた時の私の相談記録」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 実施機関の決定

実施機関は、本件請求に係る審査請求人の保有個人情報が含まれる行政文書として、「警察安全相談等受理票(平成27年〇月〇日受理)」(以下「本件行政文書」という。)を特定し、平成30年1月22日付で本件処分を行い、審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分のうち、本件保有個人情報全てを不開示としたことを不服として、平成30年2月5日付けで行政不服審査法(平成26年法律第68号)第2条の規定により、公安委員会に対して審査請求を行った。

第3 審査請求人の主張

1 審査請求の趣旨

審査請求の趣旨は、「本件処分のうち、対応状況記録欄の措置詳細の一部を不開示とした処分を取り消し、開示請求者以外の特定の個人を識別する部分を除いた上で、開示するよう求める。」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している審査請求の理由はおおむね次のとおりである。

実施機関は、平成30年1月22日付け香〇〇発第〇号により、対応状況記録欄の措置詳細の一部(開示記録全3枚のうち、3枚目1行目から26行目)につき、条例第16条第2号に該当するとして、非開示とした(以下「本件非開示処分」という。非開示部分につき、本書に別紙として添付する。別紙省略。)。なお、平成30年1月22日付け香〇〇発第〇号は、決裁欄の係長以下の印影等も非開示としているが、本審査請求は、対応状況記録欄の措置詳細の一部(3枚目1行目から26行目)の非開示につき取消しを求めるものであって、その余の非開示部分を審査請求の対象とするものではない。

ところで、条例第17条第1項は、「開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。」と定め、同条第2項は、「開示請求に係る保有個人情報に前条第2号の情報(括弧内略)が含まれている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等及び個人識別符号の部分を除くことにより、開示しても開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と定める。

本件非開示処分は、対応状況記録欄の措置詳細の1行目から26行目につき、開示部分と非開示部分を一切区分せずに、全面的に黒塗り非開示としている。しかし、条例第17条第2項に基づき、開示請求者以外の氏名、生年月日等特定の個人を識別することができるとする部分を除くことで、その余の部分について開示することが可能であり、それにもかかわらず、本件非開示処分は全面的に非開示としている点で、条例第17条第1項及び同条第2項に反する。

よって、本件非開示処分は取消しを免れず、開示請求者以外の特定の個人を識別する部分を除いた上で、あらためて開示するべきである。

第4 実施機関の理由説明

実施機関が弁明書において主張している本件処分を行った理由は、おおむね次のとおりである。

黒塗り部分については、開示請求者以外の第三者から聴取した相談情報であり、その一部を開示することにより、当該第三者が特定され、個人の権利利益を侵害するおそれがあると認められる情報であることから、条例第16条第2号に定める開示請求者以外の個人に関する情報に該当し、条例第17条第2項に該当しない。

また、当該第三者の相談情報は、主として聞き取った内容に基づき記録されたもので、心情、言動が明らかとなるため、容易に区分することができない情報であることから、条例第17条第1項に該当しない。

第5 当審議会の判断

1 本件行政文書について

警察に寄せられる各種相談については、香川県警察における相談の取扱要領に基づき、警察安全相談等受理票を作成し、署長に報告する等の対応を行っている。

本件行政文書は、当時における要領(平成26年4月21日付け例規香広被第48号。以下「相談要領」という。)に基づき、相談要領別記様式第2号として作成されており、平成27年〇月〇日に警察官が110番通報を受け、相談者たる審査請求人の自宅に行き、対応した時の内容を記録したものである。本件行政文書には、決裁欄、受理番号、受理日時、受理方法、氏名等相談者に関する情報、相談内容、対応結果、最終確認日、取扱者氏名等が記載されているほか、その対応状況記録欄には、相談に対する措置詳細として、審査請求人以外の関係者(以下単に「関係者」という。)からの聴取内容や審査請求人への教示内容など、相談に対する対応の内容が記載されている。

本件処分において不開示とされたのは、決裁欄の係長以下の印影、取扱者氏名等欄の氏名及び印影並びに対応状況記録欄の措置者氏名の部分、欄外の記載事項の一部並びに本件保有個人情報である。

審査請求人はこれらの部分のうち、本件保有個人情報を全面的に不開示としたことが、条例第16条第2号の不開示情報について個人識別性のある部分を除外の上、一部開示することを義務付けている条例第17条の規定に違反するものとして、本件処分の取消しを主張しているため、当審議会は、以下このことについて検討する。

2 不開示情報該当性について

条例第16条第2号本文は、「開示請求者以外の個人に関する情報であって、開示することにより、当該個人の権利利益を害するおそれがあるもの」を不開示情報と定めている。本件行政文書を見分したところ、本件保有個人情報は、警察官が関係者から聴取した内容を記録した部分であり、開示請求者たる審査請求人以外の個人に関する情報であると認められる。一般に、関係者から聴取した内容が開示されることとなれば、当該関係者が精神的負担を感じることに加え、人間関係に支障を来すなど、当該関係者の権利利益を害するおそれが認められるといえる。このことは、相談要領「第8 相談への対応要領」において、「相談への対応は、相談者等の生命、身体又は財産への危害の防止を最優先に行うことを基本」としていることからも是認できる。そして、当審議会が調査した結果、この関係者からの聴取は、審査請求人にはその内容等を了知し得ないよう実施されたことが認められた。したがって、本件保有個人情報を開示した場合、当該関係者の権利利益を害するおそれがあると認められる。

条例第16条第2号ただし書は、「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く」と規定しているが、本件保有個人情報については、他者の生命等の保護のため、これを開示しなければならない公益上の要請は認められない。

よって、本件保有個人情報は、条例第16条第2号本文に定める不開示情報に該当する。

3 部分開示について

条例第17条第1項において、「実施機関は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。」と規定している。また、同条第2項において、「開示請求に係る保有個人情報に前条第2号の情報(開示請求者以外の特定の個人を識別することができるものに限る。)が含まれている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等及び個人識別符号の部分を除くことにより、開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。」と規定している。

本件保有個人情報は、関係者から聴取した内容を記録した部分であって、およそその全てが、関係者名及び当該関係者の発言に係る文言を再現する形式で記載されている。これらの情報は、一連一体の心情の吐露としての性質を持つものといえ、よって、本件保有個人情報は、全体として一体不可分の「開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等」であることが認められる。

したがって、条例第17条第2項の規定による部分除外はできないことから、同条第1項の規定を適用してこれを一部開示することができないことも明らかである。

以上の結果、当審議会は、「第1 香川県個人情報保護審議会の結論」のとおり判断する。

第6 審議会の審査経過

(省略)

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