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こども家庭庁が進めている「こども誰でも通園制度」は、全てのこども・子育て世帯を対象に、月一定時間までの利用枠の中で、保護者の就労要件を問わず時間単位等で柔軟に保育施設を利用できる新たな通園給付であり、今年度は全国118自治体で試行、令和7年度には法律により制度化、令和8年度には新たな給付制度として全自治体で実施することとなっている。
本県の多度津町を含む全国約800か所の試行施設としては、認可保育所や認定こども園だけでなく、地域の子育て支援拠点が含まれ、利用方法は定期利用・自由利用いずれも可能で、在園児と一緒に預かったり、専用のクラスを別途設けたりするなど様々な運営形態である。
利用する保護者からは、「こどもの成長を感じられる」「心の支えになった」などの高評価がある一方で、国の設置している検討会の有識者からは、利用可能時間の延長及び補助単価の引上げなどを求めるとの意見があった。
わが国の合計特殊出生率は、令和5年に1.20となり、前年の1.26からさらに低下し、戦後に統計を開始して以降の最低水準であり、前年を下回るのはこれで8年連続である。今こそ、本制度を含む、次元の異なる少子化対策が急務である。
よって、国においては、地域の実情を踏まえ、実効性のある制度として円滑で速やかな導入が図られるよう、下記の事項について格段の措置を講じるよう強く要望する。
記
1 試行的事業の職員配置や設備基準は、一時預かり事業と同様の水準とされているが、認可保育所等の実施事業所が不足している地域においては、当該基準等を満たすための財政的措置を含めて支援策を講じること。
2 試行的事業では、補助基準上の1人当たり利用時間の上限は月10時間とされているが、それぞれの自治体では、乳幼児数や地理的特性によって、利用時間のニーズには差異が生じることが想定されるため、全国一律ではなく、地域の事情に配慮した制度設計及び財政措置を講じること。
3 障害児、医療的ケア児及び保護者の事情により通園ができない乳幼児についても、家庭とは異なる経験や家族以外と関わる機会を創出する観点から、本制度が利用できるよう、必要な対応や財政的措置等を講じること。
4 制度の導入に併せて、保育士が不足している現状を踏まえ、保育士の労働条件の改善や、地域における保育人材の確保体制の充実・強化に向けた対応を検討すること。
5 本制度を恒久的な地域資源の1つとして整備することに加え、多様な子育て支援サービスの拡充に努め、潜在的待機児童の解消も視野に入れた重層的な見守り機能が発揮されるよう不断に取り組むこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月13日
香川県議会
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