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森林・林業・木材産業を巡っては、人工林資源が本格的な利用期を迎える中、国産材の供給量が拡大し、林業産出額や林業従事者給与も増加するなど良い流れが生まれており、この流れをさらに大きく確実なものとしていくことが重要である。
また、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、我が国最大の吸収源として森林・木材の最大限の貢献が求められる中、官民が一体となり、間伐や再造林の確実な実施等の課題を克服し、持続可能性が担保された木材の供給・利用を進めていく必要がある。
加えて、近年、能登半島地震をはじめとする地震災害や線状降水帯による局地的な豪雨、大型の台風等により、全国各地で大規模な山地災害が頻発している中、国土強靱化対策としての森林整備・治山対策の重要性がさらに高まっている。
このような中、本県では、人工林の約6割を占めるヒノキが、まさに利用期を迎えており、これを機に県産木材の利用拡大に向けた取組を一層進め、林業・木材産業を発展させていく必要がある。
よって、国においては、次の措置を講じるよう強く求める。
記
1 間伐をはじめとした森林整備の確実な実施を念頭に、森林の経営管理に責任を持って取り組む者の育成強化と、それらの者に森林の経営管理を集積・集約化し、サプライチェーンの構築を図るなど、林業経営の採算を確保し、林業経営者が意欲をもって持続的な林業経営に臨めるような方策について検討すること。
2 林道等の路網や高性能林業機械、森林資源情報など生産基盤の整備や木材加工流通施設の整備などによる国産材の供給力強化に向けた取組を進めるとともに、新たな加工・流通システムの構築に必要な支援を行うほか、製材や集成材、CLT等の木材利用の促進による国産材の需要拡大を進めること。これらの川上から川下までを通した総合的な対策を強力に推進すること。
3 森林経営管理制度の円滑な運用や境界明確化の促進、森林環境譲与税の活用のための市町への支援に引き続き取り組むとともに、市町の事務負担の軽減や所有者不明森林に係る手続の迅速化の検討等、小規模・分散の所有実態を踏まえつつ、集積・集約化の一層の推進に向けた方策を検討すること。
4 森林の防災・保水機能の発揮・強化に向けて、間伐、再造林や林道の改良等を進めるとともに、荒廃山地の復旧対策はもとより、山腹崩壊・流木・土石流対策等の事前防災・減災対策を一層推進するため、森林整備・治山対策の予算を十分に確保すること。
5 森林の経営管理に責任を持って取り組む者の育成・強化をさらに進めること。「緑の雇用」事業等による林業従事者の育成・確保や労働安全対策の強化等の取組を一層推進するとともに、人材育成への支援など、担い手の育成・確保の取組を推進すること。
6 利用期を迎えたヒノキ等人工林の循環利用や花粉の少ない苗木の生産拡大を図ること。
7 林業収支のプラス転換に向け、エリートツリー等の生産拡大、レーザー計測等の活用による森林情報の精度向上・高度利用、林業機械の自動化・遠隔操作化技術の開発・実証や実用化、木材利用と木材の生産・加工との間の情報交換・連携による歩留まり向上、地域一体となって林業活動にデジタル技術をフル活用する取組への支援など、林業・木材産業のデジタル化とイノベーションを積極的に推進すること。
8 森林・林業の担い手である山村地域の活性化のため、地域住民とともに都市部の企業などの関わりも増加するよう、NPO、自伐林家等の多様な主体による里山林の整備活動等への支援を充実するとともに、近年増加する集落での獣害に対する支援やバイオマス資源の適正な利用の促進、特用林産物の生産振興支援等の強化・拡充に取り組むことに加え、山村振興法の延長による各施策の一層の充実を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和6年12月13日
香川県議会
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