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鉄道は、地域住民の生活・経済活動の基盤であり、地方創生や観光立国、環境問題等への対応といった観点からも、重要な社会インフラである。
JR四国は、四国各地を結ぶ鉄道ネットワークとしての役割に加え、四国と全国を繋ぐ広域交通としての役割も担っており、将来にわたる安定的な経営と自立した収益基盤の確立が必要である。
しかしながら、JR四国の経営状況は、高速道路の延伸や人口減少の進展など周辺環境の大きな変化、さらには度重なる自然災害などにより極めて厳しい状況にあり、鉄道事業者の自助努力のみでは現在の鉄道ネットワークを維持することが困難になることが予想されることから、平成29年8月に「四国における鉄道ネットワークのあり方に関する懇談会Ⅱ」を設置し、持続可能な地域公共交通ネットワークの実現に向けた議論がなされている。今年3月には、JR四国の管内線区別収支が初めて公表され、本州と四国を結ぶ本四備讃線以外が全て赤字であることが明らかとなり、一層厳しい経営状況が浮き彫りとなったところである。
昭和62年4月の国鉄分割民営化によりJR四国が発足した際には、当初見込まれていた営業赤字を補填するため、2082億円の経営安定基金が設置されたが、当時の想定を下回る低金利が続き、十分な運用益が確保できていない状況が続いている。JR四国に対しては、一層の経営努力が求められるが、分割民営化当時のスキームが成り立たなくなっていると言わざるを得ない。また、経営安定化や安全対策等のための支援措置として、令和2年度までの時限措置が追加で行われているが、今後の鉄道施設の老朽化対策や運行に係る人材確保への対応も急務となっていることも踏まえると、厳しい経営状況にあることに相違はない。
今後、経営状況が更に悪化し、仮に赤字を理由に一部の路線が廃止されてしまうと、四国全体の鉄道ネットワークの効果が大きく損なわれることになり、この地域にとって大きな負の影響を及ぼすことが懸念される。
JR四国の経営を安定させ、四国における鉄道ネットワークを将来にわたり維持することは、地域住民の交通手段の確保、ひいては地域住民の生活基盤を守ることにつながるものであることから、国に対し、以下の事項を強く提言する。
記
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和元年7月3日
香川県議会
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